電子帳簿保存システムとは? 法対応の要点や導入メリットを解説
2024年1月から電子取引データの電子保存が義務化され、多くの企業が「電子帳簿保存システム」の導入を急いでいます。しかし、「どのシステムを選べばよいかわからない」「法的要件を正確に把握できていない」と感じている担当者も少なくないでしょう。
電子帳簿保存法は改正が繰り返されており、対応を誤ると青色申告の取り消しや追徴課税といった重大なペナルティにつながるリスクがあります。本記事では、電子帳簿保存システムの基本的な概要から法律の要点、導入のメリット・デメリット、失敗しない選び方と導入手順まで網羅的に解説します。
システム導入を検討している方はもちろん、現在の運用体制に不安を感じている方にも役立つ内容です。ぜひ自社に最適なシステム選びの参考にしてください。
電子帳簿保存システムとは?
電子帳簿保存システムの役割と社会的背景を正しく理解することは、適切なシステム選定の第一歩です。ここでは、システムの基本的な機能と、法改正・DX推進を背景とした導入ニーズの高まりについて解説します。
電子帳簿保存システムの役割
電子帳簿保存システムとは、国税関係帳簿書類を法律に基づき、電子データとして作成・保存・管理するためのソフトウェアです。従来の紙による保存に代わり、請求書や領収書などの書類をデジタル化することで、経理業務の効率化とペーパーレス化を実現します。
最新の法改正に対応したタイムスタンプ付与や検索機能を標準的に備えており、ユーザーが複雑な法的要件を個別に意識せずとも、法令を遵守できるよう設計されています。これにより、経理担当者は法対応のための属人的な知識に頼らず、正確かつ効率的な書類管理が可能になるのです。
電子帳簿保存法の改正とDX推進による社会的背景
法改正や働き方改革、リモートワークの普及に伴い、場所を選ばずに業務を行えるペーパーレス環境への移行が急速に求められています。具体的には、政府が推進するDXの一環として電子帳簿保存法が整備されており、企業活動における紙書類の撤廃とデータ活用が推奨されています。
加えて、環境負荷の低減や業務プロセスの可視化という観点からも、紙ベースのアナログ管理からデジタル管理への転換が各業界で進んでいる状況です。こうした社会的背景を踏まえると、電子帳簿保存システムの導入はコンプライアンス対応にとどまらず、企業全体の競争力強化にも直結する取り組みと言えます。
電子帳簿保存法について
電子帳簿保存法は、企業の書類保存ルールを定めた法律です。法の全体像や義務化の範囲、3つの区分、e-文書法との違いを正確に把握すれば、自社に必要な対応策を明確にできます。
全事業者が対象となる「電子取引」のデータ保存義務化
2024年1月より、電子取引データの電子保存が原則として義務化されました。これにより、メールの添付ファイルやWebサイトからダウンロードした請求書を、紙に印刷して保存するだけでは国税関連書類として認められなくなっています。
法人や個人事業主を問わず、電子取引を行うすべての事業者が対象となるため、規模の大小にかかわらず法要件を満たした保存体制の整備が必要です。やむを得ない事情がある場合には猶予措置も設けられていますが、あくまでも例外的です。
原則としてシステムや社内規定を活用した、適切なデータ管理の確立が求められます。
電子帳簿保存法における3区分
電子帳簿保存法における保存要件は、大きく3つの区分に分類されます。「電子帳簿等保存」は会計ソフトなどで作った帳簿や決算関係書類を、データで保存することを指します。
「スキャナ保存」は紙で受領した請求書や領収書などをスキャンやスマートフォンで撮影し、画像データとして保存する区分です。「電子取引」は、メール添付やWebダウンロードなどで授受した取引情報を、紙に出力せずデータのまま保存することを義務付けるものであり、2024年1月から全事業者に適用されています。
どの区分に該当するかによって必要な対応が異なるため、自社の取引形態を正確に把握したうえでシステムを選定することが重要です。
e-文書法と電子帳簿保存法の適用範囲の違い
e-文書法は、民間企業が保存義務を負う文書全般の電子化を認める法律であり、病院で扱う医療情報や建築業の設計図書など幅広い分野が対象です。一方、電子帳簿保存法は国税庁が管轄する法律で、主に法人税法や所得税法に関連する国税関係帳簿書類の保存方法を具体的に規定しています。
両者は適用範囲が重複する場合もありますが、それぞれ異なる目的・管轄のもとに定められている点を理解することが重要です。システム導入の際は、保存したい書類がどちらの法律の管轄に属するかを確認し、それぞれの法的要件を満たすシステムを選定しましょう。
電子帳簿保存システムに求められる法的要件
電子帳簿保存システムを選ぶ際は、法律が定める要件の正確な理解が不可欠です。特に「真実性の確保」と「可視性の確保」の2点は、どのシステムにも共通して求められる重要な要件となっています。
真実性の確保
真実性の確保とは、「保存されたデータが改ざんされていないこと」および「保存後に訂正や削除が行われた場合にその事実を確認できる状態にあること」を意味します。具体的には、タイムスタンプの付与、訂正・削除履歴の自動記録、または訂正・削除ができないシステムの利用によって、要件を満たせます。
システム的な措置に加えて、訂正・削除の防止に関する事務処理規程を社内で策定・運用することも、真実性確保の有効な手段です。要件を満たす方法は複数あるため、自社のシステム環境や運用体制に合わせて最適な対応策を選択しましょう。
可視性の確保
可視性の確保とは、保存されたデータを必要なときにいつでも、明瞭な状態で画面や書面に速やかに出力し、確認できる状態を維持することです。税務調査の際に、調査官がデータを検索・閲覧できるよう、ディスプレイやプリンター、システムの操作説明書を事業所に備え付ける義務があります。
また、「取引年月日」「取引金額」「取引先」の3項目での検索機能の確保も、可視性の重要な要素として法的に求められています。膨大なデータのなかから特定の取引情報を即座に抽出できる仕組みを備えているかどうかが、システム選定における重要な判断基準です。
電子帳簿保存法に違反した場合
電子帳簿保存法の要件に従わない保存や、保存の不備が発覚した場合、企業は重大なペナルティを受ける可能性があります。主なリスクとして、「青色申告の承認取り消し」が挙げられます。これにより、最大65万円の特別控除や赤字の繰越など、さまざまな税制優遇が受けられなくなる恐れがあるのです。
次に「追徴課税の加重」として、データの改ざんや隠蔽など悪質な不正が認められた場合には、申告漏れに課される重加算税がさらに10%加重されます。「推計課税」として、正確な記録がないとみなされた場合、税務署の推計によって税額が決定されるリスクもあります。
こうした不利益を避けるためにも、システム対応と社内ルールの徹底は欠かせない取り組みです。
電子帳簿保存システムの主な機能
電子帳簿保存システムには、法的要件を満たすためのさまざまな機能が備わっています。各機能の役割と必要性を正しく理解すれば、自社の運用に適したシステムを見極められます。
スキャン・保存機能
スキャン・保存機能とは、紙の書類をスキャンして電子データ化し、法律が定める形式で安全に保存する機能です。電子帳簿保存法では、国税関係書類を法定保存期間である7〜10年にわたって保存することが義務付けられています。
そのため、長期保存に耐えられる堅牢なストレージ基盤と、災害やシステム障害が発生してもデータを確実に復旧できるバックアップ体制を備えていることが重要です。クラウド型のシステムであれば、物理的な媒体の劣化リスクを回避しながら、長期的に安定したデータ保存を実現できます。
タイムスタンプ付与機能
タイムスタンプとは、ある時刻にそのデータが存在していたこと、およびその時刻以降にデータが改ざんされていないことを第三者機関が証明する技術です。スキャナ保存や電子取引において、データの受領後やスキャン後に速やかにタイムスタンプを付与することで、真実性の要件を満たせます。
ただし、訂正・削除の履歴が残るクラウドシステムを利用するなど、一定の要件を満たす場合はタイムスタンプの付与が不要となるケースもあります。自社のシステム構成と運用方針を照らし合わせて、タイムスタンプ付与の要否を事前に確認しておきましょう。
自動記録機能
自動記録機能とは、データを訂正または削除した際に、いつ・誰が・どのような操作を行ったかの履歴を自動的に記録・保存する機能です。この機能を備えたシステムを利用すれば、タイムスタンプを付与しなくても電子取引データの保存要件を満たせます。
また、監査ログとして操作履歴を確認できるため、内部統制の強化や不正会計の抑止力としても重要な役割を果たします。経理部門のガバナンス向上を目指す企業にとって、自動記録機能は特に注目すべきポイントです。
検索機能
保存された大量のデータのなかから、「取引年月日」「取引金額」「取引先」の主要3項目で即座に検索できる機能は、電子帳簿保存法上の必須要件です。また、税務調査のダウンロード要件に対応するため、日付や金額の範囲指定検索や、2つ以上の項目を組み合わせた複合検索機能も求められます。
OCR機能や手入力によって検索用データを正確に登録し、常に検索可能な状態を維持することが、可視性確保の基本です。検索の精度と速度は実務効率に直結するため、システム選定時には実際の操作で確認しておくことをおすすめします。
解像度・階調のチェック機能
紙書類をスキャナで取り込む際は、解像度200dpi以上、かつ赤・緑・青の各色256階調以上での読み取りが法律上必要とされています。システムによっては、アップロード時に画像の解像度や階調が法的要件を満たしているかを自動的にチェックする機能が搭載されており、不適切なデータの混入を事前に防げます。
要件を満たさない不鮮明な画像データは法的証拠として認められないため、スキャン時の画質設定とシステムによる自動検知を組み合わせることが重要です。スキャナ保存を行う予定がある場合は、この機能の有無をシステム選定時に必ず確認しましょう。
アクセス権限管理・操作ログ保存機能
アクセス権限管理機能は、ユーザーごとに閲覧・編集・削除などの権限を細かく設定し、誰がどのデータにアクセスできるかを厳格に管理するものです。誰がいつログインし、どのデータを操作したかというログを長期間保存することで、不正アクセスや内部不正の防止に大きく貢献します。
JIIMA(一般社団法人日本文書情報マネジメント協会)認証を取得したシステムには、アクセス権限管理や操作ログ保存機能が標準的に備わっており、法令対応の観点でも安心材料の1つと言えます。そのうえで、自社のセキュリティポリシーに合わせた適切な設定・運用が必要です。
情報漏えいリスクが高まる昨今において、この機能はセキュリティ対策の観点からも見逃せない要素となっています。
電子帳簿保存システムの種類
電子帳簿保存システムにはいくつかの種類があり、保存したい書類の内容や業務フローによって適切なタイプが異なります。自社の課題やニーズを整理したうえで、最適な種類のシステムを選ぶことが、スムーズな導入の第一歩です。
電子保存用
電子保存用システムは、契約書や見積書など国税関係書類全般をクラウド上で一元的に保管・管理するシステムです。直感的に使えるわかりやすい検索機能を備えているものが多く、種類の異なる大量の書類のなかから必要なデータを即座に抽出できます。
既存の会計ソフトや基幹システムを変更することなく、法対応に必要な保存機能のみを追加したい場合に適しています。「電子取引データの保存義務に対応したい」というシンプルなニーズに応えやすい、汎用性の高い選択肢です。
請求書関連用
請求書関連用のシステムは、請求書の作成から発行・送付・受領・保存までをデジタル上で一貫して完結できるシステムです。インボイス制度に対応した適格請求書の要件チェックや履歴管理を自動化できるため、制度対応の工数を大幅に削減できます。
紙やPDFで混在して届く請求書を一箇所に集約し、支払い消込などの後続業務の効率化にも効果を発揮します。請求書に関連する業務のデジタル化を一気通貫で進めたい企業に、特に向いているシステムでしょう。
経費精算用
経費精算用システムは、スマートフォンで領収書を撮影するだけで、スキャナ保存要件を満たした申請作業が完了するシステムです。経費申請の承認フローと証憑保存が連動しており、経理部門による原本確認や突合の負担を軽減できます。
交通費や交際費などの立替経費精算において、従来必要だった領収書原本の糊付けやファイリング作業を完全に廃止することが可能です。現場の従業員が日常的に利用する機能であるため、操作のシンプルさと使いやすさが特に重要な選定ポイントとなります。
電子帳簿保存システムを導入するメリット
電子帳簿保存システムの導入は、単なる法令遵守にとどまらず、業務効率化やコスト削減、経営判断の迅速化など多くのメリットをもたらします。ここでは、導入によって期待できる主なメリットを解説します。
保管スペースや印紙コストを削減できる
電子帳簿保存システムの導入によって、紙の書類を段ボールやキャビネットに保管する必要がなくなり、オフィススペースの有効活用や外部倉庫費用の削減につながります。電子契約システムと併用すれば、課税文書である契約書や領収書への収入印紙の貼付が不要となり、直接的なコスト削減効果も得られます。
書類を取り扱う量が多い企業ほど、コスト削減効果は大きくなる傾向です。長期的な視点で見ると、紙の購入費・印刷費・保管費の合計は相当な金額になるため、投資対効果を試算しながら導入を検討しましょう。
検索性の向上で、税務調査や監査へ迅速に対応できる
日付・金額・取引先などの条件で即座にデータを検索できるため、税務調査時の資料提示や会計監査への対応スピードが格段に高まります。紙の書類をめくって探す手間がなくなり、過去の取引履歴や証憑の確認作業が数秒で完了するため、業務の生産性が大きく向上します。
また、関連する書類を紐付けて管理することで、取引の全体像を容易に把握でき、社内からの問い合わせ対応もスムーズになるでしょう。税務調査にも焦らず対応できる体制が整うため、担当者の心理的な負担軽減にも効果的です。
場所を選ばない承認フローで、テレワークを促進できる
クラウド型のシステムを利用すると、自宅や外出先から請求書の確認や承認作業が可能になり、出社の必要がなくなります。紙書類の回覧による承認フローが廃止され、デジタル上で承認プロセスが完結するため、決裁までのリードタイムの短縮にもつながります。
経理担当者だけでなく、経費申請を行う営業担当者や承認を行う管理職も、場所や時間に縛られない柔軟な働き方が可能です。テレワーク推進や働き方改革を進めるうえで、ペーパーレスな承認フローの構築は重要な土台となります。
原本紛失や災害による消失リスクを回避できる
紙の書類は、紛失・盗難・火災・水害による焼失や汚損といった物理的リスクにさらされますが、クラウド保存により、これらのリスクを回避できます。保存されたデータは堅牢なデータセンターで多重バックアップされるため、万が一自社オフィスが被災した場合でも重要な財務データを確実に守ることが可能です。
BCP(事業継続計画)の観点からも、重要書類の電子化とクラウド保存は企業の存続性を高めるための必須の対策と言えます。特に自然災害が多い日本においては、データの適切な保護がリスクマネジメントの重要な柱となります。
バックオフィス業務のDXで、生産性を大幅に向上できる
AI-OCR(光学文字認識機能)による自動入力や会計システムとの連携により、手入力ミスや単純作業を削減し、経理業務全体の自動化・効率化を推進できます。
システム導入は業務プロセス全体を見直すきっかけにもなり、属人的なアナログ作業から脱却してデータに基づいた効率的な業務フローの構築が可能です。
空いたリソースを経営分析や財務戦略の立案など付加価値の高い業務にシフトすれば、経理部門の価値向上にもつながります。単なる法対応のツールとしてではなく、組織全体のDX推進エンジンとして活用できる点が、電子帳簿保存システムの大きな魅力です。
会計データとの連携で、経営判断を早められる
証憑データが会計システムに即座に反映されることで、月次決算の早期化が実現し、経営層にタイムリーな財務情報を報告できる体制が整います。リアルタイムに近い数値把握が可能になるため、資金繰り対策や投資判断などの経営意思決定を迅速に行えるようになります。
予実管理や部門別損益の分析精度も向上し、変化の激しいビジネス環境において機動的な経営判断を下すための基盤となるでしょう。
財務データの「見える化」を通じて、経理部門が経営の意思決定を支える戦略的なパートナーへと進化できます。
電子帳簿保存システム導入時のデメリット
電子帳簿保存システムの導入には多くのメリットがある一方で、コストや運用面での課題も存在します。事前にデメリットを把握しておけば、導入後のトラブルを防ぎ、スムーズな移行を実現できます。
初期導入費や月額利用料などのコストが発生する
システムの導入には、初期設定費用やライセンス料、月額利用料などのランニングコストが発生するため、事前の予算確保が必要です。スキャナ保存を行う場合には、専用スキャナの購入費用やスマートフォンの貸与などハードウェア関連のコストも考慮しなければなりません。
ペーパーレス化によるコスト削減効果とシステム利用料を比較し、投資対効果が見合うか、事前のシミュレーションが重要です。初期コストだけでなく数年間のトータルコストで判断すると、賢明な意思決定につながります。
既存の業務フローを見直す必要がある
紙での回覧や押印といった従来の慣習を廃止し、デジタル承認へ移行するには社内調整が必要になります。そのため、計画的な移行プロセスの設定が大切です。
経理担当者が新しいプロセスに慣れるまでに時間がかかり、移行期間中は一時的に業務効率が低下する可能性もあります。十分なサポート期間と段階的な導入スケジュールを設けることが理想です。
システム導入前に現状の業務フローを可視化し、電子化する範囲を明確に定義しておかなければ、現場に混乱を招く恐れがあります。
システム操作を従業員に教育する工数がかかる
経理担当者だけでなく、経費申請を行うすべての従業員に対してシステムの使い方を教育する必要があり、説明会の準備や実施に相応の工数が発生します。ITリテラシーには個人差があるため、わかりやすいマニュアルの作成や問い合わせ対応窓口の設置など、丁寧なフォロー体制を整えることが求められます。
また、法改正に伴いシステムがアップデートされた際には、追加の周知や再教育が必要になることもあるため、継続的な教育コストを見込んでおきましょう。教育コストを最小化するためにも、操作が直感的でわかりやすいUIのシステムを選ぶことが有効です。
紙と電子データが混在する、二重管理のリスクがある
取引先によっては紙の請求書しか発行できない場合もあり、完全な電子化が難しく、紙と電子データの二重管理が発生する可能性があります。保存場所が分散すると検索性が低下するリスクがあるため、紙で受領した書類もスキャナ保存によってデータ管理を一元化する工夫が必要です。
移行期間中は紙と電子の保存ルールが混在しやすいため、明確な運用ルールを定めて現場に徹底させましょう。二重管理の解消を目指すには、取引先との電子化推進も含めた中長期的な視点での対応が求められます。
失敗しない電子帳簿保存システムの選び方
電子帳簿保存システムを選ぶ際は、法的要件への適合性や自社の業務フローとの整合性を多角的に検討する必要があります。以下のポイントを参考に、長期的に安心して使えるシステムを選定しましょう。
JIIMA認証を取得している製品かを確認する
JIIMAの認証製品は、法的要件を満たしていると第三者機関によって確認されているため、安心してシステムを選定・利用できます。自社で詳細な法的要件チェックを行う手間が省け、システム導入までの期間を大幅に短縮できる点も大きなメリットです。
電子帳簿保存法の要件を満たしているかを自社で一から確認するのは専門知識が必要であるため、JIIMA認証の有無は信頼性の判断指標として有効です。候補となるシステムにJIIMA認証マークがあるかどうかを、選定プロセスの初期段階で確認しておきましょう。
自社が保存したい書類区分に対応しているかを確認する
電子取引のみを保存したいのか、スキャナ保存や電子帳簿も含めてすべてに対応したいのかによって、選ぶべきシステムは大きく異なります。スキャナ保存を行う場合は、スマートフォンアプリの有無や画質チェック機能など、スキャン業務を効率化する機能が充実しているかの確認が重要です。
将来的に対応範囲を広げる可能性がある場合は、機能拡張が容易なシステムやオプションが豊富なシステムを選んでおくと、後々の対応が容易になります。現状のニーズだけでなく、3〜5年先の事業拡大も見据えた選定を心がけましょう。
既存の会計ソフトや基幹システムと連携できるかを確認する
現在利用している会計ソフトや業務管理システムとの連携が可能か確認し、データ入力の二重手間が発生しない体制を整えることが重要です。連携機能が弱いシステムを選ぶと、転記作業やデータ突合などの手作業が残り、導入による業務効率化効果が限定的になってしまいます。
会計ソフトと同じベンダーが提供するシステムであれば、連携がスムーズに行えるだけでなく、サポート窓口を一本化できるメリットもあります。連携の容易さは日々の運用効率に直結するため、トライアルを通じて実際の動作を必ず確認しましょう。
初期費用とランニングコストの総額を比較する
初期費用だけでなく、月額利用料・オプション費用・サポート費用なども含めた数年単位でのトータルコストを比較することが大切です。ユーザー数課金か、データ保存容量課金かによってコスト構造が大きく異なるため、自社の規模やデータ量に合ったプランを選ぶ必要があります。
安価なプランでは機能制限や保存容量の上限がある場合も多いため、将来的な拡張コストも含めて慎重に検討しましょう。コスト比較の際は、現在の紙管理にかかっている費用も試算し、電子化による削減効果と対比させると判断しやすくなります。
現場担当者が直感的に使える操作性かを確認する
経理担当者だけでなく、経費精算を行う一般社員にとっても使いやすい画面デザイン(UI)であるかどうかを、無料トライアルを通じて確認することが重要です。直感的に操作できないシステムは、入力ミスや問い合わせの増加を招き、結果として業務効率を下げるリスクがあります。
マニュアルを読み込まなくても基本操作が理解できるシステムであれば、教育コストを大幅に抑えられ、社内定着もスムーズです。現場の担当者にもトライアルに参加してもらい、実際の使用感を評価に取り入れることをおすすめします。
法改正時のアップデート対応やサポート体制を確認する
電子帳簿保存法は頻繁に改正が行われるため、追加費用なしで迅速にシステムアップデートが提供されるか事前の確認が大切です。導入時の設定支援や運用開始後のトラブルシューティングなど、サポート体制の充実は重要な選定基準となります。
チャットサポートや電話対応の有無、対応時間などを確認し、自社の運用体制にマッチしたサポートの有無も判断材料に含めましょう。特に法改正直後は問い合わせが集中する傾向があるため、サポートの応答速度や品質は長期利用において重要な要素です。
将来的なデータ移行のしやすさを確認する
将来的にシステムを乗り換える場合に備えて、保存したデータや検索用データをCSVなどの汎用形式で一括出力できるか事前に確認しておきましょう。特定のシステムでしか読み取れない独自形式でデータが保存される場合、解約時にデータ移行が困難になり、ベンダーロックイン(囲い込み)のリスクが生じます。
電子帳簿保存法が定める法定保存期間は7〜10年にわたるため、データの取り出しやすさはリスク管理上も極めて重要な確認事項です。将来の選択肢を広げておくためにも、データポータビリティ(持ち運びのしやすさ)の高いシステムを選びましょう。
おすすめの電子帳簿保存システム10選
ここでは、法的要件への対応力・操作性・コスト・サポート体制など多角的な視点から厳選した、おすすめの電子帳簿保存システムを10製品紹介します。各製品の特徴や料金体系を比較しながら、自社のニーズに最も合うシステムを見つけてください。
invox電子帳簿保存
公式サイト:https://invox.jp/storage/
| 項目 | 内容 |
| 提供形態 | クラウド |
| 従業員規模 | 制限なし |
| 従量課金 | 20円~ |
| 月額費用 | 1,980円~ |
| 初期費用 | 0円 |
「invox電子帳簿保存」は、数万人規模やグループ企業での導入実績を持ち、中堅・大企業に最適なクラウド文書管理システムです。初期費用0円かつ利用人数が無制限であるため、大規模に全社展開しても低コストで運用できます。
高度な文書管理機能が充実しており、部門ごとの参照範囲指定や多段階の承認ワークフローを備えています。また、書類の自動振り分け機能や、見積書から請求書までの一連の取引書類をグルーピングして一元管理することも可能です。
さらに、JIIMA認証の取得に加え、ISMS(情報セキュリティマネジメント)認証の取得、金融庁の「電子決済等代行業」登録など、強固なセキュリティとリスク管理体制を誇ります。コンプライアンスを重視しつつ、既存の業務フローを極力変えずに電帳法対応を進められるでしょう。
DenHo
公式サイト:https://www.smartocr.jp/denho/
| 項目 | 内容 |
| 提供形態 | サービス、クラウド |
| 従業員規模 | - |
| 従量課金 | - |
| 月額費用 | 9,000円~ |
| 初期費用 | お問合せ |
「DenHo(デンホー)」は、電子帳簿保存法とインボイス制度に対応したクラウド文書管理システムです。ISO-27001・ISO-27017認証取得に加え、ユーザー権限管理やIP制限、2段階認証などの強固なセキュリティ機能を備えており、安全な運用ができます。
また、大手金融機関でも採用される高精度な独自開発AI-OCRを標準搭載している点も魅力です。ファイルをアップロードするだけで、電帳法の検索要件項目やインボイス登録番号を自動でデータ化・分類するため、手作業による入力作業が不要になります。手書き文字や、ゆがみ・かすれのある画像にも対応可能です。
さらに、ExcelやWordを含む多様なファイル形式の保存や、全ファイルを横断する全文検索に対応しています。複雑な設定をせずに経理業務のDX化を進めたい場合におすすめです。
楽楽電子保存
公式サイト:https://www.rakus.co.jp/rakurakucloud/denshihozon/002/
| 項目 | 内容 |
| 提供形態 | クラウド |
| 従業員規模 | お問合せ |
| 従量課金 | - |
| 月額費用 | 17,000円~ |
| 初期費用 | 50,000円 |
「楽楽電子保存」は、クラウドサービス累計導入95,000社以上の実績を誇る株式会社ラクスが提供する電子帳簿保存システムです。
このツールの特徴は、電子取引データだけでなく紙の書類(スキャナ保存)もまとめて一元管理できる点です。AI-OCR機能を搭載しており、取引年月日や金額、取引先名などの項目を自動で読み取るため、手入力の手間がほとんどかかりません。
また、充実した検索機能により、膨大な書類のなかから必要なデータを即座に見つけ出し、煩雑なチェック業務の効率化を実現します。
シンプルな画面設計で誰でも直感的に操作できるため、利用者の多い大企業でもスムーズに社内浸透を図れるのが魅力です。最短3営業日で導入可能であり、専任担当者による手厚い導入・運用サポートも完備されています。
加えて、サービス継続率99%以上の確かな実績があり、安心して電子帳簿保存法対応を進められるでしょう。
バクラク電子帳簿保存
公式サイト:https://bakuraku.jp/denshichobo/
| 項目 | 内容 |
| 提供形態 | クラウド |
| 従業員規模 | 制限なし |
| 従量課金 | お問合せ |
| 月額費用 | 12,000円~ |
| 初期費用 | お問合せ |
「バクラク電子帳簿保存」は、シリーズ累計15,000社以上の導入実績を誇り、大企業から中小企業まで幅広く利用されています。
本ツールの特長は、直感的な操作性と高精度なAIによる圧倒的な業務効率化です。最大100枚の書類を同時にアップロード可能で、AI-OCRが数秒でデータを読み取り自動入力します。マニュアル不要で誰でも直感的に操作できるため、全部門が関わる全社展開もスムーズに行えるでしょう。
さらに、中堅・大企業に不可欠な内部統制やセキュリティ機能も多く備えています。ユーザーやチーム、役職単位での詳細な閲覧制限および権限管理をはじめ、第三者確認の証跡を残せる編集ロック機能、SAML認証やIP制限、さらには基幹システムとのAPI連携にも対応しています。
全社的な法令対応・業務効率化と、高度なガバナンスを両立したい中堅・大企業に最適なシステムです。
DataDelivery
公式サイト:https://www.jfe-systems.com/products/datadelivery/datadelivery.html
| 項目 | 内容 |
| 提供形態 | オンプレミス、クラウド |
| 従業員規模 | - |
| 従量課金 | オプションあり |
| 月額費用 | - |
| 初期費用 | 1,000,000円~ |
DataDeliveryは、膨大なデータを扱う企業に最適な電子帳簿保存・データ保管ソリューションです。15年以上の提供実績と4,000社以上の導入実績を誇り、電子帳簿保存法の4領域すべてでJIIMA認証を取得しています。
本ツール最大の強みは、特許取得の独自データベースによる圧倒的なデータ処理能力と信頼性です。データの非改ざん性を担保した長期保管が可能で、自社のみならずグループ会社や統廃合のデータを含め、あらゆる企業データを一元管理できます。
また、独自の汎用ビューアにより、1億件もの膨大なデータから数秒で目的の書類を見つけ出す高速検索や、異なるレイアウトのデータを横断する串刺し検索が可能です。これにより、税務調査や内部監査などの証跡管理にも迅速に対応できます。
さらに、システム連携用APIやSAP ERPなどとのシームレスな連携機能を備えており、全社的なペーパーレス化とシステム維持コストも大きく削減できるでしょう。
TOKIUMインボイス
公式サイト:https://www.keihi.com/invoice/
| 項目 | 内容 |
| 提供形態 | クラウド |
| 従業員規模 | 制限なし |
| 従量課金 | お問合せ |
| 月額費用 | 10,000円~ |
| 初期費用 | お問合せ |
中堅・大企業向けのクラウド型電子帳簿保存システムとしておすすめなのが、「TOKIUMインボイス」です。本システムは、「あらゆる国税関係書類を保存」できる書類保管機能に加え、AIを活用して請求書受領や経費精算の業務を劇的に効率化する機能が充実しています。
最大の特徴は、「請求書受領AIエージェント」により、仕訳や照合といった煩雑な作業をAIが代行してくれる点です。また、支払い漏れを防ぐ仕組みが備わっており、ガバナンス強化や正確な処理が求められる企業に適しています。
さらに、新リース会計基準に対応したAI判定機能や、出張手配・経費承認のAIサポート、分析レポート機能、外部サービス連携なども魅力です。これは、企業規模が大きくなり、業務が複雑になっていく際に役立ちます。
また、あらゆる国税関係書類の保存から送付作業の一本化まで対応しており、経理部門全体のDXを推進する頼もしいツールです。
BtoBプラットフォーム 請求書
公式サイト:https://www.infomart.co.jp/seikyu/index.asp
| 項目 | 内容 |
| 提供形態 | クラウド |
| 従業員規模 | 制限なし |
| 従量課金 | - |
| 月額費用 | お問合せ |
| 初期費用 | お問合せ |
「BtoBプラットフォーム 請求書」は、国内シェアNo.1を誇り、プライム上場企業の97%が利用しているクラウドシステムです。
最大の特徴は、請求書の「発行」と「受取」の双方を1つのプラットフォームで一元管理できる点です。デジタルデータ(DtoD)での送受信に加え、紙やPDFの請求書もAI-OCRなどで電子化して処理できるなど、あらゆる形式の請求業務に対応しています。
電子帳簿保存システムとしての機能も充実しており、請求書以外の国税関連書類も保存できるため、このシステム一つで改正電子帳簿保存法やインボイス制度への法令対応が完結します。さらに、多数の販売管理システムや会計システムとの連携実績が豊富にあり、既存のシステム基盤を活かしたまま、スムーズな導入が可能です。
これらの機能により、事前の承認フロー構築による内部統制の強化や、業務時間とコストの削減など幅広い課題解決に貢献するでしょう。
freee支出管理
公式サイト:https://www.freee.co.jp/spend-management/
| 項目 | 内容 |
| 提供形態 | クラウド |
| 従業員規模 | お問合せ |
| 従量課金 | 650円/人~ |
| 月額費用 | 19,800円~ |
| 初期費用 | お問合せ |
「freee支出管理」は、経費精算から受取請求書処理、小口現金まで、会社のあらゆる支払い業務を一本化して管理できるシステムです。特に中堅・大企業で求められるような内部統制を実現しつつ、業務効率化をシームレスに推進します。
本ツールの特徴は、手間なく電子帳簿保存法やインボイス制度に対応できる点です。領収書をスマホの「魔法スキャン」で撮影したり、LINEで写真を送ったりするだけで、電帳法に対応した形で自動保存されます。
さらに、AI-OCRが請求書の取引明細まで自動で読み取るため、手入力の負担がほとんどかかりません。
また、出張や稟議など企業独自の承認経路をカスタマイズできる、柔軟なワークフロー機能も搭載しています。Slackで通知を受け取ってそのまま承認できるため、申請から支払までが分断なく進みます。そのうえで、既存の会計ソフトを変更せずに導入できるのも魅力です。
Bill One請求書受領
公式サイト:https://bill-one.com/ap/
| 項目 | 内容 |
| 提供形態 | クラウド |
| 従業員規模 | お問合せ |
| 従量課金 | お問合せ |
| 月額費用 | お問合せ |
| 初期費用 | お問合せ |
「Bill One請求書受領」は、あらゆる請求書をオンラインで受け取り、企業全体の請求書業務を加速するクラウドサービスです。郵送やPDFなど、さまざまな形式で届く請求書を受領し、99.9%の高精度でデータ化するため、手作業によるミスや入力工数を確実に抑えられます。
最大の特長は、請求書の受け取りから現場社員の支払い申請、上長の承認、経理部門の仕訳作成に至るまでのプロセスをシステム上で完結できる点です。経理部門だけでなく組織全体の生産性向上につながるため、関わる社員や部門が多い中堅・大企業に適していると言えるでしょう。
さらに、電子帳簿保存法やインボイス制度などの法改正にも自動で対応し、JIIMAの電帳法対応ソフト認証も取得しているため、個別の要件確認の手間が省けます。シングルサインオンやIPアドレス制限など、強固なセキュリティ対策も備えており、ガバナンスを重視する大企業にもおすすめのシステムです。
楽楽精算
公式サイト:https://www.rakurakuseisan.jp/
| 項目 | 内容 |
| 提供形態 | クラウド |
| 従業員規模 | 制限なし |
| 従量課金 | お問合せ |
| 月額費用 | 30,000円~ |
| 初期費用 | 100,000円 |
「楽楽精算」は、累計導入社数および電子帳簿保存法対応社数でNo.1を誇り、20,000社以上の導入実績があるクラウド型経費精算システムです。JIIMAの認証を取得しており、タイムスタンプ付与や検索機能、一括検証機能など電子帳簿保存法に対応した機能を搭載しています。
本システムの大きな魅力は、圧倒的なカスタマイズ性と手入力の手間を省く業務効率化です。承認フローや申請フォーマットを自由に設定できるため、既存の複雑な社内運用ルールを変えることなくシステム化を進められます。組織の体制変更や企業規模の拡大にも柔軟に対応できるため、長期的な運用を見据える企業に最適です。
さらに、スマホでの領収書読み取り(AI-OCR)や交通系ICカード連携、AIによる申請内容の自動作成により、申請者の手入力負担やミスを大幅に削減します。自動仕訳や幅広い会計ソフトとの連携機能も充実しています。経費精算だけでなく、稟議などの社内申請も汎用ワークフローで一元管理できるのも魅力です。
電子帳簿保存システムをスムーズに導入する手順
電子帳簿保存システムの導入を成功させるためには、事前の準備と計画的な進め方が欠かせません。ここでは、現状把握からシステム選定・社内展開までの各ステップを順に解説します。
自社の現状課題と対象となる書類を洗い出す
現在の経理業務における課題(保管スペースの不足・書類の検索に要する時間など)を明確に整理し、システム導入によって何を解決したいかを定義することが、出発点となります。月間の請求書や領収書の枚数、電子取引の割合なども調査し、システム選定に必要なスペックとコストを試算しておきましょう。
すべての書類を一度に電子化するのではなく、優先度の高い書類や部署から段階的に導入範囲を広げていく計画を立てることも有効です。現状を定量的に把握すれば、ベンダーとの商談も具体的かつ効率的に進められます。
導入に向けた業務フローの見直し
システム導入は経理部門だけでなく、システム部門・総務部門、さらには主要な利用部署の代表者も交えて、現状の業務フローを部門横断で整理することが重要です。各部門の要望や懸念事項を早期に吸い上げれば、導入後のトラブルを防ぎ、業務フロー変更に際してのフォロー体制を事前に構築できます。
プロジェクトの責任者と担当者を明確にしたうえで、導入スケジュールとタスク分担を管理しながら計画的に進める体制を整えましょう。プロジェクト管理ツールなどを活用して進捗を可視化することも、スムーズな導入に役立ちます。
複数の製品を比較検討する
カタログスペックだけで判断するのではなく、無料トライアルなどを活用して、操作感や各機能の使い勝手を現場レベルで確認することが重要です。スキャンした画像の画質や認識精度、会計ソフトへの連携手順など、実際の業務を具体的に想定した評価が選定精度を高めます。
また、ベンダーの営業担当者との相性や質問へのレスポンス速度なども確認し、信頼できるパートナーかどうかも評価対象に含めましょう。最低でも3〜5製品を比較し、複数の担当者の意見を集約したうえで最終判断を行うことが理想です。
法要件に沿った社内規程を作成する
システムの機能だけではカバーできない運用ルールを定めた「事務処理規程」を策定することが、法令遵守の観点から不可欠です。策定に際しては、国税庁やJIIMAが公開しているひな形と自社の実情を照らし合わせることが効果的で、作業効率の向上につながります。
策定した規程は取締役会などの承認を経て正式な社内ルールとしたうえで、従業員がいつでも閲覧できる状態を維持しておくことが重要です。規程の内容は定期的に見直し、法改正に合わせてアップデートする仕組みを整えておきましょう。
マニュアルを作成し、全社的な説明会を実施する
新しいシステムの操作方法や提出期限などのルールをまとめたわかりやすいマニュアルを作成し、全従業員に周知することが導入成功の鍵です。部署ごとの説明会やオンライン研修を実施する際には、なぜ電子化が必要なのかという背景や目的も含めて丁寧に説明すると、従業員の理解と協力を得やすくなります。
マニュアルはテキストだけでなく、スクリーンショットや動画を活用し、ITリテラシーが高くない従業員にも理解しやすい内容にすることが大切です。運用開始後も問い合わせ窓口を設けて、疑問点に素早く対応できる体制を整えておきましょう。
電子帳簿保存システム運用時のポイント
システムを導入した後も、継続的な法対応や社内運用の改善を怠らないことが、電子帳簿保存法への適切な準拠を維持するうえで重要です。ここでは、日々の運用で意識すべき主なポイントを解説します。
導入体制を整える
システム導入に伴い、業務フローが大きく変わる可能性があるため、従業員に対して十分な説明の機会と余裕のある移行期間を設けることが不可欠です。説明はシステムに合わせて作成したマニュアルや規定を基に行い、実際にそのルール通りに業務が遂行されているかを定期的に確認・徹底させましょう。
これにより、新しい業務フローへの適応がスムーズになるだけでなく、不正防止の観点からも規定に基づいた承認プロセスや相互牽制が正常に機能しているか、継続的に確認できます。導入後の定着フェーズに積極的にリソースを投入すれば、投資対効果の最大化につながります。
電子帳簿保存法に違反を防ぐ
電子帳簿保存法の要件を著しく満たさない状態で保存を続けていた場合、青色申告の承認が取り消されるリスクがあります。真実性や可視性の要件不備、隠蔽や仮装などの不正が発覚した場合には、重加算税が課されるなどの重大なペナルティが科されることもあります。
そのため、システム導入後も法改正情報を継続的にキャッチアップし、適切な運用状態を維持することがコンプライアンス上の義務です。ベンダーからの更新情報に加えて、国税庁のウェブサイトや税理士からの情報収集も欠かさず行いましょう。
優良電子帳簿の要件を満たして、税制優遇を活用する
一定の要件(訂正・削除履歴の確保など)を満たす「優良な電子帳簿」を使用して届出を行うと、過少申告加算税の軽減措置を受けられます。すべての帳簿が対象となるわけではなく、特定の帳簿のみで優良要件を満たすことでも適用可能な場合があるため、税理士などの専門家に相談してみましょう。
システム選定時に「優良電子帳簿」に対応しているかを確認しておくことで、将来的な税制上のメリットを享受できる選択肢を確保することが可能です。
※参照:国税庁『優良な電子帳簿の要件』
スキャナ保存における原本廃棄のルールを遵守する
スキャナ保存を行った後の紙原本は、画像データが正しく保存されていると確認した後であれば、即座に廃棄が可能です。ただし、入力期間内にデータ化が正しく完了しているかの確認が済むまでは、原本を安易に廃棄せず手元に保管しておく必要があります。
定期検査要件は廃止されましたが、廃棄フローを社内ルールとして明確に定め、未保存の原本を誤って廃棄しないような管理体制を整えることが大切です。原本廃棄に関するルールは文書化し、関係部署全員が正確に理解・遵守できるよう周知徹底しましょう。
自社に最適な電子帳簿保存システムを導入して、経理DXを実現しよう!
電子帳簿保存システムは、法令遵守のための必須ツールであるとともに、経理業務のDXを推進し、組織全体の生産性を高める重要な基盤となります。
タイムスタンプ付与や検索機能といった法的要件を満たすことはもちろん、会計ソフトとの連携やテレワーク対応、コスト削減など多面的なメリットが期待できます。
一方で、導入コストや業務フローの見直し、従業員教育といった課題もあるため、本記事で紹介した選び方や導入手順を参考に、自社に合ったシステムを慎重に選定してください。
JIIMA認証の有無や対応書類区分の確認、既存システムとの連携性など、重要なチェックポイントを一つひとつ丁寧に確認することが、導入成功への近道です。
電子帳簿保存システムに関するよくある質問
電子帳簿保存システムに関しては、法的要件や実際の運用方法にさまざまな疑問が生じることがあります。ここでは、導入検討時によく寄せられる質問と回答をまとめました。
タイムスタンプの付与は、現在も必須要件なのか?
現在では法的要件が緩和されており、訂正・削除の履歴が残るクラウドシステムなどを利用している場合には、タイムスタンプの付与は必須ではありません。
ただし、訂正・削除履歴の記録機能がないシステムを使用している場合や、スキャナ保存の一部の要件においては依然としてタイムスタンプが必要となるケースがあります。
自社が導入するシステムがどの方法で「真実性の確保」を行っているかを事前に確認し、必要な場合はタイムスタンプ付与機能を契約しましょう。
※参照:国税庁『電子帳簿保存法が改正されました』
受け取った電子データは、紙に出力して保存してもよい?
2024年1月以降、電子取引で受け取ったデータは原則として電子データのまま保存することが義務付けられています。紙に出力した保存自体は禁止されていませんが、あくまでも参考用であり、原本の保存はデータで行う必要があります。
システム導入が間に合わないなど、相当の理由がある場合に限り、紙保存が認められる猶予措置がありますが、恒久的な対応ではないため早期の電子化が必要です。猶予措置に頼り続けることはリスクが高いため、正式な電子保存体制の整備をおすすめします。
小規模な個人事業主でも、電子データでの保存は必須?
電子帳簿保存法は規模を問わず、すべての事業者が対象であり、個人事業主であっても電子取引データの保存義務は適用されます。ただし、基準期間(2課税年度前)の売上高が5,000万円以下の場合は、検索機能の確保要件が不要となる特例が設けられています。
また、電子帳簿保存専用のシステムを導入しなくとも、事務処理規程の作成や適切な運用方法によって要件を満たすことも可能です。
※参照:国税庁『電子帳簿保存法の内容が改正されました』
過去に紙で保存していた書類も、電子化してよい?
過去に作成または受領し、すでに紙で保存している書類についても、所轄税務署への届出なしにスキャナ保存(電子データ化)を行うことが可能です。これにより、過去数年分の保管書類をデータ化して倉庫スペースを空けるといった「過去分重要書類の電子化」が進めやすくなっています。
ただし、過去分を電子化する場合も、解像度やタイムスタンプなどのスキャナ保存要件を満たす必要があるため、注意しましょう。過去書類の電子化に際しては、要件を確実に満たせるシステムと社内フローを整えたうえで、計画的に進めることをおすすめします。