社会保険の加入条件とは? 労務担当が知っておきたいこと【2023年版】
社会保険とは、病気やケガ、失業などの生活のリスクへ備えた公的保険制度のことです。
社会保険は医療保険や年金保険、雇用保険などを含めた5つの保険から成り立っています。
この記事では、社会保険の加入条件と加入時にまつわる疑問を解説しました。
社会保険の加入手続きを担当する方は、ぜひ参考にしてください。
社会保険の加入条件
社会保険の加入条件を対象者の観点から見てみましょう。また、社会保険の適用が拡大されるのもポイントです。
社会保険の対象者
2023年1月現在において、社会保険の加入対象者は法定労働時間(週40時間)勤務もしくは、週単位か月単位の所定労働時間が法定労働時間(週40時間)の4分の3以上になる方です。
正社員だけではなく、アルバイトやパートも含みます。
アルバイトやパートは次の5点をすべて満たすと社会保険に加入できます。
- 週所定労働時間20時間以上
- 月額賃金8.8万円以上
- 勤務期間1年以上見込み
- 学生ではない
- 従業員数501人以上の企業で働いている
また、2022年10月からは社会保険の適用範囲が拡大されました。
フルタイム勤務と同様に2か月を超える雇用の見込みがあるのと、勤務先の従業員数(パート・アルバイト含む)が101人以上でも社会保険へ加入できるようになりました。
2024年10月に社会保険の適用が拡大
2024年の10月には社会保険の適用範囲がさらに拡大されます。変更点は事業所規模の従業員数です。
2024年9月までは勤務先の従業員数101人以上が加入条件ですが、同年10月以降は51人以上になります。
週の所定労働時間や月額賃金など、他の項目に変更はありません。
社会保険の加入条件に関する疑問
社会保険の加入条件にまつわる疑問をお持ちではないでしょうか。
特に従業員数の数え方や、加入は義務なのかどうかがよくある疑問点です。詳しく解説します。
従業員数はどうやって数える?
従業員数は企業に属する労働者数を数えるのではなく、厚生年金の被保険者数をカウントします。
厚生年金の被保険者は正社員だけではなく、法定労働時間(週40時間)の4分の3以上の労働時間で働くパートなども該当します。法人番号が同じ企業は合算して判断します。
営業やIT、物流業界などの人の入れ替わりが激しい業界は、直近12か月のうち6か月の被保険者数を判断材料にしてください。
その6か月間で基準値を上回れば、社会保険が適用されます。
個人事業で一定の業種について、常時5人未満の従業員を雇用している場合は、社会保険に加入することが任意とされており、その際の従業員数は正社員だけでなく、パートやアルバイトも含めた人数(事業主を除く)でカウントされます。
また、社会保険の種類によってそのルールが異なります。
社会保険の加入は選択できる?
従業員は社会保険の加入条件を満たした段階で加入しなければなりませんし、事業主側にも加入させる義務が生じます。
社会保険料を払いたくないなどの理由で加入を拒んだ場合、事業主と従業員の両方に罰則が下されます。
事業主:6月以下の懲役又は50万円以下の罰金(健康保険法第208条)
被保険者の資格の取得を保険者に届け出しなかったり、虚偽の届け出をした際にペナルティを受けます。
従業員:6月以下の懲役又は30万円以下の罰金(健康保険法第209条)
立入検査の拒否などをおこなうとペナルティを受けます。
副業をしている従業員を雇用する場合に気を付けることは?
副業を許可している企業も増えてきましたが、副業をしている従業員を雇用する場合には、自社が主たる収入を得ている事業場にあたるかどうかがポイントになります。
2以上の事業場に雇用される場合、従業員は、主たる収入を得ている事業場の社会保険に加入することになるためです。
逆に短時間勤務の従業員を雇用する場合には、本業先が社会保険に加入することになります。
社会保険の加入条件についてのまとめ
社会保険の加入条件は厳しくないため、多くの従業員が入りやすいでしょう。
ただし、意図的に社会保険へ加入しなかったり、させなかったりすると従業員と事業主の両方がペナルティを受けますので、注意してください。
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