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リフレッシュ休暇は導入すべき? メリットや制度の留意点、成功事例を紹介

リフレッシュ休暇は導入すべき? メリットや制度の留意点、成功事例を紹介

リフレッシュ休暇とは、従業員の気分転換を目的とした法定外の休暇です。有給休暇とは異なり、法律に義務付けられた休暇ではありませんが、従業員のモチベーションや企業のイメージアップにつながります。

今回は、リフレッシュ休暇のメリットや留意点、実際に制度を導入して成功している企業の事例について解説します。


この記事の監修者
  社会保険労務士 ITストラテジスト 

リフレッシュ休暇とは

リフレッシュ休暇は法定外の休暇であり、従業員の気分転換を目的とした休みのことです。法で定められた休暇(年次有給休暇、産前・産後休暇、育児休業、介護休業、子の看護休暇)とは異なり、就業規則等で企業が任意に定めることができます。就労条件総合調査によると法定外休暇の制度がある企業が58.9%、リフレッシュ休暇を定めている企業は11.8%と報告されています。

なお、休日は従業員に労働の義務が無い日のことであり、休暇は労働義務がある日に企業が労働義務を免除することです。

参考:「令和4年就労条件総合調査」|厚生労働省

リフレッシュ休暇と有給休暇の違い

年次有給休暇(以下、有給休暇)は、労働基準法第39条で定められた法定休暇です。

  • ①雇入れの日から6カ月継続勤務
  • ②期間中の労働日の8割以上出勤

以上2つの条件を満たした従業員に対して、アルバイト等の雇用形態に関わらず付与しなければなりません。また、有給休暇は休暇の日についても賃金(給与)が発生します。

対してリフレッシュ休暇は企業が任意で与える休暇です。付与要件や対象者、無給か有給かについても企業が決定できます。


リフレッシュ休暇を企業が導入するメリット

リフレッシュ休暇の導入は義務ではありませんが、企業にとって次のようなメリットがあります。

1.従業員のモチベーションアップ

リフレッシュ休暇は、従業員が業務から離れてリフレッシュすることが目的です。事前にリフレッシュ休暇の取得を予定させることで、休暇までのモチベーションアップにもなります。また、休暇後も気持ちを新たに、業務に取り組むことができるでしょう。

2.企業のイメージアップ

法定外休暇、特にリフレッシュ休暇は企業規模が大きいほど導入率が高い傾向があります。リフレッシュ休暇は福利厚生としても需要があり、約8000名を対象に行った「従業員の必要性が高いと思う制度・施策」調査でも、16.1%の人がリフレッシュ休暇制度の必要性が高いと回答しています。

リフレッシュ休暇を導入することで、社外にも「福利厚生が充実している企業」とイメージアップを図れるでしょう。

参考:「企業における福利厚生施策の実態に関する調査」|独立行政法人労働政策研究・研修機構

3.企業定着率のアップ

厚生労働省が若年労働者(15~34歳)に対して2018年に行った調査によると、初めて勤務した会社をやめた理由として「労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった」が30.3%と最もポイントが高くなっています。

若い労働者が賃金以上に、無理せず勤務が続けられるようなワークライフバランスを重視していることが分かります。リフレッシュ休暇制度を導入することで、離職防止や企業の定着率アップにもつながるでしょう。

参考:「平成30年若年者雇用実態調査の概況」|厚生労働省


リフレッシュ休暇を企業が導入した際のデメリット・懸念点

ここからは、リフレッシュ休暇を導入した際のデメリットや懸念点について解説します。

1.制度を導入しても利用されない

リフレッシュ休暇制度を導入しても、従業員が利用しなければ意味がありません。実際に、有給無給に関わらず、リフレッシュ休暇は利用されにくいという調査結果が出ています。この調査では、リフレッシュ休暇は全額有給だと回答した方(555名)のうち71.4%、無給だと回答した方(42名)のうち64.3%が過去1年間の利用経験が無いと回答しました。単に制度を導入するだけではなく、休暇を取りやすい職場環境作りも不可欠です。

参考:「年次有給休暇の取得に関する調査」|独立行政法人労働政策研究・研修機構

2.早めの事前調整が必須

従業員がリフレッシュ休暇を利用するためには、早めの事前調整が必須です。リフレッシュ休暇は、その目的から1日のみという設定はほぼありません。休暇取得中は自身の業務がストップしてしまうため、社内外に対する調整が必要になります。

社内では進行中の案件や、担当業務の引継ぎなどがあり、社外的には休暇中の担当者の紹介も行わなければなりません。調整期間が必要となるため、リフレッシュ休暇の取得予定を決めるのは早ければ早いほどよいでしょう。早い段階でリフレッシュ休暇の取得申請を行えば、「取得できる時に休む」ではなく「取得するから調整する」と、周りからも認識されます。

3.制度が形骸化する

利用されない制度は形骸化し、ますます利用されなくなります。ただし、利用されていないからといって、簡単に廃止できるものでもありません。リフレッシュ休暇制度を廃止することは、従業員にとって就業規則の不利益変更となるからです。

制度を形骸化しないためにも、導入後は定期的に従業員への制度周知や管理職向けに利用・運用の手引きを行ったほうがよいでしょう。


リフレッシュ休暇の導入手順

これからリフレッシュ休暇を導入しようと考える企業は、どのような手順で行えばよいのでしょうか。順を追って解説します。

1.リフレッシュ休暇制度の内容を決定する

対象者、付与要件、日数、有給・無給、取得できる期間など、法定外休暇であるリフレッシュ休暇は企業が全て任意で決定できます。どのように設定すればよいか迷った時には、専門家の社会保険労務士へ相談したり、厚生労働省が運営する「働き方・休み方改善ポータルサイト」から他社事例を見て参考にするとよいでしょう。

2.就業規則の改定と労働者代表からの意見を聴く

休暇制度は就業規則の絶対的必要記載事項です。リフレッシュ休暇制度を導入する時にも、就業規則の改定が必要です。就業規則を改定する際は労働者代表の意見書も合わせて、事業場所轄の労働基準監督者へ提出します。

3.従業員へ説明する

リフレッシュ休暇制度の導入が決定したら、必ず内容を従業員全員に説明します。社内で説明会を開く、グループウェア等全ての従業員が閲覧できるシステムに就業規則の該当箇所を掲載する、文書で説明するなどの方法で、制度の導入を周知します。質問がある際の問い合わせ窓口も設定しておくとよいでしょう。

4.管理職へ定期的に説明・運用指南を行う

リフレッシュ休暇の取得には業務の事前調整が必須です。管理職に対しては特に、説明と制度運用のための指南を定期的に行いましょう。また、休暇対象の管理職がいた場合、率先して取得できるよう、縦の連携だけではなく横の連携も取れる体制が理想的です。


リフレッシュ休暇の導入時に留意したいこと

ここからは、リフレッシュ休暇制度を導入する時に経営者が留意することについて解説します。

1.制度内容を明確に決める

制度の内容について、解釈の違いで揉めないように明確に決めることが重要です。たとえば、勤続年数が付与要件の場合、入社月の付与か企業の年度始まりの一斉付与か定める必要があります。また、分割取得できる場合には何回まで分割できるのか、利用できなかった有給のリフレッシュ休暇の買取は可能か、など細かい部分まで最初に決めることで、スムーズな運用ができるでしょう。

2.給与支払いの有無を事前に決めておく

リフレッシュ休暇制度は、有給無給に関わらず利用されにくい制度です。有給として付与要件を厳格に〇年間に〇日とするパターンが多いようですが、いずれにせよ有給か無給かは事前に決めておきます。有給休暇の取得状況や付与要件を踏まえて決定するのがよいでしょう。

3.部署の業務量で取得率が変化しないよう配慮する

制度導入後は休暇の取得状況を算出し、部署によって取得率が大きく異なることがないように注意します。部署間で休暇の取得率に大きな差があるのは、一見ホワイト企業でもブラック部署があるということです。もし、取得率の低い部署がある場合、業務量や人員数が適正とは言えないため、改善の余地があるでしょう。


リフレッシュ休暇導入で成功した事例

ここからはリフレッシュ休暇を導入して、一定の成果が出ている企業の事例を3つ紹介します。

1.大和証券株式会社(金融業)の事例

大和証券株式会社は、ワーク・ライフ・バランスの推進には心身のリフレッシュも重要として、休暇の取得促進策を多く実行しています。リフレッシュ休暇は5日間、勤続感謝休暇は入社20年目、30年目に5日間、いずれも有給で付与されます。利用目的に応じた休暇制度が充実しており、なでしこ銘柄の取得や各種表彰の受賞、採用面での強みにもつながっています。

参考:「特別な休暇制度導入事例 case08 大和証券株式会社」|働き方・休み方改善ポータルサイト

2.株式会社ノバレーゼ(ブライダル事業)の事例

ブライダル事業を行う株式会社ノバレーゼは、2000年の創業時から勤続3年毎に30日間有給のリフレッシュ休暇制度を導入しています。利用可能な福利厚生を対象者別に一覧化した資料を社内イントラで公開しており、休暇取得を促す工夫がされています。

リフレッシュ休暇は海外旅行・国内旅行などにも利用され、外で受けたホスピタリティを事業に活かすことができるうえ、30日間という休暇日数は対外的にもインパクトがあり、リフレッシュ休暇制度が自社アピールに寄与している企業と言えるでしょう。

参考:「特別な休暇制度導入事例 case04 株式会社ノバレーゼ」|働き方・休み方改善ポータルサイト

3.リフレッシュ休暇とあわせて勤続表彰を行う事例

リフレッシュ休暇が100%消化されている企業の事例もあります。その企業では、勤続10年毎に有給10日間のリフレッシュ休暇が付与されますが、賞与支給日に合わせて対象者を他の従業員の前で表彰していました。

皆の前で表彰を行うことで、「あの人は今年長期休暇を取る」と認識が持たれ、調整がしやすくなります。対象者もリフレッシュ休暇をしっかりと取ることで愛社精神やさらに10年後に向けての英気を養われていたようです。


リフレッシュ休暇のまとめ

リフレッシュ休暇は法定外の休暇であり、従業員の気分転換を目的とした休みのことです。有給休暇とは違い、法律で義務付けられてはいませんが、従業員のモチベーションや企業のイメージアップに寄与する制度と言えるでしょう。

実際にリフレッシュ休暇を導入して、社外へのアピールや従業員の愛社精神を育てることに成功している企業もあります。従業員がいきいきと働くためにも、リフレッシュ休暇の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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監修者プロフィール

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緒方 瑛利

社会保険労務士 ITストラテジスト

北海道むかわ町生まれ。2013年、東京都競馬(株)へ入社し、総務・IR広報等を担当。2018年に経済団体へ転職、創業・融資相談業務等に従事。2019年に社会保険労務士試験とITストラテジスト試験に合格。2020年にITに強い社会保険労務士事務所としてロームテックを開業。

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