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電子契約システム導入のメリットとは? 手順や注意点も解説

著者:   bizocean事務局

電子契約システム導入のメリットとは? 手順や注意点も解説

近年、電子契約システムを活用する企業が増加し、契約業務のあり方も変わってきました。そのため、電子契約システムの導入を検討している事業者も多いのではないでしょうか。

本記事では、電子契約のメリットと注意点、サービスの選び方と導入手順について詳しく解説していきます。



電子契約導入のメリットとは?

コロナ禍以降、電子契約を導入する企業が増えてきました。その中で、従来の契約業務の負担が大きいことや、印刷費用がかかることなど、紙の契約書ゆえの課題点が洗い出されてきています。

紙の契約書と比較した上での、電子契約導入の主なメリットは以下の通りです。

  • コスト削減効果
  • 業務効率化
  • ペーパーレス化とテレワーク推進
  • セキュリティ強化とコンプライアンス

ここでは、各メリットについて詳しく見ていきましょう。

コスト削減効果

電子契約の導入により、企業は大幅なコスト削減を実現できます。従来の紙の契約書では、印紙代、郵送費、印刷費が必要でしたが、電子契約ではこれらの費用がかかりません。

レターパックプラスの場合、契約書1通につき520円の郵送料が必要です。このことから、1契約あたり500円以上かかっていた費用が、電子契約導入によりゼロになるケースもあります。さらに長期的な観点からも、契約書の保管スペースや管理にかかる人件費等を削減する効果が期待できます。

様々な導入事例を見ると、年間数十万円から数百万円規模のコスト削減に成功した企業も少なくないでしょう。特に、契約数の多い企業ほど、そのコスト削減効果は顕著になりやすいと考えられます。

業務効率化

電子契約導入により従業員の負担も軽減できます。契約書の作成や送付、保管などの作業が大幅に簡略化されるからです。

電子契約システムでは、契約書の作成から締結までの業務をオンライン上で完結させることができます。紙の契約では契約締結までに2〜3週間かかっても、電子契約では即日で完了することも可能です。

契約業務の簡略化で、従業員は他の重要な業務に集中できるようになり、生産性向上が期待できます。

ペーパーレス化とテレワーク推進

昨今の情勢を見ると、企業のペーパーレス化は、SDGsへの取り組みとして高く評価されます。また、電子契約はテレワークとの親和性が非常に高いのも魅力です。

電子契約システムを使えば、場所を問わずオンラインで契約業務を行えます。在宅勤務やリモートワークを推進する上では必要不可欠と言えるでしょう。

このペーパーレス化とテレワーク推進は、働き方改革実現を目指す企業にとって非常に重要です。電子契約の導入は、企業のペーパーレス化を大きく促進させるでしょう。

セキュリティ強化とコンプライアンス

電子契約は、紙の契約書よりセキュリティ面を強固にすることが可能です。電子署名と認定タイムスタンプの使用で、契約内容の改ざんやなりすましを防止します。また、暗号化技術により、契約書に関する情報漏えいのリスクを最小限に抑えられます。

基本的に電子契約はクラウド上で一元管理し、いつでも検索と閲覧ができます。その上、アクセス権限の設定で機密情報の管理が徹底されるので、社内のコンプライアンス強化に繋がります。

ただし、これはあくまで法的要件に適合した電子契約システムの利用を前提にした場合です。オフィスツール上で電子契約を締結したり、自社サーバ内でデータ管理を行う場合は注意が必要です。


電子契約を導入する際の注意点

前述のように電子契約には多くのメリットがある一方、導入する際にはいくつかの注意点を押さえておかなければいけません。

主な注意点は以下の3つです。

  • 電子化できない契約書の存在
  • 社内規定の整備と運用体制の構築
  • 取引先への説明と承諾の必要性

ここでは、各注意点について解説します。

電子化できない契約書の存在

契約書はすべてを電子化できるわけではありません。法律により、書面での締結が義務付けられている契約書が存在します。

たとえば、事業用定期借地契約や任意後見契約、企業担保権の設定又は変更を目的とする契約などが挙げられます。電子化できない理由は、公正証書での発行が義務付けられているためです。また、建設工事の請負契約や宅地建物の売買・交換に関する契約など、相手方の承諾を得なければ電子化できない契約もあります。

これらの電子化できない契約書については、従来通りの紙での締結と管理が必要です。電子化できない契約書は公正証書が多いため、社内で公正証書としてファイリングして管理すると良いでしょう。

社内規定の整備と運用体制の構築

電子契約システムの効率性や安全性は、利用者の適切な使用の前提で成り立ちます。
そのため、導入する際は社内規定の整備と適切な運用体制の構築が不可欠です。これらを怠ると、導入後にトラブルや混乱を招く可能性があります。

社内規定については、電子署名の使用ルール、契約書の保管方法、アクセス権限の設定などを策定しましょう。これにより、社内での統一した運用が可能になります。

運用体制の構築においては、電子契約システムの管理者や責任者を明確に定めることが重要です。また、従業員への教育・トレーニングの体制も欠かせません。導入時だけでなく、定期的な社内研修の実施計画も練る必要があります。

取引先への説明と承諾の必要性

電子契約システムを導入する際は、自社内での準備だけでなく、取引先への説明と承諾を得ることも重要です。事前に電子契約導入についての資料を送付し、その後正式な説明会を開催する流れがおすすめです。

取引先への説明では、電子契約の法的有効性やセキュリティ面での安全性をしっかりと強調しましょう。また理解を得やすくするためには、電子契約導入によるメリット(契約締結までの時間短縮、印紙税の削減など)を具体的に示すことが重要です。


電子契約を導入するときのサービスの選び方

電子契約システムを選ぶ際に、重要となるポイントは以下の通りです。

  • 法令対応状況の確認
  • セキュリティレベルの見極め
  • コストパフォーマンスの比較
  • 導入サポートの充実度

ここでは、各ポイントについて詳しく解説します。自社のニーズや状況を踏まえて見ていきましょう。

法令対応状況の確認

電子契約サービスを選ぶ際、重要なポイントの一つが法令への対応状況です。特に、以下の法令への対応状況を確認する必要があります。

  • 電子署名法:電子署名の法的有効性を定めた法律
  • 電子帳簿保存法:電子データでの帳簿・書類の保存に関する法律
  • e-文書法:電子的な文書による保存を認める法律

これらの法令に対応したサービスを選ぶことで、電子契約の法的効力を確実に担保できます。また、将来の法改正にも柔軟に対応できるサービスを選びましょう。

法令対応が不十分な場合、契約が無効になるリスクや税務調査時のトラブルなど、深刻な問題に発展する可能性が高いです。そのため、サービス選定時には必ず法令対応状況を確認し、不明点があれば直接サービス提供者に問い合わせてください。

セキュリティ対策レベルの見極め

電子契約サービスを選ぶ際は、セキュリティ対策のレベルも重要な選定基準です。
契約書には機密情報が含まれることが多いため、なるべく高度なセキュリティ対策が施されたサービスを選びましょう。特に、データの暗号化技術や多要素認証、アクセス制御機能が備わっているかが選定のポイントになります。

一定のセキュリティレベルが担保されているという点で、ISO27001やISMAPといった第三者認証を取得しているサービスがおすすめです。また、セキュリティインシデント発生時の対応体制や、データのバックアップ方法についても確認しておきましょう。

コストパフォーマンスの比較

電子契約サービスを選ぶ際、コストパフォーマンスの比較も重要なポイントです。サービスによって料金体系が異なるため、自社の利用状況に合わせて最適なプランを選択しましょう。

主な電子契約サービスの料金体系は、以下の通りです。

  • 月額固定制:一定の契約数まで定額で利用可能
  • 従量課金制:契約数に応じて料金が変動
  • ハイブリッド型:基本料金+従量制の組み合わせ

自社の契約数や利用頻度を考慮し、最もコストパフォーマンスの高い料金体系を選びましょう。また、初期費用や導入支援にかかる費用なども含めて総合的に比較することが大切です。

導入サポートの充実度

電子契約サービスや、導入サポートの充実度電子契約サービスを選ぶ際は、導入サポートの充実度も重要な選定基準の一つです。充実した導入サポートがあれば、スムーズな導入と運用が可能になり、社内での定着も促進されます。

導入サポートの充実度を見極めるポイントは、以下の通りです。

  • 説明会や研修会の実施
  • 充実したマニュアルやトレーニング資料
  • 段階的な導入計画の策定支援
  • 24時間365日対応のサポートデスク

これらのサポート体制が整っているサービスを選ぶことで、導入時の混乱を最小限に抑え、スムーズな電子契約システムの導入が期待できます。特に、電子契約の導入が初めての企業や、大規模な組織での導入の場合は、手厚いサポート体制があるサービスを選ぶのがおすすめです。


電子契約導入の具体的な手順

電子契約システムの導入の主な流れは、以下の通りです。

  1. 導入目的の明確化
  2. 対象書類の選定と文面変更
  3. 電子契約サービスの選定
  4. 社内規定の整備と運用ルール策定
  5. 社内外への周知とサポート体制構築

ここでは、各ステップについて詳しく解説します。

1. 導入目的の明確化

電子契約システムを導入する際に、まずは導入目的を明確化しましょう。
なぜ電子契約を導入するのか、どのような効果を期待しているのかなどをはっきりしておくことが大切です。導入目的を明確にしておくことで、自社のニーズに合ったサービス選びや、社内の合意形成がしやすくなります。

導入目的を設定する際は、現状の契約業務で解決したい問題を洗い出した上で、具体的な数値目標を決定しましょう。たとえば、「契約締結までの時間を50%短縮する」や、「印紙代や郵送費など契約書にかかるコストを70%削減する」といった目標が挙げられます。

導入目的を具体的に設定し、社内で共有することで、電子契約システムのスムーズな導入に繋がるでしょう。

2. 対象書類の選定と文面変更

電子契約システムの導入を決定したら、対象となる書類の選定と、必要に応じた文面の変更を行いましょう。すべての契約書を一度に電子化するのではなく、段階的に導入することが一般的です。

対象書類の選定の際には、電子による契約・保存が法的に可能なものでなければいけません。その上で、導入目的の達成に重要となる書類から決定していきます。たとえば、契約書のコスト削減が目的であれば、同一の形式で発行数の多い契約書から選ぶのが良いでしょう。

対象書類が決定したら、それらを電子版に適した文面に変更することも忘れてはいけません。たとえば、電子署名に関する文言や、データの保存・閲覧方法に関する記述の追加が必要です。契約書類の文面変更については、社内の法務部や顧問弁護士といった専門家とも連携して行いましょう。

3. 電子契約サービスの選定

次に、導入目的や電子化する書類を踏まえて、導入する電子契約サービスを選定しましょう。電子契約サービスを選ぶ際のポイントは以下の通りです。

  • 法令の対応状況
  • セキュリティ対策のレベル
  • 初期費用と料金体
  • 導入時や導入後のサポート体制

前述した電子契約サービスの選び方を参考に、自社のニーズに適したサービスを選びましょう。料金を比較する際は、自社の契約数と料金表を照らし合わせて、月にかかる費用を概算することが重要です。また、事前に機能や使用感を確かめたい場合は無料トライアルを活用してみてください。

4. 社内規定の整備と運用ルール策定

電子契約システムの導入に伴い、社内規定の整備と運用ルールの策定は不可欠です。

社内規定の整備では、まず既存の契約関連の規定を洗い出し、必要に応じて変更もしくは削除をしましょう。その後電子契約に関する新しい規定を追加します。

運用ルール策定では、電子署名の権限者と承認フロー、データの保存方法やトラブル発生時の対応などを明確にしましょう。運用ルールは電子契約システムを使用する上での重要な軸となるので、専門家やサービス提供元との連携も必要です。

社内規定と運用ルールは、安全で効果的な電子契約システムの活用に欠かせません。また、サービスのアップデートや法令の改正などにも柔軟に対応できるよう、定期的に見直していきましょう。

5. 社内外への周知とサポート体制構築

社内規定と運用ルールが決定したら、社内外へ周知をしましょう。周知の方法としては、説明会の開催や、ルールブック・導入計画の資料の配布などが挙げられます。

また、電子契約システム導入にあたって、社内のサポート体制を構築することも重要です。特に導入して間もない時期は、電子契約システムの使い方に慣れない従業員も多く現れるでしょう。そのため、フォローアップ研修の実施やヘルプデスクの設置、教育体制の確立などが必要になります。


電子契約の導入で業務効率化を実現しよう

電子契約の導入には、印紙代や郵送費などのコスト削減や業務の効率化、セキュリティの強化といったメリットが多いです。近年では、企業のSDGsへの取り組みやテレワークへの対応などが重要視されてきています。そのため、ペーパーレスかつオンライン上で完結できる電子契約システムは非常に魅力的と言えるでしょう。

ただし、電子契約システム導入の前に、電子化できない契約書があることや、取引先への説明と承諾が必要になることなどを確認しなければいけません。また、セキュリティ対策や電子契約関連の法令への理解も不可欠です。

電子契約システムを導入する際には、導入目的を明確化し、自社のニーズや状況に合わせて適切なサービスを選びましょう。


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