イクボスとは? イクボス宣言や10か条、導入するメリットについて解説
イクボスは、部下のワークライフバランスやキャリアを応援する上司のことです。
ただ応援するだけではなく、上司自身も組織で結果を出しながら、仕事やプライベートを楽しむのが大切です。
この記事では、ダイバーシティ推進を試みる経営層に向けて、イクボスの概要やイクボス10か条、メリット、デメリットを解説します。
また、この記事の後半部分では、イクボスの導入方法をわかりやすくまとめましたので、ぜひ最後までご覧ください。
イクボスとは
イクボスは、部下のワークライフバランスやキャリアを応援する上司のことです。
ただ応援するのではなく、上司自身も組織で結果を出しながら、仕事やプライベートを楽しみます。
イクボスでは、年齢や性別、企業における役職は無関係です。
イクボス宣言とは
厚生労働省が取り上げるイクボス宣言は、自治体や企業が従業員にとって仕事と子育てを両立できる環境を整えることです。
また、NPO法人のファザーリング・ジャパンはイクボスの浸透を狙い、イクボス検定を公式ホームページで実施したり、関連書籍を紹介したりしています。
(出典:厚生労働省 「日本総イクボス宣言プロジェクト!!」)
イクボス10か条を紹介
イクボスプロジェクトでは「イクボス十か条」を作成しました。
イクボスプロジェクトが発表したイクボス十か条のうち、過半数を満たしていればイクボスの証明となります。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
- 理解:現代の子育て事情を理解し、部下がライフ(育児)に時間を割くことに、理解を示していること。
- ダイバーシティ:ライフに時間を割いている部下を、差別(冷遇)せず、ダイバーシティな経営をしていること。
- 知識:ライフのための社内制度(育休制度など)や法律(労基法など)を、知っていること。
- 組織浸透:管轄している組織(例えば部長なら部)全体に、ライフを軽視せず積極的に時間を割くことを推奨し広めていること。
- 配慮:家族を伴う転勤や単身赴任など、部下のライフに「大きく」影響を及ぼす人事については、最大限の配慮をしていること。
- 業務:育休取得者などが出ても、組織内の業務が滞りなく進むために、組織内の情報共有作り、チームワークの醸成、モバイルやクラウド化など、可能な手段を講じていること。
- 時間捻出:部下がライフの時間を取りやすいよう、会議の削減、書類の削減、意思決定の迅速化、裁量型体制などを進めていること。
- 提言:ボスからみた上司や人事部などに対し、部下のライフを重視した経営をするよう、提言していること。
- 有言実行:イクボスのいる組織や企業は、業績も向上するということを実証し、社会に広める努力をしていること。
- 隗より始めよ:ボス自ら、ワークライフバランスを重視し、人生を楽しんでいること。
イクボスの効果やメリット
イクボスの具体的な効果やメリットをまとめました。
ワークライフバランス実現など職場環境が良くなる
イクボスの存在は、従業員が仕事とプライベートを両立できるようにサポートします。
イクボスは子育て中の従業員のニーズを理解し、柔軟な働き方を奨励することで、従業員のストレスを減少させられるでしょう。
従業員の満足度が上がり、総じて職場の雰囲気も良好になります。
また、離職率の低下や生産性の向上も期待できるでしょう。
企業イメージが向上しブランド化につながる
イクボスを取り入れた企業は、従業員と企業の業績向上の両方を大事にしていると考えられるため、社会的にも高く評価される傾向があります。
企業のブランドイメージ向上に寄与するでしょう。
また、企業イメージが向上することで、新しい顧客やパートナーを引き寄せることが可能となり、採用面でも優れた人材を魅了する要因となります。
イクボス導入の課題と問題点
イクボス導入の課題点や問題点をまとめました。
十分な体制が整った企業がまだ少数派
イクボスの考え方や方針は近年注目されていますが、イクボスを実際に取り入れている企業はまだ多くありません。
特に伝統的な価値観や働き方が根付いている企業では、イクボスの取り組みを導入する際、抵抗や困難が生じることがあるでしょう。
また、十分な育児支援体制や、柔軟な働き方を導入しきれていない企業が多いことも、イクボスが日本社会全体に浸透しない原因の一つです。
従業員に対して適切な評価をしづらい
イクボスの方針を取り入れることで、従業員がプライベートを視野に入れながら、柔軟な働き方を選択できるようになるでしょう。
その結果、従来の労働時間や出勤日数に基づく評価から、成果やパフォーマンスに基づく評価へのシフトが求められます。
また、育児で休む従業員の仕事を他の人が行ったり、上司が管理する量が多くなったりすると、彼らへの適切な評価の基準が定まりにくくなる側面もあります。
イクボスの導入方法をSTEP式で解説
イクボスの導入方法をわかりやすく4STEPで解説しますので、ぜひ参考にしてください。
STEP1.社内でイクボスへの理解度をアップする
イクボスの導入の第一歩は、全従業員の理解と協力を得ることです。
子育てやワークライフバランスに関するセミナーを企画したり、経営陣がイクボスの価値を強調したりすると、イクボスが社内に浸透しやすくなるでしょう。
また、導入の目的やメイン、他社の成功事例の共有など、さまざまな側面からアプローチをかけると、社内におけるイクボスの理解度がより高まるはずです。
STEP2.イクボス用に就業規則を整える
イクボスをスムーズに実施するためには、就業規則の整備が欠かせません。
育児休業に関する規定を別途定めると同時に、次のような項目を見直すとよいでしょう。
- フレックスタイム制やテレワークなどの柔軟な勤務制度
- 家族のケア休暇などの現代の家庭のニーズに対応した休暇制度
- 労働時間よりも成果を重視する評価制度
- 育児制度の利用のしやすさ
STEP3.イクボスの対象者を選定し実行する
イクボスの取り組みを始める際には、まず対象者を明確に定義しましょう。
例えば、全従業員が対象なのか、管理職やリーダーだけに対象範囲を留めるかによって、その後の流れも異なります。
また、イクボスの理念を体現する中心人物を選び、彼らをロールモデルにして社内に紹介すると、イクボスの取り組みが具体的だとアピールできます。
イクボスの利用者増加につながるでしょう。
STEP4.定期的にフィードバックする
イクボスの取り組みの効力を知ったうえで改善するためには、定期的なフィードバックが必要不可欠です。
例えば、従業員のワークライフバランスや職場環境に対する意識、具体的な取り組みに対する満足度などを定期的にアンケートを取りましょう。
上司を交えた定期的なミーティングなども効果的です。イクボスの取り組みには継続的な改善と確認が必要ですので、従業員とのコミュニケーションを大切にしましょう。
イクボスのまとめ
厚生労働省も推奨するイクボスは、職場スタッフや部下、同僚の育児に理解のある上司を目指すこととされています。
しかし、イクボスの取り組みが、業務効率や業務プロセスを見直すきっかけになるケースもあるでしょう。
イクボス宣言した企業や自治体は、イクボス企業同盟に団体名が公表されるため、企業価値を高められる効果があります。
ダイバーシティ推進や企業イメージアップのためにも、経営層はイクボスの検討をおすすめします。