BIツールとExcelの違いは？ データ分析に適したツールを選ぶために

BIツールとExcelの違い

BIツールとExcelは、どちらもデータ分析に使われるツールですが、その特性には大きな違いがあります。

2つのツールの主な違いは、以下のとおりです。

ここでは、上記の観点から、BIツールとExcelの違いを詳しく見ていきましょう。

データ処理能力とパフォーマンス

BIツールは大規模データの高速処理を得意とし、Excelよりも高い処理能力を持ちます。これはインメモリ技術やデータベースとの連携により、膨大なデータを高速に分析できるためです。

並列処理や分散処理などの技術を活用し、Excelでは不可能な処理速度を実現しています。そのためデータ分析に多くの時間がかかっている企業では、BIツールの活用がおすすめです。

データソースの統合と連携

BIツールはさまざまなデータソースを統合し、シームレスにデータ連携できます。組み合わせられるのは、社内外の複数システムやクラウドサービス、外部データなどです。

APIやコネクターを使うことにより、異なるシステム間でもスムーズにデータ連携ができます。他システムとの連携も取れるので、社内のデジタル化を進めるなら、BIツールの導入は効果的です。

データの可視化と分析機能

BIツールは、高度なデータ可視化と分析機能を備えています。インタラクティブなダッシュボードやレポートを作成し、データを多角的に分析することが可能です。

予測分析や機械学習など、高度な分析手法を使ってデータの価値を引き出せます。そのため、業務改善策の策定が今まで以上にやりやすくなるでしょう。

コラボレーションとセキュリティ

BIツールは、チーム間でのデータ共有とコラボレーションを促進します。現在はクラウドベースのBIツールも多く、リモートでのデータアクセスが容易です。

また、BIツールはExcelに比べ、ユーザー権限の管理や監査ログの記録など、セキュリティ面が充実しているのも特徴です。

従来のExcelのデータ分析について

Excelは長年にわたって、データ分析の主要ツールとして活用されてきました。では、Excelは何が得意で、データ分析に使われ続けたのでしょうか。

ここでは「Excelが得意とするデータ処理と分析」、そして「ビッグデータ時代におけるExcelの課題」について解説します。

Excelが得意とするデータ処理と分析

Excelは、データの可視化や関数を使った計算・集計が手軽にでき、汎用性が高いツールです。ピボットテーブルやグラフ機能を使えば、データを様々な角度から分析することが可能です。

特に小規模なデータ分析や、個人的な集計作業などに適しています。

ビッグデータ時代におけるExcelの課題

Excelは大量データの処理において、データ容量の制限、処理速度の低下、複数データソースの統合の難しさ、手作業によるエラーリスクなどが課題です。膨大なデータを扱う場合、Excelでは処理に時間がかかり、作業効率が低下してしまいます。

特に、異なるシステムやデータベースに存在するデータを統合することは非常に困難です。現在では、企業はより多数のデータを基に経営方針や業務改善を行うようになってきています。そのため、従来のExcelの処理では限界を感じる企業も少なくありません。

BIツールとExcelをシーン別に使い分ける方法

ここまで、BIツールとExcelのデータ分析の違いを解説してきました。状況に応じて適切なツールを使い分けることが、効果的なデータ分析につながります。

ここでは以下のパターンから、使い分ける方法を見ていきましょう。

Excelを活用した方がよいシーン

Excelは、小規模データの分析や個人的な集計タスク、臨機応変な分析、一時的なデータ加工、BIツール移行前の試験的分析などに活用するのがよいでしょう。少量のデータを手軽に分析したい場合や、特定の業務に特化した分析が必要な場合は、Excelが適しています。

BIツールの導入前に、Excelでデータ分析の流れを試験的に確認することで、より有効に活用できます。

BIツールを活用した方がよいシーン

ビッグデータの分析と可視化、複数データソースの統合と連携を要する分析、組織的な意思決定とデータ活用推進などに、BIツールが真価を発揮します。大規模なデータを扱う場合や、リアルタイムな分析が必要な場合は、BIツールが適しているでしょう。

経営判断に直結するようなデータ分析や、組織全体でのデータ活用を進める際は、BIツールが欠かせません。

BIツールとExcelの併用が効果的なシーン

BIツールで全体像を俯瞰し、Excelで詳細を探るなど、ExcelとBIツールの併用が効果的な場面があります。BIツールで可視化した結果を、Excelでさらに加工してレポートを作成するケースなどです。

BIツールは大規模なデータ処理かつマクロな目的に、Excelは小規模なデータ処理かつミクロな目的に使い分けるのがよいでしょう。それぞれのツールの特性を活かし、目的に応じて使い分けることが重要です。

ツールの使い分けがもたらすメリット

ExcelとBIツールの使い分けがもたらすメリットには、以下の点が挙げられます。

適材適所でツールを使い分けることで、データ分析業務の効率化と高度化を図れるでしょう。

また、BIツールとExcelをデータ連携しておくこともおすすめです。一時的にしたい場合、Excelから簡単にデータ変更ができます。両者の連携と使い分けにより、組織全体でのデータ活用が進み、データドリブンな意思決定が可能です。

BIツールとExcelの違いを理解して、最適なデータ分析ツールを選ぼう

本記事では、BIツールとExcelの違いや使い分ける方法などを紹介しました。BIツールは大規模データの高速処理を得意とし、Excelよりも処理能力が高いです。一方、Excelはデータの可視化や関数を使った計算・集計が手軽にできます。

ExcelとBIツールの特性と違いを理解し、自社のデータ活用ニーズに合った分析ツールを選択しましょう。そのうえで、段階的なアプローチでデータ分析力を高めていくことが重要です。自社のデータ活用の成熟度やIT環境、予算などを総合的に考慮し、最適なツールの組み合わせを検討すべきでしょう。

まずは小さく始め、徐々にデータ分析の範囲を広げていく、ステップバイステップの導入が成功の鍵となります。ExcelとBIツールの連携や使い分けも意識しながら、最適なデータ分析ツールを選びましょう。