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総務のあり方。「戦略総務に必要なマインド」

総務から会社を変えるシリーズ

著者:株式会社月刊総務 代表取締役社長  戦略総務研究所 所長  豊田 健一

総務のあり方。「戦略総務に必要なマインド」

総務は捉え方が全て

今回は戦略総務を実現するのに必要なマインドについて見ていきます。

図は、前回同様、全国総務部門アンケートからのグラフです。自社に貢献するのに必要なマインドは何でしょうか? という質問の回答です。ブルーの棒グラフが回答者全員の回答、オレンジの棒グラフが戦略総務を意識して活動している方の回答です。

どちらの回答でも一番となっているのが、「当事者意識」です。その業務の担当として、「私がやらねば」という意識を持てるかどうか、ということです。私が所属している総務パーソンの成長支援団体、一般社団法人FOSC。そこで提唱している「FMクレド15箇条」でも、最も重要なクレドとして挙げられるのが、この当事者意識を持つことです。クレドでは、「This is MY building」と表現されています。

「This is MY building」。ここは自分の建物である、という意識を持ちましよう、という意味です。詳しく解説してみましょう。

自宅の、それも自分の部屋にゴミが落ちていたら、皆さんどうしますか? 当然、そのゴミを拾って、ゴミ箱に捨てるはずです。では、通勤途上、駅のホームにゴミが落ちていたら、皆さん拾いますか? たぶん、それを拾うことはないでしょう。では、皆さんの会社、エントランスにゴミが落ちていたら拾いますか? 「This is MY building」という意識があれば拾うはずです。つまり、自宅の自分の部屋と同様に、自分のモノである、という当事者意識があれば対応し、駅のように、自分のモノではない、という意識の下では、当事者意識は持たず、対応はしないものです。その意識を象徴して表したクレドが、「This is MY building」と表現されているのです。

これは自分の仕事だと当事者意識を持てれば改善意識も持つでしょうし、どうすれば理想に近づくか考えることもあるでしょう。総務パーソンとしてまず求められるのが、この当事者意識。アンケート結果にも表れているように、総務の皆さんもそれを感じていることが見て取れます。


無くてはならない、ホスピタリティ

私が注目したいのは、第四位のホスピタリティマインドです。総務のプロと言われる方々に取材して、一様に言われるのが、このホスピタリティマインド。総務は、ある意味で社内サービス業。サービスを提供される側に心地よくなってもらうことが大切です。ホテルのコンシェルジュのような物腰、親切な対応、それらのベースとなるのが、このホスピタリティマインドです。

横柄な態度、あるいは「私は忙しい! しゃべりかけてくれるな」オーラを出して仕事をしていては、誰も声を掛けられませんし、そうなると情報も入ってこなくなります。総務に社内情報が入ってこなくなると、満足に仕事はできません。リスクの予兆もつかむことができません。ホスピタリティマインドがある、話しかけやすい雰囲気が総務には非常に大切となります。

よく総務は「社内のお母さん」だと表現されますし、そのようなマインドを持って仕事をしている方も多いものです。まさに、愛情いっぱい、ホスピタリティマインドいっぱいで、会社のため、社員のために仕事をされている方は社内の評価も高く、また頼られています。


変化を楽しむ心

総務で成果を出すために必須のマインドが、変化を楽しむ心です。戦略総務として会社を変える施策に取り組むことは、イコール社内に変化を起こすことです。コロナ禍も含め、外部環境への適応も変化。新たな取り組みも変化。つまり、総務の成果は変化を起こすことなのです。

そうなると、変化に対してアレルギーがあると成果は出せません、変化を起こすことで生ずる、現場社員からの反発、ハレーションを恐れていては、成果は出せません。むしろ積極的に変化を起こす、変化を楽しむ心がないと、成果は出せないのです。

数多く取材してきた総務のプロたちは、誰もがこの変化を楽しむ心を持っています。ルーチン業務は大嫌い、常に新たな取り組みを探し、実践している方ばかりです。実際、変化は大変です。しかし、それを乗り越えたところに大きな達成感と学び、成長があると信じ、皆さんは変化の波に飛び込んでいるのです。


成長意欲

変化の先にある、ご自分の成長。成長したいという意欲を、総務のプロの方々は強烈に持っています。だからあえて変化を巻き起こしていくのです。変化は新たな取り組みとなることが多く、その実現の途上で多くの学びを得ることができます。多くのネットワークも構築することができます。それらが全てご自分の財産となり、次の変化を起こす際のベースともなるのです。

ですので、これを繰り返すことで、さらに大きな変化にチャレンジでき、そしてまた大きく成長していく。さらに大きな仕事をするためのエンジンが成長意欲ともなるのです。

外資系の総務の方は、この成長意欲が顕著です。いま所属している会社である程度仕事をやり切ったら、さらに大きな仕事ができる舞台を目指して転職していきます。そのような方を何人も見てきました。会うたびに、成長されている感をひしひしと感じます。

重要なことは、総務という仕事は限りない成長の場だと捉えられるかどうか、ということです。やらされ仕事ばかりだ、と捉えると、先に記した当事者意識は到底持てず、工夫も改善も行わず、言われたとおりに、言われたようにしか対処せず、結果、そこで成長することはほとんどないでしょう。しかし、当事者意識を持ち、何かこの仕事でつかみ取ってやろう、何か学びを得ようという成長意欲が持てれば、何か工夫をするでしょうし、理想のモノに近づく努力もするでしょう。結果、素晴らしい成果を出す仕事になっていくのではないでしょうか。

総務には専門知識も必要です。仕事を上手に切り盛りするスキルも必要です。ですが、私が最も総務に必要だと思うのは、当事者意識であり、成長意欲であると思います。これがあれば、知識を得ようとするでしょうし、スキルも学ぼうとするはずです。まずは必要とされる、総務に必要なマインド。その醸成のための総務という仕事の捉え方。これが総務のプロ、戦略総務実現のベースとなるのです。

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著者プロフィール

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豊田 健一

株式会社月刊総務 代表取締役社長 戦略総務研究所 所長

早稲田大学政治経済学部卒業。株式会社リクルートで経理、営業、総務、株式会社魚力で総務課長を経験。日本で唯一の総務部門向け専門誌『月刊総務』前編集長。現在は、戦略総務研究所所長、(一社)ファシリティ・オフィスサービス・コンソーシアム(FOSC)の副代表理事として、講演・執筆活動、コンサルティングを行う。

毎日投稿 総務のつぶやき 

毎週投稿 ラジオ形式 総務よもやま話

毎月登場 月刊総務ウェビナー

著作

マンガでやさしくわかる総務の仕事』(日本能率協会マネジメントセンター) 

経営を強くする戦略総務』(日本能率協会マネジメントセンター) 

リモートワークありきの世界で経営の軸を作る 戦略総務 実践ハンドブック』(日本能率協会マネジメントセンター)

講演テーマ:総務分野

総務の最新動向について

総務の在り方、総務のプロとは

戦略総務の実現の仕方・考え方

総務のDXWithコロナのオフィス事情

健康経営の進め方、最新事例の紹介、など

講演テーマ:営業分野

総務経験者が語る総務の実態、総務の意志決定プロセスを知るセミナー

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