リテラシーとは? 組織のITリテラシーを高める方法などを解説
「リテラシー」の意味、正しく理解していますか?中でもITリテラシーは、インターネットやSNSが欠かせない現代において、企業と個人に求められるリテラシーといえます。
ITリテラシーを高めるためには、ITリテラシーが必要な理由やメリットを理解することが重要です。
本記事では、リテラシーのつく言葉とその意味、ITリテラシーのメリット、ITリテラシーを高める方法などを解説します。
「ITリテラシーを身につけたいが方法が分からない」という方は、ぜひご覧ください。
リテラシーとは?
「リテラシー(literacy)」とはもともと「読み書きの能力」を意味する言葉です。現代では「特定の分野についての知識や能力、またはそれを使う力」を意味します。
ビジネスシーンでは、リテラシーは「情報を適切に理解して応用する能力」を指すのが一般的です。「必要な情報を使いこなす能力」ともいえます。
リテラシーは「ある・ない」「低い・高い」と表現します。「リテラシーが身についている」「リテラシーが欠けている」と表現することも可能です。
リテラシーのつく言葉
「リテラシー」のつく言葉として、以下の5つを紹介します。
- ITリテラシー
- 情報リテラシー
- 金融リテラシー
- メディアリテラシー
- ヘルスリテラシー
ITリテラシー
ITリテラシーとは、通信やネットワーク、セキュリティ、SNSなどのIT(情報通信技術)を使うときに必要な知識や情報を理解し、操作できる能力のことです。
デジタル技術が発展し、IT機器やインターネット、SNSが普及した現代では、ビジネスシーンでもITを利用することが当たり前になっています。
現代の企業において、従業員のITリテラシーを高めることは必須です。
ITリテラシーには以下の3つのリテラシーが含まれます。
- ネットリテラシー
- コンピューターリテラシー
- セキュリティリテラシー
一つずつ詳しく解説します。
ネットリテラシー
ネットリテラシーとは、インターネットやSNSを適切に使いこなすための知識や能力を指します。ネットリテラシーが求められる場面は「情報を得るとき」と「情報を発信するとき」に分けられます。
情報を得る際のリテラシーとして「信頼性の高い情報を入手する」「コンピューターウィルスを防ぐ」ための知識と能力が必要です。
情報を書き込むときには「個人情報やそれが分かる写真などをアップしない」「他者を傷つける内容を書き込まない」などのリテラシーが求められます。
いずれの場合も、著作権法や不正アクセス禁止法といった法律に違反する行為はしてはいけません。
コンピューターリテラシー
コンピューターリテラシーは、コンピューターを適切に操作できる知識や能力を意味します。コンピューターには、パソコンやスマートフォン、アプリケーションが含まれます。
業務をパソコンで行う企業の場合、コンピューターリテラシーは必須です。
コンピューターリテラシーに含まれる知識や能力の例は以下のとおりです。
- 文字の打ち方
- ドキュメントファイルの作り方
- データの保存方法
- メールソフトの使い方
- パスワード付きのファイルの送り方 など
セキュリティリテラシー
セキュリティリテラシーとは、情報漏えいやウィルス感染などを防ぐためのセキュリティに関する知識や技術を習得し、セキュリティの問題を回避する能力のことです。
「セキュリティ対策はシステムとして導入していれば安心」と思われがちですが、従業員にセキュリティリテラシーがなければ万全とはいえません。
例えば、従業員のSNSによる企業情報の漏えいや、想像しやすいパスワードによる不正アクセスなどを回避するリテラシーが求められます。
情報リテラシー
情報リテラシーとは、あらゆる情報から目的に合う情報を取捨選択し、適切に活用できる能力のことです。
「ITリテラシー」と同義で使われることもありますが、ITリテラシーはITを使いこなす能力を意味する一方で、情報リテラシーは情報自体を使いこなす能力を意味します。
現代は、パソコンやスマートフォンが広く普及し、誰でも簡単に情報を得たり発信したりできる時代です。そのため、数ある情報から正確な情報や欲しい情報を適切に選べる情報リテラシーが強く求められています。
金融リテラシー
政府広報オンラインによると、金融リテラシーとは「経済的に自立し、より良い生活を送るために必要なお金に関する知識や判断力のこと」とされています。
個人の暮らしでは家計管理や生活設計、金融商品の選択などにおいて求められるリテラシーです。
企業においては、金融リテラシーは効率的な資金管理や投資判断に役立ちます。また、従業員が金融リテラシーを身につけて家計管理や生活設計を適切にできると、会社への満足感や愛着の醸成も期待できます。
メディアリテラシー
総務省では、メディアリテラシーを「次の3つを構成要素とする、複合的な能力のこと」と定義しています。
- メディアを主体的に読み解く能力
- メディアにアクセスし、活用する能力
- メディアを通じコミュニケーションする能力。特に、情報の読み手との相互作用的(インタラクティブ) コミュニケーション能力
ビジネスシーンでは、正しい情報を見極めるメディアリテラシーが特に重要です。
市場動向を把握してマーケティング戦略を決定したり、自社ブランドを誤った情報から守ったりするためには、情報を見極めて正しく活用する必要があります。
ヘルスリテラシー
東京都医師会によると、ヘルスリテラシーとは「健康や医療に関する正しい情報を入手し、理解して活用する能力のこと」です。
「ヘルスリテラシーを高めることは、病気の予防や健康寿命の延伸につながる」とされています。
ヘルスリテラシーを高めると、仕事の基礎となる健康を管理できるため業務に集中しやすく、生産性の向上が可能です。
体調不良による退職・休職が増えている現代では、企業のリスクマネジメントや投資として、従業員のヘルスリテラシー向上への取り組みは必須といえます。
ITリテラシーが低い組織のリスク
従業員に求められるさまざまなリテラシーの中でも、ITリテラシーは特に重要です。ITリテラシーが低い場合に企業に与えるリスクが大きいためです。ITリテラシーが低い組織のリスクは、以下の4点です。
- 情報漏えいのリスクが上がる
- SNSの炎上リスクが上がる
- 新しいツールの導入が遅れる
- 社員間で情報格差が広がる
一つずつ詳しく説明します。
情報漏えいのリスクが上がる
ITリテラシーが低い組織は、情報漏えいのリスクが上がります。原因は以下のとおりです。
- 重要データが保存されたIT機器の置き忘れ・紛失
- メールや添付ファイルの誤送付
- 不正アクセス
情報漏えいは「セキュリティが甘い会社」というイメージをもたらし、個人情報の漏えいは損害賠償の請求につながる可能性もあります。
失った信用を取り戻すことは簡単ではありません。情報漏えいを防ぐためには、IT機器やインターネット、データベース、セキュリティソフトなどの適切な扱い方を身につけておく必要があります。
SNSの炎上リスクが上がる
ITリテラシーが低い組織は、SNSの炎上リスクも上がります。
SNSは匿名で個人が制限なく自由に投稿できるため、炎上のリスクと隣り合わせです。炎上した内容が個人の投稿であっても、個人の所属企業が特定されて企業が批判されるケースもあります。
従業員がITリテラシーを身につけて、「SNSに不確実な情報を発信しない」「他の個人や団体を傷つける内容になっていないかを確認する」などに気をつけることが重要です。
新しいツールの導入が遅れる
新しいツールの導入が遅れることも、ITリテラシーが低い組織のリスクです。
例えば、新型コロナウイルス感染症の影響で急速に広がったリモートワークでは、IT機器やソフトウェアの操作、ペーパーレス化への対応、セキュリティの知識などが必要です。
ITリテラシーが低い組織ではこのような新しいツールへのハードルが高く、導入したものの生産性や業務効率が低下する場合も少なくありません。
新しいツールに適応するためには、従業員が普段からITリテラシーを身につけておくことが重要です。
社員間で情報格差が広がる
ITリテラシーが低い組織は、社員間で情報格差が広がることもリスクです。
社員間で情報格差が広がると、企業の競争力低下や業務効率の低下など、企業や社員に不利益をもたらす可能性が高くなります。
ITリテラシーを身につけるためには社員個人の努力が必要なものの、社員間の情報格差を防ぐため、組織全体で取り組むことが重要です。
組織のITリテラシーを高めるには?
組織のITリテラシーを高める主な方法は、以下の3つです。
- ITリテラシーに関する研修を行う
- 社内のシステム環境を整備する
- IT関連の資格取得を支援する
一つずつ具体的に解説します。
ITリテラシーに関する研修を行う
組織のITリテラシーを高める方法として、ITリテラシーに関する研修を行うことが挙げられます。
ポイントは、必ず全社員に受講させることです。全社員が受講すると、組織全体でITリテラシーを高める空気を醸成できます。
研修内容は、IT機器やインターネット、セキュリティに関する座学研修の後、システムやアプリケーションを実際に操作する実践研修を行うと良いでしょう。
社員数や事業拠点が多い会社では、オンライン研修サービスを利用するのもおすすめです。
社内のシステム環境を整備する
社内のシステム環境を整備することも、組織のITリテラシーを高める方法です。
パソコンやスマートフォン、クラウドシステムなどのICT(情報通信技術)にアクセスしやすい環境を整備すると、社員は実践的な経験を積む機会が増えます。
社員がシステムに慣れて使いこなすことができれば、業務効率の向上も可能です。
IT関連の資格取得を支援する
組織のITリテラシーを高めるには、IT関連の資格取得を支援することも効果的です。
IT関連の資格は、ITパスポートや基本情報技術者試験、マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS) などがあり、難易度もさまざまです。
こうした幅広い資格に対する報奨制度を作ると、社員の資格取得を促進できます。
例えば、資格取得に必要な教材費や通信教育費を補助したり、難易度の高い資格を取得した場合に報奨金を支給したりすると良いでしょう。
ITリテラシーの向上は企業・社員の双方にとってメリットが多い
ITリテラシーが向上すると、企業と社員の双方にとってメリットがあります。
組織全体で取り組むことで、そのメリットはより大きくなります。主なメリットは以下のとおりです。
- 生産性・業務効率の向上
- DX推進の加速
一つずつ詳しく解説します。
生産性・業務効率の向上
ITリテラシーが向上すると、生産性や業務効率も向上します。
ITリテラシーが高い社員は、正確な情報をより早く集めることが可能です。ITツールも使いこなせるため、業務効率も向上します。
ITリテラシーが高いと情報収集やITツールの操作を効率よく行えるため、空いた時間を他の業務に使えます。個人の生産性が上がることで、企業のコスト削減や売上向上などの成果につなげることも可能です。
DX推進の加速
DX推進の加速も、ITリテラシー向上のメリットです。
DX推進には、IT技術の知識と活用方法の理解が不可欠です。ITリテラシーを向上させ、自社のシステムや導入したITツールへの理解が進むと、DX推進は加速していきます。
DX推進を加速させることで、既存システムやBCP対策の見直しの意識が進み、企業のコスト削減やサービス向上が期待できるでしょう。
例えば、ビズオーシャンジャーナルを運営するトライベック株式会社では中小企業のDXを加速する支援プラットフォーム、Hirameki7を提供しています。
Hirameki7ではマーケティング、オペレーション、ファイナンス、コミュニケーション、ビジネス、コーポレートサイト、CXという7つの領域をサポートしており、お試し利用は無料で始めることができます。
HTMLや専門のプログラミング知識がなくても利用できて、本格的な分析を行うことが可能です。
DX推進についてご興味があれば、一度ホームページをチェックしてみてはいかがでしょうか。
≫中小企業支援プラットフォーム:Hirameki7
DXを取り入れることで、ヒューマンエラーを防ぐといった品質向上も期待できるようになります。
「リテラシー」の言葉の使い方と例文
「リテラシー」の言葉の使い方について、以下の3つの例を紹介します。
- リテラシーが高い・低い
- リテラシーがある・ない
- その他ビジネスシーンでの「リテラシー」
実際に使える例文を用いて紹介するので、ぜひ参考にしてください。
リテラシーが高い・低い
「リテラシーが高い・低い」は、以下のように使います。
- 彼はITリテラシーが高いため、ITに関する研修の講師を任されている。
- 金融リテラシーが低い人は、自分に合った金融商品を選ぶのが難しい。
このように「リテラシーが高い・低い」は、特定の分野の知識や能力のレベルについて、その高低を表すときに使われます。
リテラシーがある・ない
「リテラシーがある・ない」の例文は以下のとおりです。
- 情報リテラシーがあると、インターネット上の情報の正確性を判断できる。
- SNSの情報を鵜呑みにするなんて、彼はメディアリテラシーがない。
このように「リテラシーがある・ない」は、特定の分野の知識や能力の有無を示すときに使います。
その他ビジネスシーンでのリテラシーの例文
その他ビジネスシーンでのリテラシーの使用例は、以下のとおりです。
- ITツールの使い方やセキュリティに関する研修を実施し、社員のITリテラシーが上がった。
- 情報漏えいやSNS炎上のリスクを回避するため、個々人がメディアリテラシーを身につける必要がある。
- 金融リテラシーを持つことで、ライフステージに合った生活設計が可能になる。
各例文の使い方のポイントについて、以下の表にまとめたので参考にしてください。
リテラシーが上がる |
特定の分野の知識や能力が高まることを表す |
リテラシーを身につける |
特定の分野の知識や能力を習得することを表す |
リテラシーを持つ |
特定の分野の知識や能力をすでに習得している状態を表す |
まとめ
リテラシーとは、ビジネスシーンでは「情報を適切に理解して応用する能力」を指します。
中でもITリテラシーは「ITを使うときに必要な知識や情報を理解し、操作できる能力」を意味します。インターネットやSNSが普及した現代の企業や個人には、必須のリテラシーです。
ITリテラシーを高めると、生産性や業務効率の向上、DX推進の加速など、企業と個人にとって多くのメリットがあります。
ITリテラシーに関する研修や社内システムの整備、IT関連資格の取得支援などを行い、組織全体でITリテラシーの向上に努めましょう。