タレントマネジメントに必要な評価項目とは? 情報収集の方法も解説

タレントマネジメントとは、個人の能力を最大限に活かすための戦略的人材マネジメントのことを指します。そして、タレントマネジメントを効果的に行う上で、何をどのように評価するかは重要です。
本記事ではタレントマネジメントに必要な評価項目について詳しく解説します。評価のためにどのように情報収集するかも紹介するので参考にしてください。
目次
- タレントマネジメントの主要評価項目
- 従業員情報(基本情報、経験、スキル、適性)
- 人事評価(業績、能力、行動、ポテンシャル)
- 育成・キャリア(研修履歴、キャリアビジョン、後継者)
- エンゲージメント(満足度、コミットメント、モチベーション)
- 管理項目(情報一元化、評価運用、育成計画、配置シミュレーション)
- PDCAサイクル(目標設定、施策実行、効果測定、改善策)
- 組織体制・風土(経営層の理解、現場の協力、推進文化)
- タレントマネジメントに必要な項目の収集法
- 人事データの一元管理とシステム化
- 面談・意識調査による情報収集
- 外部データ・他社事例の活用
- タレントマネジメントに必要な項目設定の重要性
- 自社の戦略・目標に合った項目設定
- 適切な項目による人材の可視化と活用
- 項目の柔軟な見直しと改善
- 最適な評価項目を設定してタレントマネジメントを始めよう
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タレントマネジメントの主要評価項目
タレントマネジメントを効果的に実施するには、適切な評価項目の設定が欠かせません。タレントマネジメントの主な評価項目は以下の通りです。
- 従業員情報(基本情報、経験、スキル、適性)
- 人事評価(業績、能力、行動、ポテンシャル)
- 育成・キャリア(研修履歴、キャリアビジョン、後継者)
- エンゲージメント(満足度、コミットメント、モチベーション)
- 管理項目(情報一元化、評価運用、育成計画、配置シミュレーション)
- PDCAサイクル(目標設定、施策実行、効果測定、改善策)
- 組織体制・風土(経営層の理解、現場の協力、推進文化)
ここでは、上記の評価項目について詳しく見ていきましょう。
従業員情報(基本情報、経験、スキル、適性)
タレントマネジメントで欠かせないのは、従業員の基本情報、経験、スキル、適性などの評価項目です。それぞれの評価対象は以下を参考にしてください。
基本情報・・・氏名、年齢、性別、学歴、勤続年数等
経験やスキル・・・職歴、担当業務、専門分野、資格、語学力
適性・・・性格特性、行動特性、リーダーシップ能力
他の評価項目にも付随する基礎的な内容なので、抜け漏れのないように確認しましょう。
人事評価(業績、能力、行動、ポテンシャル)
人事評価では、業績、能力、行動、ポテンシャルなどを評価項目として設定します。以下のような点を主に評価します。
業績評価・・・目標達成度、数値実績、プロジェクトへの貢献度
能力評価・・・問題解決力、コミュニケーション能力、専門性
行動評価・・・チームワーク、主体性、規律性
ポテンシャル評価では、将来の幹部候補としての資質や成長可能性を見極めましょう。これらの評価を通じて、個人のパフォーマンスや能力を多面的に把握することが可能です。
育成・キャリア(研修履歴、キャリアビジョン、後継者)
育成・キャリアの観点では、研修履歴、キャリアビジョン、後継者候補などを評価項目として設定してください。
研修履歴・・・受講した研修の内容、習得したスキル、資格取得状況
キャリアビジョン・・・従業員の将来のキャリアプラン、異動希望
後継者候補・・・次世代リーダーの育成状況、後継者候補者の特定
個人の成長意欲や将来性を見極められるステップなので、戦略的な育成施策にも反映することができます。
エンゲージメント(満足度、コミットメント、モチベーション)
エンゲージメントの観点からは、職務満足度、組織コミットメント、モチベーションなどを評価項目として設定します。
職務満足度・・・仕事のやりがい、職場環境への満足度
組織コミットメント・・・会社への愛着、貢献意欲が評価対象
モチベーション・・・仕事へのモチベーション、自己啓発意欲
エンゲージメントの状況を定量的に評価し、個人のモチベーションや組織への帰属意識を確認しましょう。
管理項目(情報一元化、評価運用、育成計画、配置シミュレーション)
人材情報の一元管理、評価運用、育成計画、配置シミュレーションなどは、システム管理の項目として活用してください。
人材情報の一元管理・・・従業員情報をデータベース化
評価運用・・・目標設定、評価実施、フィードバックなどの一連の流れを管理
育成計画・・・研修計画、スキル管理、キャリア支援
配置シミュレーション・・・適材適所の人員配置を検討するためのツールとして活用
以上を参考に、評価をすることだけでなくネクストステップに繋がる対応を行うことが重要です。
PDCAサイクル(目標設定、施策実行、効果測定、改善策)
タレントマネジメントでは、PDCAサイクルに基づく継続的な改善も重要です。
目標設定、施策実行、効果測定、改善策立案などをPDCAサイクルに必要な項目にし、以下のように取り組みましょう。
目標設定・・・人材要件、評価指標、達成基準などの明確化
施策実行・・・採用、配置、育成、評価などの各施策実行
効果測定・・・人材要件、達成度、生産性の向上度合い
改善策立案・・・課題分析、次年度の施策見直し
組織体制・風土(経営層の理解、現場の協力、推進文化)
タレントマネジメントの成否には、組織体制や風土も大きな影響を与えます。経営層の理解、現場の協力、推進文化の醸成などを組織体制・風土に関する評価項目として設定しましょう。
経営層の理解と関与の度合いや、現場の管理職やメンバーの協力体制の状況を評価します。
タレントマネジメントを推進する組織文化の醸成状況や、従業員のタレントマネジメントへの理解度、浸透度なども評価対象です。
タレントマネジメントに必要な項目の収集法
タレントマネジメントに必要な評価項目を設定したら、次はそれらの情報を効率的に収集する方法を確立しましょう。評価の材料となる情報は、主に以下の方法で収集します。
- 人事データの一元管理とシステム化
- 面談・意識調査による情報収集
- 外部データ・他社事例の活用
ここでは、上記の方法について解説します。
人事データの一元管理とシステム化
タレントマネジメントに必要な情報を効率的に収集するには、人事データの一元管理とシステム化が有効です。
まずは従業員の基本情報や評価履歴、研修受講歴、キャリアプランなどの情報を一カ所に集約します。それらをデータベース化することで、情報の検索や分析が容易です。
またクラウド型のタレントマネジメントシステムを活用すれば、データの一元管理と同時に、現場の評価者や従業員自身も情報にアクセスしやすくなります。
タレントマネジメントシステムについては、下記の記事で詳しく解説しています。
面談・意識調査による情報収集
データベース化された情報だけでなく、従業員との直接的なコミュニケーションを通じた情報収集も欠かせません。
定期的な上司との面談では、従業員の現状の業務内容や成果、今後のキャリア志向などを深く聞き出すことができます。
また意識調査などを実施することで、従業員の職務満足度や組織コミットメント、モチベーションの状況も定量的に把握可能です。
面談や意識調査を通じて収集した情報は、データベースでは得られない生の声としてタレントマネジメントの施策立案に役立てましょう。
外部データ・他社事例の活用
自社の取り組みを相対化してより効果的な施策を検討するには、外部データや他社事例の活用が有効です。
業界動向や同業他社における人材マネジメントの取り組みなどを参考にすることで、自社の評価項目の妥当性を検証できます。
また外部の人材関連データを分析すれば、自社の人材状況を業界内で相対的に把握することも可能です。
タレントマネジメントに必要な項目設定の重要性
ここまで、タレントマネジメントの評価項目について解説していきました。効果を引き出すためには、実際に評価項目を設定する時に以下のポイントを押さえて設定することが重要です。
- 自社の戦略・目標に合った項目設定
- 適切な項目による人材の可視化と活用
- 項目の柔軟な見直しと改善
タレントマネジメントの成否を左右するのは、評価項目の適切な設定です。ここでは、評価項目設定の重要性について詳しく見ていきましょう。
自社の戦略・目標に合った項目設定
タレントマネジメントでは、自社の経営戦略や目標に沿った評価項目の設定が重要です。自社の中長期的な経営ビジョンや事業戦略を踏まえ、必要となる人材像を明確化することが出発点となります。
その人材像を具現化するために、どのような能力やスキル、経験、適性などを評価項目として設定するかを検討してください。
適切な項目による人材の可視化と活用
適切な評価項目を設定することで、人材の可視化と戦略的な活用が可能です。
各従業員の強みや弱み、専門性、将来のポテンシャルなどを多角的に評価し、一元的に管理することで、組織全体の人材状況が可視化されます。
可視化された人材情報を基に、適材適所の配置や戦略的な育成計画の立案、将来の幹部候補の選抜などに活用してみましょう。
項目の柔軟な見直しと改善
一度設定した評価項目も、経営環境の変化に合わせて柔軟に見直して改善していく必要があります。事業戦略の変更や組織構造の改編、技術革新などによって、求められる人材像も変化するためです。
その変化に対応するために評価項目も定期的に見直し、必要に応じて項目の追加や削除、ウェイト付けの変更などを行いましょう。
環境変化に適応した評価項目の見直しにより、タレントマネジメントの取り組みを常に最適な状態に保つことができます。
最適な評価項目を設定してタレントマネジメントを始めよう
タレントマネジメントの実践には、自社の特性に合った最適な評価項目の設定が欠かせません。従業員情報や人事評価、将来的なキャリアビジョンなどが主要な評価項目です。
ただし業種や事業規模、組織文化などによって、必要な評価項目は異なるため、自社の実情に即したカスタマイズが求められます。
まずは小規模な取り組みからスタートしてPDCAサイクルを回しながら、徐々に評価項目を拡充していきましょう。
タレントマネジメントの導入を考えている方は、外部データやタレントマネジメントシステムなども活用し、自社に最適な評価項目を設定してください。