タレントマネジメントシステムの主な機能7選! 目的別の選定ポイントを解説

タレントマネジメントシステムは、人材のスキルや経験などの情報を一元管理し、人材の配置・育成に活用するために欠かせないシステムです。
しかし、どのシステムを導入してもよいというわけではなく、自社に合った機能が搭載されているかを見極めなければなりません。
この記事では、タレントマネジメントシステムの主な機能や、目的に合わせた機能の選び方、機能の効果的な活用方法について解説します。システム導入を検討中の方は、ぜひ参考にしてください。
タレントマネジメントシステムについて、以下の記事で詳しく紹介しています。
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タレントマネジメントシステムの主な機能
タレントマネジメントシステムには、主に以下の7つの機能が備わっていることが多いです。
- スキル・プロフィール管理
- コンピテンシー管理
- データ分析・スコアリング
- 後継者管理
- 1on1ミーティング
- 育成計画・目標管理
- アンケート調査
ここでは、それぞれの機能について詳しく解説します。
スキル・プロフィール管理機能
スキル・プロフィール管理は、従業員の持つ知識や経験、資格、特性など人材に関する情報をデータベース化し、一元的に管理する機能です。
このデータを分析することで、各ポジションに求められるスキルと従業員のスキルのマッチングが容易になり、適材適所の配置を実現できます。また、プロジェクトに必要な人材の検索や、組織の要員計画の策定などにも役立ちます。
スキル・プロフィールの見える化は、人材の全体像を把握し、戦略的な人材活用を進める上で欠かせない基盤となるでしょう。
コンピテンシー管理機能
コンピテンシー管理では、高い成果を生み出している社員の行動特性を分析し、成功のために必要な能力や資質を明らかにすることが可能です。優れた人材の行動パターンや考え方を「コンピテンシー」として定義し、自社が求めている人材のモデルを作成します。
コンピテンシーに基づいて評価基準を設定することで、人事評価の客観性と説得力が高まり、社員の納得感とモチベーションの向上につながります。
評価結果をフィードバックし、コンピテンシー獲得に向けた育成計画を社員と共有することで、スキルの向上を促進できるでしょう。
さらに、コンピテンシーを人材育成や採用の指標として活用することで、組織全体のレベルアップを図れます。高い成果を生む行動特性を組織に浸透させ、人材の質を高めていくことが可能になるのです。
データ分析・スコアリング機能
分析・スコアリング機能により、スキルや経験、評価などの人事に関するデータをグラフや図表で可視化し、人材の状況を多角的に把握できます。
年齢構成や勤続年数、職種別の人数、評価分布など、人材に関する様々な情報を組織全体や部門単位で確認可能です。
各部門の要員数、スキル分布、人件費などのデータを分析することで、人員配置の適正化や組織再編の検討に活かせます。人事データの分析結果は、中長期の採用計画や人材育成方針の策定など、人事戦略を立案する際の重要な判断材料となるでしょう。
例えば、今後必要となるスキルを持つ人材の採用を強化したり、将来の幹部候補の育成に力を入れたりするなど、戦略的な人事施策に活用できます。
データに基づく意思決定が、組織の持続的な成長と競争力強化につながるでしょう。
後継者管理機能
後継者育成支援機能を使って、現在のポジションの後任となる人材や、将来の経営幹部となりうる高いポテンシャルを持つ人材を見出すことができます。
また、組織のポジション単位で後継者の有無や育成状況を可視化することで、リーダー不足のリスクが高い部門の特定が可能です。
早い段階からの計画的な後継者育成によって、リーダー不在による組織力の低下を防げます。外部からの採用など、多角的な人材確保の方策を講じることも可能になるでしょう。
後継者育成は、組織の持続的成長と事業の継続性を担うため、極めて重要な取り組みです。タレントマネジメントシステムの後継者管理機能は、その実現に向けた強力な支援ツールとなります。
1on1ミーティング機能
タレントマネジメントシステムの1on1ミーティング機能は、従業員と上司間の定期的な対話を促進し、人材育成と組織成長を支援します。
主な機能として、目標設定、進捗管理、フィードバック、キャリア相談などが挙げられます。これらの機能を通じて、従業員のモチベーション向上、課題解決、能力開発が期待できます。
育成計画・目標管理機能
育成計画・目標管理機能では、個人と組織それぞれの目指すべき姿を明確にし、育成目標を設定します。
個人については、現在の役割と将来のキャリア志向に基づいて、獲得すべきスキルや経験を明確にしましょう。一方、組織としては、事業戦略の実現に向けて必要な人材要件を洗い出し、育成方針を立てます。
個人、組織双方の目標の達成度合いを可視化し、人材育成の効果を検証することも可能になります。
また、スキル・プロフィールと連動させて、従業員一人ひとりのキャリア志向に沿った育成計画を立案できるのも大きな魅力です。
現在の役割から、次のキャリアステップに必要な知識・スキルを身につけるための研修や実務経験を計画的に積ませられるでしょう。
アンケート調査機能
アンケート調査機能を活用することで、従業員の仕事に対する意欲や満足度、組織風土などを定期的に測定し、課題を抽出できます。
匿名性の高いアンケートにより、従業員の本音を引き出し、組織の改善につなげられるでしょう。
また、一人の従業員に対して、上司や同僚、部下など複数の視点から評価を行う360度フィードバックを通じて評価を収集し、個人の強みと改善点を明らかにすることも可能です。
多面的な評価は、従業員の気づきを促し、成長を加速させる効果が期待できます。
アンケート調査の結果は、従業員の意欲向上のための施策や、組織開発の取り組みに活かせます。データに基づく課題解決により、従業員の満足度とパフォーマンスの向上を目指しましょう。
【目的別】タレントマネジメントシステムの機能の選び方
タレントマネジメントシステムの導入目的は企業によって様々ですが、ここでは代表的な4つのケースを取り上げます。
- 組織の実像を把握したい
- スキルの底上げを図りたい
- 次世代リーダーを育成したい
- 異動業務を効率化したい
それぞれの目的に応じて、重視すべき機能を解説します。
組織の実像を把握したい場合
従業員の情報が部署ごとに散在し、人材の全体像をつかみきれていないケースは少なくありません。
性別・年齢・職種など基本的な属性はもちろん、一人ひとりのスキル・経験やキャリア志向、パフォーマンスまで統合的に分析できれば、より戦略的な人材マネジメントが可能になります。
その場合は、タレントマネジメントシステムのプロファイル管理機能と検索機能に注目しましょう。
社員情報をデータベース化して全体像を把握できるだけでなく、必要なスキルを備えた即戦力をピンポイントで探し出せるのも大きな魅力です。面談記録や従業員の仕事に対する意識調査の回答なども一元管理すれば、人材の定量・定性両面の情報を思いのままに分析できるでしょう。
組織の実像を多角的に可視化し、適材適所の配置や戦略的な人材育成につなげられます。
スキルの底上げを図りたい場合
DXの推進や新規事業の創出など、イノベーションを担う人材の育成が急務となっています。求められるスキルを可視化し、効果的な研修を適時適所で提供できれば、戦力化のスピードは格段に上がるでしょう。
スキル分析と育成支援の機能を兼ね備えたタレントマネジメントシステムなら、計画的な人材開発を強力に後押しします。現在のスキルレベルを多角的に分析し、伸ばすべきスキルを特定することが可能です。
また、eラーニングの履修管理機能などを活用すれば、PDCAを回しながら着実にレベルアップを進められるでしょう。
組織に必要なスキルを見える化し、研修やセミナーなど効果的な育成施策を講じることで、人材の質的向上を加速できます。
次世代リーダーを育成したい場合
事業の継続性を担保し、持続的な成長を実現するには、次世代を担うリーダー人材の計画的な育成が欠かせません。ポテンシャルを持つ人材をいかに早期に見つけ出し、育成できるかが中長期の競争力に大きな影響を与えるでしょう。
従来の属人的な育成では限界がある中、タレントマネジメントシステムの後継者管理機能やポジション管理機能の活用が鍵となります。重要ポストの要件定義から候補者の絞り込み、育成状況の可視化まで、一連のプロセスを系統的に管理可能です。
将来を担うリーダー人材を戦略的に輩出し、事業の継続性と環境変化への適応力を高めることができるでしょう。
タレントマネジメントシステムは、計画的な後継者育成を支援する強力なツールとなります。
異動業務を効率化したい場合
適材適所の人員配置を臨機応変に実現できるかは、人事部門の腕の見せ所です。意思決定の是非が事業の明暗を分けることもあります。
スキルや実績、キャリア志向など、判断に必要な情報が多岐にわたるため、人事異動はどうしても工数のかかる業務になりがちでしょう。
異動業務の効率化と進化の切り札となるのが、タレントマネジメントシステムのシミュレーション機能です。
人材情報を集約したデータベースを土台に、新しい配置案をドラッグ&ドロップで試行錯誤できます。人事制度との整合性をチェックしながら、パフォーマンスを最大化する配置を導き出せるでしょう。
適材適所の人材配置を迅速かつ的確に行うことで、組織力の向上と業績の拡大につなげられます。
タレントマネジメント機能の活用ポイント
タレントマネジメントシステムの機能を最大限に活用するためには、以下のようなポイントがあります。
- 経営戦略に連動した人材戦略の立案・実行
- 定期的なデータ更新で精度を高める
- マネージャー層の理解と活用を推進
ここでは、それぞれのポイントについて見ていきましょう。
経営戦略に連動した人材戦略の立案・実行
タレントマネジメント機能を効果的に活用するためには、まず自社の経営戦略と、それを実現するための人材要件を明確にしてください。
中長期の事業ビジョンを実現するために、どのような人材をどの部門に配置し、どのように育成していくべきかを戦略的に設計しましょう。
採用、配置、育成、評価など一連の人事プロセスを、経営戦略に沿って一貫性のある形で連動させることがポイントです。
人材戦略と事業戦略の整合性を保ちながら、適材適所の人材活用と戦略的な育成を進めていきましょう。
定期的なデータ更新で精度を高める
タレントマネジメント機能を使って適切な人事施策を講じるためには、常に最新かつ正確な人事データを保持しておかなければなりません。
スキルや資格、職歴など、従業員の情報は日々変化するため、定期的なデータの更新が不可欠です。
人事異動や新規採用の際には、漏れがないようデータに反映し、分析や意思決定の精度を高めることが求められます。
正確なデータに基づく人材マネジメントにより、適材適所の配置と戦略的な育成を実現できるでしょう。
マネージャー層の理解と活用を推進
タレントマネジメント機能は人事部門だけのものではなく、現場のマネージャーこそが活用するべきものです。
適材適所の配置や部下の育成は、現場マネージャーの重要な役割であり、タレントマネジメントシステムの情報を日常的に活用してもらう必要があります。
マネージャー層への教育を通じて、タレントマネジメント機能への理解を深め、日常的な活用を促進することが肝要です。
現場のマネージャーがシステムを自在に使いこなし、データに基づく人材マネジメントを実践できるよう、支援体制を整備することが望ましいでしょう。
タレントマネジメントシステムのメリットについて、以下の記事で詳しく紹介しています。
タレントマネジメントシステムを活用し人材の最適化を図ろう
タレントマネジメントシステムは、従業員一人ひとりの能力を最大限に引き出し、組織力を高めるための強力なツールです。
本記事で解説した7つの基本機能を戦略的に活用することで、適材適所の人材配置や能力開発、キャリア形成を効果的に進めることができるでしょう。
そのためには、まず自社のニーズに合った機能が備わっているシステムを見極めなければなりません。
適切なシステム選定と活用により、自社が求めている人材の育成につなげ、組織の成長と競争力強化を目指しましょう。