このページはJavaScriptを使用しています。JavaScriptを有効にして、対応ブラウザでご覧下さい。

金融商品取引法とは? 適用対象や禁止行為を簡単に解説!

金融商品取引法とは? 適用対象や禁止行為を簡単に解説!

金融商品取引法は、直接金融を規制する法律です。経済の健全な発展と投資家保護のための法律ですが、どのような内容が規定されているのでしょうか。

今回は、金融商品取引法の適用対象や禁止行為について、わかりやすく解説します。金融商品を取引するには欠かせない知識ですので、参考にしてください。


この記事の監修者
紫葵法律事務所  弁護士 

金融商品取引法とは?

金融には、銀行などの金融機関から借入を行う間接金融と、投資者から直接資金を調達する直接金融があります。直接金融を規制する銀行法や保険業法に対して、直接金融を規制する法律が金融商品取引法です。

直接金融において、投資者には自己責任の原則が適用されます。ただし、投資者に自己責任を問うためには、投資者と発行者、証券会社などとの間にある情報格差を是正しなければなりません。また、インサイダー取引などの不公正な取引方法の排除も必要です。

公平な取引のために、金融商品取引法には情報開示規制や業者の参入規制、不公正取引の禁止といった各規制が設けられています。


金融商品取引法の目的

金融商品取引法の目的は、同法1条に下記のように規定されています。

  • 有価証券の流通を円滑にする
  • 金融商品などの公正な価格形成などを図る

その究極的な目的は「国民経済の健全な発展」と「投資者の保護」です。

「投資者の保護」とは、株式や社債の安全性や価値を国が事前に審査して、良質な株式や社債だけを投資対象とするものではありません。事実を知らされないことや、不公正な取引によって被る損害から投資者を守ることです。

金融商品取引法の下で生じたリスクについては、投資者の自己責任となります。

参考:e–Gov法令検索 金融商品取引法


金融商品取引法の適用対象

金融商品取引法は、企業だけではなく個人も適用対象です。具体的にどのような対象が含まれるのか見ていきましょう。

金融商品取引法の規制対象になる会社

金融商品取引法の規制対象は、証券会社や、金融先物取引業者などを含む「金融商品取引業者」です。

金融商品取引業は、4つの区分に分類されます。このうち、有価証券の売買の取次ぎなどを行う「第一種金融業者」(法28条1項)は株式会社でなければなりません。

ただし、投資助言、代理業を行う者(同条3項)は個人でも行うことができます。

また、銀行などの金融機関も登録を行うことで、国債などの安全性の高い公共債を取り扱うことが可能です(法33条2項1号)。

金融商品取引法の規制対象になる金融商品

金融商品取引法は、「有価証券」と「デリバティブ取引」に対して適用されます。

有価証券とは、一般に「財産的価値を有する権利を結びつけた紙片であって、その紙片によって権利の移転及び行使がなされるもの」です。

金融商品取引法上では、このうち特に「投資性を持つ」もの、つまり、より高いリターンを期待してリスクを取るものを「有価証券」として規制しています。株券や国債、地方債などの他に、新株予約権付証券やコマーシャルペーパーなども含まれます(法2条1項)。

また、上記の有価証券と同様の権利で、紙の証券が発行されないものは「みなし有価証券」として、上記の有価証券と同様の規制を受けます(法2条2項/一部例外あり)。ペーパーレスの株式や社債などが対象です。


金融商品取引法の禁止行為

金融商品取引法は、投資者を保護するため、情報開示や参入規制を設けている他、不公正取引を禁止してます。このような金融商品取引法の禁止行為について、それぞれ解説します。

適合性の原則の遵守と断定的判断

顧客を勧誘するに際しては、十分な説明をすることは当たり前のことです。しかし、場合によってはどれほど説明を行ったとしても、その金融商品の投資には向いていないことがあります。

顧客の知識や経験、財産の状況、投資目的などからして、ある顧客に対して、ある商品を勧誘、販売すること自体を控えなければならないというルールを「適合性原則」あるいは「狭義の適合性原則」と呼びます(法40条)。

一方で「広義の適合性原則」というルールも存在します。これは「顧客の知識、経験、財産の状況、投資目的などに照らして適合した形で商品の販売、勧誘を行わなければならない」というものであり、勧誘・販売自体を禁止するものではありません。

損失補てん

投資家は投資判断が失敗して損失を被った場合、自分自身でこれを負担しなければなりません。この損失を証券会社が肩代わりを約束したり、投資者に利益を与えたりすることが「損失補てん」です。

損失補てんを行えば、投資者は安心してしまい、十分な情報を得ようとすることなく、軽率な投資判断で市場に参加することになりかねません。その結果、市場の公正な価格形成機能が歪められ、不公平感から投資者の市場への信頼を損なうなどの不都合が生じるため、金融商品取引法によって禁止されています。

インサイダー取引

インサイダー取引は、投資者の信頼を損ない、証券市場の公正性や健全性を傷つける行為として禁止されています。

規制の対象とされる「内部者」(インサイダー)とは、会社の役員、従業員など(アルバイトやパートタイマーを含む)や、一部の株主などの会社内部者を指しています。また、「準内部者」として契約交渉をしている相手方や、「情報受領者」として、上記の者から情報を受け取った者についても、規制の対象です。

規制対象者は、会社が株式の第三者割当増資をしようとしているなどの重要情報(インサイダー情報)について、「公表」とされる一定の状態に置かれるまでの間、取引を行うことができません。(法166条)。


金融商品取引法についてまとめ

金融商品取引法は、直接金融を規制する法律です。投資家の保護や経済の発展を目的としており、株式や国債といった投資性のあるものが対象となっています。

取引市場の公平さを保つために、情報の開示や不公正の取引の禁止が規定されていることも特徴です。取引を行う際は、法律の規定をしっかりと理解したうえで行うようにしてください。

この記事に関連する最新記事

おすすめ書式テンプレート

書式テンプレートをもっと見る

監修者プロフィール

author_item{name}

幡地 央次

紫葵法律事務所 弁護士

京都弁護士会消費者保護委員会にて、金融サービス部会等に所属し、最近の証券、先物被害について研究。また、実際の事案についても、生命保険や仮想通貨関係の事件を多く取り扱い、消費者被害の救済に尽力している。令和元年8月より現事務所を開業し、現在に至る。

この監修者の他の記事(全て見る

bizoceanジャーナルトップページ