このページはJavaScriptを使用しています。JavaScriptを有効にして、対応ブラウザでご覧下さい。

安全書類の保管期間を徹底解説|書類別の期間一覧と正しい管理方

安全書類の保管期間を徹底解説|書類別の期間一覧と正しい管理方

建設現場で作成される安全書類には、法律で定められた保管期間があることをご存知でしょうか。書類の種類によって3年から30年以上まで保管期間は異なり、適切な管理を怠ると罰則の対象となります。

本記事では、書類別の安全書類の保管期間や効果的な保管方法、保管する際の注意点を解説します。安全書類の適切な保管期間や管理方法が知りたい方は、ぜひ参考にしてください。


この記事の監修者
マネーライフワークス  代表/社会保険労務士・1級FP技能士・CFP 

安全書類の保管期間とは? 法律上の義務と起算日

安全書類の保管は、単なる社内ルールではなく、労働安全衛生法をはじめとする各種法令で定められた義務です。保管期間の正しい理解と、起算日の適切な把握は、企業のコンプライアンス遵守に直結する重要事項といえるでしょう。

ここでは、保管義務の根拠と具体的な運用方法について解説していきます。

安全書類を保管すべき理由

安全書類の保管は、労働安全衛生法などの法律で定められた事業者の義務です。労災発生時の原因究明や再発防止策の検討、行政への報告で不可欠な資料となります。

書類の適正な保管は、企業のコンプライアンス遵守の姿勢を示すとともに、従業員の安全を守る体制が整っていることを証明しているのです。また、過去の作業記録や健康診断結果は、労働者の健康被害が発生した際の因果関係を明らかにする重要な証拠にもなります。

保管期間の起算日

保管期間の起算日は、原則としてその書類が関わる工事が終了した日から計算されます。書類によっては健康診断の実施日など、個別の起算日が定められている場合があるので、注意が必要です。

起算日の解釈を誤ると、保管期間が不足する恐れがあるため、書類ごとの規定を正確に確認しましょう。例えば、作業主任者選任記録は選任日から、健康診断個人票は診断実施日から起算するなど、書類の性質により異なります。

保管義務に違反した場合の罰則

労働安全衛生法では、書類の保管義務違反に対して50万円以下の罰金が科される可能性があります。罰則だけでなく、建設業法に基づく監督処分や公共事業の指名停止につながるリスクも存在するでしょう。

適切な保管は、罰則を避けるだけでなく、企業の社会的信用を維持するためにも不可欠です。書類の紛失や保管期間不足が発覚した場合、行政指導を受けるだけでなく、取引先からの信頼も失いかねません。


書類別・安全書類の保管期間一覧

安全書類の保管期間は、書類の種類や内容によって大きく異なります。

ここでは、3年、5年、30年以上の3つの保管期間ごとに、保管が義務付けられている書類を見ていきましょう。

3年間の保管が義務付けられている書類

以下の書類は、3年間の保管が義務付けられています。

  • 労働者死傷病報告書
  • 建設機械の特定自主検査記録
  • クレーンや移動式クレーンなどの定期自主検査記録
  • 安全衛生委員会の議事録
  • 作業主任者を選任した際の記録

これらの書類は、日常的な安全管理活動の記録として、比較的短期間の保管で済むものが中心です。

5年間の保管が義務付けられている書類

5年間の保管が対象の書類は、従業員の健康診断個人票や特定化学物質に関する作業記録などです。有機溶剤や鉛を扱う作業者の健康診断個人票など、特殊な健康診断の記録が主に含まれます(※特定化学物質等作業記録は30年保管の対象となる場合があり)。

これらの書類は、従業員の長期的な健康管理と作業環境の改善に役立ちます。化学物質による健康被害は、即座に現れないケースも多く、経年変化を追跡するために保管が欠かせません。

30年以上の長期保管が義務付けられている書類

アスベスト(石綿)や特定化学物質に関する作業記録、健康診断個人票は30年以上の長期保管が義務付けられています。

石綿による健康被害は潜伏期間が非常に長く、石綿関連疾患は暴露から20年~40年後に発症することもあります。そのため、極めて長期間の記録保存が不可欠です。

対象労働者の離職後も保管を続ける必要があり、他の書類とは別に厳重な管理が求められます。


安全書類の効果的な保管方法

安全書類を法定期間中、確実に保管するためには、体系的な管理方法の導入が不可欠です。例えば、以下の保管方法が挙げられます。

  • フォーマットやルールを設定して、管理する
  • 類管理システムを導入して、電子化する
  • 保管期限をラベリングして、廃棄漏れを防ぐ

ここでは、おすすめの保管方法について解説していきます。

フォーマットやルールを設定して、管理する

紙の書類は、現場別・年度別にインデックスを付け、誰でも探せる状態にしておきましょう。背表紙に工事名や保管期限を明記した統一フォーマットのファイルを使うと、視覚的に管理しやすくなります。

ほかにも、書類の重要度に応じて色分けするなど、独自のルールを設けることで検索性がさらに向上します。例えば、3年保管は青、5年保管は黄、30年以上は赤といったように、一目で保管期間が分かる工夫が有効です。

書類管理システムを導入して、電子化する

書類管理システムを導入すれば、電子帳簿保存法の要件を満たしつつ、安全にデータを保管することが可能です。キーワード検索機能によって、膨大な書類の中から必要な情報を瞬時に見つけ出せます。

また、アクセス権限の設定やログ管理機能で、不正な閲覧や持ち出しを防ぎ、セキュリティを強化できるのも魅力です。クラウド型のシステムであれば、災害時のリスク分散にもなり、事業継続性の観点からも効果的でしょう。

保管期限をラベリングして、廃棄漏れを防ぐ

書類を保管する際は、ファイルや箱に保管期限を明記したラベルを貼ると、管理が楽になります。年度末などに定期的な棚卸しを行い、保管期限が過ぎた書類を確実に廃棄する計画を立てましょう。

廃棄予定リストを作成し、複数人でダブルチェックすることで、誤廃棄や廃棄漏れのリスクを減らせます。保管期限の1年前からアラート表示するなど、余裕を持った管理により、慌てることなく適切な処理が可能です。


安全書類を保管する際の注意点

安全書類の保管で気を付けるべきポイントは、単に期間を守るだけではありません。以下の注意点も意識しましょう。

  • 保管場所のセキュリティを確保する
  • 下請業者の書類も管理・指導する
  • 保管期間が過ぎた書類は、適切に廃棄する

ここでは、上記の3つの注意点について解説します。

保管場所のセキュリティを確保する

安全書類には個人情報が多く含まれるため、施錠管理など情報漏洩対策を徹底しましょう。万が一の紛失や盗難は、個人情報保護法違反に問われるリスクがあり、企業の信頼を大きく損なう恐れがあります。

アクセス権限を設定し、閲覧できる担当者を限定することも、効果的なセキュリティ対策の1つです。保管場所への入退室記録を残し、定期的な棚卸しで書類の所在を確認する体制づくりも欠かせません。

下請業者の書類も管理・指導する

元請事業者は、現場全体の安全衛生を確保する責任(統括管理義務)を負っています。そのため、下請業者が作成した安全書類の内容を確認し、適切に管理・指導することが極めて重要です。

労災発生時の原因究明や行政への報告では、下請業者の書類も必要となるため、元請事業者は写しを保管するなど、現場全体の書類をいつでも確認できる体制を整えておく必要があります。

保管期間が過ぎた書類は、適切に廃棄する

保管期間を過ぎた書類は、個人情報や機密情報が漏れないよう確実に廃棄しなければなりません。シュレッダー処理が最も一般的ですが、量が多い場合は、専門の溶解処理業者に依頼するのが安全です。

安全書類を安易に一般ゴミとして捨てると、情報漏洩のリスクがあるため、廃棄ルールを社内で徹底することが重要となります。廃棄証明書を取得し、いつ、どの書類を、どのような方法で廃棄したかの記録を残すのも大切です。


安全書類の保管期間に関する、よくある質問

安全書類の保管については、企業規模や業態によりさまざまな疑問が生じます。

ここでは、よく寄せられる質問とその回答について解説していきます。

一人親方でも書類の保管は必要?

一人親方であっても、安全書類の保管は必要です。労働安全衛生法に基づき、作業内容に応じて3年~5年の保管義務があります。

元請からの確認や再発注時にも提出が求められるため、きちんと保管しておきましょう。一人親方は個人事業主として、自身の安全管理責任を果たす責任があり、書類保管もその一環となります。

書類を紛失してしまったらどうする?

書類の紛失に気づいた際は、まずは再作成が可能かを確認し、速やかに関係各所へ報告しましょう。再作成が困難な場合は、紛失の経緯や再発防止策をまとめた報告書を作成しておきます。

紛失を隠蔽せず、誠実に対応することで、行政指導やトラブル時のリスクを最小限に抑えられます。関係者への聞き取りや残存資料からの復元など、可能な限りの情報収集も大切です。


安全書類を正しく保管して、コンプライアンスを徹底しよう

安全書類の保管は、労働安全衛生法で定められた事業者の重要な義務です。書類の種類により、3年から30年以上まで保管期間が異なるため、自社の書類がどれに当てはまるのか確認しましょう。もし適切な保管を怠れば、罰則だけでなく、企業の信頼失墜や労災時の補償問題につながるリスクがあります。

書類の効果的な保管方法として、統一フォーマットでの管理、電子化システムの導入、保管期限のラベリングなどがおすすめです。また、セキュリティ対策や下請業者の書類管理、適切な廃棄処理にも注意を払ってください。本記事を参考に、安全書類を適切に保管し、自社のコンプライアンスを徹底していきましょう。


この記事に関連する最新記事

おすすめ書式テンプレート

書式テンプレートをもっと見る

監修者プロフィール

author_item{name}

岡崎 壮史

マネーライフワークス 代表/社会保険労務士・1級FP技能士・CFP

生命保険の営業や不動産会社の営業企画を経て、1級FP技能士とCFPを取得。

平成28年に社会保険労務士試験に合格。その翌年にマネーライフワークスを設立。

現在は、助成金申請代行や助成金の活用コンサルを中心に、行政機関の働き方改革推進事業のサポート事業や保険などの金融商品を活用した資産運用についてのサイトへの記事の執筆や監修なども行っている。

この監修者の他の記事(全て見る

テーマ/キーワードから記事を探す

カテゴリ別テーマ一覧へ

フリーワードで探す

bizoceanジャーナルトップページ