アルバイトもストレスチェックの対象になる? 制度の概要と対象者の範囲を解説
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ストレスチェック制度は、労働者のメンタルヘルス不調を未然に防止することを目的とした制度です。常時使用する労働者が50人以上の事業場では、年1回のストレスチェック実施が義務付けられています。
全社員がストレスチェックを受けるのが望ましいと理解していても、アルバイトも受検対象になるのか判断に迷うこともあるでしょう。
ストレスチェックの対象となるアルバイトは、雇用期間や労働時間など一定の条件を満たす必要があります。本記事では、ストレスチェック制度の概要とアルバイトへの適用条件について解説します。
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ストレスチェックの対象となるアルバイト
アルバイトがストレスチェックの対象となるかどうかは、雇用期間と労働時間の条件をどちらも満たすかどうかで判断されます。
それぞれの条件を詳しく見ていきましょう。
雇用期間に関する条件
雇用期間の条件は、期間の定めのない労働契約、または1年以上の雇用見込みがあることです。
1年未満の契約であっても、契約更新により1年以上の雇用が見込まれる場合や、1年以上継続して雇用されている場合は条件を満たしたこととなります。
一方、1年未満の短期間雇用契約や夏季のみ・冬期のみのシーズン労働は、雇用期間の条件を満たしません。そのため、ストレスチェックの対象外となるのです。
<雇用期間に関する条件>
- 労働契約に期間の定めが無い(無期雇用)
- 1年以上雇用されている
- 1年以上雇用される見込みがある
アルバイトがストレスチェックの対象になるか判断する際には、雇用契約期間と更新の可能性を確認しましょう。
労働時間に関する条件
労働時間に関する条件として、通常の労働者の所定労働時間の4分の3以上であることが求められます。
また、推奨する対象は継続的に雇用されている場合、2分の1以上の労働時間であることです。
例えば、通常の労働者の所定労働時間が週40時間の場合、週30時間以上働くアルバイトは労働時間の条件を満たします。
また、継続的に雇用されているアルバイトの場合、40時間の2分の1である週20時間以上の労働時間があれば、ストレスチェックの対象となるのです。
<労働時間に関する条件>
- 同種の業務をおこなう通常の労働者(正社員)の労働時間数の4分の3以上であること
- 継続的に雇用(雇用期間に関する条件)を満たしている場合は、同種の業務をおこなう通常の労働者の労働時間数の2分の1以上であること
アルバイトの労働時間は、シフト管理などにより変動することも少なくありません。適切な労働時間管理を心がけましょう。
ストレスチェックの対象とならないアルバイト
短期間の雇用契約や週1日程度の勤務のアルバイトは、ストレスチェックの対象外です。
例えば、1ヶ月間だけの短期アルバイトや週1回4時間程度の勤務のアルバイトは、雇用期間や労働時間の条件を満たさないため、ストレスチェックの対象とはなりません。
ただし、これらのアルバイトも、事業場の労働者数が50人以上かどうかの判断には含められます。
つまり、ストレスチェックの実施義務の有無を判断する際の労働者数には、短期間や短時間のアルバイトも含まれるのです。
事業者は、全てのアルバイトを把握し、常時使用する労働者数を適切にカウントすることが重要です。
アルバイトに対するストレスチェック実施の注意点
アルバイトを含む労働者へのストレスチェックを受検させることは義務ではありません。実施する場合、事業者は強要せずプライバシーに配慮する必要があります。
アルバイトに対しては、ストレスチェックの目的や意義を丁寧に説明し、受検を促すことが重要です。
従業員のストレスを把握し、解決するための手段であることを伝え、業務命令にならないよう考慮しながら受検を勧めましょう。
アルバイトは、勤務時間や雇用形態が様々であり、ストレスの要因も多岐に渡ります。事業者は、アルバイトの特性を考慮し、シフトの調整やコミュニケーションなどのケアを行うことが求められるでしょう。
ストレスチェック制度におけるアルバイトの位置づけ
常時使用する労働者が50人以上の事業場の判断基準には、アルバイトも含まれます。
つまり、正社員が50人未満でも、アルバイトを含めて50人以上の労働者がいる場合は、ストレスチェック制度の実施が義務付けられるのです。
また、常時使用する労働者が50人未満の事業場でも、アルバイトを含めたストレスチェックの実施が職場環境改善に有効となります。
ストレスチェック制度は、メンタルヘルス不調の未然防止を図るための重要な仕組みです。
正社員だけでなく、アルバイトを含めた全ての労働者のストレスを把握し、職場環境の改善につなげることが求められます。
アルバイトの心の健康を守るためにストレスチェック制度を活用しよう
アルバイトの職場環境改善のため、事業者はストレスチェックを効果的に運用することが推奨されます。
アルバイトを含めた全ての労働者のメンタルヘルス不調を未然に防止するためには、ストレスチェック制度を効果的に運用し、職場環境の改善につなげることが重要なのです。
アルバイトの心の健康を守ることは、企業の生産性向上や職場の活性化にもつながります。ストレスチェック制度を契機として、アルバイトがいきいきと働ける職場環境を整えましょう。