クラウドPBXを導入するメリット・デメリット|効果を最大化するためのポイントを解説

クラウドPBXは、従来オフィスに設置していたPBXをクラウド上に構築することで、業務効率化とコスト削減を同時に実現します。魅力的なサービスではありますが、一方でデメリットも存在することを理解しておかなければなりません。
本記事では、クラウドPBXを導入するメリット・デメリットや、クラウドPBXの効果を最大限に引き出す方法を解説します。クラウドPBXの導入を検討している方は、ぜひご覧ください。
企業がクラウドPBXを導入するメリット
クラウドPBXのメリットは、以下のとおりです。
- 電話応対品質が向上し、業務効率化ができる
- 大幅なコスト削減を実現する
- どこからでも会社の電話番号を利用できる
- 管理・運用の簡便さで業務負担を軽減する
ここでは、それぞれのメリットについて詳しく見ていきましょう。
電話応対品質が向上し、業務効率化ができる
クラウドPBXには、自動振り分け機能や通話録音機能が搭載されています。これにより、電話対応時間が短縮されるとともに、スムーズな対応から顧客満足度の向上も期待できます。
着信時に顧客情報が自動表示されるCTI機能により、オペレーターはすぐに顧客情報を把握でき、パーソナライズされた対応が可能です。
また、自動転送機能を活用することで、担当者がテレワークや外出により不在でも、かかってきた電話を担当者の固定電話や携帯電話に転送できます。これにより、電話を担当者に取り次ぐ手間が省け、受付担当者の業務負担が軽減されるでしょう。
大幅なコスト削減を実現する
クラウドPBXを導入することで、機器購入費用・拠点間通話料・メンテナンス費用といった物理PBXに必要なコストが不要になります。
一般的な物理PBXでは、導入時の初期費用に加え、更新費用や年間保守費用が発生しますが、クラウドPBXならその心配はありません。また、全国の拠点間通話が内線として扱われるため、東京〜大阪間などの長距離通話も完全に無料です。
月々の通信費を大幅にカットでき、企業全体のコスト構造を見直すきっかけになるでしょう。
どこからでも会社の電話番号を利用できる
クラウドPBXを導入すると、社員は外出先・自宅・サテライトオフィスなど場所を問わず会社の電話番号で発着信できます。
顧客側には会社の代表番号が表示されるため、社員の個人電話番号を知らせる必要がなく、プライバシー保護につながります。また、顧客や取引先に「この会社は情報管理がしっかりしている」という印象を与えることができ、企業としての信頼感を高める効果も期待できるでしょう。
さらに、テレワークでも電話に対応できるため、コロナ禍のような緊急事態が発生した際にも業務継続が可能です。クラウドPBXは、業務継続計画(BCP)を支える重要な要素になります。
管理・運用の簡便さで業務負担を軽減する
クラウドPBXは、Web管理画面から設定変更や利用者の追加・削除が簡単に行えるため、IT担当者の管理工数を減らせます。
また、オフィスレイアウトを変更しても、電話配線工事は一切必要ありません。これにより、レイアウト変更の自由度が高められるだけでなく、工事費用も削減できます。
管理画面から通話ログや利用状況を簡単に確認できるため、電話システムの運用状況の可視化と最適化が容易になるでしょう。
企業がクラウドPBXを導入するデメリット
クラウドPBXは多くのメリットを提供する一方で、以下のようなデメリットも存在します。
- インターネット回線の品質に依存する
- 初期設定に専門知識が必要
- カスタマイズの自由度が低い
ここでは、クラウドPBXのデメリットについて詳しく見ていきましょう。
インターネット回線の品質に依存する
クラウドPBXは、インターネット回線を利用したサービスです。そのため、回線品質が安定していないと、通話品質の低下や通話切断などの問題が発生する恐れがあります。
特に音声通話は遅延の影響を受けやすいため、一定の回線品質を確保することが欠かせません。品質に定評のあるサービスや、通信速度が速く安定したインターネット回線を導入しましょう。
回線トラブル時には通話ができなくなるリスクがあるため、バックアップ回線の用意などの対策を講じてください。
初期設定に専門知識が必要
クラウドPBXの初期設定には、ネットワークの知識や電話システムの理解が求められます。もし、社内に専門知識を持つ人材がいない場合は、設定に時間がかかるでしょう。
設定ミスによる通話品質の低下や、セキュリティリスクが発生する可能性があるため、設定作業には細心の注意が必要です。
また、専門知識を持つ社員の育成やサポート体制の確保など、運用面での負担増加も考慮しなければなりません。
カスタマイズの自由度が低い
クラウドPBXのサービス内容は事業者によって決められているため、自社の業務フローに合わせた細かいカスタマイズが難しい場合があります。機能追加や変更の希望があっても、すぐに対応できないことがあり、業務フローの変更を迫られる可能性も高いです。
加えて、カスタマイズオプションが有償となる場合もあり、コスト面での制約が発生することも意識しておきましょう。
クラウドPBXのメリットを最大化するためのポイント
クラウドPBXのメリットを最大限に引き出すためには、適切な導入計画と運用体制の構築が不可欠です。ここでは、クラウドPBXのメリットを最大化するためのポイントを解説します。
- 段階的に機能を活用する
- 社内ワークフローと連携する
- 自社の通信環境を整備する
それぞれのポイントについて、見ていきましょう。
段階的に機能を活用する
クラウドPBXの効果を最大化するには、まず、基本機能から導入を始めるのが肝心です。その後、社員の習熟度に合わせて拡張機能を追加していく段階的アプローチが導入成功の鍵となります。
第1フェーズでは、内線・外線の基本機能から導入を始めていきましょう。社内での理解と習熟を図ることで、スムーズに移行が進み、社員の抵抗感を減らせます。
その後、第2フェーズでCTI連携やモバイル活用を追加し、第3フェーズでAI自動応答や高度な分析機能を導入しましょう。段階的に導入を進めることで、無理なくシステムを活用できます。
社内ワークフローと連携する
クラウドPBXを、既存の業務フローや顧客管理システムと適切に連携させることが欠かせません。通話と顧客データを結びつけることで、対応のスピードと正確性が大きく向上します。
特に、CRMシステムとの連携がおすすめです。着信時に顧客情報が自動表示され、過去の対応履歴も確認できるため、パーソナライズされた応対が可能となります。
電話対応のワークフローを見直し、クラウドPBXの機能を活かした新しい業務フローを構築することで、大幅な業務効率化を実現できます。導入後の運用設計まで視野に入れると、クラウドPBXの効果を最大限に引き出せるでしょう。
自社の通信環境を整備する
クラウドPBXの音質と安定性を確保するためには、安定したインターネット回線の確保と適切な帯域幅の確保が不可欠です。これにより、通話の安定性や業務効率の向上といった導入効果を十分に発揮できます。
音声通話の品質を確保するには、最低限の回線速度と低遅延の環境が必要です。このような条件が整えば、従来の固定電話と同等以上の通話品質が保てるでしょう。
さらに、社内Wi-Fi環境の最適化や在宅勤務者の通信環境チェックなど、エンドユーザーの通信品質確保も忘れてはならないポイントです。
クラウドPBX導入が向いている企業の特徴
クラウドPBX導入に適している企業の特徴は、以下のとおりです。
- 頻繁に組織変更や人事異動を行う
- テレワークを導入している
- 複数拠点を展開している
ここでは、各特徴について解説します。
頻繁に組織変更や人事異動を行う
組織変更や人事異動が頻繁な企業では、クラウドPBXの簡単な設定変更機能により、大幅な工数削減と配線工事コストの完全削減が実現できます。
例えば、四半期ごとの組織改編や頻繁な席替えが発生する企業の場合でも、Webの管理画面から内線番号やグループ設定をすぐに変更可能です。従来のような複雑な作業や専門業者への依頼は、必要ありません。
こうした運用が可能になることで、変化の多い組織体制にもスピーディーに対応できる環境が整います。
テレワークを導入している
クラウドPBXを使えば、在宅勤務中でも会社の代表番号で顧客対応することが可能です。そのため、テレワークでもオフィスと変わらない顧客サービスの質を維持できます。
また、テレワーク中の社員と出社している社員との間のコミュニケーションが内線通話で可能になり、チームの連携が保たれます。
クラウドPBXは、場所にとらわれず柔軟な働き方を実現するために、欠かせないツールなのです。
複数拠点を展開している
全国に複数の拠点を持つ企業では、クラウドPBXによって拠点間通話が内線化されるため、通信費を削減しつつ、拠点間の連携を強化できます。
顧客からの問い合わせを最適な拠点や担当者に転送することで、顧客対応の質とスピードが向上し、顧客満足度の向上につながるでしょう。
新規拠点の開設時も、インターネット環境さえあれば数時間で電話環境が構築でき、ビジネスの成長を迅速に支援します。
クラウドPBXのメリットを活かして、業務変革を実現しよう
クラウドPBXは単なる電話システムの置き換えではなく、業務効率化、コスト削減、働き方改革を同時に実現できるツールです。
まずは、クラウドPBXをデジタルトランスフォーメーション(DX)の重要な一要素として位置付けることが不可欠です。顧客体験の向上や、社員の働き方改革などの多様な観点から戦略的に導入することが、成功の鍵となるでしょう。
今後はAIとの連携やデータ分析機能の強化など、さらなる進化が期待されるため、拡張性の高いクラウドPBXを選択することが肝心です。これにより、将来のテクノロジー進化にも柔軟に対応できるビジネス基盤を構築できます。