反社会的勢力の確認方法8選|チェックするタイミングも解説
取引先が増えるときや、自社の経営陣の顔ぶれが変わるときなどには、相手が反社会的勢力でないことの確認が必須です。
反社会的勢力とは暴力・脅迫と詐欺によって不当に利益を得る団体や個人のことを指し、この確認は「反社チェック」とも呼ばれます。
反社会的勢力でないことを確認する方法は、複数あります。
相手や自社の状況に応じて、適切なものを選ぶとよいでしょう。具体的な確認方法と、確認をすべきタイミングを解説します。
反社会的勢力かどうかの確認方法8選
相手が反社会的勢力であるかの確認(以下、反社チェック)方法は、以下の8つがあります。
1:商業・法人登記情報を確認する
「商業・法人登記情報」とは、会社に関する重要な一定の事項を、法務局の登記官が専門的な視点で審査したうえでコンピュータに記録したものです。
具体的には、以下の事項を記録しています。
- 商号
- 名称
- 所在地
- 代表者の氏名
- 設立年月日
- 資本金
- 発行株式の数
- 役員の選任
商業・法人登記情報は、こうした記録を一般に公開して信用維持を図るものです。
閲覧したい場合は、一般財団法人民事法務協会が運営する「登記情報提供サービス」を利用します。
2:インターネットで検索する
反社チェックは、インターネットで検索することでも可能です。
反社チェックをするときは、取引先の企業名に加えて、その企業の代表者や取締役などの役員、経営陣の個人名まで検索したほうがよいでしょう。
検索時のキーワードは、以下のようなものが考えられます。
<暴力団関連>
暴力団・フロント企業・ヤクザ・反社・総会屋
<事件関連>
検挙・摘発・逮捕・事件・違法・違反・偽装・不正・行政処分・捜査・送検・摘発・訴訟・容疑・罪・指名手配
<罪状や思想関連>
殺人・傷害・発砲・詐欺・窃盗・収賄・横領・着服・右翼・左翼
3:新聞のデータベースで調べる
新聞の過去記事のデータベースから、取引先の企業名・企業の代表者や取締役などの役員、経営陣が反社会的勢力と繋がっていないかどうかを調べる方法です。
新聞社各社は、それぞれ過去記事のデータベースから記事を検索できるサービスを提供しています。
また、新聞社の運営ではなくても、新聞記事の横断検索や新聞記事を利用した反社チェックができるサービスもあります。
4:業界団体に問い合わせる
業界によってそれぞれですが、独自の反社データベースを構築している業界もあります。
この業界団体独自のデータベースを利用して、反社情報の照会や反社チェックができる可能性があるのです。
一例として、以下のような団体が業界独自の反社データベースを作っています。
- 不動産流通推進センター
- 日本証券業協会
- 全国銀行協会
5:調査機関で調査してもらう
反社チェックを自社で行って怪しいと判断した場合には、調査会社のような専門調査機関に調査をしてもらう必要があります。
調査方法はそれぞれの調査機関により異なりますが、調査内容としては以下のようなものがあります。
- 反社会的勢力の疑いのある企業や対象者の周辺人物への聞き込み
- 調査機関が独自に構築したデータベースの照会や
- 官公庁やメディア情報の調査
6:チェックツールを利用する
取引先が反社会的勢力である、または反社会的勢力と関係があるかを確認できる「反社チェックツール」を利用してもよいでしょう。
このツールは、反社チェックやコンプライアンスチェックを代行し、取引の可否を判断するものです。自動でリスクを判断し、早急に反社チェックを実施できます。
もちろんコストはかかりますが、反社チェックのノウハウのない企業にはおすすめの方法です。
7:相手が個人事業主の場合は本人チェックを行う
反社チェックは、個人事業主である場合も契約や金銭が発生する前に行う必要があります。
相手が個人事業主であっても、取引先が反社会的勢力であるかの調査方法は法人に行うことと同様です。
以下の調査をして、取引をしても問題ないかを判断します。
- インターネットでの調査といった自社調査
- 専門機関や行政機関を利用した調査
- チェックツールによる調査
8:行政機関で情報照会する
取引先が反社会的勢力であるかを、行政機関で情報照会する方法もあります。
照会可能な行政機関としては、警視庁の組織犯罪対策第三課や、公益財団法人暴力団追放運動推進都民センターが挙げられます。
ただし、情報開示については機密事項の部分も多いため、ほかの方法に比べるとハードルが高めです。
反社会的勢力かどうか確認するタイミング
反社チェックを行う時期は、いつでも良いわけではありません。
契約を交わすときに加え、取引を開始してから一定期間が経ったときと、経営に関わる出来事があったときにも行います。
新規取引のタイミング
反社チェックを行うタイミングは、新規取引の契約の締結や金銭のやりとりを行う前です。
関係を持ってからでは遅いため、できる限り早い段階でチェックしましょう。
新規取引の場合、チェックの対象者は相手企業と、税理士・弁護士など相手企業の外部関係者です。
一定期間ごと
既存の取引先との継続取引の場合は、新規で取引を行う前の一回だけでなく一定期間ごとのチェックも必要です。
契約を開始してから、反社会的勢力との関わりが発生することも考えられるためです。
役員就任のタイミング
反社チェックは、取引先だけでなく自社の社員に対しても必要なケースがあります。
例えば自社の役員就任時には、就任前にチェックが必要です。
この場合、役員本人だけでなく、役員の親族や親族が経営する企業などにもチェックをしなくてはなりません。
株主を増やしたり変更したりするタイミング
自社の株主を増やしたり、変更したりする場合も反社チェックが必要です。
反社チェックの対象者は新たに株主になる人で、こちらも株主になる前に確認しなくてはなりません。
新たに株主になるのが法人である場合は、その法人だけでなく法人の代表者・役員と、法人の外部関係者まで反社チェックを行う必要があります。
反社会的勢力の確認方法についてのまとめ
故意でなかったとしても、反社会的勢力と関係を持つことは自社に悪影響を及ぼします。
そうした事態を避けるためにも、反社チェックは必ず、そして定期的に行うべきです。
反社チェックの方法は8つあり、どの方法が適しているかは相手と自社の状況によって異なります。
そして、場合によっては自社の社員にも実施する必要があります。
自社と社員を守るためにも、慎重にチェックしましょう。
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