BIツールのセキュリティとは? リスクと対策を解説

BIツールは企業のデータ活用に欠かせない存在ですが、大量の機密情報を扱うため、セキュリティ対策が不可欠です。しかし、どのようなセキュリティ対策を施せばいいのか、分からない方も多いのではないでしょうか。
本記事では、BIツールのセキュリティリスクや対策、情報セキュリティの3要素について解説します。BIツール導入を検討している企業の担当者は、ぜひ参考にしてください。
BIツールのセキュリティリスク
BIツールには、以下のようなセキュリティリスクが存在します。
- 不正アクセスによる情報漏洩
- データの改ざんや破壊
- ユーザーの不適切な操作
- クラウドサービスの利用に伴うリスク
ここでは、それぞれのリスクについて詳しく見ていきましょう。
不正アクセスによる情報漏洩
不十分なアクセス制御により、権限のない者がデータにアクセスするリスクがあります。
例えば、外部からの不正アクセスにより、機密情報が流出する可能性があります。内部者による不正アクセスも、データが外部に持ち出される可能性があるため、大きなリスクです。
これらを防ぐためには、適切なユーザーにアクセス権限が与えられているかの管理と、不正なアクセスがないかモニタリングすることが欠かせません。
データの改ざんや破壊
悪意がある者により、データの改ざんや破壊が行われる恐れもあります。改ざんされたデータに基づき、会社運営に関する意思決定をしてしまうと、企業に大きな損害をもたらす可能性があるでしょう。
また、データの改ざんや破壊により、正しいデータを利用できないと、企業のイメージダウンや利益損失につながります。データの改ざんや破壊は、企業の将来に大きく影響を及ぼす危険があるため、データの整合性を確保する対策が不可欠です。
ユーザーの不適切な操作
セキュリティ意識の低いユーザーが不適切な操作を行い、情報漏洩やデータ破損を引き起こす可能性があります。例えば、私物のUSBメモリを使用したり、不用意にメールを開封したりといったユーザーの過失により、マルウェアに感染し、機密情報が外部に流出するリスクが考えられるでしょう。
そのため、適切なユーザー教育と監視により、不適切な操作を未然に防止しなければなりません。セキュリティポリシーの周知徹底と、定期的な教育・訓練を行うべきでしょう。
クラウドサービスの利用に伴うリスク
クラウド上でBIツールを利用する場合、クラウド事業者のセキュリティ対策も重視してください。クラウド事業者の管理不備により、データ漏洩や流出のリスクがあります。
また、システムが災害や故障により停止することなく、使い続けられるかという点も重要な検討事項です。信頼できるクラウド事業者の選定と、適切なSLA(サービス品質保証契約)の締結が必要不可欠でしょう。
BIツールにおける情報セキュリティの3要素
BIツールのセキュリティを確保するには、情報セキュリティの3要素を理解することが大切です。
ここでは、以下の観点から3つの要素である完全性、機密性、可用性について解説します。
- データの正確性と一貫性
- データへのアクセス制限
- いつでもデータが利用できるようにする可用性
データの正確性と一貫性
データの完全性を維持するには、不正なデータ改変の防止と早期発見がポイントです。
データの改ざんは、意思決定の質を低下させ、企業の信頼性を損ないます。そのため、データの整合性を確保し、不正な改ざんがされていない、信頼できる情報を提供することが必要です。
データの検証や整合性チェックの仕組みを導入し、データの完全性を担保することが求められるでしょう。
データへのアクセス制限
データの機密性を確保するには、重要度に応じたアクセス権限の設定と管理が欠かせません。機密データには、厳格なアクセス制御を適用し、不正アクセスを防止しましょう。
役割に応じたアクセス権限の割り当てと、定期的な見直しが肝心です。最小権限の原則に基づき、必要最小限のアクセス権限を付与することが求められます。
いつでもデータが利用できるようにする可用性
ビジネスの意思決定に必要なデータは、いつでも利用できる状態を保つようにしてください。
データの可用性を維持するには、システム障害やデータ損失に備えた対策が不可欠です。定期的なバックアップや、災害対策の実施を心がけましょう。
予備システムの用意や、災害復旧の仕組みを導入し、データの可用性を確保することが重要です。
BIツールにおけるセキュリティ対策
BIツールのセキュリティを確保するには、以下の対策が欠かせません。
- 監査ログを記録して、定期的にチェックする
- セキュリティ意識の高いベンダーを選ぶ
- 適切なアクセス権限を設定して、管理する
ここでは、それぞれの対策方法について詳しく見ていきましょう。
監査ログを記録して、定期的にチェックする
監査ログの記録と定期的なチェックは、不審な操作や情報アクセスの早期発見と追跡が可能です。誰が、いつ、どのデータにアクセスしたのかを記録し、異常な動きがないか監視します。
不正な操作やデータ漏洩の兆候が発生した場合は、速やかに検知し、適切な対処を行います。監査ログの分析と報告を定期的に行い、セキュリティ体制の改善につなげられるでしょう。
セキュリティ意識の高いベンダーを選ぶ
セキュリティ意識の高いベンダーの選定では、情報セキュリティ認証の取得状況などを確認すべきです。ISO 27001など、国際的に認められたセキュリティ基準へ準拠しているかチェックしましょう。
ベンダーのセキュリティ対策や、インシデント発生時の対応体制についても確認を忘れないでください。セキュリティ意識の高いベンダーを選ぶことで、BIツールのセキュリティリスクを最小化できるでしょう。
適切なアクセス権限を設定して、管理する
適切なアクセス権限の設定と管理は、最小権限の原則に基づくアクセス制御の徹底が鍵となります。
ユーザーには、業務に必要な最小限のアクセス権限のみを付与します。アクセス権限の付与・変更・削除のプロセスを明確化し、適切に管理しましょう。
定期的なアクセス権限の棚卸しと見直しを行い、不要な権限の削除や変更を速やかに実施することが望ましいです。
BIツールで高いセキュリティを実現するためには?
BIツールの高いセキュリティを実現するには、技術的な対策だけでなく、以下のような人的な対策も重要です。
- ユーザー教育とセキュリティルールの周知を徹底する
- 業務に適したセキュリティレベルを設定する
ここでは、高いセキュリティの実現方法について解説します。
ユーザー教育とセキュリティルールの周知を徹底する
ユーザー教育とセキュリティルールの周知徹底は、従業員のセキュリティ意識向上と適切な運用の促進につながります。セキュリティポリシーやガイドラインを策定し、全従業員に周知できるようにしましょう。
また、定期的な教育・訓練は、セキュリティ意識の向上と適切な行動の定着に必要な取り組みです。ユーザーの意識と行動がセキュリティの鍵を握るため、継続的な教育と啓発活動が欠かせません。
業務に適したセキュリティレベルを設定する
業務に適したセキュリティレベルの設定は、過剰なセキュリティ対策による業務効率低下の防止に役立ちます。そのため、業務の特性や扱うデータの重要度に応じて、柔軟にセキュリティ設定を調整してください。
セキュリティ対策とビジネスの利便性のバランスを考慮した、最適なセキュリティレベルの設定が肝心です。セキュリティと利便性のバランスを取ることで、ユーザーの受容性を高め、円滑なBIツール活用を促進できるでしょう。
セキュリティレベルの高いBIツールで、ビジネスの成功を手に入れよう
安全なBIツール活用のためには、データ活用とセキュリティ対策のバランスが鍵となります。企業の競争力強化に不可欠なBIツールを、セキュリティリスクを最小限に抑えながら活用することが重要です。
また、ユーザー教育と利便性も考慮しながら、自社に最適なセキュリティ体制を構築していくことが求められます。セキュリティレベルの高いBIツールを活用し、データドリブンな意思決定を実践することで、ビジネスの成功を手に入れましょう。