総務のあり方。「コミュニケーションを学ぶ 社内周知のツボ」
総務から会社を変えるシリーズ
総務部門は、組織全体を把握し、働きかける部門です。そのため、総務部門の働きによって、組織をより良くできます。
しかし、社内周知が上手くいかず、どうすれば総務部門の社内周知が効果的に行えるのかと悩んでいる総務部門の方も少なくないでしょう。
まずは、社内周知が一方通行の業務ではなく、他部門とのコミュニケーションだと捉えることが重要です。
本文では、効果的なコミュニケーションに必要なツボを簡潔に紹介します。社内周知で行き詰まりを感じている総務部門の方は必見です。
6W1Hを意識する
総務部門では、新たな施策を企画し、承認をもらうまでが一つ目の山です。次に、社内に周知し現場の従業員に守ってもらう、あるいは実行してもらう、それも継続的に、これが二つ目の山となります。むしろ、周知徹底、そして実行、こちらの山の方が高いかもしれません。
しかし悲しいかな、なかなか伝わらない、理解されない、浸透しないというのが現状ではないでしょうか。誰に何を伝えて、その結果どうして欲しいのか。明確に意識しつつも、どうしても総務部門目線で表現してしまったりする。社内への周知徹底にはどのような工夫が必要なのでしょうか?
注意したいのは、以下の項目です。
- Who(誰が):メッセージの発信者は誰なのか
- Whom(誰に対して):メッセージを伝える相手、ターゲット
- What(何を):ターゲットに伝えたいこと、コンテンツ
- How(どのように):コンテンツの料理方法、当事者意識を持ってもらう切り口
- Why(なぜ):どうして伝えるのか、どうなって欲しいのか、ターゲットのあるべき姿
- Where(どこで):どのメディア、ツールを使って伝えるのか、伝達手段
- When(いつ):メッセージの発信時期
以下、順に説明していきましょう。
誰が、誰に伝えようとしているのか
誰が、というのはメッセージの発信者。これは意識するもしないも当事者だから、当たり前!ということになりますが、注意したいのは自分たちの言葉で発信してしまうことです。たとえば、情報システム部からのお知らせには専門用語が当たり前のように記載されており、システムの素人にはとても読めたものでない、ということがありがちです。
誰に対してかを意識するということは、メッセージを届けたい相手目線で伝える、ということです。相手が理解できるレベルを把握することです。日ごろからそのターゲットとコミュニケーションを取るなどして、そのレベル感を把握しておきましょう。
何をして欲しいのか。総務部門からの発信は大きく分けて3つあるでしょう。
- 事実、方針、メッセージの伝達、知ってもらう、理解してもらう
- 新しい取り組み、サービス、機能を知ってもらう、使ってもらう
- コンプライアンス等、理解して守って欲しい、必ず実践して欲しい
つまり、理解してもらう、使ってもらう、守ってもらう、それらの組み合わせが多いかと思います。ターゲットにどうなって欲しいかが明確になると、そのために何のコンテンツを発信するべきかを考えます。逆に、コンテンツありきで、それを伝えることでどのようになって欲しいかを定めることもあります。
コンテンツが定まったとしても、それをそのまま伝えるだけでは、さっぱり効果が上がらないことはよくあることです。人は自分との関係性を認識して初めて「自分事」として考え始めます。コミュニケーションではこの当事者意識の喚起が大変重要です。
当事者意識がポイント
「で? 何なの?」
「で? 私とどのように関係があるの?」
「で? 私はどうすればいいの?」
どのように当事者意識、その前の関係性を認知させるかを考えます。
コンテンツの内容をさらに大きく二つに分けると、
- こうして欲しい、これを使って欲しい、というポジティブなコンテンツ
- 絶対しないでね、やめて欲しい、というネガティブなコンテンツ
があります。
ポジティブなコンテンツの場合は、それをすることでどのようなメリットが自分自身にあるかを具体的に示してあげます。既に実践している人の事例を取り上げ、それによるメリットや効果を本人の口から話してもらう。事例紹介です。あるいは、既に実践している人の数を取り上げ、未だ動いていない人に乗り遅れている感を感じてもらうのも一つの方法です。
一方、ネガティブコンテンツは、自分も守らないとまずい、という認識をしてもらうことが重要です。代表的なコンテンツであるコンプライアンスの徹底。多くの企業では社内報を使い、各部門で想定されるコンプライアンス違反の事例を漫画で取り上げ、誰もが関係するのだ、そして違反すると個人として相当のデメリットを受けるのだ、というメッセージを発信しています。平たく言えば、「びびらせる」ことです。
ターゲットで一つ追加するとすれば、いきなり全員に伝えようとしなくても良い、ということです。社内で影響力のある「インフルエンサー」をターゲットとして、そこから伝播させていくという方法もあります。よく言われる正規分布「2、6、2」の上位2をターゲットとして、そこから、中位の6をなびかせる、という方法もあります。
社内メディアは、何を選ぶか
最後に、メディアの選定と発信時期があります。メディアの選定は、ターゲットの働き方と連動していきます。常にオフィス内で働いている人もいれば、直行直帰の営業もいます。この方々に同じ方法で伝えるのは無理があります。どのような働き方をしており、どのようなメディア・ツールであれば見てもらえるかを確認しておくことが重要です。
内勤者への伝達は、一般的な社内コミュニケーションツール、電子メール、イントラネット、掲示板、ポスター、冊子の配布、回覧など、ほとんど活用できるでしょう。営業など外回りが多い場合は、電子メールが中心となるでしょう。ただし、ターゲットにリーチできたとしても、当事者意識を持てるように料理をしないと、素通りされてしまいます。
掲示板やポスターは、社員が必ず通過する場所に設置されることが多いようです。タイムカードの上、共用備品の置き場所やプリンター、コピーの近く。ある企業では、トイレの個室の中、それも座ったらちょうど目の高さのところにくるように貼っています。社員が必ず通過する、あるいは手持ち無沙汰になるシーンに掲示すると目に入ってしまう、ということです。
そして発信時期です。同じようなメッセージが立て続けに発信されると飽きられるように、同じようなコンテンツは発信時期をずらす必要があります。また、当然ながらターゲットの仕事の繁忙期は避けるとか、発信者側もターゲットの身になって、最適な、あるいは見てもらえそうな時期を選定しましょう。
とにかく大事なことは、ターゲットの身になって、
- 理解できるか
- 当事者意識を持てるか
- そのメディアで見てもらえるか
を考えることなのです。