クラウドセキュリティとは? 導入メリットや対策方法を解説!
クラウドセキュリティとは、クラウドに保管されている顧客の個人情報や企業の機密情報を守るためのセキュリティ対策のことです。クラウド環境には、情報漏洩やデータの消失といったさまざまなリスクがありますが、どのように対策をすればよいのでしょうか。
今回は、クラウドセキュリティが必要な理由や役割、クラウドセキュリティにおけるリスクと対策について解説します。クラウド導入を検討している企業の情報管理者の方は、ぜひ参考にしてください。
クラウドセキュリティとは?
クラウドセキュリティとは、クラウドサービス利用に伴う情報漏洩や不正アクセス、データの消失等を防ぐための対策のことです。インターネット経由で情報システムおよびそれに必要な物理的機器、環境を提供するサービスがクラウドサービスです。
物理的機器やデータセンターなど、サービス提供範囲のセキュリティは事業者が責任を持ちます。ただ、クラウドサービスへのアクセス制御やデータ保持等については、利用者側が責任を持たなければなりません。
クラウドセキュリティの役割
クラウドセキュリティの役割は、クラウド環境における情報システムの保護です。
具体的には、ユーザーのアクティビティの監視や怪しいふるまいを検知した際のアラート発報などが挙げられます。信頼するユーザーや場所、デバイスからのアクセスのみ許可することや、万が一マルウェアへの感染が確認された場合に自動で検疫を行うことも含まれます。
クラウドセキュリティが必要な理由
今日では、どの企業もクラウドサービスを利用しており、クラウド上で重要な情報が扱われています。
基本的にクラウドサービスはインターネット経由で利用できるため、情報システムが第三者や悪意を持った内部関係者によって、不正に扱われる危険性があります。
そのため、管理者はクラウドサービスの特性を理解したうえで、必要なセキュリティ対策を講じる必要があるのです。
クラウドセキュリティの対象サービスと種類
ここからは、代表的なクラウドセキュリティの対象となるサービスと種類について紹介します。クラウドセキュリティを必要とするサービスの種類は、主に以下の4つです。
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概要 |
代表的なサービス |
laaS |
インターネットを通じて基盤となるインフラ(サーバー、ストレージ、ネットワークなど)を提供するサービス |
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PaaS |
アプリケーションの開発・運用に必要なプラットフォーム(OS、開発ツール、データベースなど)を提供するサービス |
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SaaS |
ソフトウェアアプリケーションをインターネット経由で提供するサービス |
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FaaS |
アプリケーションの特定の機能をサーバーレスで提供するサービス |
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それぞれのサービスによって、セキュリティの範囲や重要性が異なります。例えばIaaSでは、ユーザーが自分でサーバーを管理したりアプリケーションを構築したりするため、セキュリティ管理はユーザーの責任が大きいです。
一方でSaaSは、すでにアプリケーションが提供されているため、セキュリティ面では主にデータ保護とアクセス管理が重要となります。提供者によるセキュリティ対策の確認と、ユーザー側でのアクセス制限が必要です。
各サービスにおけるセキュリティ対策は、利用形態や役割に応じて異なるため、それぞれの特性に合った方法で対応しましょう。
クラウドサービスのメリット・デメリット
クラウドサービスの主な利点は、柔軟な拡張性とコスト削減です。企業は必要な機能をオンデマンドで追加・削除でき、事前に大きな設備投資を行う必要がありません。
また、インフラの管理を外部に任せることで、システム運用の手間を軽減し、従業員はコア業務に集中できます。
一方でクラウドサービスには、データのセキュリティリスクやプライバシーの懸念もあります。クラウドサービスを利用することで、データは第三者のサーバーに保存されるため、外部からの攻撃や内部の不正アクセス、情報漏洩が発生する可能性があります。
また、インターネットに依存するため、通信障害やサービス停止が業務に影響を与えるリスクも考えなくてはいけません。
これらのリスクに対処するため、クラウドセキュリティの導入は不可欠です。
クラウドにおけるセキュリティリスク
クラウドには、主に以下4つのセキュリティリスクがあります。
- 情報漏洩
- 不正アクセス
- サイバー攻撃
- データ消失
主なセキュリティリスクについて、詳しく解説していきましょう。
情報漏洩
適切な対策がされていないクラウドストレージには、情報漏洩や知的財産の盗難リスクがあります。クラウドストレージはインターネット上にあるため、IDとパスワードが漏洩してしまった場合、誰もがどこからでも情報を盗むことが可能です。
また、URLでファイルを共有することができるため、従業員の誤操作や悪意を持った操作で第三者へ簡単に情報が漏洩するリスクがあります。
不正アクセス
インターネット環境さえあれば利用できるクラウドサービスは、不正アクセスのターゲットになることが少なくありません。IDとパスワードだけでアクセスできるタイプのクラウドサービスでは、資格情報の漏洩によって外部からの不正アクセスを簡単に受けてしまいます。
また、ユーザーは複数のクラウドサービスで同じIDとパスワードを設定していることが多く、芋づる式に不正アクセスを受ける危険性もあります。
サイバー攻撃
不正アクセスを含むサイバー攻撃を受けるリスクは、オンプレミス(自社運営システム)とクラウドサービスのどちらにもあります。
たとえば、クラウドサービスの脆弱性を狙ったデータ流出や盗難した資格情報を用いたなりすましによるフィッシング、公開しているWebサービスへのDos攻撃などが挙げられます。
利用者が果たすべき責任範囲のセキュリティ対策を怠ると、サイバー攻撃を受ける危険性が高まるため、注意が必要です。
データ消失
クラウドサービスであっても、実際は物理の環境や機器で動いています。それらの機器が災害や障害によって故障し、データが消失する可能性が無いとは言えません。
基本的にサービス事業者側で、データセンターを複数分けるBCP対策などによって可用性が確保されています。しかし、企業のポリシーや取り扱うデータの重要性によっては、別途バックアップを取っておく必要があるでしょう。
クラウドのセキュリティ対策
企業は重要な情報をさまざまなセキュリティリスクから守るため、以下のような対策を行わなければなりません。
- 多要素認証を導入する
- データのバックアップを行う
- 権限を制限する
- アクセス制御・ファイル共有権限を見直す
- コンプライアンスを厳守する
ここからは、クラウドの主なセキュリティ対策について解説します。
多要素認証を導入する
現在では、従来の強力なパスワードだけでは不正アクセスのリスクを完全に防ぐことが難しいため、多要素認証(MFA)の導入が推奨されています。
多要素認証(MFA)とは、パスワードに加えてスマートフォンや生体認証など複数の要素を組み合わせて本人確認を行う仕組みで、万が一IDとパスワードの組が漏洩したとしても不正アクセスを防ぐ強力なセキュリティ対策です。
データのバックアップを行う
クラウド利用におけるサービス障害やデータ損失に備えるため、定期的なバックアップの実施、プロバイダーの信頼性評価、災害復旧計画(DR)の策定が重要です。
なお、バックアップ取得の際は、マスターのデータが保存された地域とは異なる場所に保存するなど、災害時を考慮した対応も検討しましょう。
権限を制限する
ユーザへ与える権限は、最低限必要なものにとどめましょう。たとえば、管理者権限の付与は組織の管理者かつ数名までにしか付与しないようにします。また、定期的に権限を持つユーザの棚卸を行うなど、制限や管理を組織内で徹底することが大切です。
アクセス制御・ファイル共有権限を見直す
アクセス制御を適切に設定し、ファイル共有権限を定期的に見直すことが重要です。具体的には、必要最小限のアクセス権限を付与し、共有リンクの期限設定やパスワード保護を活用することで、不正なアクセスや情報漏洩のリスクを軽減できます。
また、誰がどのデータにアクセスできるかを明確に管理し、定期的に権限の確認・更新を行うことが安全な運用につながります。
コンプライアンスを厳守する
クラウドサービスを利用する際は、その事業者が組織の順守すべきコンプライアンス要件を満たしているか確認することが重要です。
たとえば、機密情報をクラウドストレージに保存する場合、クラウドストレージ事業者が情報漏洩が起こらないセキュリティ機能を設けていることや法令を順守していること、サービス品質が確保されていることなどを確認します。
また、サービス利用する際には、従業員がコンプライアンス違反を行えないような機能を備えているかといった点も検討事項に含めるべきでしょう。
クラウドセキュリティを導入するメリット
従来のオンプレミスセキュリティと比較して、クラウドセキュリティにはいくつかのメリットがあります。
まず、導入や更新にかかる時間を大幅に短縮できます。オンプレミス環境では、システム管理者やセキュリティチームが多くの工数を割いていましたが、クラウドセキュリティでは自動化や外部サービスの活用により、運用工数が削減され、効率的かつ安全なセキュリティ管理が可能です。
さらに、コスト効率も優れています。オンプレミスのセキュリティ設備は初期投資が大きく、維持管理にもコストがかかります。一方、クラウドセキュリティはサービス利用料金に含まれるため、初期投資を抑えつつ、高いセキュリティを利用できる点がメリットです。
また、クラウドセキュリティは最新の技術を迅速に取り入れられるため、オンプレミスでは困難であった最新のセキュリティ対策を手軽に維持することができます。
クラウドセキュリティの最新動向
ここまでは、クラウドセキュリティの概念やメリットについて紹介しました。
ここからは、クラウドセキュリティを導入する上での安全性をより高める製品や最新動向について詳しく解説していきます。
IAMとCASBを組み合わせる
クラウドセキュリティにおける最新トレンドとしては、「IAM」と「CASB」を組み合わせることです。
IAMはユーザーの認証とアクセス管理を行い、適切な権限を持つユーザーのみがリソースにアクセスできるようにします。一方、CASBはクラウドサービスの使用状況を監視し、データ漏洩や不正アクセスのリスクを管理します。
両者を統合することで、ユーザーアクセスの制御とクラウドサービスのセキュリティを包括的に強化し、リスクを低減できるという仕組みです。
次世代Webアプリケーションファイアウォールの使用
WAF(Webアプリケーションファイアウォール)とは、Webアプリケーションへの攻撃をいち早く察知し、防御するセキュリティツールのことです。
WAFは、従来のWAFの機能に加え、AIや機械学習を活用してより高度な攻撃を検出・防御します。SQLインジェクションやクロスサイトスクリプティング(XSS)のような既知の脅威に加え、あらゆる進化した攻撃にも対応できます。
また、リアルタイムでトラフィックを分析し、アプリケーション層の脅威を防ぐため、Webアプリケーションのセキュリティを強化し、可用性を維持できるツールです。
クラウドセキュリティについてのまとめ
クラウドセキュリティは、クラウド利用に伴う情報漏洩や不正アクセス、データの消失等を防ぐための対策です。インターネット経由で利用できるクラウドサービスは、第三者や悪意を持った内部関係者による情報漏洩や不正アクセスのリスクがあるため、対策が欠かせません。
サービス利用の際には信頼性のあるサービス事業者を選ぶだけではなく、利用者側も多要素認証(MFA)の使用やバックアップの取得など、十分な対策を行うようにしてください。
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