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総務の仕事。「総務の業務改善テクニック その3」

総務から会社を変えるシリーズ

総務の仕事。「総務の業務改善テクニック その3」

この記事の著者
株式会社月刊総務 代表取締役社長   戦略総務研究所 所長 

PDCAを活用した業務改善 ※ 前回からの続き

(3)スケジュールの設定

最後は、スケジュールの設定です。最終ゴールと、各ステップの着手日と完了日を最初に決めてください。 スケジュールは目標であり、絶対ではありませんので、途中で修正してもかまいません。設定することが、先延ばしの防止と進捗確認に役立つのです。そのため、スケジュールには完了予定日だけでなく着手予定日も記載します。


2 DO(実行)

(1)業務の棚卸し

部門で行っているすべての業務を洗い出します。業務の棚卸しをすることで、部門の業務全体を俯瞰し、改善の優先順位をつけることができます。業務の棚卸しは作業として重たいものですが、これが終われば、業務改善の半分が行えたのも同然といえます。

①「個人業務の洗い出しシート」の作成と、スタッフヘの説明準備

「個人業務の洗い出しシート」を作成します。このシートで、各スタッフの業務を洗い出してもらいます。

②各スタッフヘの配布、説明

部門内のスタッフに洗い出しシートを配布し、記入方法を説明します。担当している業務を簡単に箇条書きするレベルで良いことを伝えます。

③ヒアリングにより洗い出しシートに追記、修正

記入された「洗い出しシート」を基に各スタッフにヒアリングを行い、業務の記入モレや曖昧な記述を具体化してシートに追記します。


(2)全業務の整理、一覧化

①業務一覧表に整理する

「棚卸し」で洗い出した全業務を「部門業務一覧表」に整理します。週間、月間、年間といった時間軸での整理や、業務の種類別などによる整理を行います。

②全業務を客観的に把握する

プロジェクトメンバー全員が集まり、「業務一覧表」を基にミーティングを行います。全員で内容を確認しながら、一覧表に「業務の量」「発生頻度」「難易度」「担当者」などを記入します。ここで完成した「業務一覧表」を見ると部内の全業務を俯瞰できるので、感覚ではなく客観的に全業務を把握することができます。


(3)業務の改善

①ムダな業務を集める

改善のタネを見つけるのに最適な人は、仕事に慣れていない新人や外部の人です。その部署の人はその仕事に慣れていて、今の仕事の進め方を当たり前に感じています。しかし新人は慣れていないため、戸惑ったり、ミスしたり、困ったり、不便に思ったり、これって効率悪くない?と感じたりします。他部署の人々、他拠点の人も仕事の進め方を外部の目で客観的に見られるため、仕事の非効率、ムダを発見しやすいです。彼らから[改善のタネ]をたくさん出してもらいます。新人から活発な意見が出てこないときは、「5W2Hの改善の視点」を活用するのも一つの手です。

5W2Hの改善の視点

Why

目的・価値

その業務は、何のために行うのか?

その業務をなくしたら、どのような影響が発生するか?

What

対象

その業務の対象、範囲は何か?

対象範囲は適切か?(過不足はないか?)

Where

場所

業務を行う場所は適切か?

業務の環境は適切か?(生産性、レイアウトの快適さ、安全、衛生状況など)

場所を集中、分散できないか? など

When

時期・タイミング

なぜ、その時期に実施するのか?

依頼元、前工程などを変えて実施時期を変えられないか?

タイミングは適切か?

Who

誰が・誰に

なぜ、その人が行っているのか? (職位、役割、能力などから見て適切か?)

担当者の意識、能力を高めることで生産性を上げられないか?

ほかの人ができないか?

一人の担当業務を増やせないか? (多能工化)など

HOW

方法・手順

なぜ、そのような方法、手順で行っているのか? 変えられないか?

OA機器の活用で自動化、省力化できないか?

How Much

頻度・費用

今の頻度、処理回数は適切か?減らせないか?

コストは適切か?(単なるコストではなく、コストパフォーマンスで考える)

以前、私が営業部門の統括をしていた頃、同じ営業事務をしているA営業所とB営業所のスタッフに、二日間交代して勤務してもらったことがありました(「拠点問交換留学」と呼びました)。すると、同じ営業事務でも、営業所によって業務の処理方法がかなり異なることがわかったのです。それぞれの拠点の良いところ、悪いところに気づき、改善の材料としました。これを基に、全拠点共通の営業事務標準作業書を作成したのです。

②三つの視点で改善すべき業務を絞り込む

先述した通り、ムダな業務、非効率な業務を、すぐに改善するのではありません。業務の改善は「やめる(業務そのものをなくす)」「減らす(業務の発生量、処理量を減らす)」「変える(改善する)」の三つの順番で考えます。

最初に「やめる」について考えましょう。「必要があって行っているのだから、なくせる業務なんてない」と思う方がいるかもしれません。しかし、作成することが目的となり活用されていないデータや、ほとんど誰も見ていない日報などありませんか? また、社内でやるよりアウトソーシングする方が望ましい業務もあるかもしれません。

次は 「減らす」です。たとえば、総務部門では社内や社外からの問い合わせ対応業務は少なくありません。問い合わせは、必要な情報が十分に発信されていないために起きるものです。問い合わせの対応方法を改善する前に、必要な情報を発信、掲載して問い合わせ件数を減らすことを最初に考えるべきです。

また、処理する頻度を減らすということも考えられます。たとえば、少額の定期的な取り引きなどは、毎月の支払い・請求を隔月、四半期、一年など頻度を変えることで処理量と手数料、郵送費などを減らすことができます。

最後に、「やめる」ことも「減らす」こともできずに残った業務を「変える」(改善する)のです。

③改善

改善にはさまざまな手法があります。そして、一つの業務に対して改善方法は一つではありません。複数の方法を併用することが多いでしょう。たとえば、今まで手計算で行っていたものをパソコンによる自動計算にしたとしても、入力、集計、分析をする人のパソコン操作スキルを同時に高めなければなりません。

業務の抱える問題(ムダ、非効率)を考え、改善の費用と効果を考慮して、適切な手法を選択してください。 そのあと、現状の問題点、改善方法などを業務改善提案書に整理します。

次回に続く

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著者プロフィール

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豊田 健一

株式会社月刊総務 代表取締役社長 戦略総務研究所 所長

早稲田大学政治経済学部卒業。株式会社リクルートで経理、営業、総務、株式会社魚力で総務課長を経験。日本で唯一の総務部門向け専門誌『月刊総務』前編集長。現在は、戦略総務研究所所長、(一社)ファシリティ・オフィスサービス・コンソーシアム(FOSC)の副代表理事として、講演・執筆活動、コンサルティングを行う。

毎日投稿 総務のつぶやき 

毎週投稿 ラジオ形式 総務よもやま話

毎月登場 月刊総務ウェビナー

著作

マンガでやさしくわかる総務の仕事』(日本能率協会マネジメントセンター) 

経営を強くする戦略総務』(日本能率協会マネジメントセンター) 

リモートワークありきの世界で経営の軸を作る 戦略総務 実践ハンドブック』(日本能率協会マネジメントセンター)

講演テーマ:総務分野

総務の最新動向について

総務の在り方、総務のプロとは

戦略総務の実現の仕方・考え方

総務のDXWithコロナのオフィス事情

健康経営の進め方、最新事例の紹介、など

講演テーマ:営業分野

総務経験者が語る総務の実態、総務の意志決定プロセスを知るセミナー

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