フレックスタイム制対応の勤怠管理システム9選! 導入のメリットや選定ポイントを紹介

フレックスタイム制は、日によって労働時間を変えられる柔軟な働き方ですが、労働時間管理の複雑さが大きな課題です。しかし、勤怠管理システムの導入でこの課題を解決することができます。
本記事では、フレックスタイム制に対応している勤怠管理システムの選定基準や導入の流れを解説します。おすすめの勤怠管理システムもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
勤怠管理システムを導入すべきフレックスタイム制とは?
フレックスタイム制は、定められた総労働時間の範囲内で、従業員が始業・終業時刻を自由に決定できる制度です。一般的に、必ず勤務すべき時間帯の「コアタイム」と、勤務時間を自由に選べる時間帯の「フレキシブルタイム」で構成されます。
1~3カ月の清算期間内で所定労働時間を満たせばよいため、日々の労働時間に柔軟性を持たせることが可能です。ただし、この制度の運用には、労働時間の正確な把握と複雑な計算処理が必要不可欠であり、フレックスタイム制に対応した勤怠管理システムの導入が強く推奨されます。
フレックスタイム制対応の勤怠管理システムの主な機能
フレックスタイム制対応の勤怠管理システムに求められる主な機能は、以下の3つです。
・フレキシブルな労働時間を管理する機能
・リアルタイムで勤怠状況が確認できる機能
・外部システムとの連携機能
ここでは、それぞれの機能について詳しく見ていきましょう。
フレキシブルな労働時間を管理する機能
フレックスタイム制では、1〜3カ月の清算期間における総労働時間を自動集計し、法定上限と照合できる機能が必須です。清算期間内で、従業員の労働時間が適正範囲内に収まっているかをリアルタイムで確認できる機能が、コンプライアンスには欠かせません。
単なる時間集計だけでなく、コアタイムの設定や変形労働時間制との併用など、複雑なルール設定にも対応できる柔軟性が求められます。そのため、多様な勤務形態に合わせた労働時間管理が可能なシステムを選ぶことが肝要です。
リアルタイムで勤怠状況が確認できる機能
管理者と従業員の双方が、リアルタイムで労働時間の進捗や超過状況を確認できる機能が、労働時間適正化の鍵です。
従業員は自身の労働時間の進捗状況を確認しながら、残りの清算期間で時間を調整することで、適正な労働時間管理を行えます。一方、管理者は部署全体や個人ごとの労働時間を把握でき、過重労働の兆候があれば早期の対応が可能です。
外部システムとの連携機能
勤怠管理システムは、給与システムや人事システムとのデータ連携により、重複入力の削減と情報の一元管理を実現します。
API連携機能を活用することで、既存の社内システムとの統合が容易になり、データの二重管理を防止できます。また、各システムとの連携により情報の一元管理が可能なため、部署間でのデータのやり取りが円滑に行えるでしょう。
フレックスタイム制対応の勤怠管理システム9選
フレックスタイム制対応の勤怠管理システムと言っても、それぞれ料金や機能は異なります。ここでは、システムごとに月額料金や主な機能、打刻方法などをご紹介しますので、自社に合ったシステム選びの参考にしてください。
マネーフォワード クラウド勤怠
項目 |
内容 |
月額料金 |
パーソナルミニ:1,280円
スモールビジネス:3,980円
※すべて税抜 |
初期費用 | 0円 |
主な機能 |
など |
無料トライアルの有無 |
〇 |
打刻方法 |
|
マネーフォワード クラウド勤怠管理システムは、申請・承認フローの効率化、有休管理と残業時間の自動集計により、人的ミスを削減します。スマホ・ICカードでの簡単打刻、給与計算ソフトとの連携も特徴です。
高いカスタマイズ性で多様な業界・規模のビジネスに最適化し、フレックスタイム制やリモートワークなど柔軟な働き方に対応します。
freee勤怠管理Plus
項目 |
内容 |
月額料金 | 300円/ID〜 (税抜) |
初期費用 | 0円 |
主な機能 |
など |
無料トライアルの有無 |
〇 |
打刻方法 |
|
freee(フリー)勤怠管理Plusはシンプルで直感的な操作性が強みで、PC・スマホ・ICカードなど、多様な打刻方法に対応しています。残業時間の可視化やリアルタイム集計機能があり、シフト管理やフレックスタイム制にも対応可能です。1人あたり月額300円とリーズナブルで、クラウド上で柔軟に運用できます。
HARMOS勤怠
項目 |
内容 |
月額料金 | 100円/ユーザー |
初期費用 | 0円 |
主な機能 |
|
無料トライアルの有無 |
あり |
打刻方法 |
など |
HRMOS(ハーモス)勤怠は、月額100円/人(税抜)で利用可能な、高コスパの勤怠管理システムです。PC・スマホ・LINE・ICカード・生体認証などの多彩な打刻方法に対応し、残業・36協定レポートやアラート機能も充実。
シフト管理・給与明細・年末調整などの勤怠以外の業務にも対応し、直感的なUIで操作性も抜群です。
ジンジャー勤怠
項目 |
内容 |
月額料金 | 要問合せ |
初期費用 | 要問合せ |
主な機能 |
|
無料トライアルの有無 |
〇(1カ月) |
打刻方法 |
|
ジンジャー勤怠は、シンプルで直感的な操作を提供する勤怠管理システムです。特に、従業員の多様な勤務形態やシフト管理に柔軟に対応できる点が強み。独自のAI機能を活用して、勤怠の異常検出や改善提案が可能で、運用面でも大きなアドバンテージを提供します。
チムスピ勤怠
項目 |
内容 |
月額料金 |
400円/1人(税抜) 利用人数が50名を下回っても、50ライセンス分の費用が最低利用価格のため、20,000円/50ライセンス~利用可能 |
初期費用 |
150,000円 |
主な機能 |
など |
無料トライアルの有無 |
× |
打刻方法 |
など |
チムスピ勤怠は、クラウドベースの勤怠管理システムで、特に大手企業に適した柔軟なカスタマイズ性を提供します。業種や規模に関わらず対応可能で、複雑な集計作業や長時間労働のリスク管理を自動化。
従業員の働き方の多様化に合わせた迅速なアップデートや、Salesforceを基盤にした高いセキュリティも特徴です。
Touch On Time
項目 |
内容 |
月額料金 | 300円/1人(税抜) |
初期費用 | 0円 |
主な機能 |
など |
無料トライアルの有無 |
〇(30日間) |
打刻方法 |
など |
Touch On Time(タッチオンタイム)は、生体認証やICカード認証、顔認証など、さまざまな就労環境に合わせた方法が用意されています。初期費用無料で月額300円/1人と、利用した分だけの従量課金制であるため、最小コストで運用できます。
サポート体制も充実しており、電話サポートが追加費用なしで利用でき、高い応答率と顧客満足度を誇るサービスです。
F-Chair+
項目 |
内容 |
月額料金 |
1,000円/人〜(税抜) ※最小人数は10人 |
初期費用 |
要問合せ |
主な機能 |
|
無料トライアルの有無 |
〇 |
打刻方法 |
|
F-Chair+(エフチェアプラス)は、リモートワークの時間管理と生産性追跡を支援するツールです。PC活動の自動追跡、ランダムなスクリーンキャプチャ、位置情報での出勤管理などを提供し、勤務時間や残業を視覚化します。PCやスマホで簡単に打刻でき、働き方の透明性を確保します。
e-就業OasiS
項目 |
内容 |
月額料金 |
50名:16,000円(税抜) 100名:32,000円(税抜) 150名:48,000円(税抜) |
初期費用 |
50名:100,000円(税抜) 100名:100,000円(税抜) 150名:144,000円(税抜) |
主な機能 |
など |
無料トライアルの有無 |
〇(1カ月) |
打刻方法 |
|
e-就業OasiS(オアシス)は、特に柔軟なカスタマイズが強みです。業種や企業の特定の勤務形態に対応し、休暇やシフト、残業時間の管理が簡単に行えます。SmartHRやFreeeなどの人事労務システムとのAPI連携や、PCログオン/ログオフ情報収集ツール、打刻乖離アラートなど、豊富な機能も特徴です。
キンタイミライ
項目 |
内容 |
月額料金 |
要問合せ ※カスタマイズの有無や打刻方法により変動 |
初期費用 | 要問合せ |
主な機能 |
など |
無料トライアルの有無 |
× |
打刻方法 |
など |
キンタイミライは、大規模法人向けのカスタマイズ可能な勤怠管理システムです。ホテル、物流、小売、飲食業など、多くの業界で利用されています。iPad打刻による簡単な操作性や、残業・休憩時間の申請、年末調整書類の提出依頼など、便利な機能が豊富です。
フレックスタイム制対応の勤怠管理システムの選定基準
フレックスタイム制対応の勤怠管理システムを選ぶ際は、以下の基準を参考にしましょう。
・業界別にシステムを比較する
・提供形態による特性を理解する
・導入コストと投資対効果を算出する
ここでは、それぞれの選定基準について詳しく解説します。
業界別にシステムを比較する
IT企業や製造業、金融業などの業界特性に合わせた特化型システムを選ぶことで、導入効果を最大化できます。例えば、業種ごとに以下の機能を重視するとよいでしょう。
・IT業界:リモートワークとの連携機能
・製造業:シフト管理との連携機能
・金融業:厳格なコンプライアンス機能
同業他社の導入事例を参考にすることで、自社に適したシステム選定の具体的な基準が得られます。業界特性を踏まえた比較検討が、自社に合ったシステム選びのポイントになるでしょう。
提供形態による特性を理解する
勤怠管理システムの提供形態には、SaaS(サース、またはサーズ)型・オンプレミス型・ハイブリッド型の3種類があり、それぞれ以下のような特性を持っています。
・SaaS型:導入スピードの速さと更新の容易さ
・オンプレミス型:自社に合わせた自由なカスタマイズとセキュリティ対策
・ハイブリッド型:SaaS型とオンプレミス型の特性をバランスよく取り入れている
また、SaaS型は初期投資を抑えられ、迅速に導入できますが、カスタマイズに制限がある場合が多いです。オンプレミス型は高度なカスタマイズと情報セキュリティ管理が可能ですが、初期費用と維持管理コストが高くなる傾向があります。
導入コストと投資対効果を算出する
勤怠管理システムは初期費用だけでなく、労務工数削減や残業適正化などの間接的効果を含めた、総合的な利益から導入を判断すべきです。
システム導入により、人事労務担当者の工数が削減され、本来の業務に取り掛かれる時間が増やせます。また、法令違反リスクの低減や従業員満足度向上による離職率低下など、金額に換算しにくい効果も含めて判断しましょう。
単年度の費用対効果だけでなく、中長期的な投資価値を見極める視点が欠かせません。
フレックスタイム制対応の勤怠管理システムを導入するメリット
フレックスタイム制対応の勤怠管理システムの導入により、以下のメリットを得られます。
・正確な残業時間を算出できる
・勤怠データの精度が向上する
・リモートワークと併用できる
ここでは、それぞれのメリットを詳しく見ていきましょう。
正確な残業時間を算出できる
フレックスタイム制の残業時間は、清算期間の総労働時間と法定労働時間の比較に基づいて計算する自動化機能が不可欠です。フレックスタイム制対応の勤怠管理システムでは、各月の労働時間が週平均50時間を超えているかの判定や、月の法定労働時間との比較など、複数の基準での残業計算を自動化できます。
また、フレックスタイム制対応システムは変形労働時間制との併用や特定週の特別延長など、複雑なケースにも対応できる柔軟さを兼ね備えています。システムによる正確な残業時間の算出は、法令遵守と適正な残業管理に欠かせない機能と言えるでしょう。
勤怠データの精度が向上する
勤怠管理システムは、打刻忘れの自動通知や不自然な勤務パターンの検知機能により、データの正確性と信頼性を維持します。打刻修正履歴の記録や承認フローの設定により、不正な時間操作を防止する監査証跡を残すことが可能です。
定期的なデータバックアップと復元機能は、システムトラブル時のデータ保全に必須の機能です。正確で信頼性の高い勤怠データは、労務管理の適正化とコンプライアンス確保に大きく寄与するでしょう。
リモートワークと併用できる
最新の勤怠管理システムは、GPS連携やモバイルアプリにより、オフィス・リモートを問わず正確な勤怠管理が可能です。スマートフォンアプリを活用した打刻機能は、場所を問わない柔軟な勤務形態に対応し、勤怠データの正確性を確保します。
VPN(仮想プライベートネットワーク)や安全なクラウド環境を通じたアクセス制御により、リモートワークでも安全なデータ管理を実現できるでしょう。
フレックス対応の勤怠管理システムの導入ステップ
フレックスタイムに対応した勤怠管理システム導入のステップは、以下のとおりです。
・現状分析と要件を定義する
・パイロット導入とテスト運用を実施する
・全社展開と定着化を進める
ここでは、それぞれの工程について詳しく見ていきましょう。
現状分析と要件を定義する
システム導入の第一歩は、既存の勤怠管理プロセスの詳細分析と、部門ごとの具体的な要件の明確化です。コアタイムの有無や清算期間の長さなど、フレックスタイム制の運用ルールを文書化し、システムに実装すべき要件として整理してください。
現在の勤怠管理で発生している集計ミスやデータ不整合、工数過多などの問題点を洗い出し、新システムでの解決方法を明らかにしましょう。現状分析に基づく要件定義が、システム選定の基礎となります。
パイロット導入とテスト運用を実施する
小規模部門での試験導入は、システム全体の問題点を早期に発見し、本格導入前の改善を可能にするのに効果的です。1〜2カ月程度のテスト期間を設け、実際の業務フローに沿った運用テストを行い、設定や運用方法の最適化を図りましょう。
テスト部門のユーザーからのフィードバックを詳細に収集し、UI/UXの改善や追加機能の必要性を検討する材料とします。パイロット導入での学びを全社展開に活かすことで、スムーズな移行を目指しましょう。
全社展開と定着化を進める
システムの全社展開では、組織的なユーザートレーニングと継続的な改善体制の構築が、長期での効果を生み出す鍵となります。マニュアル整備やヘルプデスク設置など、従業員がスムーズにシステムを利用できるサポート体制を構築することが大切です。
導入後3カ月、6カ月、1年といった節目でシステム活用状況をレビューし、必要に応じて設定変更や追加機能の導入を検討しましょう。継続的な改善サイクルにより、システムの定着化と効果の最大化が図れます。
フレックス対応の勤怠管理システム導入で、働き方改革を加速させよう
フレックスタイム制の導入を成功させるためには、適切な勤怠管理システムの選定と運用が不可欠です。単なる勤怠管理のデジタル化にとどまらず、収集したデータを活用して労働環境を改善し、経営判断に役立てていきましょう。
自社に合ったシステムを導入することで、従業員の柔軟な働き方を支援し、組織全体の生産性向上や働き方改革の推進につながります。自社の課題や将来の働き方を見据えた勤怠管理システムの導入を進め、より柔軟で生産性の高い職場環境を実現していきましょう。