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在宅勤務における効果的な労務管理とは? 課題と解決策を解説

在宅勤務における効果的な労務管理とは? 課題と解決策を解説

在宅勤務には従来のオフィス勤務とは異なる労務管理の課題が存在します。労務管理では会社の仕組みや働き方だけではなく、従業員の健康にも働きかけなくてはなりません。

本記事では、在宅勤務時の労務管理における主な課題と、その解決策について詳しく解説します。効果的な在宅勤務を実施するために適切な労務管理を行い、生産性の向上と従業員満足度の獲得を目指していきましょう。


この記事の監修者
マネーライフワークス  代表/社会保険労務士・1級FP技能士・CFP 

在宅勤務時の労務管理における主な課題

在宅勤務を導入したときに課題となるのは労務管理です。
ここでは、在宅勤務を導入する企業が直面する、従来のオフィス勤務とは異なる主な課題4つについて詳しく解説します。これらの課題を理解し、適切に対応することで、在宅勤務の効果を引き出していきましょう。

労働時間の適切な把握と管理

在宅勤務の労務管理において、まず課題に上がるのが、労働時間の適切な把握と管理です。オフィス勤務と異なり、従業員の勤務状況を直接目視やタイムカードなどで確認することができません。

在宅勤務者の労働時間を客観的に記録・管理するために、企業はPCログやクラウド型管理システムを活用することが推奨されます。
勤怠管理システムや労務管理システムを導入することで、残業代の過払いや長時間労働の防止につながり、労働基準法違反のリスクを軽減することが可能です。

業務効率と生産性の維持

在宅勤務の労務管理では、従業員の業務効率と生産性を維持することも大きな課題です。オフィス勤務時のように直接的な指示や進捗確認が難しくなるため、新たな管理手法が求められます。

業務効率と生産性を維持・向上させるためには、管理者がKPIの設定や定期的な進捗確認をすることが有効です。明確な目標設定と進捗管理により、在宅勤務者の自己管理能力が向上し、企業の生産性向上につながります。

効果的なコミュニケーションの確保

在宅勤務で効果的なコミュニケーションを確保することも労務管理における課題です。情報共有の不足や孤立感の増加は、業務効率の低下やチームワークの悪化につながる可能性があります。

企業が在宅勤務者と円滑なコミュニケーションを確保するために必要なことは、定期的なオンラインミーティングやチャットツールの活用です。また頻繁で効果的なコミュニケーションもチームの一体感を醸成し、業務の質と効率を高める効果があります。

従業員のメンタルヘルスケア

在宅勤務では、従業員のメンタルヘルスケアに関する労務管理も重要な課題です。孤立感や仕事とプライベートの境界線の曖昧さなどから、ストレスや不安を感じる従業員が増加する可能性があります。

この課題においては、人事部門がオンラインカウンセリングの提供や定期的な面談を実施し、在宅勤務者の心理的ストレスや孤立感を軽減することが有用です。適切なメンタルヘルスケアは、従業員の健康維持だけでなく、生産性の向上やアブセンティズムの減少にも寄与するため軽視せずに取り組みましょう。


在宅勤務下での労働時間管理の方法

在宅勤務における労働時間の管理は、法令遵守と従業員の健康維持の両面から極めて重要です。ここでは、労働基準法に準拠した労働時間の記録方法と、クラウド型勤怠管理システムの活用について詳しく解説します。

労働基準法に準拠した労働時間の記録方法

在宅勤務においても、労働基準法に準拠した労働時間の記録が不可欠です。企業は、労働基準法に準拠した勤怠管理システムを導入し、在宅勤務者の労働時間を正確に記録・管理する必要があります。法令に遵守した勤怠管理をしておくと、労働基準監督署の調査への対応や、労働問題のリスクを大幅に軽減することが可能です。

在宅勤務における労働基準法の適用に関する留意点については「厚生労働省 テレワークにおける 適切な労務管理のための ガイドライン」に記載があります。このガイドラインを参照し、法令遵守の観点から適切な労務管理を行いましょう。

クラウド型勤怠管理システムの導入と活用

在宅勤務の労働時間管理を効率的に行うには、クラウド型勤怠管理システムの導入が効果的です。
人事部門はクラウド型勤怠管理システムを導入することで、リアルタイムで在宅勤務者の勤怠状況を把握・分析できます。

リアルタイムの勤怠管理により、過重労働の早期発見や業務量の適正化が可能となり、労働生産性の向上につながります。勤怠を正しく記録・調整・確認できるサービスを選択し、会社だけでなく従業員のためにも労務管理を心がけましょう。


在宅勤務における業務管理と評価手法

在宅勤務では、労務管理の1つとして従来のオフィス勤務とは異なる業務管理と評価手法も必要です。
ここでは以下の3つの業務管理と評価方法に関して解説します。

  • 目標管理制度(MBO)を活用した成果評価
  • タスク管理ツールによる業務進捗の可視化
  • 定期的な業務報告と進捗確認の仕組み作り

目標管理制度(MBO)を活用した成果評価

在宅勤務における効果的な業務管理と評価には、目標管理制度(MBO: Management by Objectives)の活用が有効です。管理者は、MBOを活用して在宅勤務者の具体的な業務目標を設定し、定期的に進捗を確認・評価できます。

MBOを活用することのメリットは、在宅勤務者の自律性が高まることです。業務の質と量の両面で成果向上が期待できます。

タスク管理ツールによる業務進捗の可視化

在宅勤務では、チーム全体の業務進捗を把握することが難しくなります。そこで、タスク管理ツールを活用した業務進捗の可視化が重要です。チームリーダーは、タスク管理ツールを使用して在宅勤務者の業務進捗を可視化し、適切なタスク配分と期限管理を行います。

業務進捗の可視化によって得られる効果は、主にチーム全体の業務効率の向上です。タスクが滞るときに起こりがちなプロジェクトの遅延リスクを軽減することができます。

定期的な業務報告と進捗確認の仕組み作り

在宅勤務では、日々の業務状況を把握することが難しくなるため、定期的な業務報告と進捗確認の仕組みづくりが重要です。管理者は、日次または週次の業務報告制度を確立し、在宅勤務者の業務状況を定期的に把握・確認する必要があります。

定期的な業務報告をすることで、在宅勤務者の自己管理能力を高め、同時に管理者の適切なサポートをすることが可能です。


在宅勤務時のコミュニケーション強化策

在宅勤務では、対面でのコミュニケーションが減少するため、労務管理として意識的なコミュニケーション強化も必要です。ここでは、在宅勤務時のコミュニケーション強化策として、以下の3つについて解説します。

  • オンラインミーティングの効果的な運用方法
  • ビジネスチャットツールの活用とガイドライン
  • 1on1面談の定期的実施と効果的な進め方

オンラインミーティングの効果的な運用方法

オンラインミーティングを効果的に運用するには、チームリーダーによる明確なアジェンダの用意と時間管理が不可欠です。事前に議題と資料を共有し、参加者の積極的な発言を促すことで、情報共有の質を高めることができます。

ビジネスチャットツールの活用とガイドライン

ビジネスチャットツールは、在宅勤務時の即時的なコミュニケーションを可能にしてくれます。在宅勤務者間の円滑な情報共有と協業を促進するためにも欠かせません。

効果的に活用するためには、明確な使用ルールを設定することが重要です。適切な使用方法で業務のスピードと質を向上させることが重要です。

1on1面談の定期的実施と効果的な進め方

1on1面談は、在宅勤務者の個別ニーズや課題を把握し、適切なサポートを提供する重要な機会です。定期的な1on1面談の実施により、従業員のエンゲージメント向上、課題解決、キャリア開発を促進できます。


在宅勤務者のメンタルヘルスケア対策

在宅勤務を実施する時は、特有のストレス要因に対処するために適切なメンタルヘルスケア対策が不可欠です。ここからは、主な以下の3つの方法について解説していきます。

  • オンラインでのストレスチェック実施と活用
  • リモートカウンセリング体制の整備
  • ワークライフバランス支援のための具体的施策

オンラインでのストレスチェック実施と活用

オンラインでのストレスチェックは、在宅勤務者のメンタルヘルス状態を把握し、早期対応するために効果的です。定期的な実施により、メンタルヘルス不調を未然に防ぎ、職場の生産性低下や休職者の増加を抑制できます。ストレスチェックを通じて、在宅勤務者の心理的健康を維持し、生産性の向上と働きやすい職場づくりを実現しましょう。

リモートカウンセリング体制の整備

リモートカウンセリング体制の整備は、在宅勤務者の心理的サポートを強化し、メンタルヘルス不調による離職リスクを軽減する重要な施策です。結果として、従業員のメンタルヘルスの維持・向上を測ることができます。

ワークライフバランス支援のための具体的施策

ワークライフバランスの支援は、在宅勤務者のメンタルヘルスケアに不可欠な要素です。具体的には、休憩時間の確実な取得促進、業務時間外の連絡制限などが挙げられます。

これらの施策により、従業員の仕事への満足度が高まり、長期的な生産性向上と人材定着に寄与します。適切なワークライフバランス支援は、健康的で持続可能な在宅勤務環境を整える労務管理において非常に重要です。


在宅勤務に関する社内規定の整備

在宅勤務を円滑に運用するためには、労務管理の1つとして社内規定の整備が欠かせません。
ここでは、社内規定を整備する上で必要な3つの主なステップを紹介します。

  • 在宅勤務規程の策定と従業員への周知方法
  • 在宅勤務手当等の設定と運用ガイドライン
  • 業務効率化とコラボレーション促進のためのツール導入

在宅勤務規程の策定と従業員への周知方法

在宅勤務規程の策定は、円滑な業務遂行とトラブル防止のために不可欠です。規程を明確に策定した後は、オンライン研修、詳細なマニュアルの作成・配布、などを通じて全従業員への周知徹底をしましょう。

明確な規程と適切な周知により、在宅勤務に関するトラブルや混乱を防ぎ、効率的な業務環境を整備できます。

在宅勤務手当等の設定と運用ガイドライン

在宅勤務には追加費用も発生するため、手当等の適切な設定と運用も必要です。適切な手当支給により、従業員の経済的な負担軽減につながります。

また従業員にとっては必要な環境を整備できるので、在宅勤務へのモチベーション向上にも期待が出来ます。

業務効率化とコラボレーション促進のためのツール導入

在宅勤務でも業務を効率化し、チーム間でコラボレーションできるように、適切なツールの選定と導入が必要です。労務管理担当だけでなく、IT部門にも協力してもらうとより迅速に取り組めるでしょう。

効果的なツール活用により、タスク管理や情報共有が円滑になり、プロジェクト全体の生産性と成功率が向上します。


在宅勤務における効果的な労務管理の実現に向けて

在宅勤務における効果的な労務管理を実現するためには、本記事で紹介した様々な施策を総合的に実施することが重要です。労働時間の適切な管理、業務効率と生産性の維持、コミュニケーションの強化、メンタルヘルスケア、そして明確な社内規定の整備など、多岐にわたる取り組みが求められます。

これらの施策を自社の状況に合わせて適切に組み合わせることで、在宅勤務のメリットを活かしつつ、従業員の健康と満足度の維持・向上に期待できます。企業は在宅勤務の開始・継続において効果的な労務管理を実現し、生産性の向上と従業員満足度の両立を図っていきましょう。


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監修者プロフィール

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岡崎 壮史

マネーライフワークス 代表/社会保険労務士・1級FP技能士・CFP

生命保険の営業や不動産会社の営業企画を経て、1級FP技能士とCFPを取得。

平成28年に社会保険労務士試験に合格。その翌年にマネーライフワークスを設立。

現在は、助成金申請代行や助成金の活用コンサルを中心に、行政機関の働き方改革推進事業のサポート事業や保険などの金融商品を活用した資産運用についてのサイトへの記事の執筆や監修なども行っている。

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