このページはJavaScriptを使用しています。JavaScriptを有効にして、対応ブラウザでご覧下さい。

総務のあり方。「総務が情報通となるには」

総務から会社を変えるシリーズ

著者:株式会社月刊総務 代表取締役社長  戦略総務研究所 所長  豊田 健一

総務のあり方。「総務が情報通となるには」

情報を集める目的とは

総務は情報を持っていればいるほど仕事がはかどります。そもそも、総務の仕事自体が情報取扱業務でもあるはずです。ナレッジマネジメント、社内コラボレーション、社内コミュニケーション活性化。全て社内情報がベースとなっています。社内のリソースを最大限に活用するには、誰がどこでどんな仕事をしているのか、どのような得意分野を持っているのかを知っておくことが必要です。社内で無くてはならない人となるために、社外で頼りにされる人となるために、そして総務が成果を上げるための社内情報の集め方について考えてみましょう。

情報は待っていては集まりません。積極的に動かないと集まりません。自らが動き、情報を取りに行くことです。ただやみくもに動いても無駄です。そもそもその情報を集めて何がしたいのか、目的を明確にすることです。それにより、問題意識を持つことができ、アンテナも立ってきます。

情報収集の目的はいくつかあります。単純に蓄積するため。たとえば、社内の歴史を残すためにあらゆる事実を集めるというものがあります。後日、社史編纂のために行う情報収集です。この場合は、データや出来事、人事情報や社内報などをくまなく集めます。どのように使うかは想定せず、とにかく数多く集めることになります。

次に、分析するために集める場合があります。これは関連する情報が必要となりますので、その情報を持っている人や部署の特定が必要です。日ごろから社内の情報の存在場所を押さえておかないと、必要とする情報が集まりません。存在場所はつまり「人情報」です。この情報ならこの人、という情報と社員の相関関係を知っておくことです。

次に、情報を集めてベースに加工し、その情報を発信する場合があります。たとえば、総務部内の人を想定してみましょう。社内コミュニケーション・メディアでの発信がそれに当たります。この場合に大切なのは、ターゲットの選定と読後感、つまり情報を提供する相手にどのようになってもらいたいのかを定めることです。知って欲しいのか、理解して欲しいのか、共感して欲しいのか、結果として行動して欲しいのか。そのような設計をしっかりとして情報発信を行います。そしてそのような設計に合致する情報を集めることが大切です。


情報の集め方

上記のような目的を持ちつつ情報を集めることになりますが、自らが一から調べて情報を集めるか、特定の分野に精通している専門家から情報を集めるか。あるいは組織体制を構築して情報が集まる仕組みにするのか。自分の役割や部内にとって最適なものを選びましょう。

また、会社によっては情報の集まる場所を決めたり、個人に役割を正式に振り、日々の活動を見える化しているところもあります。このようなケースでは、具体的な活動を報告書などで公表しています。常に目をかけていないと、この手の組織はいずれ機能停止に陥るので注意が必要です。

組織にはしないものの、情報通の社員、情報のハブとなっている社員を押さえておき、定期的に情報交換をするなどして情報を集める手もあります。まとまった情報というより、兆しを知る、気づきを得るといった、その後に活用できる情報の断片を掴むといったことが多いでしょう。


情報のハブを押さえる

先に情報通、ハブとなる社員から情報を集めると書きました。これは丸腰ではなし得ません。こちら側もある分野の情報通、専門家、プロフェッショナルである必要があります。あるいは、こちらもハブとなる人である必要があります。

「人脈」という言葉があります。単にその人を知っているという状態では人脈とは言えません。人脈とはギブアンドテイクが成立する関係の場合のみ言えるのです。ですから、片方だけで成立はしません。お互いがそれぞれ専門家やハブであり、お互いがお互いを頼っている状態で初めて双方が双方の人脈となるのです。

この関係ができていると、双方での情報のやり取りが濃密にされていきます。つまり、情報が欲しければ、自らも情報提供できる状態であることが好ましいことになります。情報を持っている人は、情報を持っている他の人にその情報を提供することで、何らかの化学変化を期待するので情報を提供する、という関係性が存在するのです。

悲しいかな丸腰で情報を集めなければならない場合は、情報を提供することでどのようなことが起こるのか、情報提供することが組織にとってどのような意味があるのかをしっかりと説明すべきです。組織の構成員だから情報は提供すべき。確かにそうでしょう。ただ、相手も人間です。自らが苦労して得た情報を簡単に使われたのでは、心地いいものではありません。情報提供者の気持ちも斟酌して情報を収集したほうが良いでしょう。


総務は人間通

ネットサーフィンをしていれば多くの情報が集まります。社内情報も、イントラや社内コミュニケーション・メディアで集めることができるでしょう。ただ、腹落ちしたい、疑問を解消したい、その先を知りたい。そのようなプラスアルファの情報は人を媒介としないことには集まりません。

結果、その人に快く情報を提供してもらえるか、情報を提供しようというモチベーションを持ってもらえるかがポイントとなります。そのため、人間通である必要があります。もう一つ付け加えるなら、引き出す力、取材力でしょうか。

多くの取材を行ってきた編集者から取材を受けたことがあります。こちらの話を実に上手に引き出してくれました。引き出すというか、こちらとしては、引き出されるというか。絶妙な合いの手と、関連する質問が上手に投げかけられるので、上手く乗せられたという感じでした。

情報を集めたければ、こちらもある分野の情報を持っていること、情報源である人間に精通していること、そして引き出す力を磨くこと。その3つのポイントが大切です。

今はVUCA時代。様々な情報を収集しておかないと、変化に対応できません。むしろ、変化を先取りして、それをきっかけとして社内を変えていく姿勢が大事です。待ちの姿勢ではなく、常に取りに行く姿勢、積極的に外に出る姿勢が必要となるのです。

この記事に関連する最新記事

おすすめ書式テンプレート

書式テンプレートをもっと見る

著者プロフィール

author_item{name}

豊田 健一

株式会社月刊総務 代表取締役社長 戦略総務研究所 所長

早稲田大学政治経済学部卒業。株式会社リクルートで経理、営業、総務、株式会社魚力で総務課長を経験。日本で唯一の総務部門向け専門誌『月刊総務』前編集長。現在は、戦略総務研究所所長、(一社)ファシリティ・オフィスサービス・コンソーシアム(FOSC)の副代表理事として、講演・執筆活動、コンサルティングを行う。

毎日投稿 総務のつぶやき 

毎週投稿 ラジオ形式 総務よもやま話

毎月登場 月刊総務ウェビナー

著作

マンガでやさしくわかる総務の仕事』(日本能率協会マネジメントセンター) 

経営を強くする戦略総務』(日本能率協会マネジメントセンター) 

リモートワークありきの世界で経営の軸を作る 戦略総務 実践ハンドブック』(日本能率協会マネジメントセンター)

講演テーマ:総務分野

総務の最新動向について

総務の在り方、総務のプロとは

戦略総務の実現の仕方・考え方

総務のDXWithコロナのオフィス事情

健康経営の進め方、最新事例の紹介、など

講演テーマ:営業分野

総務経験者が語る総務の実態、総務の意志決定プロセスを知るセミナー

この著者の他の記事(全て見る

bizoceanジャーナルトップページ