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努力義務とは? 違反するとどうなる?法的拘束力や罰則について解説

監修者:弁護士法人山本特許法律事務所 弁護士  上米良 大輔

努力義務とは? 違反するとどうなる?法的拘束力や罰則について解説

努力義務とは、一定の事項について努力しなければならない、という義務をいいます。

法的義務が定められている規定と違い、違反にはならないものの、努力を怠り問題が起きた場合には、行政指導を受けたり損害賠償を請求されたりする可能性があるのです。

この記事では、努力義務の概要や種類、ビジネスで使われている事例などを詳しく紹介します。


努力義務とは

ここでは、努力義務とはなにか、概要や種類について解説します。

努力義務とは

努力義務とは、法律上の条文において「〜するよう努めなければならない」「〜努めるものとする」といった形で表される義務を指します。

法律の条文には「〜しなければならない」などという表現により法的義務を定める条項が多くありますが、それとは異なります。

努力義務は、違反した場合でも何らかの法規制の処罰対象になるわけではありません。

これに対して、刑法や道路交通法など法的義務が規定されている事項に違反すると処罰の対象となることがあります。

努力義務の種類

努力義務には「訓示的な規定」と「具体的な努力を求められる規定」という2種類が存在するとする考え方があります。

訓示的な規定とは、法律の基本理念や目的を示し、その方向性に沿った努力を促すものです。

これに対して、具体的な努力を求められる規定は、法規制の立法化について立法関係者の合意が得られなかった、または立法化が時期尚早であると判断された場合に採用されることがあります。

義務・配慮義務との違い

努力義務は、努力しなければならないことを求めるものです。

それに対して法的義務は、必ず守らなければなりません。さらに、配慮義務とは一定の事項について配慮しなければいけないことを求めるものです。

法的義務、配慮義務どちらも努力義務より強制力が強く、法的義務規定に違反すると行政罰や刑事罰が発生することがあり得ます。

また、配慮義務規定に違反すると、内容によっては損害賠償請求や行政指導を受ける可能性があります。

努力義務に違反した場合にも、必要な努力がなされていないとして損害賠償請求や行政指導を受ける可能性はあるため注意が必要です。


努力義務に違反するとどうなる?

努力義務には基本的に法的拘束力がなく、違反をした場合でも法令上罰則はありません。契約書上も違反がある場合の制裁条項は定められないのが通常です。

しかし、しなければならないと定められている努力を怠ったり、努力義務とは正反対の行動をしたりする場合は、相手方から、努力義務違反に関して損害賠償を請求される可能性があります。

例えば、努力を怠ったことが原因で第三者が損害を被った場合には、その努力義務の内容によっては、第三者から損害賠償請求を受けることが考えられるでしょう。

努力義務違反による罰則は通常考えられないものの、このように法的リスクに発展する可能性があるため、努力義務の遵守は重要です。


ビジネスシーンで努力義務が課されている制度事例

ここでは、ビジネスシーンで努力義務が課されている制度の事例について紹介します。

勤務間インターバル制度

勤務間インターバル制度は、労働者の健康と生活の質を守るために設けられた制度です。

労働時間等設定改善法により、企業への導入が努力義務として課されることになりました。

この制度では、1日の勤務が終了した後から翌日の勤務が始まるまでの間に、一定時間以上の休息時間(インターバル)を確保することが求められます。

例えば、当日の仕事が終わらずに残業をしたケースでは、超過した分を翌日に回して対応するか、翌日の始業時刻を遅らせるかする必要があります。

就業機会確保

就業機会確保の努力義務とは、2021年4月1日に施行された改正高年齢者雇用安定法により、企業に課せられたものです。

70歳までの定年の引き上げや定年制の廃止、70歳までの継続雇用制度の導入などが努力義務となっています。

ストレスチェック制度

ストレスチェック制度は、2015年12月1日から改正労働安全衛生法が施行されたことにより、すべての企業で義務づけられた制度です。

しかし。常時雇用している労働者が50人以上の事業場のみ義務化されており、それ以外は努力義務とされています。

労働者の心理的な負担を確認し、医師の意見をもとに作業内容の変更や労働時間の短縮をする必要があります。


日常生活でも見かけられる努力義務の事例

努力義務はビジネスシーンに限らず日常生活でも見かけられます。

近年話題になった努力義務規定として、自転車に乗るときのヘルメット着用・新型コロナワクチン接種の2つがあげられます。

2023年4月1日から、道路交通法にて自転車に乗るときのヘルメット着用が努力義務とされました。ヘルメットを被らなくても違反にはなりませんが、着用を強く推奨されています。

また、新型コロナワクチン接種も「ワクチン接種を受けるよう努めなければならない」と規定されています。

しかし、こちらも接種を受けなくても違反にはなりません。


努力義務についてのまとめ

努力義務規定は、法令において「〜するよう努めなければならない」「〜努めるものとする」といった形で設定される規定を指します。

これは法的な義務ではなく、違反しても罰則が科されることはありません。

しかし、努力義務規定が法改正により将来的に義務規定に変わることもあり得ますし、所定の努力をしていたとの説明ができるよう、規定の内容に沿った努力をすることが重要です。


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監修者プロフィール

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上米良 大輔

弁護士法人山本特許法律事務所 弁護士

2009年弁護士登録。大阪市内の法律事務所を経て、2012年にオムロン株式会社に社内弁護士第1号として入社、以降約7年にわたり企業内弁護士として、国内外の案件を広く担当した。特にうち5年は健康医療機器事業を行うオムロンヘルスケア株式会社に出向し、薬事・ヘルスケア規制分野の業務も多数経験した。

2019年、海外の知的財産権対応を強みとする山本特許法律事務所入所、2021年、弁護士法人化と共にパートナー就任。知的財産権案件、薬事規制案件を中心に、国内外の案件を広く取り扱う。

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