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総務の立ち位置「他に、これだけ多い部門がありますか?」

総務の立ち位置「他に、これだけ多い部門がありますか?」

この記事の著者
株式会社月刊総務 代表取締役社長   戦略総務研究所 所長 

総務は変幻自在

今回は総務の立ち位置についてお話ししましょう。総務の重要性を理解できると思います。そして、これほどの立ち位置や関係性を持った部門は、おそらく他にはないのではないでしょうか。それほど多くの接点があり、その結果、多くの人脈を構築することになります。それが総務部門の一つの武器になるのです。

それでは、総務の立ち位置を、いくつか挙げてみましょう。

  1. 経営と従業員の間に位置する
  2. 社内と社外の間に位置する
  3. 働く場という舞台装置を司る
  4. 文化・社風醸成の担い手
  5. 守りと攻め、二面性を持つ
  6. 最も多くの人脈ネットワークを持つ
  7. 最も多くの業務項目を抱えている
  8. 他の部門が担当しない項目を全て担当する
  9. 人件費に次ぐ大きな予算を抱えている

いかがでしょうか? いろいろな立ち位置、見方があるかと思います。皆さんが考える総務部門の立ち位置として、どれが相応しいでしょうか? まだ他にもあるかもしれません。それほど総務の立ち位置は数多く、そのぶん重要な立ち位置にいると言えるのではないでしょうか。まさに変幻自在。鞍馬天狗のように活躍できる部門なのです(例えが、少し古いですが・・・)。


間に位置する

それでは、個々に見ていきましょう。まずは、「経営と従業員の間に位置する」です。これはイメージしやすいでしょう。経営からの指示を受けて施策を考え、現場従業員に周知して実施してもらう。逆に、現場従業員の要望を施策に反映して経営に上申する、稟議起案を回す。

このように、経営と従業員の間に位置し、施策を行っていく。板挟みになる状況も往々にしてあります。経営の指示を受けたものの、とても現場には降ろせそうもない・・・。現場からの要望はあるのだが、とても経営側が飲めるものではない。胃が痛くなるような経験をされた方も多いのではないでしょうか?

しかし、見方を変えれば、どちらとも接点があり、いわば潤滑油として会社を動かしていくことができるはずです。そして、大事なのは翻訳機能。どちらか一方の意見や思いをそのまま伝えるのではなく、それぞれの立場を慮って伝達していく、理解しやすい言葉に変換して伝えることが大事です。

双方が見ている世界は異なりますから、それぞれの視点が分かる総務部門ならではの強みを発揮する必要があるのです。現場従業員は経営の考えに触れることは少ないでしょうし、経営は現場従業員の気持ちを知る機会も少ないはずです。この間を取り持つ、これは総務部門の立ち位置であり、一つの大きな強みとなるのです。

もう一つが、「社内と社外の間」という立ち位置です。社外の方にとっては、総務部門が会社を代表する窓口となり最初に接するところとなります。多くのステークホルダーが存在する昨今、この会社の窓口は大変重要な立ち位置であり、会社を代表する立場であり、総務部門の立ち居振る舞いが会社の印象を決めることになります。

会社の代表として最初に接して、しかるべき部門に取り次ぐ、そんな仲立ち機能も担うことになります。そうなれば、当然、社内のことを隅々まで把握する必要があります。たらい回しにすることなく、的確な部門に取り次ぐことで、何より好印象を与えます。

「会社の常識は、社会の非常識」。こんな言葉があるくらいです。会社として良かれと思ったことが、実は社会的に見て非常識な振る舞いとなり、その結果、不祥事やイメージダウンにつながることも、新聞報道でよく目にするところです。

総務部門の立ち位置や社外との接点の多さは、捉えようによっては、一般社会の感覚、目線を維持、養うことができる立ち位置であるとも言えます。会社どっぷりの社会人生活では、社会常識との乖離を生む可能性もあります。それを是正するのも総務部門の役割の一つとなるのです。


場を創り、文化を創る

次は、「場と文化の担い手」という立ち位置です。これはほんとうに大きな役割です。会社の根幹を創ることになるからです。この場合の「つくる」は、「作る」という単なる作業ではなく、創造性を発揮しながら自社オリジナルの場と文化を「創る」ことを意味します。

場を創ることがいかに大きな意味を持つことなのか。コロナ禍を経験し、働く場はオフィスだけに留まらないことが明らかになりました。しかし、その中心となるのは、やはりオフィスです。従業員を役者とたとえるなら、オフィスは舞台装置です。舞台が変われば役者も演じ方を変えざるを得ず、舞台装置であるオフィスは従業員の働き方に大きく影響を与えるのです。

働き方改革全盛期のころ、まずは人事制度の改革が行われました。ただ、制度に該当する人には意識されましたが、目に見えないがゆえに、なかなかインパクトの大きな変革には結びつきませんでした。一方、オフィスは、そこに勤務する従業員であれば必ず使い、目に見えるものです。このオフィスが大きく変わると、多大なインパクトを持って変革が実現されました。「変わった感」が半端ではないのが、オフィス変革だったのです。つまり、それほど従業員に対する強制力を持った変革ができるのです。

この舞台装置を司る総務部門の立ち位置は、絶大なパワーを持っているはずです。そして、コロナ禍によって舞台装置は在宅に移り、さらにコワーキングスペース等のサードプレイスやワーケーションというように、オフィスを飛び越えて進化していきました。総務部門の管轄範囲がどんどん拡大し、そのぶん変化を起こすチャンスが巡ってきたのです。

そして総務部門は、文化の担い手でもあります。自社らしさやDNAをしっかりと根付かせ、強化する機能も総務部門が握っているのです。オフィスを通じて、イベントを通じて、日々の総務部門の仕掛けを通じて、それを強化していく。コロナ禍による強制的な在宅勤務や働く場の分散により、コミュニケーションが希薄化しました。それに伴って繋がりの欠如が大きな課題となり、「文化の担い手」としての役割が、ますます重要になっています。

5つ目以降の立ち位置については、次回ご説明します。いずれにせよ、総務部門の立ち位置を理解すると、その重要性がより一層理解できることでしょう。

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著者プロフィール

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豊田 健一

株式会社月刊総務 代表取締役社長 戦略総務研究所 所長

早稲田大学政治経済学部卒業。株式会社リクルートで経理、営業、総務、株式会社魚力で総務課長を経験。日本で唯一の総務部門向け専門誌『月刊総務』前編集長。現在は、戦略総務研究所所長、(一社)ファシリティ・オフィスサービス・コンソーシアム(FOSC)の副代表理事として、講演・執筆活動、コンサルティングを行う。

毎日投稿 総務のつぶやき 

毎週投稿 ラジオ形式 総務よもやま話

毎月登場 月刊総務ウェビナー

著作

マンガでやさしくわかる総務の仕事』(日本能率協会マネジメントセンター) 

経営を強くする戦略総務』(日本能率協会マネジメントセンター) 

リモートワークありきの世界で経営の軸を作る 戦略総務 実践ハンドブック』(日本能率協会マネジメントセンター)

講演テーマ:総務分野

総務の最新動向について

総務の在り方、総務のプロとは

戦略総務の実現の仕方・考え方

総務のDXWithコロナのオフィス事情

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