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記名とは? 署名との違いや法的効力について理解しよう

監修者: 行政書士、申請取次行政書士  井上 通夫

記名とは? 署名との違いや法的効力について理解しよう

「記名と署名って違うの?」

「記名に法的効力はある?」

ビジネスにおける書類を取り扱う上で、上記のような疑問を持ったことのある方は多いでしょう。

記名と署名は混同されがちですが、両者には明確な違いがあります。

本記事では、記名と署名の違いや、それぞれの法的効力について解説していきます。今後、企業の文書を取り扱う方はぜひ参考にしてください。


記名とは?署名との違い

記名とは、署名以外の手段で名前を書き記すことを指す言葉です

署名は、本人が手書きで名前を書いたものだけを指します。

一方で記名とは、署名以外の手段で名前を書いたものを指し、パソコンで入力したものやゴム印で記したもの、本人ではない第三者が書いたものなども含みます。


記名の法的効力について

記名と署名は法的効力がそれぞれ異なります。ポイントになるのは形式的証拠力(本人の意思が反映されていることを証明する力)の有無です。

記名はそれだけでは法的効力を持ちません。偽装が容易なパソコンでの入力やゴム印での記載では、形式的証拠力が不十分なためです。

ただし記名に加えて押印がある場合は、その記名が本人のものであることが認められ、一定の法的効力を持ちます。

署名の場合は単体でも法的効力を持ちます。署名は筆跡が残り、あとから筆跡鑑定にかけることも可能なため、法的効力を持つに足る形式的証明力があるのです。

ですから重要な契約においては、署名を用いることが一般的です。

なお、記名と署名の持つ法的効力の違いについては、民事訴訟法288条の4項に規定されています。

以下に、署名が必要なケースと、記名+押印で充分なケース、それぞれの具体例を紹介します。

【署名が必要なケース】

  • 契約書
  • 協議書
  • 示談書
  • 内容証明書
  • 告発状・告訴状
  • 始末書

【記名+押印で充分なケース】

  • 注文書
  • 見積書
  • 請願書
  • 上申書
  • 念書

記名・署名・押印の信用度

署名は、単体でも法的効力を持ちますが、捺印を加えることでさらに信頼性を高めることができます。

捺印とは押印と同じく印鑑を押すことを指す言葉です。署名と組み合わせる際には捺印、記名と組み合わせる際には押印と表記されます。

署名、記名、捺印、押印の組み合わせを、法的効力の高い順に並べると以下の通りになります。

  1. 署名+捺印
  2. 署名のみ
  3. 記名+押印
  4. 記名のみ

前述した228条4項の定めにより、文書が法的効力を持つためには署名か押印かのいずれかが必要です

そのため上記の4パターンのうち、記名のみのケースは法的効力を持ちません。

なお、「署名+捺印」のうち、実印を用いた場合は、認め印を用いた場合よりも、より法的効力が高くなります。


記名についてのまとめ

本記事では記名について、混同されやすい署名との違いを中心に解説しました。記名とは名前を記すことであり、パソコンでの入力やゴム印での記載、第三者が書いたものも含まれます。

一方で署名は本人の自筆で書かれた名前でなければなりません。

また、記名は形式的証拠力が不十分なことから、単体では法的効力を持つことができません。今後企業の文書を取り扱う方は、両者の違いを理解しておきましょう。


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監修者プロフィール

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井上 通夫

行政書士、申請取次行政書士

行政書士(平成18年度行政書士試験合格)、申請取次行政書士(令和2年1月取得)。

福岡大学法学部法律学科卒。大学在学中は、憲法・行政法ゼミ(石村ゼミ18期生)に所属、新聞部編集長を務める。

卒業後、大手信販会社や大手学習塾等に勤務し、平成20年7月に福岡市内で行政書士事務所を開業、現在に至る。

現在の業務は相続・遺言、民事法務(内容証明・契約書・離婚協議書等)、会社設立、公益法人(社団・財団法人)関連業務、在留資格業務など。福岡県行政書士会所属。

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