定款変更とは? 手続き方法や費用・注意点を解説
会社を経営していくなかで、定款変更しなければならない場面に遭遇するはずです。しかし、具体的な変更手順や内容など、わかりにくい点が多いでしょう。今回は定款変更が必要となるシーンや具体的な変更手順などを解説しました。
また、本記事の最後に定款変更の注意点も解説しましたので、企業の経営層はぜひ参考にしてください。
定款変更とは
定款とは、会社を設立するまでに発起人全員で定める、会社の根本原則が記載されている書類です。会社を設立するときに必ず必要で、会社のルールを定める書類であることから、会社の憲法とも呼ばれています。
定款変更とは、その定款の記載事項を変更することです。定款の記載事項は具体的にどのようなものなのか、詳しく見ていきましょう。
(出典:e-Gov 会社法第216条)
絶対的記載事項
絶対的記載事項とは、定款に記載しなければならない事項のことで、記載しなければ定款自体が無効になります。絶対的記載事項は次の5つです。
- 目的
- 商号
- 本店の所在地
- 設立に際して出資される財産の価額またはその最低額
- 発起人の氏名または名称及び住所
目的とは会社が行う事業の内容です。レストランを経営するなら飲食業と書きましょう。商号では会社名を記載してください。本店の所在地では、最小行政区画である市区町村を記載しましょう。
会社の設立時に最低出資額を決める必要がありますが、具体的な金額に決まりはありません。また、発起人は個人と法人のどちらでもよく、法人の場合は名称および住所を記載してください。
相対的記載事項
相対的記載事項とは、記載しなくても法的に問題ないものの、記載しなければ効力を認められない事項のことです。具体的には、次のような事項が当てはまります。
- 株式の譲渡制限に関する規定
- 株主総会などの招集通知を出す期間の短縮
- 役員任期の伸長
- 株券発行の定め
- 現物出資
- 財産引渡
株式の譲渡制限に関する規定では、株式を譲渡する際に会社の承認が必要という内容を規定します。また、株主総会の招集時も通常の2週間前の通知よりも、早い期間に設定できます。
任意的記載事項
任意的記載事項とは、定款内に記載せずとも他で規定できる事項です。規定すれば利便性が高まりますが、変更が生じた場合は株主総会での定款変更が必要になるでしょう。任意的記載事項の具体例をいくつか紹介します。
- 事業年度
- 株主総会や株式に関する事項
- 取締役や監査役などの役員数
- 役員報酬の決め方
事業年度とは、会社の財務状況などをチェックするために区切られる一定の期間のことです。株主総会と株式に関する事項では、召集時期や院長を選定したり、株式取扱事務を決めたりします。
また、役員の人数を決める際は「当会社の取締役は1名以上とする」などのように、最低人数を規定するケースもあるでしょう。
定款変更が必要になる場面
定款変更が必要な場面は主に次の3つです。
- 本店所在地の移転
- 取締役や監査役などの役員の人数や任期に係る変更
- 事業目的の変更
本店所在地は定款の絶対的記載事項です。本店所在地を移転したときは必ず定款を変更しましょう。なお、定款を変更する際には登記の変更も合わせて行わなければなりません。そして、登記を変更する際には、本店移転登記申請書と株主総会の議事録が必要になります。
役員人数の増減や任期を変える場合には、定款と登記を変更してください。また、事業の目的を変更する場合も、定款と登記を変更しましょう。
定款変更の手続き方法・手順
定款変更の手続き方法と手順を解説します。
株主総会特別決議
定款の変更は、原則、株主総会の特別決議を経て行うことができます。株主総会の特別決議は普通決議よりも厳格な要件となっており、議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成を得ることが必要です。
株主総会議事録の作成
株主総会が終了したあとは株主総会の議事録を作成します。この議事録作成の目安は株主総会決議からの2週間以内です。登記変更のための添付書類として株主総会の議事録が必要であり、登記変更の手続きは株主総会決議から2週間以内に行う必要があるためです。
登記申請
登記事項に係る定款変更を行った場合、株主総会議事録作成後に法務局で登記申請を行いましょう。必要な書類は、定款変更を行った際の株主総会議事録の他に、次のようなものがあります。
- 変更登記申請書
- 株主の氏名又は名称
- 住所及び議決権数等を証する書面など
この登記申請の手続きは司法書士などの専門家に委託することも一般的に行われています。
定款変更による登記が必要となる場合
定款内に法人登記に関する事項が記載されているものについては、定款変更を行った際に登記申請が必要です。例えば、商号(社名)、本店・支店の所在地変更、事業目的、発行可能株式総数などの変更は、定款変更による登記が必要です。
変更定款と株主総会議事録の保管
変更した定款は決議を行った株主総会議事録と一緒に保管しましょう。その際、従前の定款から変更があった箇所を明確にしておくと後の管理に役立ちます。
定款変更にかかる費用
定款変更の費用は一律3万円の登録免許税(登記申請の際に納める税金)が必要です。なお、本店移転と他の事項の変更を一緒に行う場合は、別途3万円を支払います。ただし、管轄外に本店を移転する場合は登録免許税が6万円になります。
また、司法書士へ作業を依頼する場合はその報酬も必要になるでしょう。2万円〜4万円が依頼の相場ですが、具体的な依頼内容によって費用は異なります。
定款変更をおこなう際の注意点
定款を変更する場合の注意点を紹介します。
株主総会の特別決議が必要
まず、定款変更には株主総会特別決議が必要です。定款変更は会社の在り方が変わる重要な事項のため、会社法では特別決議を求めています。特別決議は普通決議と定足数は同じですが、出席株主の3分の2以上の賛成を得る必要があり、商人を得る条件はより厳しくなったといえるでしょう。
議事録作成上はこれを満たしているかどうか明確に記載するのが必要で、賛成多数などという書き方では不十分になるため、注意してください。
登記申請には期限がある
登記申請には、変更が生じてから2週間以内に登記変更するという旨が定められています。登記変更をせずに期日を超過して放置しておくと、100万円以下の過料に処すると会社法に規定されていますので、変更が生じたら速やかに対応しましょう。
(出典:e-Gov 会社法第915条1項)
(出典:e-Gov 会社法第976条)
定款変更についてのまとめ
定款変更が必要な場面や具体的な手続きの手順、注意点などを解説しました。定款は会社の憲法と呼ばれるほど重要です。定款を変更する際はぜひ、本記事を参考にしながら行ってください。
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