API対応のメール配信システム14選！ 活用メリットや選び方のポイントを解説

API対応のメール配信システムとは？

メール配信システムAPIは、プログラムを通じて自動的にメールを送信できるインターフェースであり、手動作業を大幅に削減する技術です。複数のソフトウェアやサービスの間でデータを共有し、CRMやECシステムなど、他のアプリケーションと連携してメール配信を自動化できます。

例えば、「カート放棄者へのリマインドメール」や「契約更新前の自動通知メール」といった、従来なら手間のかかる施策も、API連携によってスムーズに処理されるようになります。

これにより、手動では実現困難な大量の顧客情報の更新やセグメント配信などの複雑な処理も自動で実行可能です。つまりAPI対応のメール配信システムを活用することで、ビジネスの成長に合わせたメール配信環境を構築できるようになるといえます。

API対応のメール配信システムを活用するメリット

API対応のメール配信システムの導入により、企業は従来の手動配信では実現できない効率化と高度な配信機能を実現できます。

以下では、具体的な3つの主要メリットについて詳しく解説します。

人件費削減が可能になる

メール配信APIの導入により、手動で行っていた配信作業時間を大幅に削減し、人件費の削減効果が期待できます。従来の配信業務では、リスト管理や配信設定、エラー対応などに多くの工数を要していました。

しかし、顧客リストの更新、配信時間の設定、エラー処理などの定型業務の自動化が可能となることで、担当者はより戦略的な業務に集中できるようになります。また、手動操作による配信ミスも防げるため、機会損失の回避や顧客満足度の向上にもつながります。

配信遅延ゼロが実現できる

API連携型のメール配信システムでは、専用IPアドレスと送信ドメイン認証（SPF/DKIM）の設定により、送信者としての信頼性が高まり、迷惑メールフォルダに振り分けられるリスクを回避しながら、高速で配信ができます。

これにより、数万通〜数百万通規模の大量配信でも遅延なく、確実に届けることが可能です。重要な通知メールや販促メールがタイムリーに届くことで、受信者との信頼関係を損なうことなく、効果的なメールコミュニケーションを維持できます。

手動配信の課題が解決する

API連携により、顧客データがリアルタイムで同期されるため、データの二重管理や入力ミスのリスクを完全に排除できます。従来の手動での顧客情報管理では、複数システム間でのデータ不整合が頻繁に発生していました。

APIによる連携を行えば、CRMやECシステムの顧客情報が自動的にメール配信システムに反映され、常に最新の情報でメール配信が可能になります。さらに、配信結果やエラー情報も自動的に元システムにフィードバックされるため、一元的な顧客管理を可能とします。

API対応のメール配信システムの種類

API対応のメール配信システムには、企業のニーズや既存システム環境に応じて選択できる複数のタイプが存在します。機能の充実度や連携方式、運用コストなどの観点から、最適なソリューションを選ぶことが重要です。

以下では、代表的な3つのタイプについて、特徴と活用事例を詳しく解説します。

多機能型

多機能型はメール配信に加えて、豊富なマーケティング機能を1つのシステムで提供します。例えば、配配メールやWEBCAS e-mailなどの多機能型サービスを導入した企業は、セグメント配信とA/Bテストの自動化により、メール開封率とクリック率の大幅な向上が可能です。

顧客の購買履歴や閲覧行動などの行動履歴に基づいたパーソナライズ配信により、One to Oneマーケティングを実現し、顧客エンゲージメントの向上に貢献しています。配信結果の詳細な分析機能を活用し、PDCAサイクルを高速で回すことで、継続的な改善を実現できるのです。

メールリレー型

メールリレー型のシステムは、到達率を高めたい場合に有用です。専用IPアドレスと高度な配信制御により、ISPのフィルタリングを回避し、トランザクションメール（注文確認・会員登録完了など）を確実に届けることができます。

SendGridやblastengineなどのメールリレー型サービスを活用した企業は、到達率の劇的な改善により、機会損失を防いでいます。メールの大量配信時でも安定した送信性能とスピードを維持し、キャンペーンメールの効果を最大化できるのがメリットです。

IaaS連携型

IaaS連携型とは、IaaSを基盤としたクラウド環境で提供されるサービスのことです。パブリッククラウドのメール配信サービスは、サーバーレスアーキテクチャと組み合わせることにより従量課金制となるため、コスト効率が優れています。

例えば、Amazon SESやAzure Communication Serviceを活用した企業は、既存のクラウドインフラとシームレスに統合することで、運用コストを削減しています。他のAWSやAzureサービスとの連携により、顧客データの分析から配信、効果測定まで一貫したワークフローを構築できる点がメリットです。

API対応のメール配信システムおすすめ14選

市場には多数のAPI対応メール配信システムが存在しており、企業の規模や用途に応じて最適なソリューションを選択することが重要です。機能面、コスト面、サポート体制などを総合的に比較検討する必要があります。

以下では、特に評価の高いサービスについて、料金体系と主要機能を詳しく紹介します。

WiLL Mail

HTMLメールの作成・配信や応募フォームの作成に特化しており、ユーザー自身の意志（WILL）で考え、実行・効果検証を行える環境を提供しています。HTMLの知識がなくても、ブログ感覚で複雑なレイアウトのHTMLメールを作成できるのが特徴です。

アララ メッセージ

アララ メッセージは、確実に“届く”メール配信を支える高到達率と、高速大量配信に対応した国産のクラウド型メール配信サービスです。

150種類以上のテンプレートと直感的なHTMLエディタにより、誰でも簡単に高品質なメールを作成でき、ステップメールやA/Bテスト、リスト管理などマーケティング機能も標準搭載しています。

CuenoteFC

Cuenote FCは、月間配信数約81億通、毎時最大1,000万通という国内最大級の配信性能を誇る、高速・大量メール配信に特化したクラウド型メール配信サービスです。独自開発のエンジンにより、スマートフォンや携帯キャリアにも高い到達率を実現し、安定した運用が可能です。

WEBCAS e-mail

WEBCAS e-mail（ウェブキャス イーメール）は、官公庁や大手企業にも多数導入されている、信頼性・到達率・高速配信に強みを持つ国産のメール配信サービスです。

毎時1,000万通以上の配信が可能な独自エンジンを搭載し、SPF・DKIM・DMARC認証やISPごとのチューニングにより、高精度な配信品質を実現します。

blastengine

blastengineは、API・SMTPリレー連携に特化したクラウド型の高速メール配信エンジンで、開発者やシステム担当者が扱いやすいインフラ設計が魅力です。毎時1,150万通の大量配信に対応し、Gmailやキャリアメールにも高い到達率を誇ります。

Customers Mail Cloud

Customers Mail Cloudは、毎時300万通の配信性能を誇り、SPF、DKIM、DMARC認証に対応し、TLSによる暗号化通信も標準装備。配信ログやエラー解析、レピュテーション管理を含む可視化機能に加え、WebhookやAPIによるリアルタイム連携も可能です。

Benchmark Email

Benchmark Emailは、世界50万社以上の導入実績を持つクラウド型メールマーケティングツールで、操作のしやすさと高機能を両立しているのが特長。

HTMLの知識がなくても使えるドラッグ＆ドロップ型エディタや、500種類以上のレスポンシブテンプレートを備え、誰でも簡単にプロ仕様のメールが作成可能です。

Synergy!

Synergy!は、顧客情報を軸にしたOne to Oneマーケティングを実現するクラウド型CRM・メール配信サービスです。ZohoやSalesforceなどの外部CRMとの連携、Webフォーム、LINE連携なども柔軟に設定でき、メールを軸にした包括的なCRM戦略を展開したい企業にとって、実用性の高い選択肢となります。

MailPublisher

Mail Publisherは、毎時4,100万通・月間85億通という圧倒的な配信能力を誇る、高速・高到達率を実現する国産のクラウド型メール配信システムです。

500種類以上の配信エラーを自動解析し、IPレピュテーションの管理やISPチューニングも専任スタッフがサポート。APIやSFTPによる外部システム連携も充実しており、ECやCRMとの統合運用にも強みを持ちます。

コンビーズメールプラス

コンビーズメールプラスは、初心者から大規模配信まで、幅広いニーズに対応する国産のクラウド型メール配信サービスです。導入企業は20,760社以上と実績が豊富で、Gmail送信者ガイドラインに準拠し、DKIM認証も標準搭載されているため、高い到達率を安定して確保できます。

ジェイシティメール

ジェイシティメールは、導入のしやすさと安定した配信性能を兼ね備えたメール配信サービスで、中小企業からEC運営者まで、幅広いユーザーに支持されています。毎時120万通の高速配信と、独自サーバーによる到達率99.74％の安定性が強みで、ショッピングカートや外部システムとの連携にも対応可能です。

PostBlitz

PostBlitz（ポストブリッツ）は、メール配信を既存システムとシームレスに連携しながら、安定かつ高速な配信環境を提供する国産サービスです。API連携やDB連携に強く、既存の会員データを重複登録せずに利用できるため、セキュリティや運用効率の面でも優れています。

Zoho Campaigns

Zoho Campaigns（ゾーホー・キャンペーン）は、メール作成・配信・分析をワンストップで行えるクラウド型メールマーケティングツールです。

直感的に使えるドラッグ＆ドロップ式のHTMLエディタと豊富なテンプレートを備え、誰でもプロ並みのメールが作成可能。中小企業やマーケティング初心者にも導入しやすい設計です。

ブラストメール

ブラストメールは、14年連続導入社数No.1、25,000社超の導入実績を持つ、クラウド型メール配信サービスで、大規模配信と使いやすさのバランスに優れたツールです。HTMLメールは専門知識不要で、30種類以上のテンプレートと直感的なエディタにより、誰でも簡単に作成可能です。

API対応のメール配信システムを選ぶ際の5つのポイント

API対応のメール配信システムを選定する際は、技術的要件から運用面まで、多角的な視点での評価が必要です。導入後の長期的な運用を見据えて、自社のビジネス要件に最適なサービスを見極めることが重要となります。

以下では、選定時に重視すべき5つの主要ポイントについて、具体的な評価基準を解説します。

必要な機能を利用できるか

メール配信システムを選定する際には、業務効率と配信効果の向上に直結する機能がそろっているかを、必ず確認しましょう。

特に、エラーリストの自動取得機能とリアルタイム配信分析機能は、安定した運用を実現するために必須の機能です。これらの機能があれば、配信品質の維持と迅速な問題解決が可能になり、マーケティング施策の効果測定と改善点の特定につなげることができます。

また、開封率、クリック率、バウンス率などの指標を自動集計し、配信効果を可視化できることが重要となるため、HTMLメールエディタ、A/Bテスト機能、セグメント配信機能など、マーケティング活動を支援する機能なども、必要であれば利用が可能かを確認しましょう。

予算計画とランニングコストは問題ないか

メール配信システムの導入にあたっては、初期費用と運用コストの両面を把握したうえで、費用対効果（ROI）を見極めることが重要です。月間の配信規模と単価を掛け合わせたコスト試算を行い、手動配信時の人件費と比較することで、定量的に評価しましょう。

初期費用、月額基本料金、従量課金、オプション機能の料金を総合的に検討し、年間コストを算出しておくことも欠かせません。隠れたコストや将来的な配信数増加を想定し、料金変更の可能性についても事前に確認しておく必要があります。

社内システムと連動できるか

メール配信システムがREST APIとWebhook機能に対応しているかどうかは、既存のCRMやECシステムとのデータ連携性を大きく左右します。これらの機能に対応していれば、顧客情報や購買データなどのリアルタイム連携が可能になり、業務の自動化や効率化が加速します。

さらに、主要な開発言語のサンプルコードやSDKが充実しているかも確認しましょう。エンジニアの実装負担や学習コストを抑え、スムーズな導入・運用につながります。

API制限（レート制限）や同時接続数の上限も確認し、自社の利用規模に対応できるかを検証しましょう。

セキュリティオプションが充実しているか

メール配信においては、送信ドメイン認証（SPF/DKIM/DMARC）への対応が必須です。これらの技術により、なりすましメールや迷惑メール判定が回避でき、結果としてブランドの信頼性保護と到達率向上を実現することが可能です。

加えて、導入に際しては、個人情報保護法やGDPRに準拠したデータ管理体制が整っているかを確認する必要があります。SSL/TLS暗号化通信、二要素認証、IPアドレス制限などのセキュリティオプションの充実度も、重要な選定基準です。

サポート体制と導入実績はどうか

メール配信システムを選定する際は、サポート体制の充実度とサービスの導入実績を合わせて確認しましょう。

特に、日本語での電話・メール・チャットサポートが提供され、迅速な問題解決が可能かどうかは、運用時の安心感に直結します。24時間365日のサポート体制があれば、緊急時の対応も安心でしょう。

さらに、導入企業数や業界での評判、稼働率などの実績データから、信頼性を判断できます。同業他社での導入事例があれば、具体的な活用方法の参考にもなります。他にもマニュアルやFAQ、オンラインセミナーなどの学習リソースが充実していることも見逃せないポイントです。

API対応のメール配信システムを実践活用した企業5選

実際にAPI対応のメール配信システムを導入し、ビジネス成果を上げている企業の事例を紹介します。業界や企業規模が異なる各社の取り組みから、自社に適用可能な活用方法を見つけることができるでしょう。

以下では、5社の具体的な導入効果と成功要因について詳しく紹介します。

株式会社LIFULL

株式会社LIFULLでは、配信メールのAPI連携により、不動産ポータルサイトの顧客管理機能を強化し、工務店やハウスメーカーへの充実したサポート提供を実現しました。

また、顧客の行動履歴に基づいたパーソナライズ配信により、One to Oneマーケティングを展開し、顧客エンゲージメントの向上につなげています。物件閲覧履歴や問い合わせ内容に応じた、最適なタイミングでの情報提供ができるようになったことも導入のメリットです。

配信結果の詳細な分析機能を活用し、PDCAサイクルを高速で回すことで、施策の成果を着実に積み重ねています。

株式会社日テレWands

株式会社日テレWandsでは、メールリレー型サービスの「blastengine」を導入し、Gmailで迷惑メールに振り分けられていた決済通知メールの到達率を改善することに成功しました。

トランザクションメールの配信品質向上と、DKIM設定の簡単な実装により、送信ドメインの信頼性を向上させ、重要なメールを確実に届けることができるようになりました。

技術的な専門知識がなくても適切な認証設定を行える、サポート体制が評価されています。大量配信時でも安定したパフォーマンスを維持し、キャンペーンメールの効果を最大化しています。

株式会社DGフィナンシャルテクノロジー

株式会社DGフィナンシャルテクノロジーでは、WEBCAS e-mailのAPIを活用し、障害発生時の緊急通知メールを自動化しました。金融サービスにおける、迅速な情報伝達の重要性を踏まえた導入事例です。

監視システムとメール配信システムの連携により、障害検知から通知メール送信までを完全自動化し、24時間365日の対応体制を実現しています。

緊急時対応体制の構築により、手動作業によるミスを防ぎ、迅速な障害対応が可能となったことで顧客への影響を最小限に抑えることに成功しました。

BOKUBLOCK INC.

BOKUBLOCK INC.は、ブラストメールのAPI連携を活用し、ECサイト運営における自動返信メールの仕組みを構築しました。小規模事業者でもAPI活用により、大きな効果を得られることを実証しています。

注文が殺到する時期でも、APIによる自動配信でユーザーへのサービス遅延を防ぎ、顧客満足度の向上を実現しています。繁忙期における運用負荷の軽減により、本来の業務に集中できる環境を整備できました。

小規模配信でもAPIの恩恵を受け、手動作業を削減しながら、将来の大規模配信に備えた基盤を整えています。事業成長に対応できる、スケーラブルなシステム基盤の構築に成功したと言えるでしょう。

コンテンツワークス株式会社

コンテンツワークス株式会社では、blastengineを活用し、システムからの注文完了・発送通知メールを完全自動化しました。オンプレミスからクラウドへの移行に伴い、SMTPサーバーの保守運用とレピュテーション管理の工数を大幅に削減できました。

インフラ運用の負荷軽減により、コア業務への集中が可能になり、組織全体での運用効率が向上した点がメリットです。

API対応のメール配信システムで、業務効率を改善しよう

自社に最適なAPI対応のメール配信システムを選択することで、短期間での投資回収と継続的な業務効率化を実現できます。顧客体験の向上と業務効率化の両立により、競争優位性を確立することが可能になります。

API連携による自動化は単なるコスト削減ツールではなく、ビジネス成長を加速させる戦略的投資として位置づけることが重要です。適切なシステム選定と運用体制の構築により、メール配信業務の抜本的な改善を実現しましょう。