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総務の立ち位置。「他に、これほどインパクトを与えることができる部門がありますか?」

総務から会社を変えるシリーズ

総務の立ち位置。「他に、これほどインパクトを与えることができる部門がありますか?」

この記事の著者
株式会社月刊総務 代表取締役社長   戦略総務研究所 所長 

守りと攻めの両面

今回も総務の立ち位置についてお話ししましょう。前回ピックアップした以下の項目についてです。

1.守りと攻め、二面性を持つ

2.最も多くの人脈ネットワークを持つ

3.最も多くの業務項目を抱えている

4.他の部門が担当しない項目を全て担当する

5.人件費に次ぐ大きな予算を抱えている

守りの総務、攻めの総務。お聞きになったことがあると思います。

特に、攻めの総務については、「戦略総務」という言葉で表現されます。

私も二冊執筆しています。『経営を強くする戦略総務』、『リモートワークありきの世界で経営の軸を作る 戦略総務 実践ハンドブック』。総務の一つのあり方として、多くの方に共感をいただいています。

では、攻めの総務が良くて、守りの総務がだめなのか、遅れているのか、そういうわけではありません。むしろ、守りの総務、つまりリスク管理や通常の管理業務(異常を察知して是正する)がしっかりできていないと、足をすくわれることになりかねません。

守りと攻め、どちらを優先するかというと、私は守りだと思います。

ただ、守りだけでは会社に変化は起きません。いま盛んに行われている、働き方改革、働く場の多様性、デジタルトランスフォーメーション。これらは、どちらと言えば攻めの総務となります。会社の発展には、このような攻めの総務がぜひとも必要なのです。

ですから総務部門としては、

守りをしっかりと固め、その上で攻めに転じることが大事

です。

さらに、攻めの施策にも必ず守るべき点が存在します。

デジタルトランスフォーメーションが進む一方で、情報セキュリティが重要になる。在宅勤務が進む中で、メンタル対策が必要になる。そういうわけです。

守りと攻め、この両面を常に意識して仕事をすることが、総務の立ち位置としては必要となるのです。


必然的に人脈が増える

総務部門が仕事をしようとすると、多くの関係者を巻き込むことになります。

総務部門の仕事は、総務部門だけのための仕事ではなく、現場の従業員のための仕事がほとんどです。その結果、従業員との接点が増え、コミュニケーションを取りながら施策を考えて実行していくことになります。

また、現場のための仕事であっても、総務部門のメンバー自身がそれを全て行うわけでもありません。クラウドツールを導入したり、外部のプロフェッショナルに委託して動いてもらうことも多々あります。その結果、外部との接点も多くなります。

むしろ、外部の人脈やネットワークが多ければ多いほど、いろいろなことを仕掛けられるようになります。

このように、総務が会社に貢献しようとすると、必然的に社内外の人脈が増える結果となります。

多くの優秀な総務パーソンを取材しましたが、そんな人は外に目を向け、外に出向き、ネットワークの構築に励んでいます。他社の総務部門にも出かけていき、勉強しています。今後の総務部門に必要なのは、外に目を向ける姿勢だと思います。社内外の人脈をフル活用して、会社を変えていく。そんな仕事の仕方が総務の立ち位置の一つになると思います。


属人化の可能性

総務のイメージ。「皆さんは、総務をどのように見ていますか?」でも記しましたが、総務部門は何をしているか分からない部署と言われます。

その最大の要因が、業務項目の多さです。

ある有名上場企業の総務部門では、業務項目は1000を超えていました。そして、全ての業務を定常的に行うかというと、一年に一回だけ、あるいは、いつ起こるか分からないので準備だけはしておく(リスク管理に多い)。こういった業務も存在します。

そうなると、総務の大きな課題の一つである「業務の属人化」に陥ります。

Aさんの担当業務はAさんでなければ対応できない。Aさんが休むと誰も対処できず、さらに引き継ぎがないままAさんが退職すると、もう誰も分からない。このような事態が属人化です。そうなれば誰も口をはさめず改善もされず、旧態依然の状態で業務が存在し続けていく悪弊です。

総務は、業務が多いがゆえに「何でも屋」とも言われます。

何をしているか分からない「何でも屋」です。このような面だけを見ると、気分が落ち込みます。

さらに、次の項目「他の部門が担当しない項目を全て担当する」を見ると、さらに落ち込みます。一体どんな仕事が舞い込むのか、やらされるのか。

業務分掌規程にある、総務を象徴する言葉、「他の部門が担当しない項目を全て担当する」。

しかし、これを逆に見ると、どうでしょうか? 「何でもしてもいい部門」となりませんか? 

会社の貢献のためであれば、何でもできる部門。これは他部門ではありえない立ち位置です。

いままで出会った多くの総務パーソンで成果を出している人は、ほとんどこの捉え方をしています。会社に貢献するため、制約なしで考え、自らの仕事にしています。

そして共通するマインドは

「変化と自由を楽しむ」

というものです。

会社を変えるために変化を起こし、しかも業務範囲の制約がないことを自由と捉え活躍しています。総務で成果を上げようと思うなら、まずはこのようなマインドに切り替えることが成功の第一歩のような気がします。


総務財布は膨大

以上、2回にわたっていろいろな立ち位置を見てきました。

最後は「総務財布」のお話です。

働く場を司る、業務項目が膨大、その結果、総務が管轄する予算は人件費に次ぐ大きなものであるという事実です。総務が管轄する予算は「総務財布」とも言われます。

総務が管轄する予算には、直接総務部門のPLに反映される直接管理コストがあります。これだけを捉えると、案外少ないと思う方もいるかもしれません。

しかし、例えば営業所の家賃。その部門のPLに計上されることが多いと思います。

しかし、その場所を借りるにあたって交渉するのは、ほとんどが総務部門ではないでしょうか? あるいは、全社で使う複合機やプリンターは、使用枚数によって部門に加算されるかもしれませんが、導入する際の価格交渉は総務部門が担うことがほとんどです。

このように、間接的に総務部門が関わるコストを間接管理コストとして捉えることができます。

このようなコストも総務財布に含めると、その額は膨大になる、という話です。つまり、コスト的にも、総務部門は全社に大きなインパクトを与えることができる立ち位置にいるということになります。

以上で、総務の立ち位置についての話は終わりです。いかがでしたでしょうか?

多くの点で、総務部門が会社に与えるインパクトの大きさや重要性を認識されたと思います。

「総務が変われば、会社が変わる」。

この意味を徐々に理解できてきたのではないでしょうか。

一方で、なかなか実力を発揮できない総務担当者がいることも事実です。
次回は、その足かせとなっている、総務部門の課題について見ていくことにします。


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著者プロフィール

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豊田 健一

株式会社月刊総務 代表取締役社長 戦略総務研究所 所長

早稲田大学政治経済学部卒業。株式会社リクルートで経理、営業、総務、株式会社魚力で総務課長を経験。日本で唯一の総務部門向け専門誌『月刊総務』前編集長。現在は、戦略総務研究所所長、(一社)ファシリティ・オフィスサービス・コンソーシアム(FOSC)の副代表理事として、講演・執筆活動、コンサルティングを行う。

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著作

マンガでやさしくわかる総務の仕事』(日本能率協会マネジメントセンター) 

経営を強くする戦略総務』(日本能率協会マネジメントセンター) 

リモートワークありきの世界で経営の軸を作る 戦略総務 実践ハンドブック』(日本能率協会マネジメントセンター)

講演テーマ:総務分野

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