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総務の仕事。「総務の業務改善テクニック その4」

総務から会社を変えるシリーズ

総務の仕事。「総務の業務改善テクニック その4」

この記事の著者
株式会社月刊総務 代表取締役社長   戦略総務研究所 所長 

PDCAを活用した業務改善 ※ 前回からの続き

改善手法について紹介しましょう。

手法の分類

実施方法

仕事を変える

仕事の手順、手法を変える

仕事の前工程、後工程を見直す

過剰品質、過剰チェックの適正化など

人を変える

人の意識、スキルアップ(研修、自己啓発、OJTなど)

スタッフの多能工化(ローテーション等により)

担当の見直し(ポジション、適性、スキルなど、より最適なスタッフへ)

IT、OA機器を活用する

IT活用の利点:「省力化」「保管性・検索性」「情報共有」「即時性」「同時発信」

パソコン、インターネットの活用(&操作能力アップ)

OA機器の活用、機種変更

モノを見直す

レイアウト変更

業務環境の改善

備品、什器の追加、代替

管理、保管方法を見直す

保管ルールの明確化(保管場所、廃棄期限、ファイリング、ファイル名、管理責任者など)

文書の電子化、ネットワーク保管など

書式、帳票を整備、変更する

統一フォーマットの作成 

項目の簡素化(日報、データなどで活用されていない項目)

インターネットによる入力、電子提出・回覧など

(4)業務の「標準化」

改善を行ったのち、業務の標準化を行います。標準化とは、「誰がやっても、同じ方法、同じ時間で、同じ成果を出せるように定型化すること」です。

改善前は、同じ業務を複数の人が行っていた場合、各人で少しずつやり方が違っていたはずです。改善のあと、その業務について統一の処理方法を決めてそれを文書化します。文書化といっても、マニュアルのように詳細なものを作成する必要ありません。「業務の目的」「発生のタイミング」「締め切り」「成果物」「統一の処理方法」「目安となる所要時間」などを簡潔に記します。

そもそも、標準化はなぜ必要なのでしょうか。海外でも「KAIZEN」という言葉で通じる改善活動を生み出したトヨタ自動車では、「標準化なしには改善なし」と言われています。一度改善を行ったら終わりではなく、継続的に改善を進めていくには改善を行うためのベース、基準とするための「業務の標準化」が必要となるのです。


3 CHECK(評価、検証)

実行したことを振り返り、評価、測定します。

1 改善活動のチェック

初めて業務改善を行う場合は、一連の改善活動を振り返り、評価します。「目標設定」「プロジェクト編成でのメンバー選定」「業務の棚卸し」「改善」「標準化」などについて、「ムダはなかったか?」「もっと効率的に行う方法はなかったか?」などと振り返り、改善活動そのものの「改善」「進化」について考えます。

2 改善効果のチェック

次に、改善実施後しばらくしたら、改善効果をチェックしましょう。継続的にチェックする測定指標は、大きく次の三つです。

  • 1.各種コスト(外注費、事務用品等消耗品費、通信費、人件費、リース料、支払い手数料、新聞図書費など、業務の進め方により変動する費用)
    ※人件費(部門別総人件費、個人別残業時間数&割増賃金、派遣社員費用など)
  • 2.業務発生量、業務処理量
  • 3.社員の業務満足度アンケート(事務部門の顧客である社員へのアンケート調査は効果的)

4 ACTION(見直し、対策)

チェックの結果を基に、見直し、改善を行い、対策を実施します。

PDCAでは、PLAN(計画)とDO(実行)に重点が置かれる傾向にあります。しかし、プロジェクトの成否を決めるのは、「やりっ放し」にせず、CHECKとACT10Nをしっかり行いPDCAサイクルを回し続けることなのです。

ここまで読んで、「大変だなあ、自社で行うのは難しそうだなあ」と感じた読者もいるかもしれません。しかし、まずは始めてみてください。最初に比較的やさしい業務三つの改善を行い、次に業務に投入する時間が多く改善効果の高い三つの業務に取り組む。そのトライアル作業で、改善のプロセス、手法を理解し、慣れてから部門業務全体の改善を進めていくのも一つの方法です。

また、最初は業務改善コンサルタントにアドバイスしてもらうのも良いでしょう。業務改善をまるごとコンサルタントに任せるのはおすすめしません。社内にノウハウが残りにくく、自社内で継続的改善を行うことが難しくなるからです。しかし、アドバイザーとして、不慣れなことへの助言、必要なフォーマット、資料の提供、一定期間でやり抜くペースメーカーとして活用するという方法もあります。そして、一連の流れを経験すれば、そのあとは社内だけで業務改善を進めていくことができます。

業務改善を行えば、部門、スタッフに余裕ができるでしょう。ここで、今まで取り組めなかった業務(たとえば、企業風土作り、社内コミュニケーションの促進、各ラインの業務を促進する積極的な支援業務、戦略的業務など)に取り組むことができます。

業務改善を行ったのち、日々発生する事務、庶務をもぐら叩きのように処理する「受け身の管理総務」から、近年会社、経営者から求められている「戦略総務」へと進化してほしいと思います。

何より、変化の激しい、そしてVUCA時代と言われる昨今の環境において、改善活動は常時行う必要があります。環境が変化しているのに、テクノロジーも進化しているのに、さらには環境変化により自社内の従業員のニーズ、働き方も変化しているのに、それを支える総務が従前の仕事のままで良いわけがありません。むしろ、改善活動を通じて社内に変化を起こす、変化の先頭に立つことが何より重要となります。外部との接点を作り、他社をベンチマークして、とにかく改善するネタを見つけ、自社に置き換えてみる。幅広い視点と情報収集が必要です。机にしがみついて事務作業をしているだけの総務では、改善活動をすることができません。ぜひ、本コラム、その他のコラムに目を通して、積極的に情報収集をしていってください。

総務のプロは成果を出す人だと言われます。その成果の一つに改善活動があります。まずは身近なところからでも良いので、何か一つ改善活動を行い、成功体験を積み、さらに大きな改善活動を実践してほしいと思います。

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著者プロフィール

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豊田 健一

株式会社月刊総務 代表取締役社長 戦略総務研究所 所長

早稲田大学政治経済学部卒業。株式会社リクルートで経理、営業、総務、株式会社魚力で総務課長を経験。日本で唯一の総務部門向け専門誌『月刊総務』前編集長。現在は、戦略総務研究所所長、(一社)ファシリティ・オフィスサービス・コンソーシアム(FOSC)の副代表理事として、講演・執筆活動、コンサルティングを行う。

毎日投稿 総務のつぶやき 

毎週投稿 ラジオ形式 総務よもやま話

毎月登場 月刊総務ウェビナー

著作

マンガでやさしくわかる総務の仕事』(日本能率協会マネジメントセンター) 

経営を強くする戦略総務』(日本能率協会マネジメントセンター) 

リモートワークありきの世界で経営の軸を作る 戦略総務 実践ハンドブック』(日本能率協会マネジメントセンター)

講演テーマ:総務分野

総務の最新動向について

総務の在り方、総務のプロとは

戦略総務の実現の仕方・考え方

総務のDXWithコロナのオフィス事情

健康経営の進め方、最新事例の紹介、など

講演テーマ:営業分野

総務経験者が語る総務の実態、総務の意志決定プロセスを知るセミナー

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