クラウドPBXの音質は良い? よくある音質トラブルと対策を解説

クラウドPBXの音質は、技術の進歩により大幅に向上し、固定電話と同等レベルの品質が実現されています。従来の固定電話と異なり、インターネット回線を使用するので、場所を問わない柔軟な働き方と高品質なコミュニケーションの両立を実現できるのです。
本記事では、クラウドPBXの音質やよくある音質トラブルの原因と対策、高品質なサービスの選び方などについて解説します。高音質で使うポイントも説明しているので、そちらも参考にして、効果的に活用しましょう。
クラウドPBXの音質は固定電話並み?
クラウドPBXの音質は、過去のIP電話のイメージを覆すほど進化しています。最新のサービスでは、固定電話と同等の高品質な通話を実現しているのです。
それでは、クラウドPBXの通話品質について詳しく見ていきましょう。
固定電話レベルまで進化した通話品質を理解する
クラウドPBXの音質は技術進歩により、大幅に向上しています。過去のIP電話は、音質が悪いというイメージが定着していました。しかし、現在の最新サービスは総務省の「クラスA」認定を受けるほど、固定電話と同等レベルの音質です。
最新のクラウドPBXでは、音声の明瞭さ、遅延の少なさ、途切れのなさなど、ビジネス会話に必要な音質要件を全て満たすレベルに達しています。クラウドPBXなら、場所を問わず高品質な通話を行うことができるのです。
音質基準の階層体系と電話番号規則を把握する
クラウドPBXの音質基準は「クラスA・B・C」の3グループで評価されます。これらのクラスに分類され、かつ0ABJ番号(市外局番)を取得できるサービスは、最高品質の基準を満たしていることが条件です。
クラウドPBXが0ABJ番号(03、06など)を取得するには音声のMOS値、遅延時間、パケットロス率などで厳しい基準をクリアしなければいけません。これらを満たせば、確実に高音質であることが保証されています。クラウドPBXの選定では、この音質基準の取得状況を重要な判断材料にしてください。
クラウドPBXのよくある音質トラブルと対策
クラウドPBXは高音質な通話を実現できる一方で、環境や設定によっては音質トラブルに見舞われることがあります。クラウドPBXで音質トラブルが生じた場合は、以下3つの対応をしてみましょう。
・端末・デバイス関連の音質トラブルを解消する
・Wi-Fi接続による音質劣化を改善する
・インターネット回線の帯域と安定性を確保する
端末・デバイス関連の音質トラブルを解消する
クラウドPBXでのハウリングやエコーといった音質問題は、以下の方法で解消できることが多いです。
・ノイズキャンセリング機能付きヘッドセットの導入
・端末のマイク部分の定期的なクリーニング
・OSの最新化
スマートフォンやPCのマイク部分にほこりやゴミが蓄積すると、音声を正確に拾えなくなるため、定期的なクリーニングを行いましょう。また、古いOSバージョンやアプリでは音声処理機能が最適化されにくいです。そのため、最新バージョンへのアップデートで音質が大幅に改善することがあります。
Wi-Fi接続による音質劣化を改善する
Wi-Fi接続時の音質不安定を改善するためには、以下の方法が効果的です。
・電波干渉が少ない5GHz帯の活用
・Wi-Fi 6以上の最新規格ルーターへの更新
・安定性の高い有線LAN接続の利用
2.4GHz帯は多くの家電製品と周波数帯が重なるため、干渉が起きやすいです。電子レンジの使用中やBluetooth機器の近くでは音質が低下しやすいため、注意してください。
Wi-Fiルーターの設置場所も重要です。障害物が少なく電波が届きやすい場所に設置することで、音声データの安定した送受信ができます。
インターネット回線の帯域と安定性を確保する
クラウドPBXでの音声途切れや遅延の問題には、以下の方法で対応できます。
・光回線などの高速回線への切り替え
・帯域保証型の法人向けインターネットサービスの導入
・通話時間帯の大容量データ通信の制限
音声通話に必要な帯域は約100Kbps程度です。しかし、同一ネットワーク内で大容量ファイルのダウンロードや動画ストリーミングが行われると、帯域が圧迫されて、音質低下の原因となります。
一般的なベストエフォート型の回線では、混雑時間帯に速度が低下する事象も多いです。企業向けの帯域保証型サービスを導入することで、安定した音質を確保しましょう。
音質の良い高品質クラウドPBXの選び方
数多くのクラウドPBXサービスのなかから最適な製品を選ぶためには、音質面での評価基準を持つことが重要です。これから導入する企業は、以下4つのポイントを意識してみましょう。
・トライアルで実際に音質を確認する
・音声コーデックの対応状況を比較する
・0ABJ番号と品質基準認定の重要性を認識する
・サービス形態による音質差を見極める
トライアルで実際に音質を確認する
クラウドPBXの実際の音質は、無料トライアル期間を利用した自社環境でのテスト、サービス提供ベンダーへの問い合わせ電話での直接体験によって、正確な判断が可能です。
トライアル期間中は、異なる時間帯(朝、昼、夕方)やさまざまな場所(オフィス内の異なる場所、外出先、自宅など)で音質テストを行い、実際の業務環境での使用感を確認しましょう。
多くのベンダーは、1週間〜1ヶ月程度の無料トライアル期間を提供しています。この期間を最大限活用することで、カタログスペックだけでは分からない、実際の音質を体験しておくことが重要です。
音声コーデックの対応状況を比較する
クラウドPBXサービスの音質は、採用されている音声コーデック(音声圧縮技術)に大きく左右されます。高音質なG.711コーデックに対応し、通信環境に応じて最適なコーデックを自動選択できる機能を持っていれば、音質面で優れたサービスだと言えます。G.711コーデックは帯域を多く使用します(約64Kbps)が、最も高音質で固定電話と同等の音質を実現するとされています。
また、複数のコーデックに対応し環境に応じて自動切替できるサービスが理想的です。音声コーデックはクラウドPBXの音質を左右する重要な要素なので、必ず確認しておいてください。
0ABJ番号と品質基準認定の重要性を認識する
音質を重視するクラウドPBX選びでは、総務省から03や06などの市外局番(0ABJ番号)を取得できるサービスを選択することが重要です。
顧客や取引先との重要な通話が多い業種では、相手に与える印象も考慮して、馴染みのある市外局番を使える0ABJ対応サービスが信頼性の面でも優位になります。0ABJ番号の取得可否は、高品質クラウドPBXを選ぶうえで外せない要件と言えるでしょう。
サービス形態による音質差を見極める
クラウドPBXには「完全クラウド型」と「オンプレミス型」があります。音質を最優先する場合はオフィスにVoIPゲートウェイを設置して光回線を接続するオンプレミス型は、通話品質面で圧倒的に優位です。
完全クラウド型はベンダーのサーバーを介して通話が行われるため、ネットワーク経路が長くなり、遅延やパケットロスのリスクが高まります。
オンプレミス型では社内のVoIPゲートウェイと光回線を直接接続するため、ネットワーク経路が短くなり、安定した高音質通話が可能です。
クラウドPBXを最高音質で使いこなすポイント
クラウドPBXの音質を最大限に引き出すには、適切な設定と周辺環境の最適化が欠かせません。ここでは、クラウドPBXを高音質で使いこなすための具体的なポイントを2つ紹介します。
・ネットワーク優先制御の設定を活用する
・環境要因を最適化する
ネットワーク優先制御の設定を活用する
クラウドPBXの音質安定化には、ネットワーク機器のQoS(Quality of Service)設定を活用して、音声データを他のデータよりも優先的に処理するよう設定することで、ネットワーク混雑時でも高品質な通話を維持できます。
QoS設定では、SIPプロトコルやRTPプロトコルの音声パケットに優先タグ(DSCP値)を設定し、ネットワーク内での優先度を高めることが可能です。
企業のネットワークではメールやファイル転送、Web閲覧など、さまざまなデータ通信が行われます。そこでQoS設定をすると音声データを最優先で処理でき、他の通信量が増加しても、通話品質の低下を防ぐことが可能です。特に複数機器を使用している場合、QoS設定を見直してみましょう。
環境要因を最適化する
クラウドPBXの音質は物理的な通話環境にも影響されます。そのため騒音の少ない場所での通話、電子レンジなどの電波干渉源からの距離確保、適切なヘッドセットの定期的なメンテナンスによって大きく向上するのです。
オフィス内の騒音はマイクに拾われて、通話相手に伝わってしまいます。特に重要な商談や顧客対応には、専用の通話ブースや静かなスペースを確保することが望ましいです。
ヘッドセットは音質に直結する重要な機器であり、ノイズキャンセリング機能や高感度マイクを備えた業務用ヘッドセットの導入が、特に騒がしい環境では効果的です。
高音質なクラウドPBXで、業務効率を高めよう
クラウドPBXは適切なサービス選定と環境整備によって固定電話と同等以上の音質を実現できます。0ABJ番号のあるサービスの採用や適切なネットワーク設定、周辺機器の選定を行うことで、場所を問わない柔軟な働き方と高品質なコミュニケーションの両立が可能です。
音質は顧客対応の質や社内コミュニケーションの効率に直結するため、コスト面だけでなく、音質面でのメリットも考慮したクラウドPBX選びが重要になります。音質コーデックの対応状況や0ABJ番号を把握し、無料トライアルで音質を確認してから導入しましょう。
現時点でも適切な選定と設定を行えば、ビジネスに十分な高音質通話を実現できます。オンラインでの業務環境を整備しようと考えている方は、高音質なクラウドPBXの導入を検討してみましょう。