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総務の仕事。「改めて考える飲みニケーションの効用」

総務から会社を変えるシリーズ

総務の仕事。「改めて考える飲みニケーションの効用」

この記事の著者
株式会社月刊総務 代表取締役社長   戦略総務研究所 所長 

在宅勤務の弊害

在宅勤務が定着し、雑談が減り、繋がり感が減少。そしてエンゲージメントが低下。コロナ禍がもたらした負の側面です。今まで盛んに行われてきたコミュニケーション活性化を、オンラインを通じて行わなければならず、試行錯誤あるいは苦労されている総務担当者も多いのではないでしょうか。リアルのイベントをしたくても感染対策上できず、また在宅勤務をしているメンバーもいるので全員が一堂に集まることもできない。なかなか難しい状況となってきました。

とは言いつつも、いつかはコロナも落ち着き、また少人数ながらリアルイベントも開催できれば、徐々にコミュニケーションの活性化、組織の活性化も維持できるのではないでしょうか。今回は、改めて組織活性化のための飲みニケーションについての効用についてご紹介していきましょう。


組織活性化とは?

組織が活性化されているという状態は、どのようなイメージでしょうか? 組織内のメンバーがワイワイガヤガヤと楽しく仕事をしているイメージでしょうか? そもそも、組織とは何か。アメリカ合衆国の電話会社社長で経営学者でもあったチェスター・バーナードが次のように定義しています。

「組織とは、意識的に調整された2人または、それ以上の人々の活動や諸力のシステム」

そして、この組織の成立要件は次の3つです。

共通目的(組織目的)

協働意志(貢献意欲)

コミュニケーション

つまり、メンバーが同じ目標に向かって、コミュニケーションを取りながら協力しているものが組織というわけです。

組織の活性化にとって、メンバーがワイワイガヤガヤと楽しく仕事をしている状態は大事でしょうが、上の成立要件に記した共通目的のために活性化している必要があります。つまり、メンバーが活性化しながら、どのような内容のコミュニケーションがされているかが問題なのです。


組織活性化の三つの場

組織を活性化する場には、大きく分けて三つあります。会議、オフサイトミーティング、飲み会です。これらの三つはまったく性格が異なるもので、会議は真面目に真面目な話をする場、オフサイトミーティングは気軽に真面目な話をする場、飲み会はお酒の入った楽しい場です。

飲み会でされるコミュニケーションでは、仕事の話からプライベート、政治経済、芸能ネタ、ありとあらゆるジャンルに及びます。飲み会の場で一生懸命にメモを取りながらコミュニケーションがされるということはあまり考えられません。逆に無礼講ということで、多少失礼な会話がされることもあるでしょうし、人によっては記憶に残らないこともあるでしょう。

飲み会のコミュニケーションでは、中身はあまり問題とはなりません。美味しいお酒と料理を楽しみながら、飲み会の場を楽しいと感じること、なによりこの場に一緒に参加していることが大事なのです。人間の三大欲求の一つである食欲を一緒に満たしました、という事実が大事なのです。「仲良くすることができるはずだ、だからいろいろと協力できるはずだ」という認識をお互いが得ることが大事なのです。飲み会を契機に商談が進む、コラボレーションが進展するというのはよくある話です。プロジェクトや年度始まりのキックオフパーティーも仲良くなる儀式なのかもしれません。


協力のための場

逆に会議ではコミュニケーションの中身が大変重要となります。メモを取ることはもちろん、議事録を残すケースもあります。事前に会議の内容が告知されることもあります。会議を重ねることで親しくなりますが、それも限度があります。ですので、長期の関係を保つ場合は、どこかで飲み会や食事会がセッティングされていきます。

オフサイトミーティングは、中身もさることながら、相手の人柄を感じることが大事となります。長い自己紹介が行われ、それを他の参加者はじっくりと“聴き”ます。普段、自分自身の話をじっくり聞いてもらえる場はないので、非常に心地良く話ができます。お互いの自己紹介を通じて、各自の考え方のバックグラウンドが理解でき、普段の会話の真意が読み取れるようになります。腹を割って話ができる関係に進展するでしょう。協力できる関係作りが可能となります。

確かに飲み会の場でも各自の自己紹介がされることはありますが、酒の肴程度の扱いであり、最後まで真剣に“聴く”ことは難しいでしょう。また、重たい話はあまり相応しくありません。どうしても“うける”話が中心となり、その人のバックグラウンドの把握には到達できないでしょう。


飲み会の場

では、飲み会を組織活性化の中でどのような位置づけとして活用すれば良いのでしょうか。会議、オフサイトミーティング、飲み会の役割を整理すると、会議は仕事を進める場、オフサイトミーティングは協力できる関係作りの場、そして飲み会は仲間意識の醸成の場となるでしょう。先の組織の成立要件に当てはめてみると、共通目的を認識する場が会議、協働意志の醸成の場がオフサイトミーティング、飲み会はコミュニケーション活性化の起爆剤、といえるでしょうか。

仕事を進めるには、会議を随時開催することになります。その会議の前にオフサイトミーティングを開催して、各自の考え方の背景を把握しておくことも必要となるでしょう。そして時々飲み会を開催して、「私たちは仲間だ、仲良くなれるはずだ」という認識を醸成しておくことが大事かもしれません。飲み会だけ開催して仲良くなったとしても、その後にその仲の良さを有効活用しないと、組織目標に到達できません。お互いをさらに知り合う場も必要でしょうし、仕事を進める会議も必要でしょう。

組織の結束を強め、会議や普段の仕事をスムーズに進めるために、飲み会や食事会は必要なのではないでしょうか。

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著者プロフィール

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豊田 健一

株式会社月刊総務 代表取締役社長 戦略総務研究所 所長

早稲田大学政治経済学部卒業。株式会社リクルートで経理、営業、総務、株式会社魚力で総務課長を経験。日本で唯一の総務部門向け専門誌『月刊総務』前編集長。現在は、戦略総務研究所所長、(一社)ファシリティ・オフィスサービス・コンソーシアム(FOSC)の副代表理事として、講演・執筆活動、コンサルティングを行う。

毎日投稿 総務のつぶやき 

毎週投稿 ラジオ形式 総務よもやま話

毎月登場 月刊総務ウェビナー

著作

マンガでやさしくわかる総務の仕事』(日本能率協会マネジメントセンター) 

経営を強くする戦略総務』(日本能率協会マネジメントセンター) 

リモートワークありきの世界で経営の軸を作る 戦略総務 実践ハンドブック』(日本能率協会マネジメントセンター)

講演テーマ:総務分野

総務の最新動向について

総務の在り方、総務のプロとは

戦略総務の実現の仕方・考え方

総務のDXWithコロナのオフィス事情

健康経営の進め方、最新事例の紹介、など

講演テーマ:営業分野

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