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確定申告|初年度、2年目以降の住宅ローン控除のやり方 税制改正についても解説

確定申告の基本

著者: 税理士  川邉 憲一

確定申告|初年度、2年目以降の住宅ローン控除のやり方 税制改正についても解説

令和4年の税制改正において、住宅ローン控除に関して改正が行われ、控除率が引下げられましたが、一定の住宅を取得した場合は借入金の年末残高の上限が増え、控除期間が延びることになりました。

今回はこの住宅ローン控除について解説いたします。


住宅ローン控除

①概要

個人が住宅ローン等を利用して、一定の住宅を取得して年末まで引続き居住の用に供したときは、一定の要件の下、その取得等に係る住宅ローン等の年末残高の合計額等を基として計算した金額を、居住の用に供した年分以後の各年分の所得税額から控除(住宅借入金等特別控除)することができます。

②控除額の計算

住宅借入金等特別控除の控除額は、住宅ローン等の年末残高の合計額(住宅の取得等の対価の額または費用の額(注1、2)が住宅ローン等の年末残高の合計額よりも少ないときは、その取得等の対価の額または費用の額。以下「年末残高等」といいます)を基に、居住の用に供した年分の計算方法により算出します(100円未満の端数金額は切り捨てます)。

(注1)住宅の取得等に関し、補助金等(国または地方公共団体から交付される補助金または給付金その他これらに準ずるものをいいます。以下同じです)の交付を受ける場合(平成23年6月30日以後に住宅の取得等に係る契約を締結する場合に限ります)には、その補助金等の額を控除します。

(注2)住宅の取得等に際して住宅取得等資金の贈与を受け、「住宅取得等資金の贈与税の非課税」(租税特別措置法70条の2)または「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税選択の特例」(租税特別措置法70条の3)(以下、併せて「住宅取得等資金の贈与の特例」といいます)を適用した場合には、その適用を受けた住宅取得等資金の額を控除します。

③認定住宅等を新築等した場合の控除期間と控除額

個人が住宅ローンを使用して、認定長期優良住宅または認定低炭素住宅(以下これを併せて「認定住宅」といいます)の新築または建築後使用されたことのない認定住宅の取得(以下「認定住宅の新築等」といいます)をして、平成21年6月4日(低炭素構築物に該当する家屋については平成24年12月4日、低炭素建築物とみなされる特定建築物に該当する家屋については平成25年6月1日)から令和3年12月31日までの間に自己の居住の用に供し(その新築または取得の日から6か月以内に居住の用に供した場合に限ります)年末まで引続き居住の用に供しているときは、一定の要件の下、その取得等に係る住宅ローン等の年末残高の合計額等を基として計算した金額を、居住の用に供した年分以後の各年分の所得税額から控除(住宅借入金等特別控除)することができます。

また、住宅の取得等で特別特例取得または特例特別特例取得に該当するものをした個人が、令和3年1月1日から令和4年12月31日までの間に自己の居住の用に供した場合も対象となります。

令和4年1月1日から令和5年12月31日までの居住の用に供した場合に関しては、控除期間は13年で各年控除額の計算は下記の通りです。

[認定住宅に該当する場合]
年末残高等〔上限5,000万円〕×0.7%

[特定エネルギー消費性能向上住宅に該当する場合]
年末残高等〔上限4,500万円〕×0.7%

[エネルギー消費性能向上住宅に該当する場合]
年末残高等〔上限4,000万円〕×0.7%

④一般住宅を新築等した場合の控除期間と控除額

個人が住宅ローンを使用して、マイホームの新築、取得または増改築等(以下「取得等」といいます)をし、令和4年1月1日から令和7年12月31日までの間に自己の居住の用に供したときは、一定の要件の下、その取得等に係る住宅ローン等の年末残高の合計額等を基として計算した金額を、居住の用に供した年分以後の各年分の所得税額から控除(住宅借入金等特別控除)することができます。

令和4年1月1日から令和5年12月31日までの居住の用に供した場合に関しては、控除期間は13年で各年控除額の計算は下記の通りです。

  • 年末残高等(上限3,000万円)×0.7%

⑤中古住宅を取得等した場合の控除期間と控除額

個人が住宅ローン等を利用して、中古の住宅を取得または増改築等をし、令和4年1月1日から令和7年12月31日までの間に自己の居住の用に供したときは、一定の要件の下、その取得等に係る住宅ローン等の年末残高の合計額等を基として計算した金額を、居住の用に供した年分以後の各年分の所得税額から控除(住宅借入金等特別控除)することができます。この特例は、住宅等の区分および居住年に応じて、借入限度額や控除期間が異なります。

令和4年1月1日から令和7年12月31日までの居住の用に供した場合に関しては、控除期間は10年で各年控除額の計算は下記の通りです。

認定長期優良住宅・認定低炭素住宅・特定エネルギー消費性能向上住宅・エネルギー消費性能向上住宅に該当する場合
年末残高等(上限3,000万円)×0.7%(21万円)

一般の中古住宅
年末残高等(上限2,000万円)×0.7%(14万円)


申告の提出先

住宅借入金等特別控除の適用を受けるための手続は、控除を受ける最初の年分と2年目以後の年分とでは異なります。

(1)控除を受ける最初の年分

控除を受ける最初の年分は、必要事項を記載した確定申告書に、下記の「提出書類等」に掲げる区分に応じてそれぞれに掲げる書類を添付して、納税地(原則として住所地)の所轄税務署長に提出する必要があります。

(注)給与所得のある方について、平成31年4月1日以後、給与所得の源泉徴収票は、確定申告書への添付または確定申告書を提出する際の提示が不要となりました。

ただし、確定申告書を作成する際には引続き給与所得の源泉徴収票が必要となりますので、税務署等へお越しになる際には忘れずにお持ち下さい。

(2)2年目以後

2年目以後の年分は、必要事項を記載した確定申告書に下記の「提出書類等」の「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書」(付表が必要な場合は付表を含みます)のほか、「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」(電磁的記録印刷書面を含みます。2か所以上から交付を受けている場合は、そのすべての証明書をいいます。以下同じです)を添付することで特別控除の適用を受けることができます。

また、給与所得者は、控除を受ける最初の年分については、上記(1)の通り、確定申告書を提出する必要がありますが、2年目以後の年分は、年末調整でこの特別控除の適用を受けることができます。

この場合、税務署から送付される「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書兼給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」と「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」を勤務先に提出する必要があります。

2年目以降の「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書兼給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」は、申告をした年に2年目以降から住宅ローン控除が受けられる最終年度までの期間すべての申告書が送られてきますので、紛失しないように注意して下さい。
紛失してしまったときは、申告をした税務署において再発行を依頼して下さい。

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著者プロフィール

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川邉 憲一

税理士

1975年茨城県生まれ。1998年早稲田大学社会科学部卒業。2006年税理士試験合格。2007年税理士登録。2009年大原大学院大学会計研究科卒業。2016年行政書士登録。川邉憲一税理士事務所所長。

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