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ワークフローシステム導入ガイド|業務効率化を実現するステップ

ワークフローシステム導入ガイド|業務効率化を実現するステップ

ワークフローシステムの導入は、業務プロセスのデジタル化と自動化を通じて、大幅な効率化と生産性向上を実現します。申請や承認などの定型業務をシステム化することで、処理スピードの高速化やペーパーレス化、コスト削減などのメリットが期待できるのです。 

しかし、単なるIT化ではないので、業務フローの可視化と最適化、継続的な改善を伴う全社的な取り組みとして捉えることが大切です。本記事では、ワークフローシステム導入の効果や進め方、システム選定のポイントなどを解説します。


ワークフローシステムを導入する効果

ワークフローシステムの主な効果は、業務の効率化とペーパーレス化の促進です。アナログな申請や承認のプロセスをデジタル化することで、情報の一元管理やスピーディーな処理が可能になります。

ここでは、具体的な導入効果を詳しく見ていきましょう。

業務効率化につながる

デジタルワークフローの導入は、業務プロセスの最適化と生産性向上を実現します。これは、申請書の処理や承認フローの管理など、ルーティンワークの多くをデジタル化できるからです。情報の一元管理、リードタイムの短縮、ペーパーレス化などの効果が得られます。

デジタルワークフローによって業務の標準化だけでなく、自動化にもつながり、業務改革の強力な推進力に繋がるのです。

ペーパーレス化が促進する

ワークフローシステムの導入は、ペーパーレス化を強力に後押しします。これまで紙の書類に依存していた申請や承認の業務を電子化することで、印刷や保管、配送などの手間とコストを大幅に削減可能です。 

例えば、稟議書の決裁プロセスをシステム上で完結させれば、関係者が決裁状況をリアルタイムに把握でき、スピーディーな意思決定が可能になります。経費精算や勤怠管理などの定型的な申請業務の自動化により、従業員の生産性向上と間接業務コストの削減が見込めます。


ワークフローシステムの導入方法

ワークフローシステムは、業務効率化やひいては生産性向上を実現できるツールです。しかし、適切な手順で導入しなければ、なかなか効果を発揮できません。

ワークフローシステムの導入方法は、以下のような流れになります。

  1. 現状分析と課題抽出
  2. 導入目的と要件を定義する
  3. 予算の確保と導入計画を策定する
  4. システム選定と契約
  5. 運用ルールを策定して全社展開する
  6. 設計・開発・テスト
  7. 効果測定をして継続的な改善を行う

ここでは、ワークフローシステムの導入ステップを順に解説します。

現状分析と課題抽出

ワークフローシステムの導入の第一歩は、まず、現行の業務プロセスを細かく分析し、非効率な部分や改善の余地を洗い出すことです。申請書の種類や申請件数、処理にかかる時間など、定量的なデータを整理しておきましょう。

実際の業務担当者へのヒアリングやアンケートを通じて、利用者の視点から見た課題や要望を吸い上げるのもおすすめです

導入目的と要件を定義する

現状分析で抽出した課題をもとに、ワークフローシステム導入の目的と要件を具体的に定義します。現状分析で把握した課題をもとに、システムに期待する効果や、必要な機能要件や非機能要件などを具体化しましょう。 

この際、ペーパーレス化による印刷コストの削減や、決裁リードタイムの短縮など、定量的な目標値を設定することが重要です。曖昧な期待ではなく、数値化された目標を掲げることで、導入効果を的確に測定できます。

予算の確保と導入計画を策定する

事前の予算の確保と導入計画の策定は、円滑なプロジェクト進行のために欠かせないステップです。現状分析と要件定義の内容をもとに、システムの初期開発費や運用費用、ユーザートレーニングにかかる費用などを見積もりましょう。

また、予算の確保と並行して、期待される定量的な効果を算出し、投資対効果を検証することも重要です。 

プロジェクトのマイルストーンやタスク、体制、リソースなどを盛り込んだ導入計画を綿密に策定しましょう。

システム選定と契約

市場には、多様なワークフローシステムが存在します。そのため、複数ベンダーの提案を比較検討し、要件への適合性や費用対効果を多角的に評価しましょう。事前のRFI(情報提供依頼書)やRFP(提案依頼書)を通じて、候補となるシステムの機能や価格、導入実績などを横並びで比較するのも有効です。 

※RFI(情報提供依頼書):システム開発会社に対して、技術情報や製品情報の提供を依頼するための文書のこと。
※RFP(提案依頼書):企業がシステム開発や業務委託を行う際に、受注側の企業に対して具体的な提案を依頼するための文書のこと 。

ベンダーの責任範囲を明確にし、トラブル発生時の対応を担保しておくことも必要になります。そのため、選定したベンダーとはSLA(サービスレベル契約)を交わし、提供されるサービス内容や品質、運用サポートなどについて合意しておきましょう。

※SLA(サービスレベル契約):サービス提供者と利用者間で、提供されるサービスの品質やレベルを定めた契約。

運用ルールを策定して全社展開する

ワークフローシステムを効果的に活用するためには、運用ルールの策定と全社への周知徹底が欠かせません。システムの使い方や申請書の記載方法、承認フローのルールなどを明文化し、統一的な運用を図りましょう。 

例えば、申請書のフォーマットや記載項目、承認者の設定ルールなど、業務プロセスの標準を規定し、マニュアル化することが求められます。ワークフローの管理単位や例外処理の方法なども、事前に定めておくことが重要です。 

策定した運用ルールは、説明会の開催やeラーニングの提供、マニュアル配布などを活用して全社に浸透させ、従業員の理解と協力を得ましょう。

設計・開発・テスト

要件定義をもとに、ワークフローシステムの設計と開発を進めます。業務フローを忠実にシステムに落とし込み、使い勝手の良い操作画面を実装することが重要です。 

設計工程では、システム化する業務範囲や処理の流れ、画面レイアウト、データベース構成などを具体化します。運用設計書やシステム設計書をもとに、実際のワークフローをシステム上に再現し、動作検証を行いましょう。

開発工程では、設計書に従ってプログラミングを行い、動作するシステムを構築します。開発中は適宜レビューを行い、要件との整合性を確認しながら品質を高めていくことが肝要です。単体テストや結合テスト、ユーザー受け入れテストを念入りに実施し、不具合や性能課題を洗い出して改修します。

効果測定をして継続的な改善を行う

ワークフローシステムの導入効果を最大限に引き出すためには、運用後の効果測定とPDCAサイクルによる継続的な改善が欠かせません。業務時間の削減率や紙の使用量など、導入当初に設定した評価指標をもとに、業務効率化の効果を定期的に測定・分析しましょう。

効果測定と並行して、ユーザーの声を拾い上げることも重要です。システム操作の課題や、新たな改善要望など、現場のフィードバックを吸い上げ、業務フローやシステム設定の継続的な改善を図り、より高い業務効率と利便性を追求しましょう。


ワークフローシステム選定のポイント

前述の導入手順のうち、自社に最適なシステムを選定することが特に重要です。ワークフローシステム選定の際は、以下のポイントを押さえておきましょう。

・セキュリティ対策は十分か
・コストを比較検討する
・既存システムとの連携性を確認する
・自社の業務フローに適合するか
・使いやすさとユーザー教育

ここでは、上記のポイントについて解説します。

セキュリティ対策は十分か

ワークフローシステムには機密性の高い企業情報や個人情報が含まれるため、情報漏洩リスクへの対策と法令遵守の機能が求められます。重要な企業情報を扱うワークフローシステムでは、高度なアクセス制御や暗号化など、強固なセキュリティ対策が不可欠です。

アクセス制御や暗号化、ログ管理など、システム的なセキュリティ機能の充実度を見極めてください。

また、外部からの不正アクセスを防ぐ堅牢な認証基盤や、重要データの暗号化など、多層的なセキュリティ対策が施されているかを確認しましょう。加えて、文書の保存期間の設定や監査証跡の記録など、コンプライアンス要件に適合した機能も重要な選定ポイントです。

コストを比較検討する

ワークフローシステムの導入コストは、初期費用だけでなく、ランニングコストも含めてトータルに評価することが重要です。安価な初期投資で導入できても、運用コストが高くつくようでは本末転倒になります。 

ワークフローシステムは大きくクラウド型とオンプレミス型に分けられ、それぞれコスト構造が大きく異なります。初期費用を抑えられるクラウド型は、中小規模の企業に適しているシステムです。大規模な組織なら、長期的なコストメリットが期待できるオンプレミス型も検討してみてください。

また、ユーザー数に応じたライセンス体系や、カスタマイズにかかる追加費用の有無など、費用の構造面にも着目することも重要です。

既存システムとの連携性を確認する

既存の社内システムとのデータ連携や、シングルサインオンなどの利便性も考慮すべきポイントです。人事システムや経費精算システムなど、関連する業務システムとの情報連携により、データの一元管理と業務効率化が図れます。

※シングルサインオン:一度ログインすると複数システムにアクセスできる仕組みであり、従業員の利便性向上につながる。 

例えば連携がとれてない場合、別のシステムで作成した書類をワークフローシステムに手動で入力するといった事態になりかねません。ワークフローシステムを中核に、社内の各種システムを有機的に結合することで、全社的なデジタル化を加速させられます。

自社の業務フローに適合するか

自社の業務プロセスに柔軟に対応できるカスタマイズ性も、ワークフローシステム選定の判断基準になります。あらゆる企業に共通する定型的な業務フローならともかく、企業や業種特有の業務プロセスをシステム化するには、ある程度のカスタマイズが不可欠なためです。

特に申請書のフォーマットや承認フローのルールは、企業によって千差万別です。自社の業務の実態に即した、きめ細やかな調整ができるシステムが望ましいでしょう。ワークフローの変更や改善を柔軟に行えれば、業務の進化に合わせたシステムの最適化が実現できます。

使いやすさとユーザー教育

直感的なユーザーインターフェースに加え、スムーズな導入のための従業員トレーニングも欠かせません。システムの操作性や視認性、レスポンスの速さなど、エンドユーザーの利便性を重視したUI/UXデザインが求められます。

マニュアルやeラーニングの充実、リーダー層への集合研修など、計画的なユーザー教育により、円滑な運用定着を促進しましょう。


ワークフローシステム導入のポイント

ワークフローシステムを円滑に導入するためには、従業員が実際に使いやすい機能や環境を整備することが欠かせません。それを踏まえて、システムの導入時には以下のポイントを意識しましょう。

・現場の業務知見を活かして柔軟な設計をする
・利用者の抵抗感を払拭する
・トップダウンの意思決定を行う
・サポート体制を整備する

ここでは、上記のポイントについて解説します。

現場の業務知見を活かして柔軟な設計をする

ワークフローシステムの要件定義と設計には、ユーザーである従業員の意見を取り入れることが重要です。使いやすい操作性はもちろん、実際の承認フローに取り入れられそうかといった点をヒアリングしましょう。

また、現場の担当者がワークフローのあるべき姿を描き、それを実現するためのシステム要件を提示できる仕組みが必要です。そのうえで業務部門とIT部門が一体となって要件定義や設計を進め、現場の知見を最大限に活用した最適なシステムを構築しましょう。

利用者の抵抗感を払拭する

ワークフローシステム導入に際しては、従業員の不安や懸念に真摯に向き合い、メリットを丁寧に説明することが求められます。特に、社内のデジタル化が進んでいない場合、新しくシステムを導入することに懐疑的な従業員もいるでしょう。

そのため、システム化による業務変化への抵抗感や、操作習熟への不安など、ユーザーの心理的障壁を取り除く丁寧なコミュニケーションが欠かせません。

また、利用者の声を反映した改善や、業務効率化の成果の見える化など、モチベーションを高める施策も重要です。

トップダウンの意思決定を行う

ワークフローシステム導入プロジェクトの推進には、経営層のリーダーシップと部門横断的な推進体制の構築が欠かせません。経営層と現場、各部門が連携するうえで障害がある場合、ワークフローシステムによる効率化には限度があります。

そのため、トップ自らがシステム導入の意義を発信し、全社的な変革の機運を醸成することが必要です。

また、部署内ではスムーズにシステムの承認が行えても、各部門同士の承認が難しくなってしまうケースもあります。各部門の代表者が参画する推進委員会などを設置し、部門間の調整を図りながら、全社一丸となった取り組みも展開しましょう。

サポート体制を整備する

円滑な導入と運用を行ううえで、システムエラーや利用者の使いづらさは素早く解決しなければいけません。そのため、ワークフローシステムの安定稼働には、IT部門とユーザー部門の協働による運用・保守体制の整備が重要です。

ヘルプデスクの設置やシステム監視、定期メンテナンスなど、専門的な運用業務をIT部門が担う一方、ユーザー部門は利用状況のフィードバックや改善提案を行います。問い合わせ対応や障害時の復旧など、ベンダーのサポート力も考慮しながら、最適な役割分担と連携プロセスを確立しましょう。


ワークフローシステムで業務改革を進めよう

デジタルワークフローへの移行は、業務プロセスの効率化と生産性向上を実現し、企業の競争力強化に直結する取り組みです。適切なシステム選定と円滑な導入を通じて、ワークフロー改革のメリットを存分に引き出すことができるでしょう。

ただし、ワークフローシステムの導入は、単なるシステムの入れ替えではありません。システム化の範囲や手順を慎重に見極め、業務部門とIT部門が一体となって推進することが肝要と言えます。

今回の記事を参考に、単なるシステム導入に終わらせず、働き方そのものの変革につなげる視点を持って業務改革に着手してみましょう。


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