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帳票管理の効率化ガイド! 電子帳簿保存法への対応と失敗しない管理ルール

帳票管理の効率化ガイド! 電子帳簿保存法への対応と失敗しない管理ルール

企業活動において日々発生する帳票の管理は、経理業務のなかでも特に重要な業務の1つです。請求書や領収書、契約書などの書類を適切に管理することは、法令遵守だけでなく、業務効率化や内部統制の強化にも直結します。

しかし、電子帳簿保存法の改正やインボイス制度の導入により、帳票管理のルールはますます複雑化しています。適切な管理方法を理解していなければ、法令違反や業務上のトラブルを起こしかねません。

本記事では、帳票管理の基礎知識から電子化のメリット、システム選びのポイントまで詳しく解説します。効率的な帳票管理のヒントを押さえて、安心して運用できる体制を整えましょう。


この記事の監修者
  公認会計士・税理士・ファイナンシャルプランナー 

帳票管理の基礎知識

帳票管理を適切に行うためには、まずは基本的な知識を正しく理解することが重要です。帳票の種類や役割、管理が不十分な場合のリスクを把握することで、効率的で安全な管理体制を整えられます。

以下では、帳票管理の基本として押さえておきたい4つのポイントを解説します。

帳票管理の業務とは?

帳票管理とは、企業活動に伴い発生する伝票や証憑書類などの各種文書を適切に作成、保存、廃棄するまでの一連のプロセスを指します。管理の範囲は単なる保管に留まらず、必要な時に即座に検索できる状態の維持や、法定保存期間に基づいた機密情報の適正な処理まで含まれます。

正確な帳票管理を行うことで、企業の財務状況を透明化し、税務当局や株主などのステークホルダーに対して経営の信頼を示すことが可能です。

一見地味な作業に思える帳票管理ですが、実際には企業経営の根幹を支える、欠かせない業務となっています。

帳票の種類とそれぞれの役割

帳票は大きく、「帳簿」「伝票」「証憑(しょうひょう)書類」の3つに分類されます。

帳簿には仕訳帳や総勘定元帳、現金出納帳などがあり、企業の財政状態を把握するための基礎資料となります。日々の取引内容を体系的に記録し、決算書作成や税務申告の根拠となる重要な書類です。

伝票は、入金伝票・出金伝票・振替伝票など、個々の取引を記録するための一次資料にあたります。取引発生のタイミングで作成され、後から帳簿へ転記することで、記録の正確性を担保します。

見積書や納品書などの証憑書類は、外部との取引における権利義務関係を確定させ、トラブル発生時の法的根拠として重要な役割を担う書類です。

帳簿 仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳、売掛金元帳など
伝票 入金伝票、出金伝票、振替伝票、売上伝票など
証憑書類 請求書、領収書、見積書、納品書、契約書など

各帳票は作成目的や参照頻度が異なるため、種類ごとに適切な分類を行い、後から誰でも目的の書類を特定できる仕組み作りが欠かせません。

証憑書類と帳簿書類の違い

証憑書類とは、領収書や契約書など、取引の事実を証明する「証拠となる書類」です。一方、帳簿書類は、総勘定元帳や仕訳帳といった取引内容を記録・集計するための「記録書類」を指します。両者は役割が異なるため、帳票管理では違いを正しく理解しておくことが重要です。

証憑書類は、外部から受け取るものや外部へ送付する控えが中心となります。それに対し、帳簿書類はこれらの証憑を基に社内で作成される公式な記録です。

帳簿の内容が正しいかどうかを確認するには、対応する証憑書類との照合が欠かせません。そのため、証憑書類と帳簿を紐付けて管理し、必要なときにすぐ確認できる状態を保つことが大切です。こうした管理を徹底すれば、税務調査や監査への対応も円滑に進められます。

帳票管理が適切に行われないことで生じるリスク

帳票を紛失したり改ざんが疑われたりすると、税務調査において青色申告の承認が取り消され、多額の追徴課税を課されるリスクがあります。さらに、重要な契約書や顧客情報が記載された帳票が流出すると、企業の信用が大きく損なわれ、損害賠償請求など法的責任を問われるケースも少なくありません。

管理ルールが不明確で書類の検索に時間がかかると、意思決定の遅延やバックオフィス業務の肥大化を招く可能性もあります。こうした事態が続けば、組織全体の生産性が低下し、競争力にも悪影響を及ぼすでしょう。

このように、帳票管理の不備は企業経営に深刻な影響を与える可能性があるため、適切な管理体制の構築が不可欠です。


帳票管理を行う主な方法

帳票管理の方法は、紙媒体による管理から最新のクラウドシステムまで多岐にわたります。

それぞれの方法にはメリットとデメリットがあり、自社の規模や業務内容に応じて最適な方法を選択することが重要です。

以下では、代表的な5つの管理方法について詳しく解説します。

  • 紙媒体によるバインダー・キャビネット管理
  • 自社サーバー(オンプレミス)内のデータ保存
  • クラウドストレージを活用した管理
  • 専用の帳票管理システム・電子帳簿保存法対応ソフト
  • アウトソーシング(外部倉庫・スキャン代行)を利用

紙媒体によるバインダー・キャビネット管理

紙媒体による帳票管理は、専用のIT環境が不要なため、導入しやすい方法です。一方で、書類の保管スペースの確保やファイリング作業に手間がかかり、管理コストが増えやすい傾向があります。

原本の視認性が高く注釈などを書き込みやすい反面、経年劣化による文字の消失や火災・災害による紛失リスクを常に考慮しなければなりません。

また、アクセス権限の管理は施錠可能なキャビネットや入退室管理に依存します。そのため、組織規模が大きくなるほど、物理的なセキュリティ対策にかかるコストや運用負担が必要です。

紙管理は運用がシンプルで分かりやすい反面、書類量が増えるほど検索性が低下し、業務効率の面で限界が見えてくる管理手法と言えます。

自社サーバー(オンプレミス)内のデータ保存

自社サーバーで帳票データを管理する方法は、社内のネットワークポリシーに合わせて柔軟にカスタマイズできる点が特徴です。アクセス権限の細かな設定や独自のセキュリティ対策を構築しやすく、高い安全性を確保しながら運用できます。

自社で資産を保有するため、月々のサービス利用料は抑えられますが、サーバー機器の保守やOSのアップデートなどの運用負荷がIT部門に集中するので注意が必要です。また、災害発生時に社内サーバーが物理的に損傷するとデータ復旧が困難になるため、遠隔地へのバックアップ作成など高度なBCP対策が欠かせません。

セキュリティを最優先する企業には適した選択肢ですが、運用体制の整備が前提条件と言えます。

クラウドストレージを活用した管理

クラウドストレージなら、インターネット環境を利用してどこからでもアクセスでき、テレワークや拠点間での情報共有が劇的に効率化されます。

サーバーの運用・保守はサービス提供事業者が担うため、自社でインフラを構築・管理する必要がありません。セキュリティアップデートも自動で反映されるケースが多く、運用負担を軽減しながら安全性を確保しやすい点が魅力です。

料金体系は、利用人数やデータ容量に応じた従量課金制が多く、初期費用を抑えて導入しやすい傾向があります。一方で、データ量の増加に伴いランニングコストが膨らむ可能性もあるため、長期的な費用試算が必要です。

クラウドサービスの選定時には、ベンダーのセキュリティ体制や稼働実績を慎重に評価してください。

専用の帳票管理システム・電子帳簿保存法対応ソフト

専用システムは電子帳簿保存法の要件を網羅した設計になっており、タイムスタンプ付与や高度な検索機能によって法令遵守を強力にサポートします。

会計ソフトや販売管理システムと連携することで、帳票の自動取り込みや仕訳データとの紐付けも可能です。手入力を削減できるため、入力ミスの防止や作業時間の短縮にも効果を発揮します。

さらに、ワークフロー機能が搭載されている製品を選べば、作成から承認、保管、廃棄までのライフサイクルを一元管理でき、ガバナンスの強化につながります。

本格的な電子化やペーパーレス化を進めたい企業には、専用システムの導入が特に効果的な選択肢です。

アウトソーシング(外部倉庫・スキャン代行)を利用

外部倉庫サービスを活用すれば、オフィス内の貴重なスペースを圧迫している大量の過去書類を、セキュリティの担保された安価な環境で保管できます。

スキャン代行サービスを併用することで、膨大な紙の帳票を専門業者が短期間で電子化してくれます。これにより、自社で人手や時間をかけずに、ペーパーレス化を効率よく進められるのです。

また、書類の集荷から廃棄までの一連の流れを委託できるため、管理業務の外出しによって自社の社員はより付加価値の高いコア業務に専念できます。

社内リソースが限られている企業にとって、アウトソーシングの活用は帳票管理を効率化する有効な選択肢です。


帳票管理の電子化によるメリット

帳票管理を電子化することで、企業はさまざまなメリットを享受できます。

ここでは、電子化によって得られる8つの主要なメリットを解説します。

  • 必要な書類を即座に参照できる
  • 保管スペースとコストを削減できる
  • 内部統制が強化され、不正・紛失を防止できる
  • バックオフィス全体の業務生産性が向上する
  • 税務調査や監査への対応がスムーズになる
  • テレワークなど、多様な働き方に対応しやすくなる
  • 事業継続計画(BCP)対策を強化できる
  • 最新の法令改正へ柔軟かつ迅速に対応できる

必要な書類を即座に参照できる

帳票を電子管理することで、日付や取引先名などのキーワード検索が可能です。段ボールやファイルを探し回る必要がなくなり、書類探しにかかる無駄な時間を大幅に削減できます。

過去の取引内容を数秒で特定できるため、顧客からの問い合わせに対する回答スピードが向上します。対応品質が安定することで、業務効率の向上だけでなく、企業の信頼性や顧客満足度の向上にもつながるでしょう。

さらに、監査や税務調査の際にも必要な帳票をすぐに提示できるため、確認作業が滞る心配がありません。調査がスムーズに進むことで、担当者の心理的・物理的負担を軽減でき、通常業務への影響も最小限に抑えられます。

保管スペースとコストを削減できる

帳票を電子化することで、これまでオフィスを占有していたキャビネットの設置スペースや、外部倉庫のレンタル費用を削減できます。固定費の圧縮ができ、オフィスを有効活用しやすくなる点がメリットです。

さらに、紙代やトナー代、封筒代、郵送費といった事務コストを抑えられます。印刷や仕分け作業にかかっていた人件費の削減にもつながり、全体的な業務コストの見直しを進めやすくなるでしょう。

加えて、環境負荷の低減を推進する企業姿勢を社内外に示すことができ、ESG経営(※)の観点からもポジティブな評価を得られるという副次的なメリットがあります。

※「環境(Environment)」「社会(Social)」「企業統治(Governance)」の3つの観点を重視する、長期的な持続可能性と企業価値向上を目指す経営手法。

内部統制が強化され、不正・紛失を防止できる

システムによる権限管理で「誰がいつ書類を閲覧・更新したか」のログを記録できるため、不正な持ち出しやデータの改ざんに対する抑止力となります。万が一トラブルが発生した場合でも、履歴をさかのぼって原因を特定しやすく、監査対応や社内調査の効率化にもつながります。

紙の書類のように「机の上に放置されて紛失する」といった人的ミスがなくなり、機密性の高い財務情報や個人情報を安全に守ることが可能です。

さらに、承認プロセスをデジタル化することで、未承認のまま取引が進むのを防ぎ、社内規定に則った正しいフローが実行されていることを担保できます。

バックオフィス全体の業務生産性が向上する

帳票管理を自動化することで、これまで手作業で行っていたデータ入力やファイリング業務を削減できます。経理・総務担当者は単純作業から解放され、数値分析や業務改善の提案、内部統制の見直しといった付加価値の高い業務に注力することが可能です。

情報の共有スピードが上がることで部門間の連携がスムーズになり、決算業務の早期化や月次報告の迅速化といった経営判断のスピードアップにつながります。

自動化により、属人的な管理から脱却して業務フローを標準化できる点もメリットです。担当者の異動や退職が発生しても引き継ぎがスムーズに行え、業務品質を安定的に維持できます。

税務調査や監査への対応がスムーズになる

法的に求められる帳票が整理されていると、調査官に対して「管理体制が整っている企業」という好印象を与えやすくなります。これにより、不要な確認や追加調査が減り、余計な疑念を抱かれるリスクの抑制につながるのです。

複数の書類を関連付けて一括表示できるシステムを利用すれば、取引の一貫性を容易に証明でき、調査の期間短縮や指摘事項の最小化が期待できます。

さらに、電子帳簿保存法の要件を満たした形式で保存されていれば、提示を求められた際にデータのまま提出でき、大量のコピーを用意する手間も発生しません。大量のコピーやファイリング作業が不要になり、担当者の負担軽減やコスト削減にも貢献します。

テレワークなど、多様な働き方に対応しやすくなる

クラウド上で帳票を管理すれば、自宅や外出先からでも必要な書類を確認できるため、書類の確認のためだけに出社するという非効率な状況を解消できます。

さらに、電子承認(ワークフロー)を導入することで、物理的な押印のために出社する必要もありません。場所や時間に縛られない業務フローが整い、テレワークを組織全体でスムーズに運用できるようになります。

育児・介護などで在宅勤務を行う社員も、オフィス勤務者と同じ帳票やデータへの安全なアクセスが可能です。情報格差が生じにくくなることで、業務品質の均一化が進み、多様な人材の確保・定着にも好影響をもたらします。

事業継続計画(BCP)対策を強化できる

帳票データをクラウドや遠隔地のサーバーに保管することで、火災や震災などの物理的な災害が発生しても、重要書類の紛失や消失を防げます。

物理的な書類の損傷リスクを排除できるため、万が一オフィスが被災した場合でも、速やかに事業を復旧させて継続することが可能です。

加えて、定期的な自動バックアップ機能を活用すれば、誤操作やシステム障害によるデータ消失にも備えられます。過去の正常な状態へ迅速に復元できるため、業務停止リスクを最小限に抑えることが可能です。

最新の法令改正へ柔軟かつ迅速に対応できる

クラウド型の管理システムを利用すれば、電子帳簿保存法やインボイス制度などの頻繁な法令改正に合わせて、自動的に機能がアップデートされます。制度変更のたびにシステムを入れ替えたり、設定を大幅に見直したりする必要がなく、常に最新の要件に沿った運用が可能です。

また、自社で条文を読み解き、運用ルールを再設計する負担が軽減されるため、経理・総務担当者のリサーチ工数や確認作業の短縮にもつながります。専門知識への依存度が下がり、属人化の防止にも効果的です。

法的な要件を満たした形式でデータが自動保存されるため、人為的な法令違反のリスクを最小限に抑え、常に最新の規制に適合した運用を維持できます。


帳票管理を効率化する具体的な方法

帳票管理の効率化を実現するためには、具体的なアクションプランを策定し、段階的に実行していくことが重要です。

以下では、帳票管理を効率化するための具体的な方法を解説します。

  • 社内の帳票発行・受領フローを可視化する
  • 管理台帳を作成し、所在と担当者を明確にする
  • ファイリングのルールを統一する
  • 保存期間に基づいたライフサイクル管理を徹底する
  • スキャナ保存制度を活用して、紙の書類をデータ化する
  • 電子取引データの保存ルールを全社で共通化する

社内の帳票発行・受領フローを可視化する

まずは現状どの部署でどのような帳票が発生し、誰の承認を経て、最終的にどこへ保管されているのかという業務プロセスをフロー図として書き出しましょう。あわせて、紙・電子のどちらで運用しているか、保管期間やアクセス権限の有無なども洗い出しておくと、現状把握の精度が高まります。

業務の流れを可視化することで、ボトルネックとなっている無駄な工程や重複している確認作業を特定し、業務の簡素化に向けた具体的な改善案を策定できます。

さらに、全社的な書類の流れを把握することで、共通のプラットフォームで管理すべき帳票と、部門ごとに対応可能な帳票を明確に切り分けられ、帳票管理の最適化につなげることが可能です。

管理台帳を作成し所在と担当者を明確にする

帳票名、保管場所、保存期間、管理責任者などの情報を一覧化した管理台帳を作成し、常に最新の状態に更新し続ける運用体制を整えてください。

管理台帳によって「どの書類がどこにあるか」が可視化されることで、担当者が不在の場合でも必要な帳票へスムーズにアクセスできます。引き継ぎ時の混乱を防げるほか、業務の属人化を抑制できる点も大きなメリットです。

定期的な棚卸しを台帳に基づいて実施することで、所在不明の書類や保存期限切れの帳票を早期に発見できます。これにより、コンプライアンス強化と管理品質の安定化を図れるようになるのです。

ファイリングのルールを統一する

電子データの場合は「日付_取引先名_金額」といった統一されたファイル名のルールを定め、誰が保存しても同じ形式になるようガイドラインを整備しましょう。フォルダ構成も併せて統一しておくことで、検索性が向上し、必要な帳票を短時間で見つけやすくなります。

紙媒体の場合も、背表紙のラベル表記や色分けのルールを全社で統一することで、誰が見ても一目で中身が判断できる、視覚的な整理を行うことが可能です。部署ごとの独自ルールをなくすことが、混乱や探し間違いの防止につながります。

一度決めたルールを形骸化させないよう、定期的にルールの遵守状況を確認し、不適切な命名や分類がされている場合はその都度修正を促してください。

保存期間に基づいたライフサイクル管理を徹底する

税法上の保存期間(原則7年)や会社法上の保存期間(10年)など、各帳票に適用される法的期限を一覧化し、廃棄すべき時期を明確にしましょう。

保管開始時に廃棄予定日を設定し、期間が満了した書類から順次廃棄する仕組みを作ることで、保管コストの増大と情報漏洩リスクを最小化できます。定期的にアラートを出す仕組みを導入すると、廃棄漏れの防止に有効です。

また、重要度の低い書類は早期に廃棄し、重要な永年保存書類とは保管場所を分けることで、優先順位が明確になります。管理負荷を適切にコントロールできるため、帳票管理の精度向上にもつながるでしょう。

スキャナ保存制度を活用して、紙の書類をデータ化する

領収書や請求書などの紙の書類は、受け取ったらすぐにスキャナやスマートフォンで読み取り、電子データとして保存しましょう。こうすることで原本を破棄でき、保管スペースの節約やファイリング作業の軽減につながり、ペーパーレス化を推進できます。

スキャナ保存を行う際は、解像度やカラー設定、タイムスタンプの付与といった電子帳簿保存法が定める細かな要件を事前に確認し遵守してください。要件を満たしていない場合、税務調査で否認される可能性があるため注意が必要です。

さらに、データ化と同時にOCR(光学文字認識)機能を活用してテキスト情報を抽出しておけば、手入力の手間を抑えながら検索性を高められます。

電子取引データの保存ルールを全社で共通化する

メール添付やWebサイトからダウンロードした電子取引データは、電子帳簿保存法により紙に印刷せず、電子データの状態でそのまま保存することが義務付けられています。そのため、保存先となるフォルダやシステムをあらかじめ指定し、社内で統一した管理環境を整えましょう。

各社員が個人のPCやクラウドストレージにバラバラに保存することを禁じ、会社が指定した共有サーバーやシステムへ集約するルールを徹底してください。

あわせて、電子データの訂正や削除を禁止する事務処理規定を定め、操作履歴が確認できる体制を構築することも欠かせません。専用システムの導入が難しい場合でも、社内ルールの明確化によって法令に沿った運用を実現できます。


帳票管理における法令遵守のポイント

帳票管理において、法令遵守は最も重要な要素の1つです。

ここでは、法令遵守のために押さえるべきポイントを解説します。

  • 電子帳簿保存法の最新の要件
  • 法人税法や会社法で定められた法定保存期間を遵守する
  • 真実性を確保するためのタイムスタンプや訂正削除履歴を管理する
  • 可視性を確保するための検索条件を整える
  • インボイス制度に対応した登録番号の確認と保存を行う
  • 個人情報保護法に基づいた廃棄プロセスを構築する

電子帳簿保存法の最新の要件

電子帳簿保存法は頻繁に改正が行われるため、常に最新の情報を収集し、自社の管理体制が現在の法的要件を満たしているかを定期的に検証することが大切です。

特に電子取引データの保存義務化など、罰則が強化された項目については、故意の不正でなくても不備があれば罰則の対象となります。税理士や専門家のアドバイスを受けながら、法令に適合したシステム導入や社内規定の改訂を迅速に行い、コンプライアンスリスクの低減につなげましょう。

法改正の動向を継続的にチェックし、必要な対応を先回りして講じる姿勢を持つことが、安定した帳票管理の実現に役立ちます。

法人税法や会社法で定められた法定保存期間を遵守する

帳票の種類によって、法人税法(7年〜10年)や会社法(10年)など、異なる保存期間が設定されているため、最も長い期間を基準に管理するのが安全です。欠損金がある年度の帳票は保存期間が10年に延長されるなど、会社の状況によって期間が変動する例外的なルールについても、正確に把握しておきましょう。

また、保存期間の起算日は「申告期限の翌日」から計算されるため、単なるカレンダー年度ではなく、税務上の正しい起算点を基に管理を行ってください。

起算日を誤ると、保存期間内の書類を誤って廃棄してしまうリスクがあるため、保存期間を一覧化した管理表の作成など、管理を徹底する必要があります。

真実性を確保するためのタイムスタンプや訂正削除履歴を管理する

帳票データが改ざんされていないことを証明するためには、認定を受けたタイムスタンプを付与する、または訂正・削除履歴が自動的に記録されるシステムを活用することが有効です。

やむを得ずシステムを導入できない場合でも、データの訂正や削除に関するルールを定めた「事務処理規定」を適切に運用し、運用状況を証跡として残す体制を構築しておきましょう。

情報の書き換えが不可能な状態で保存されることで、社内不正の防止だけでなく、税務調査や監査などの外部確認においても、データの正確性を客観的に説明しやすくなります。

可視性を確保するための検索条件を整える

電子帳簿保存法では、「取引年月日」「取引金額」「取引先」の3項目でデータを範囲指定・組み合わせ検索できる環境の整備が求められます。帳票管理システムを活用し、誰でも必要な書類へ迅速にアクセスできる状態を整えましょう。

システムを導入していない場合は、ファイル名にこれらの要素を含めるか、Excelで索引簿を作るなど、検索性を高める工夫が欠かせません。

税務調査官からデータのダウンロードを求められた際、速やかに提出できる体制を維持しておくことが、可視性を確保するうえでの重要なポイントです。

インボイス制度に対応した登録番号の確認と保存を行う

適格請求書(インボイス)として保存する場合、発行元の登録番号が有効であるかを確認し、要件を満たした形式で適切に管理しなければなりません。登録番号の確認を習慣化することで、インボイス制度への対応漏れを防ぎ、帳票管理の精度向上にもつながります。

仕入税額控除を受けるためには、保存されている帳票がインボイスの記載要件を満たしていることが不可欠であり、確認を怠ると納税額が増大する恐れがあります。

受領したインボイスを登録番号ごとに自動分類できるシステムを活用し、手作業による確認漏れや分類ミスを未然に防ぐ体制を構築しましょう。

個人情報保護法に基づいた廃棄プロセスを構築する

氏名や住所などの個人情報が記載された帳票を廃棄する際は、内容を完全に読み取れない状態にすることが必須です。シュレッダー処理や専門業者による溶解処理を徹底することで、情報漏えいリスクを抑えた安全な帳票廃棄につながります。

電子データについても、単なるゴミ箱への移動ではなく、復元不可能な方法でデータを完全消去し、廃棄した事実をログとして記録に残してください。

廃棄を外部業者へ委託する場合は、廃棄証明書の発行を必ず求めましょう。委託先が確実に処理を実行したことを確認するまでのフローを標準化することで、トラブルの発生防止につながります。


帳票管理システム・ツールの選び方

自社に合った帳票管理システムを選ぶには、価格や人数、サポート体制など、複数の観点から比較検討することが大切です。

以下では、システム選びで失敗しないためのポイントを解説します。

  • 自社の帳票発行件数や利用人数に適した規模を選ぶ
  • 既存の会計ソフトや基幹システムとスムーズに連携できるか確認する
  • JIIMA認証を取得しているなど、法的要件を満たしているかチェックする
  • 直感的に操作できるUIで、現場の負担が少ないものを選ぶ
  • スマホ撮影やAI-OCRなどのデータ入力支援機能の精度を比較する
  • 万全なセキュリティ体制とサポート体制が備わっているかを精査する

自社の帳票発行件数や利用人数に適した規模を選ぶ

月間の帳票発行枚数や同時アクセスするユーザー数を正確に把握し、システムの処理能力やコストパフォーマンスが見合うものを選定しましょう。特に人数が多い場合は、ピーク時のアクセス負荷に耐えられるかや、大量データの一括処理が可能かも確認しておく必要があります。

将来的な事業拡大を見据え、データの増加に伴って容量を追加できるか、上位プランへの移行がスムーズに行えるかといった拡張性もチェックしましょう。

小規模な組織であれば、多機能すぎる高額なシステムよりも、必要な機能に絞ったシンプルなツールを選ぶほうが、導入後の定着率が高く、社員への教育負荷も軽減できます。

既存の会計ソフトや基幹システムとスムーズに連携できるか確認する

既に利用している会計ソフトやERPとAPI連携ができる製品を選べば、二重入力の手間がなくなり、データの整合性を自動で保つことができます。

CSVによる一括インポート・エクスポート機能の有無を確認し、システム間でのデータ移行が手動作業なしで効率的に行えるかを検証しましょう。

連携が不十分だと、システムごとにデータが分断され、結局は手作業で突き合わせる必要が生じます。そのため、既存システムとの互換性や親和性を重視して選ぶことがポイントです。

JIIMA認証を取得しているなど、法的要件を満たしているかチェックする

公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)の認証を受けている製品は、電子帳簿保存法などの法的要件を公的に満たしていることが証明されているため、導入後の運用に安心感があります。

認証製品を選ぶことで、自社で一から詳細な機能チェックを行う手間を省けるだけでなく、税務調査時にも管理体制を分かりやすく説明できる点が利点です。

さらに、電子帳簿保存法の改正に合わせて適宜アップデートが行われる体制が整っているか、ベンダーの法令対応実績や信頼性を確認してください。対応実績が豊富なベンダーであれば、法改正による運用トラブルやコンプライアンスリスクを回避しやすくなります。

直感的に操作できるUIで、現場の負担が少ないものを選ぶ

どんなに高機能なシステムでも、操作が複雑で現場の社員が使いこなせなければ、入力漏れや誤操作が多発し、導入の効果が半減してしまいます。

操作性については、ドラッグ&ドロップによるアップロードや、スマートな検索画面など、マニュアルを見なくても直感的に扱えるインターフェースを重視しましょう。こうしたUIは、社員が迷う時間を減らし、業務ミスを防ぐだけでなく、導入初期の教育負担も軽くする効果があります。

無料トライアルを活用して、経理担当者だけでなく、実際に書類を扱う現場の社員にも操作感を試してもらうことが大切です。現場の意見を反映することで、実務に合ったシステムを選定できます。

スマホ撮影やAI-OCRなどのデータ入力支援機能の精度を比較する

AI-OCRの読み取り精度が高いシステムを選ぶことで、領収書などの日付や金額を自動でデータ化でき、手入力によるミスと時間を削減できます。

スマートフォンで書類を撮影してそのままアップロードできる機能があれば、外出先でも経費精算や書類提出ができ、紛失や提出遅れの防止が可能です。また、こうした機能はテレワークや営業先での処理にも活用でき、現場の利便性を高めます。

複数枚のレシートを一括でスキャンして個別に分割保存できるような、実務上の細かいニーズに応える便利機能の有無も比較ポイントです。こうした機能を確認することで、日常業務の効率化につながります。

万全なセキュリティ体制とサポート体制が備わっているかを精査する

2要素認証やIPアドレス制限などの高度なアクセス制御機能が備わっているかを確認し、外部からの不正アクセスや内部情報の漏洩リスクを最小限に抑えましょう。

万が一トラブルが発生した場合に備え、電話やチャットで迅速に対応してくれるサポートの有無を確認してください。また、導入時の初期設定支援や社員向けの操作研修を提供してくれるかどうかも、安心して運用するための判断材料になります。

SLA(サービス品質保証)の内容を確認し、システムの稼働率やデータバックアップの頻度など、安定運用を支えるインフラ体制を把握しておくことが重要です。


帳票管理を運用する際の注意点

帳票管理システムを導入した後も、適切な運用を継続することが重要です。

以下では、運用時に特に気を付けるべき注意点を解説します。

  • 原本廃棄のタイミングを税理士や監査法人と合意しておく
  • システム障害やデータ消失に備えて、バックアップを定期的に取る
  • 現場の従業員への教育と運用マニュアルの周知を徹底する
  • 海外取引がある場合は、現地法との整合性を確認する
  • 電子化の過渡期における二重管理の手間を最小限に抑える

原本廃棄のタイミングを税理士や監査法人と合意しておく

スキャナ保存を行った後の紙の原本は即座に廃棄可能ですが、念のため税務調査のスケジュールや自社の監査方針を考慮し、廃棄ルールを事前に確定させましょう。

スキャンデータの画質不備が後から判明するリスクに備え、一定期間は原本を保管し、定期検査後に廃棄するという安全策を検討してください。こうすることで、万が一データ不備があった場合でも迅速に対応可能です。

さらに、税理士や監査法人の意見を反映した廃棄フローを文書化しておくことで、万が一の調査時にも「なぜ原本が手元にないのか」を論理的に説明でき、コンプライアンス対応としても明確な根拠になります。

システム障害やデータ消失に備えて、バックアップを定期的に取る

クラウドサービスを利用していても、サービス停止やデータ欠損のリスクはゼロではありません。そのため、自社でも定期的にデータをローカル環境や外部メディアにバックアップして、万一に備えることが必要です。

さらに、システムが一時的に利用できなくなった場合に備え、暫定的な帳票発行や管理フローをあらかじめ策定しておくと、事業継続計画(BCP)の一環としても機能します。

バックアップデータは、定期的に復元テストを行い、実際に使用可能か確認しましょう。これによって「データは存在するが利用できない」といった事態を防ぎ、緊急時にも迅速かつ正確に業務を継続できます。

現場の従業員への教育と運用マニュアルの周知を徹底する

新しい管理ルールやシステムの導入時には説明会を開催し、なぜこの運用が必要なのかという目的とメリットを全社員に正しく理解させましょう。単に手順を伝えるだけでなく、「なぜこの操作が必要なのか」「業務や法令遵守にどのように役立つのか」を具体例を交えて説明すると、理解が深まります。

誰でも迷わず操作できるよう、図解入りの簡潔な運用マニュアルを作成し、常に最新版を社内の共有フォルダなどで閲覧できる状態にしてください。

また、ルールを守らない社員に対しては個別に指導を行うとともに、なぜルールが守りにくいのかをヒアリングし、必要に応じて運用の改善を行うことが大切です。

海外取引がある場合は、現地法との整合性を確認する

海外の取引に対応する際は、日本の法律だけでなく、取引先国の帳票保存ルールや税法も確認し、グローバルでのコンプライアンス体制を整えることが欠かせません。国ごとに異なる規制を無視すると、罰則や税務上のリスクが発生する可能性があります。

多言語対応や多通貨対応が必要な場合は、それらを一元管理できるシステムを選定し、国ごとに管理手法がバラバラにならないように統合管理を行ってください。

さらに、海外拠点の帳票も日本の本社からオンラインで確認できる環境を整備すれば、現地担当者の負担を軽減しつつ、グループ全体のガバナンスレベルを引き上げられます。

電子化の過渡期における二重管理の手間を最小限に抑える

全ての書類を一度に電子化するのは難しいため、まずは主要な取引から段階的に移行し、紙と電子が混在する期間の管理ルールを明確に定めましょう。

紙で保管するものと電子で保管するものの仕分け基準をシンプルに設定すれば、現場担当が判断に迷わず、二重管理や手作業によるミスを減らせます。また、電子化の進捗状況を定期的に数値化して社内で共有することで、全員が現状を把握でき、ペーパーレス化の目標に向けた意識を高め続けることが可能です。

さらに、移行期に発生しやすい書類の紛失や重複保管のリスクを最小化するため、電子化対象と紙保管対象の両方でチェックリストや承認フローを設けると、運用の透明性と正確性が向上します。


帳票管理で業務効率とガバナンスを向上させよう!

帳票管理は企業経営の根幹を支える業務であり、適切な管理体制の構築は法令遵守と業務効率化の両面で大きな効果をもたらします。特に電子帳簿保存法やインボイス制度への対応が求められる現在、帳票管理の電子化は避けて通れない課題です。

電子化を進めることで、必要な書類を瞬時に検索できるようになり、保管コストの削減や内部統制の強化にもつながります。また、紙の管理に比べ作業負荷が軽減され、働き方改革を推進できる点もメリットです。

システム導入の際は、自社の規模や業務内容に合った製品を選定し、法令要件を満たしているかを慎重に確認しましょう。本記事で紹介した内容を参考に、自社に最適な帳票管理体制を構築し、業務効率とガバナンスの向上を実現してください。


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監修者プロフィール

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内山 智絵

公認会計士・税理士・ファイナンシャルプランナー

大学在学中に公認会計士試験に合格。大手監査法人の地方事務所で上場企業の法定監査などに10年ほど従事した後、出産・育児をきっかけに退職。

2021年春に個人で会計事務所を開業し、中小監査法人での監査業務を継続しつつ、起業女性の会計・税務サポートなどを中心に行っている。

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