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エクセルで販売管理を行う方法は? メリット・デメリットと作成手順を解説

エクセルで販売管理を行う方法は? メリット・デメリットと作成手順を解説

販売管理は、商品販売を行う企業の中核を担う業務です。効率的な管理業務をしたくても、販売管理システムはコストが高く、気軽に導入できるものでもありません。そこで、従来の業務で使い慣れたエクセルで販売管理を行おうと考える企業も多いのではないでしょうか。

本記事では、エクセルで販売管理を行うメリット・デメリットや作成手順、運用時の注意点などを詳しく解説します。


エクセルで販売管理を行うメリット

エクセルを使って販売管理を行うメリットは、以下のとおりです。

  • 導入コストを抑えて、販売管理を始められる
  • 特別なスキルがなくても、操作に早く慣れる
  • 自社の業務フローに合わせて、柔軟に項目を設計できる

以下で、詳しく見ていきましょう。

導入コストを抑えて、販売管理を始められる

エクセルはすでに多くのPCにインストール済みのため、新たなソフトウェア購入費用が発生しません。専用システムと比較して、ライセンス料や保守費用といったランニングコストも不要です。これにより、特に予算の限られる中小企業やスタートアップ企業にとって、導入のハードルが低くなります。

また、追加機能が必要になった場合でも、エクセルの標準機能やアドインを活用することで対応できるケースが多く、段階的なシステム拡張も可能です。初期投資を最小限に抑えながら販売管理を開始したい企業にとって、エクセルは有効な選択肢でしょう。

特別なスキルがなくても、操作に早く慣れる

エクセルは表計算ソフトとして広く普及しており、基本的な操作方法を多くの人が習得済みです。関数やグラフ作成など、少しの学習で応用的な機能も使えるため、高度な専門知識は必須ではありません。

そのため、エクセルをある程度使いこなせる人であれば、基本的な販売管理表の作成は問題ないでしょう。また、新しいシステムの導入に伴う研修コストや習得時間が必要ないのもメリットです。

自社の業務フローに合わせて、柔軟に項目を設計できる

エクセルでは、管理項目、計算式、帳票レイアウトなどを自社の業務に合わせて自由に設計できます。市販システムでは対応が難しい特殊な管理指標や、独自の分析帳票も比較的簡単に作成可能です。

また、事業の成長や業務プロセスの変更に応じて、管理表を柔軟に修正・改善しやすい点もメリットです。例えば、季節性のある商品を扱う企業では時期別の分析項目を追加したり、BtoB企業では取引先ごとの与信管理項目を組み込んだりと、業界や事業特性に応じたカスタマイズができます。


エクセルで販売管理を行うデメリット

ここまで、エクセルで販売管理を行うメリットを紹介しました。一方で、エクセルによる販売管理には、いくつかの制約や課題も存在します。

エクセルで販売管理を行うデメリットは、以下のとおりです。

  • データ量が増えると、ファイルの動作が重くなりやすい
  • 作成者以外には分かりにくく、情報共有が進まない
  • 手入力によるミスや数式の誤りが起こりやすい
  • 同時編集が難しく、複数人での作業効率が上がりにくい

ここでは、上記のデメリットについて詳しく見ていきましょう。

データ量が増えると、ファイルの動作が重くなりやすい

エクセルは大量のデータを処理する設計ではないため、取引件数が増えると動作が著しく遅くなります。数万行を超えるようなデータを扱う場合、ファイルの起動や数式の再計算に時間を要するようになるでしょう。

これにより、作業効率の低下を招き、最悪の場合はフリーズしてデータが破損しかねません。特に、複雑な関数やマクロを多用している場合、処理速度はより顕著に低下します。

作成者以外には分かりにくく、情報共有が進まない

エクセルファイルは個人のPCや特定の共有フォルダに保存されるため、属人化しやすい傾向があります。複雑な関数やマクロが使用されている場合、作成者以外が内容を理解して、修正するのは困難です。

そのため、担当者の不在時や異動時に業務が滞りやすく、組織的な情報共有の妨げとなります。また、ファイルの構造や操作方法が明文化されていないことが多く、引き継ぎ時のトラブルの原因にもなりがちです。

手入力によるミスや数式の誤りが起こりやすい

エクセルへのデータ入力は基本的に手作業で行われるため、入力ミスや転記ミスが発生しやすいです。設定した数式に誤りがあった場合、それに気づかずに誤った集計結果に基づいて判断する危険があるでしょう。

こういったヒューマンエラーは、在庫数の不一致や請求金額の間違いなど、業務上の問題に直結します。特に、急いでいる時や大量のデータを処理する際には、ミスの発生率が高くなる傾向にあります。

同時編集が難しく、複数人での作業効率が上がりにくい

エクセルファイルは、基本的に複数ユーザーによる同時編集に対応しておらず、更新作業の待ち時間が発生しやすいです。誰かがファイルを開いている間、他の利用者は閲覧のみ可能となり、共同作業の効率が大きく低下してしまいます。

そのため、リアルタイムな情報共有や迅速なチーム対応が求められる業務には不向きです。特に、営業チームが多い企業や、複数部署で同じデータを更新する必要がある場合には深刻な問題となります。


エクセルで販売管理表を作成する方法

ここまで、エクセルによる販売管理のメリット・デメリットを紹介しました。では、具体的にどうやって販売管理を行うのでしょうか。

エクセルで販売管理表を作成する手順は、以下のとおりです。

  • 販売管理で記録・分析したい情報を洗い出す
  • 売上管理表や顧客リストなど、基本シートを作成する
  • 関数や数式を設定して、集計や計算を自動化する
  • 入力規則やプルダウンリストで誤入力を防ぐ
  • ピボットテーブルでデータを集計し、分析に活用する

ここでは、上記の手順を解説していきます。

販売管理で記録・分析したい情報を洗い出す

まず、自社の販売業務においてどのような情報を管理し、分析に活用したいのかを明確にしましょう。例えば、顧客情報、商品情報、受注日、納品日、売上金額、担当者などです。

この洗い出しを丁寧に行うことで、後からの大幅な修正や項目追加の手間を省くことができます。また、業務フローを詳細に分析し、どの段階でどのような情報が必要になるかを整理することが重要です。

売上管理表や顧客リストなど、基本シートを作成する

洗い出した情報に基づき、「受注管理表」「商品マスタ」「顧客マスタ」といった基本シートを設計します。各シートの1行目には管理項目名(列ヘッダー)を配置し、データ入力しやすいように書式を整えましょう。

この際、シート間で情報を参照しやすくするために、顧客IDや商品コードなどの共通キーを設けることが重要です。

また、シート名は分かりやすく命名し、色分けなどの視覚的な工夫も加えると、操作性の向上につながります。

関数や数式を設定して、集計や計算を自動化する

次に、集計作業を効率化するため、関数や数式を活用して計算の自動化を進めます。例えば、SUMIF関数で条件に合う売上を合計したり、VLOOKUP関数で商品マスタから単価を自動表示させたりしましょう。

さらに、IF関数や日付関数などを組み合わせれば、より複雑な条件分岐や自動的な期間集計が可能です。関数を効果的に使うことで、リアルタイムな売上の見える化や、期間比較などの分析も手軽に行えるようになります。

入力規則やプルダウンリストで誤入力を防ぐ

データ精度を高めるためには、「データの入力規則」機能を使い、日付形式や数値範囲を指定して不正なデータ入力を制限しましょう。商品名や取引先名などは、あらかじめリストを作成し、プルダウンから選択させることで表記ゆれを防げます。

これらの設定は、データの正確性を高め、後の集計や分析におけるエラー発生を抑制するのに有効です。入力時のガイダンスメッセージも設定すれば、初めての利用者でも分かりやすく入力できます。

ピボットテーブルでデータを集計し、分析に活用する

ピボットテーブルを利用すれば、大量の販売データから必要な情報を、ドラッグ&ドロップ操作で集計可能です。月別売上、顧客別売上ランキング、商品別販売数量など、さまざまな角度からのクロス集計が瞬時に行えます。

集計結果を基にグラフを作成すれば、売上の傾向や課題点を視覚的に把握しやすいです。なお、ピボットテーブルの更新機能で、新しいデータが追加されても、簡単に最新の分析結果を得られます。


エクセルで販売管理を行う際の注意点

ここまで、エクセルで販売管理を行う方法を説明しました。エクセルで効果的に販売管理を行うためには、運用上の注意点も理解しておきましょう。

  • 定期的なバックアップを実施する
  • 入力ルールを明確にする
  • パスワード設定やアクセス権限を管理する
  • データ量や利用人数の限界を把握しておく

ここでは、上記の注意点について解説します。

定期的なバックアップを実施する

エクセルファイルは予期せぬエラーや操作ミスで破損する可能性があるため、定期的なバックアップが欠かせません。ファイル名に日付やバージョン情報を付加するルールを定め、複数のバックアップを世代管理します。

バックアップファイルは、PC本体とは異なる場所(外部ストレージやクラウドなど)に保存するのが理想的です。また、自動バックアップ機能を活用することで、作業者の負担を軽減しながらデータ保護を行えます。

入力ルールを明確にする

エクセルの販売管理ファイルを複数人で扱う場合、日付の書式(例:yyyy/mm/dd)、数値の単位、テキストの全角半角など、データ入力ルールを統一しましょう。特に、複数人でファイルを共有して使用する場合は、全員がルールを理解し、遵守するように周知してください。

入力ルールは文書化して共有し、新しい利用者に対する教育も継続的に実施することが大切です。

パスワード設定やアクセス権限を管理する

販売データなどの機密情報を含むエクセルファイルには、必ずパスワードを設定してください。共有サーバーでファイルを管理する場合は、参照のみ、編集可能など、担当者に応じてアクセス権限を設定しましょう。

これらのセキュリティ対策は、不正な閲覧や改ざん、情報漏洩のリスクを低減するために重要です。また、定期的なパスワードの変更や、退職者のアクセス権限削除なども忘れずに行います。

データ量や利用人数の限界を把握しておく

エクセルでの販売管理は、取り扱うデータ量が増加したり、利用人数が増えたりすると限界が生じます。例えば、動作速度の低下、ファイル破損リスクの増大、リアルタイムな情報共有の困難さなどです。

業務規模の拡大に伴い、これらの問題が顕著になった場合は、専用システムへの移行を検討しましょう。目安として、月間取引件数が1,000件を超える場合や、同時利用者が5名を超える場合には注意が必要です。


エクセルを使った販売管理で、業務効率を向上させよう

エクセルを活用した販売管理は、導入コストを抑えながら販売管理を効率化するのに有効な手段です。特に中小企業やスタートアップにとって、特別なスキルを必要とせず、低コストで始められるのは魅力的でしょう。

ただし、データ量の増大や複数人での同時利用には限界があるため、業務規模に応じた判断が重要です。

本記事で紹介した作成手順や注意点を参考に、自社に最適な販売管理システムを構築してください。将来的にはデータ量や利用人数の拡大を見越して、専用の販売管理システムの導入も検討しておきましょう。

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