クラウド型販売管理システム15選！ メリット・注意点・選び方を徹底解説

クラウド型販売管理システムとは？

販売管理システムは、企業の販売業務をまとめて管理できるツールです。なかでもクラウド型は、インターネットを通じてサービスを利用するため、従来の物理的なサーバー設置やシステム構築が必要ありません。そのため、短期間かつ低コストで導入できる点が特長です。

機能面では、見積作成から受注、売上、請求、入金までの一連の販売業務をクラウド上で一元管理できるのがメリットです。在庫管理や顧客管理など、販売活動に関連する業務を効率化する機能が備わっています。

リアルタイムかつオンラインでのデータ共有が可能となり、部門間の情報連携がスムーズになるのも魅力でしょう。テレワークや外出先からのアクセスも容易なため、柔軟な働き方を支援する基盤としても注目されています。

クラウド型販売管理システムとオンプレミス型との違い

クラウド型販売管理システムは、自社サーバーが不要でインターネット経由で利用するため、初期投資を大幅に抑えられます。

オンプレミス型では、サーバー機器の購入・設置費用やシステム構築費が必要になり、場合によっては数百万円〜数千万円の初期投資が発生します。

一方、クラウド型は月額利用料のみで始められるケースが多く、中小企業やスモールスタートを検討している企業にも導入しやすい仕組みです。

なお、システムの保守やアップデートはベンダー側で行われるため、社内のIT担当者にかかる運用負荷や専門知識のハードルも軽減されます。また、場所やデバイスを選ばずアクセス可能なので、テレワークなど多様な働き方に対応しやすいです。

クラウド型販売管理システムを利用するメリット

ここまで、クラウド型販売管理システムの特徴を説明しました。では、システム導入の具体的なメリットはどのようなものなのでしょうか。

ここでは、上記のメリットを詳しく解説します。

初期費用と月額費用を抑えられる

クラウド型は、高額なサーバー購入やソフトウェア開発が不要なため、初期導入コストを大幅に削減できます。オンプレミス型の場合、ハードウェアの調達から設置・設定までに多くの費用と時間を要しますが、クラウド型であれば、月額または年額の利用料のみで運用が可能です。

さらに、必要な機能やユーザー数に応じてプランを選択できる柔軟さもメリットです。無駄な機能にコストをかけることなく、自社の業務規模に合った最適な料金で利用できます。固定費として処理しやすく、導入ハードルが低い点は、特に中小企業にとって大きな魅力といえるでしょう。

場所やデバイスを選ばずにアクセスできる

クラウド型は、インターネット環境があれば、オフィス以外や外出先からでもシステムにアクセスできます。例えば、営業担当者が顧客先で最新の在庫情報を確認したり、外出先から見積もりを作成したりすることが可能です。

また、現在ではパソコンだけでなく、スマートフォンやタブレットからも利用可能な製品が増えています。これにより、時間や場所に縛られない柔軟な働き方が実現しやすくなり、急な業務対応やリモートワークにも強い体制が構築できます。

常に最新バージョンでセキュリティを維持できる

クラウド型は、機能改善や法改正対応のアップデートが自動で行われ、常に最新のシステムを利用できます。電子帳簿保存法やインボイス制度などの法制度変更にも迅速に対応し、コンプライアンス違反のリスクを軽減できるでしょう。

セキュリティ対策もベンダーが提供するため、専門知識がなくても安心して運用可能です。また、データは安全なデータセンターで管理されるため、自社管理よりもセキュリティレベルが高くなる傾向があります。

事業規模の変化に柔軟に対応できる

クラウド型は、ユーザー数の増減や機能追加など、事業の成長や変化に合わせて簡単に拡張できます。スタートアップ企業から大企業まで、事業の成長段階に応じてシステムを拡張することが可能です。

さらに、繁忙期など一時的なリソース増強にも対応しやすく、ビジネスチャンスを逃しません。季節変動のある業界や、プロジェクトベースの業務においても柔軟に運用できるでしょう。また、新機能の追加や他サービスとの連携もスピーディーに行えるサービスが多いです。

他システムと連携して業務を効率化できる

販売管理システムは、会計ソフトやCRM、SFAなど他の業務システムと連携することで、データ入力の手間を削減できます。システム間でのデータ自動連携により、重複作業を排除し、ヒューマンエラー防止に効果的です。

また、API連携をすれば、企業独自の業務フローに合わせたシステムを構築しやすくなります。既存システムとの親和性を保ちながら、段階的なデジタル化を進めることが可能です。システム間のデータがスムーズに連携することで、経営に関わる情報を迅速に集約できます。

クラウド型販売管理システムおすすめ15選

市場には多様なクラウド型販売管理システムが存在しており、企業の規模や業種、特有のニーズに応じて最適なソリューションを選択することが重要です。

以下では、特に評価の高い15のクラウド型販売管理システムについて、その特徴と料金を詳しく紹介します。

楽商

卸売業や商社向けに設計された販売管理・在庫管理のクラウドSaaSで、中堅・中小企業1,000社以上の導入実績があります。業種特化パッケージ（医療機器、小売、食品、機械工具、自動車など）も用意され、業界固有の業務フローにそのまま適合できる仕様が強みです 。

アラジンオフィス

クラウド対応型の基幹業務システムで、販売・購買・在庫・生産・原価管理など、サプライチェーン全体をカバーします。ファッション、食品、医療、鉄鋼、ねじなどの業界固有の商習慣に応じた機能を備え、カスタマイズ不要でも使える、完成度の高いパッケージを実現しています。

SKit FLEXi（スキットフレキシー）

年商30〜500億円規模の卸売・製造業を中心に導入され、受注から決算まで一気通貫で経営情報を見える化できるのが特長です。仮運用環境の提供やマスタ設計、教育サポートを含む伴走型導入体制により、業務や運用担当者が不在の企業でも安心して導入が可能。

ASPICクラウドアワード2012のアプリケーション分野基幹業務系グランプリ受賞など、運用力も高く評価されています。

WorkVision販売管理

卸売・製造・食品など、40年以上にわたる業種特化型ノウハウを活かし、クラウド環境でも業務を自由にカスタマイズできる高機能SaaSです。画面編集やプロセス設定機能により、現行業務を損なわずにスムーズな移行が可能で、バーコード検品まで対応した在庫管理機能も充実しています。

SmartF（スマートエフ）

製造業向けクラウド生産管理SaaSで、製造現場のアナログ運用（手書きやExcel）の撲滅を目指す設計が特長です。必要な機能を選んで導入できるスモールスタート型で、在庫・工程・受注・発注・原価・品質・設備管理など一連の業務に対応可能です。

弥生販売25

弥生ユーザーにとって使い慣れた操作感はそのままに、弥生ドライブによる自動クラウドバックアップでデータ保全を強化し、災害や端末故障時でも安心です。ユーザー数やサーバー容量を柔軟に調整できるため、業務規模の変化にも対応します。

SANKA（販売・受注管理）

月額無料プランから始められ、従量課金制で必要な機能のみを選べる、スケーラブルな料金体系を採用しており、初期費用ゼロで導入ハードルを下げています。HubSpotやShopifyなどCRM・ECツールとの連携が可能で、営業や物流、在庫の情報をリアルタイムで同期し、受注から請求までを効率良くつなげられます。

商い哲人EX

Webブラウザからアクセスするだけで、見積・受注・売上・入金・発注・在庫など、複数拠点と多人数でリアルタイムに処理可能。iDC（インターネットデータセンター）を活用した安全なクラウド環境で、災害対策も万全です。

シンプルな1画面設計ながら、伝票発行、在庫引当、EDIやマスタのCSV連携など必要機能を網羅し、非IT技術者でも日常的な業務をスムーズに行えることが大きな特長です。

商い哲人EX

V-ONEクラウド

入金消込業務に特化したAI搭載クラウドサービスで、請求書と入金データを“秒単位”で照合・消込ができる点が大きな特長です。機械学習により使うほど照合精度が向上し、経理処理の属人化を防止します。

BtoBプラットフォームTRADE

見積から請求・検収まで、企業間の商取引をクラウド上で一貫管理できるプラットフォームです。テンプレート入力だけで見積・発注が完了し、過去の取引先や書類情報も自動で呼び出せるため、二重入力や転記の手間を大幅に削減できます。

商蔵奉行クラウド

シンプルで直感的な操作画面により、専門知識が少ないユーザーでもスムーズに仕訳入力ができる点が特長。また、銀行データや販売管理システムなど外部システムとの連携が充実しているため、仕訳作業の自動化や入力ミスの軽減に寄与します。

アラジンオフィス for fashion

ファッション業界向けクラウド販売管理システムで、業界特有のニーズに対応した多機能プラットフォームです。特に、商品サイズ・色違いの管理が簡単にできるため、複雑なファッションアイテムの在庫管理が効率化されます。

顧客管理や販売促進機能も充実しており、顧客の購買履歴や嗜好を分析して、的確なマーケティング施策を展開できます。

アラジンオフィス（文具・事務用品向け）

文房具業界特有の業務フローに最適化された、クラウド型基幹システムです。トータルピッキング・シングルピッキングの発行機能を備えており、ピッキング方法に合わせてリストの出力を商品別や伝票別で選択できます。

直送への対応も可能で、受発注同時計上や売上仕入同時計上を利用することで、直送時の伝票発行を一度の入力で実現します。

TS-BASE受発注

BtoB取引に特化したSaaS型の受発注・在庫管理システムで、受注から出荷、在庫管理までを一元化し、業務の効率化とコスト削減を実現します。50種類以上の機能を組み合わせて、企業の業務フローに最適なカスタマイズが可能です。

COREC

このシステムは、取引先ごとにカスタマイズ可能な注文フォームを作成でき、取引先ごとの商品や価格を変更することができます。スマートフォンやタブレットにも対応しており、外出先でも受注・発注業務を行うことが可能です。

クラウド型販売管理システムの選び方

クラウド型販売管理システムは低コストで導入しやすいものの、自社にマッチしたものを選ばないと、効果を最大限発揮できません。

クラウド型販売管理システムを選ぶ際は、以下のポイントを押さえましょう。

ここでは、上記の選定ポイントについて詳しく解説します。

自社の業務フローと課題を明確にする

選定時には、まず現在の販売管理業務の流れを整理し、どこに課題があるのかを具体的に洗い出しましょう。業務プロセスの可視化により、非効率な作業や重複業務などを特定できます。この際、システム導入によって解決したい課題や達成したい目標を、数値化しながら設定することが重要です。

また、関係部署へのヒアリングを行い、現場のニーズを把握することも求められます。現場の実態に即した問題が分かれば、自ずとどのサービスが必要か見えてくるでしょう。

必要な機能を洗い出して優先順位をつける

解決したい課題が明確になったら、それを解決するために必要な機能は何か、あれば便利な機能は何かをリストアップしましょう。機能の要件は「必須」「重要」「あれば良い」に分類し、優先順位をつけると選定がしやすくなります。多機能すぎても使いこなせない場合があるため、本当に必要な機能に絞り込むことが大切です。

ただし、将来的な事業展開も見据え、拡張性のある機能が搭載されているか確認する必要があります。3年から5年先の事業計画を考慮し、長期的な視点でのシステム選定を行いましょう。

料金プランと契約期間を確認する

機能面を評価した後は、初期費用、月額費用、オプション費用など、総コストを把握して予算と比較しましょう。ユーザー数やデータ容量に応じた料金体系か、自社の規模に適しているかの確認が必要です。

また、将来の組織拡大や取引増加を見込んで、費用のシミュレーションも実施すべきです。最低利用期間や解約条件も事前にチェックし、不要だとなった際のリスクも把握しておきましょう。

サポート体制とセキュリティをチェックする

次に、導入時の設定サポートや運用開始後の問い合わせ対応など、サポート内容を確認しましょう。この際、24時間365日のサポート体制や日本語対応の有無、レスポンス時間なども重要です。データのバックアップ体制や障害発生時の対応、情報漏洩対策などのセキュリティ対策を評価します。

また、ISO27001やプライバシーマークなどの認証取得状況も確認しましょう。第三者による認証のため、信頼性高さSLA（サービス品質保証）の内容を確認し、システムの安定稼働が期待できるか見極めます。

無料トライアルで操作性や適合性を試す

最後に、無料トライアルを活用し、実際にシステムを操作して、画面の見やすさや使い勝手を確かめましょう。直感的な操作が可能か、現場担当者が短期間で習得できるレベルかを評価します。自社の業務フローにシステムが適合するか、現場担当者も交えて検証するべきです。

実際の業務シーンを想定したテストケースを作成し、システムの実用性を確認すると良いでしょう。無料トライアル期間中に疑問点を解消し、導入後のミスマッチを防ぎます。

クラウド型販売管理システム導入前の注意点

ここまで、クラウド型販売管理システムの選び方を解説しました。それに加えて、導入時にはいくつかの注意点を押さえておきましょう。

クラウド型販売管理システムを導入する前の注意点は、以下のとおりです。

ここでは、上記の注意点について詳しく解説します。

データ移行の方法と期間を計画する

既存システムからのデータ移行は可能か、どのような手順で行うのかを確認しましょう。データフォーマットの互換性や移行ツールの有無、カスタマイズが必要な場合の工数と費用を事前に把握します。データ移行にかかる時間やコスト、必要な人員を事前に見積もっておくことが大切です。

また、移行作業の複雑さやデータ量に応じて、専門業者への委託も検討する必要があります。移行データが非対応だったということにならないように、移行の検証もすべきです。

導入後の運用体制と教育方法を準備する

システム導入後の運用ルールを定め、社内への周知徹底と教育研修を実施しましょう。データ入力方法、承認フロー、レポート作成手順などを標準化することで、従業員の不安を払しょくできます。誰がシステム管理者となるのか、問い合わせ窓口をどうするかなど、体制の構築が必要です。

この際、責任分担を明確にし、トラブル発生時の対応フローを事前に確立しましょう。スムーズな定着のためには、操作マニュアルの整備や定期的なフォローアップを検討すべきです。

カスタマイズの可否と範囲を把握する

自社の特殊な業務要件に合わせてカスタマイズが可能か、その範囲と費用を確認します。標準機能でカバーできない業務があるかを洗い出し、必要なカスタマイズを明確にすることが重要です。

過度なカスタマイズはコスト増大やアップデート時の不具合リスクにつながるため、注意が必要です。メンテナンス性や将来の拡張性を考慮し、バランスの取れたカスタマイズ方針を策定すべきでしょう。

標準機能でどこまで対応できるかを見極め、カスタマイズは最小限に抑えるのが理想です。業務プロセスの見直しにより、カスタマイズなしでも効率化を実現できる場合も多いため、柔軟な検討が必要になります。

サービス障害時の対応策を確認する

システム障害やサーバーダウンが発生した場合の復旧時間や、対応フローも確認しましょう。SLAに明記された復旧目標時間や補償内容を理解し、業務への影響度を評価します。加えて、ベンダーのサポート体制や連絡手段、データの保全策について事前に把握しておきましょう。

万が一の事態に備え、自社でも業務継続計画（BCP）を検討しておくことが望ましいです。代替手段やバックアップ体制を整えておけば、システムがダウンしたときでも事業を継続しやすくなります。

クラウド型販売管理システム導入で、業務の質を向上させよう

クラウド型販売管理システムは、自社サーバーが不要なため、オンプレミス型に比べて、低コストで導入できます。場所を選ばずアクセスでき、他システムとの連携がしやすいのもメリットです。

適切なクラウド型販売管理システムを選び導入することで、販売業務を効率化できます。自社のニーズと問題点を把握したうえで、必要十分な機能かつ現場が使いやすいシステムを選ぶことが大切です。本記事を参考に、自社に最適なシステムを見極め、業務の効率と品質を向上させましょう。