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総務の課題。「会社を変える前に、まずは総務のことを知ってもらわないと!?」

総務から会社を変えるシリーズ

著者:株式会社月刊総務 代表取締役社長  戦略総務研究所 所長  豊田 健一

総務の課題。「会社を変える前に、まずは総務のことを知ってもらわないと!?」

知られていないという事実

総務のマイナスイメージについては、繰り返しお伝えしてきました。しかし、そもそも、現場の従業員は総務のことを知ろうとするでしょうか? 恐らく自分の仕事で手がいっぱいで、総務について知ろうとすることはあまりないでしょう。総務との接点があれば、その時点での総務のイメージしか持てないはずです。積極的に総務側が情報発信しない限り、現場従業員が持っている総務に対するイメージは変わることはないでしょう。今回は、総務部門からの情報発信について考えていきたいと思います。

社内コミュニケーション・メディアとして、社内報や社内イントラネットが存在します。その中で総務自身について紹介するコーナーがどれだけあるでしょうか? 部署紹介コーナーで順番に紹介していく中で、総務部門が紹介されることはあるでしょう。その際、総務が発信する施策を取り上げることはあるかもしれません。しかし、総務からのお知らせコーナーを定期的に持っているところは少ないと思います。

総務と現場との接点は、現場から総務に依頼する時か、総務から現場に通達として情報発信する時か、それくらいしかないかもしれません。必要なのは、総務部門がどのようなビジョンを持ち、今後何をしていこうと考えているのか、そしてそれは具体的にどのような施策なのか、現場に伝えることです。

よくあるのが、「二週間後にレイアウト変更があります。みなさん準備してください!」という総務からの投げかけです。現場としては、いきなり言われて戸惑うばかり。反発もおきるはずです。そもそも、総務が関与する全社に関わる施策は、かなり前から企画されています。その時点で現場に一報を伝えるべきでしょう。なぜレイアウト変更するのか、その背景や意味を先に伝えておけば、面倒な作業も受け入れてくれるのではないでしょうか。意味が分かれば、人は動いてくれるものです。それを説明せずに目の前の作業だけ指示するのでは、総務への良いイメージを到底持てないことでしょう。


そもそも、総務自身が、総務のことを知っていますか?

前回、「属人化」という総務部門の悪弊について記しました。総務部門内の他のメンバーの仕事を知らないことによる弊害です。他のメンバーの仕事内容は、マニュアルがあれば対応は可能です。それ以上に知っておきたいのが、総務部門としての全体像です。概略でも良いので、どのような仕事を担当する部門なのか、全体像を知っておくべきです。そして、そのような仕事を通じて、何を目指す、何を実現する部門なのか、是非とも共通認識として持っておきたいところです。総務部門のビジョンです。

各社にビジョンがあるように、総務部門にもビジョンが必要です。『ビジョナリーカンパニー』という書籍がベストセラーになりましたが、総務もビジョナリー総務になる必要があります。例えば、従業員の就業体験を最高のものにする、働く場の多様性を実現するなど、総務部門として実現したい姿をビジョンとして掲げる。その実現のために、この施策を実施しようとしている。こういったことを、現場とコミュニケーションするのです。それも頻度高く実施します。それが総務部門に必要な社内への情報発信であり、総務と現場とのコミュニケーションなのです。

ある企業では、総務部門が独自の社内メディアを立ち上げ、総務部門が今考えていることを発信しています。それをじわじわと刷り込むことで現場に背景と意味が理解され、快く協力してもらえるとのことです。また、総務の目指すべき姿を伝えることで、総務部門は何をしている部署か分からないという状態も払拭されます。総務部門のイメージ低下は、実は、総務部門の広報不足、PR下手に原因があるのです。


ぶらぶら総務で知ってもらう

総務部門での独自メディアの例をご紹介します。私が勤務していた昔のリクルートでは、「総務通信」なるものがありました。定期的に総務の女性社員がイラスト付きの手書きで作成していました。A4一枚のモノクロでしたが、上手なイラストで総務からのお知らせを掲載していました。それを掲示する場所が秀逸でした。トイレの個室の扉の内側、座るとちょうど目の前に掲示されているのです。当時はまだスマホがなかった時期で、個室に入るとそれを読むことに集中してしまうのです。閲読率も高く、総務の動きを伝えることができていました。

とは言いつつも、総務部門で独自に社内メディアを立ち上げるのは難しい、という声が聞こえてきます。他に手立てはないものでしょうか? 「ぶらぶら総務」という言葉があります。特に用もなしに現場に出向き、現場の従業員と話をすることです。目的は、現場の従業員とのコミュニケーションを通じて、課題や不満、要望を探っていくことです。問題が大きくなる前に察知して対応しようとする目的もあります。

このぶらぶら総務は、総務部門が現場を知るとともに、総務部門のことを知ってもらう絶好の機会ともなるのです。つまり、現場の従業員とのコミュニケーションの中で、

「今、総務部門として、こんなことを考えているんですよ」

「今度、このようなことをしようと思っているのですが、いかがですか?」

「今年は、これを実現しようと考えているのです」

そのような発信をしていくのです。依頼事項があってコミュニケーションをするのではなく、お互い時間がある時のコミュニケーションなので、相手も反応してくれるはずです。このような動きを繰り返すことで、じわじわと総務部門の動きを伝えていくのです。独自メディアを持たなくとも、誰でもできる方法です。

ただ、前提として、総務部門が何を目指しているのか、何をしようとしているのかを、常に部門内で考え、コミュニケーションする必要があります。言われてやる仕事に終始したり、何も考えずにマニュアル通りにただ仕事をしているだけでは、コミュニケーションするネタが作れません。現場に知ってもらう、そのためのコミュニケーションをする前に、まずは総務部門内でしっかりと考え、コミュニケーションすることが必要となるのです。

それでは、総務のあり方とは何なのか、そんな根源的なところを次回から考えていきたいと思います。

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著者プロフィール

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豊田 健一

株式会社月刊総務 代表取締役社長 戦略総務研究所 所長

早稲田大学政治経済学部卒業。株式会社リクルートで経理、営業、総務、株式会社魚力で総務課長を経験。日本で唯一の総務部門向け専門誌『月刊総務』前編集長。現在は、戦略総務研究所所長、(一社)ファシリティ・オフィスサービス・コンソーシアム(FOSC)の副代表理事として、講演・執筆活動、コンサルティングを行う。

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経営を強くする戦略総務』(日本能率協会マネジメントセンター) 

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