クラウドPBXのセキュリティは? リスクと対策を徹底解説

クラウドPBXは利便性と柔軟性に優れた電話システムですが、セキュリティ面での懸念を抱く企業も少なくないでしょう。セキュリティリスクへの理解が浅いままクラウドPBXを利用し続けると、大きな問題へ発展しかねません。
本記事では、クラウドPBXのセキュリティリスクや、企業が取るべき対策、セキュリティ重視の選び方などを詳しく解説します。
クラウドPBXのセキュリティリスク
では具体的に、クラウドPBXにはどのようなセキュリティリスクが存在するのでしょうか。
クラウドPBXの主なセキュリティリスクは、以下のとおりです。
- ネットワークへの不正アクセス
- 端末のマルウェア感染
- ログイン情報の漏洩
- 顧客データや通話記録の流出
ここでは、上記のリスクについて詳しく説明します。
ネットワークへの不正アクセス
クラウドPBXはインターネット回線を利用するため、不正アクセスのリスクがあります。ハッカーや悪意のある第三者が、ネットワークの脆弱性を突いてシステムに侵入し、データの盗聴や改ざん、不正利用などを行う可能性は否定できません。
不正アクセスを防ぐためには、適切なファイアウォールやVPN、アクセス制御などのセキュリティ対策が必要不可欠です。ネットワーク設定を見直し、セキュリティを強化することは、クラウドPBX導入企業の責務と言えるでしょう。
端末のマルウェア感染
クラウドPBXに接続する端末がマルウェアに感染すると、情報漏洩や不正利用の危険性が一気に高まります。マルウェアに感染した端末から、クラウドPBXシステムへの不正アクセスや、保存されている顧客情報や通話記録の流出などが起こる可能性があります。
端末のセキュリティ対策として、ウイルス対策ソフトの導入や、OSおよびソフトウェアの定期的なアップデートが重要です。端末のセキュリティを疎かにすると、クラウドPBX全体のセキュリティが脅かされる恐れがあるため、外部ツールも活用してウイルス対策を強めましょう。
ログイン情報の漏洩
クラウドPBXのログイン情報が漏洩すると、悪意ある第三者による不正利用が可能になります。ログイン情報の漏洩は、フィッシング詐欺やソーシャルエンジニアリングなどを通じて発生する可能性があるため、厳重な管理が欠かせません。
強固なパスワードの設定や定期的な変更、多要素認証の導入などが、不正利用を防ぐうえで有効な対策です。ログイン情報の適切な管理は、クラウドPBXセキュリティの基本中の基本と言えるでしょう。
顧客データや通話記録の流出
クラウドPBX上の顧客データや通話記録の流出は、企業の信頼性を大きく損ないます。競合他社への顧客情報の流出や、プライバシー侵害による信用の失墜、法的責任などの深刻な影響が考えられるでしょう。
そのため、データの暗号化や、厳格なアクセス制御、監査ログの定期的なチェックなどを通じて、情報流出のリスクを最小限に抑える必要があります。
クラウドPBX利用企業に求められるセキュリティ対策
ここまで、クラウドPBXのセキュリティリスクを紹介しました。クラウドPBXのセキュリティリスクに対抗するには、利用企業側でも適切な対策を講じなければなりません。
クラウドPBXのセキュリティを高める対策は、以下のとおりです。
- ルールの周知徹底と社員教育
- 強固なパスワードを設定する
- アクセス権限を適切に設定する
- 端末のソフトウェアアップデートとウイルス対策
ここでは、上記の対策について解説します。
ルールの周知徹底と社員教育
セキュリティルールの周知徹底と社員教育は、クラウドPBX利用時の重要なセキュリティ対策です。セキュリティポリシーの策定や、社員向けのセキュリティ教育・トレーニングを通じて、全社的なセキュリティ意識の向上を図りましょう。
また、セキュリティインシデント発生時の対応手順の確立と、定期的な見直しも欠かせません。社員一人ひとりのセキュリティ意識が、クラウドPBX全体のセキュリティレベルを左右します。そのため、ルールの明文化だけでなく、その周知と実践的な教育も同時に行いましょう。
強固なパスワードを設定する
強固なパスワードの設定と定期的な変更は、不正アクセスを防ぐうえで不可欠です。パスワードは十分な長さと複雑性を持ち、容易に推測されないものを選びましょう。
定期的なパスワード変更を義務付け、パスワードの使い回しを禁止するなどのルールを設けるべきです。パスワードはついつい簡単な並びにしてしまう方も多いですが、強固なパスワードポリシーの策定と運用は、クラウドPBXセキュリティの要となります。
アクセス権限を適切に設定する
アクセス権限の適切な設定と管理は、情報漏洩のリスクを最小限に抑えます。ユーザーの役割や責任に応じて、必要最小限のアクセス権限を付与する「最小権限の原則」に基づいた管理を心がけてください。
定期的なアクセス権限の棚卸しと見直しを行い、不要になった権限の速やかな削除も重要です。きめ細かなアクセス権限管理によって、クラウドPBXの情報資産を守ることができるでしょう。
端末のソフトウェアアップデートとウイルス対策
端末のソフトウェアアップデートとウイルス対策は、マルウェア感染を防ぐためのポイントです。OSやソフトウェアの脆弱性を突くマルウェアの脅威に対抗するため、常に最新のセキュリティパッチを適用する必要があります。
また、ウイルス対策ソフトの導入と定義ファイルの自動更新、定期的なウイルススキャンの実施も欠かせない対策です。端末のセキュリティは定期的に見直して維持しましょう。
セキュリティ重視のクラウドPBX選定ポイント
ここまで、クラウドPBXのセキュリティ対策を紹介しました。運用時の対策ももちろんですが、セキュリティレベルの高いクラウドPBXを導入することも重要になります。
特に、以下の2点を意識して選定しましょう。
- サポート体制は充実しているか
- ベンダーの信頼性は高いか
ここでは、上記の選定ポイントについて解説します。
サポート体制は充実しているか
セキュリティインシデント発生時の迅速な対応を可能にする、充実したサポート体制が重要です。24時間365日の監視体制や、専門スタッフによる速やかな問題解決、定期的なセキュリティ監査の実施などが選定のポイントとなります。
ベンダーのセキュリティ意識の高さや、インシデント発生時の対応力を見極めることが大切です。優れたサポート体制を備えたベンダーを選ぶことで、クラウドPBXのセキュリティ面での不安を払拭できるでしょう。
ベンダーの信頼性は高いか
豊富な導入実績と長年の開発経験を持つベンダーは、セキュリティ面での信頼性が高いと言えます。数多くの企業への導入実績は、システムの安定性や品質の高さを示す指標です。
長年にわたる開発経験によって培われたノウハウは、セキュリティ対策の充実度にも反映されます。実績と経験豊富なベンダーを選ぶことで、セキュリティ面での安心感を得ることができるでしょう。
クラウドPBXのセキュリティを高めるポイント
クラウドPBXのセキュリティをさらに高めるには、いくつかのポイントに留意する必要があります。
特に、以下のポイントを押さえて対策を講じてみましょう。
- コストとセキュリティ対策のバランス
- スマホ利用時のセキュリティ対策
ここでは、セキュリティ向上に役立つ2つのポイントを解説します。
コストとセキュリティ対策のバランス
コスト優位性とセキュリティ対策のバランスを考慮することは、最適なクラウドPBXの選定につながります。クラウドPBXは、初期投資や保守コストを抑えられるメリットがある一方で、セキュリティ対策に十分な投資が行われているかを見極めましょう。
コストとセキュリティのバランスを取り、自社に最適なサービスを選択することが賢明です。コストを重視しすぎてセキュリティが疎かにならないよう、慎重な判断が求められます。
スマホ利用時のセキュリティ対策
スマホを利用する際のセキュリティ注意点を理解し対策を講じることは、安全なクラウドPBX運用に不可欠です。スマホの紛失や盗難、マルウェア感染などのリスクに対し、遠隔ロックやデータ消去、アクセス制限などの対策を施す必要があります。
私用スマホの業務利用(BYOD)においては、企業による一元管理やセキュリティポリシーの適用が重要です。スマホの特性を踏まえたセキュリティ対策の徹底が、クラウドPBXを安全に利用するうえでの鍵と言えるでしょう。
適切なセキュリティ対策で、クラウドPBXを安全に活用しよう
クラウドPBXの主なセキュリティリスクは、不正アクセスやログイン情報の漏洩、端末のマルウェア感染などです。クラウドPBXを安全に活用するには、セキュリティリスクを理解し適切な対策を講じることが欠かせません。
セキュリティを高めるためには、ルールを周知し、適切なアクセス権限と強固なパスワードを設定しましょう。
クラウドPBXのセキュリティは、利用企業側での対策の徹底はもちろん、ベンダー選定時の十分な検討も肝心です。セキュリティの重要性を全社で共有し、適切な対策を継続的に実施していくことが、クラウドPBXを安全に活用するための必須条件となります。
セキュリティを疎かにすることなく、選定から運用まで厳格に行い、クラウドPBXのメリットを最大限に活かしていきましょう。