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IPO準備に欠かせない内部監査を、デジタル稟議で解決する

IPO準備に欠かせない内部監査を、デジタル稟議で解決する

この記事の著者

前回はスタートアップ企業、二代目経営者、事業承継者と3つの経営ステージを例に、デジタル稟議がどう機能し、ダイナミックな経営を可能にするのかを解説しました。今回は新規株式公開、つまりIPOを見据えた企業を例に挙げ、そのために欠かせないコーポレート・ガバナンスや内部統制の話を踏まえながら、デジタル稟議の重要性をお伝えします。


強固な内部統制を構築して監査対応の効率も改善

前回お話しした3つの経営ステージは、いわば企業の成長過程です。最初はスタートアップ、もしくは歴史のある会社であれば創業者から二代目への経営引継ぎ、またM&Aによる事業承継があるでしょう。そして各ステージの先に、IPOがあります。

IPOを目指すうえでは、上場審査の項目にある「企業のコーポレート・ガバナンスや内部管理体制の有効性」をクリアするため、上場準備の段階で内部統制が有効となるように社内の管理体制を構築する必要があります。

内部統制には「統制環境」「リスク評価と対応」「統制活動」「情報と伝達」「モニタリング」「ITへの対応」の6つの構成要素があります。そのなかでもデジタル稟議が非常に有効となるのが「ITへの対応」です。

「ITへの対応」は内部統制に利用するシステムの管理、開発、保守を行ったり、アクセス権限を管理したりすることなどを指します。つまり、デジタル稟議のようなシステムを導入することで、効率的で健全な経営を実現するということ。そして「ITへの対応」は、その他5つの構成要素の有効性を確保するうえでも効果を発揮します。

例えば、「リスク評価と対応」要素では、統制上の要点となる業務であるキーコントロールにデジタル稟議を導入することにより、業務プロセスを可視化してアナログによるリスクに対応することが可能です。

また、企業の職務権限規程に定められた承認フローをデジタル化することにより、抜け漏れのない情報伝達を行い、かつ閲覧権限の設定による情報統制を行うことができ「情報と伝達」の要素にも対応することができます。


相互牽制を機能させるために意思決定を可視化

デジタル稟議の導入によって稟議や各種プロセスが明確化、迅速化してコンプライアンス強化にもつながります。そしてIPOに向けたコーポレート・ガバナンスや内部統制の構築および継続的な業務プロセスの評価と改善が可能となります。

また、「いつ」「誰が」「なにを」承認したのかという証跡がデジタル化されることによって検索も容易になるため、モニタリングや監査対応の効率も改善できます。

他方、コーポレート・ガバナンスの評価軸として、社外取締役を迎えて相互牽制の機能を有効に働かせることが求められます。相互牽制とは、いわば理想と情熱をもってビジョンを語るCEOと、事業を円滑に回すCOO、そして社内外の状況や数字を客観的に見ながら経営を管理するCFOの関係です。

この相互牽制を機能させるためには、意思決定を可視化させることが重要です。意思決定の可視化とは、口頭で決まった結果だけを記録するのではなく、経緯を含めてログが残る方法、つまりデジタル稟議で文書化するということです。

意思決定の記録は会社が歩んだ経営手法の歴史であり、財産となります。デジタル化させて検索を容易にすることで、未来の経営の参考にすることができるとともに会社を守ることにもつながります。情報化や多様化でコンプライアンスの優先度が高まり、リスク管理が欠かせなくなった今、デジタル稟議は重要なツールなのです。


デジタル稟議はあらゆる局面で活躍する

内部統制は、IPO準備の手前に構築できるのであれば、それに越したことはありません。前回挙げた3つの経営ステージでも有効です。スタートアップ企業の多くはIPOを目指し、創業されています。事業の進行や成長スピードも速く、タスクやニーズが増えて社内が複雑化する前に体制を整えられれば、事業規模拡大に伴って危険性を増すリスクもカバーしやすいといえるでしょう。

また、デジタル稟議はあらゆる局面で活躍します。前回でもお伝えしたように、創業者から経営を引き継いだ二代目が抱える課題の一つが、初代のカリスマ性を生かしたトップダウン経営から、現場とのコミュニケーション、協調を重視したボトムアップ経営への転換です。

デジタル化により稟議プロセスを整え、社内ルールやガイドラインを整備し、不正やミスが起こりにくい組織へ。この、風通しが良く守りに強い体制が内部統制のメリットです。各種業務のDXを促進し、イノベーションを実現する地盤固めができるのです。なお前回記事と同様にさらに詳しく知りたい場合には、こちらのページでもまとめているので、ぜひご覧ください。

さらに、事業承継、M&Aなどで創業者が会社を譲渡するケースも有効です。そのときに重要なのは企業価値を高めることですが、内部統制や管理体制が弱い場合は評価額が下がってしまいかねません。デジタル稟議で業務の流れを見える化し、透明性を高めることが大切です。また、社内ルールなどの管理体制を整えて、業務の再現性を高めることも事業承継に重要なポイントです。

フレキシブルかつスピーディーな意思決定が求められる中で、稟議もデジタル化して扱いやすくなりました。コストも以前より下がり、意思決定の可視化が安価かつ手軽にできる時代です。導入ハードルが低くなった今、デジタル稟議でスマートな経営を実現し、IPOに耐えうる体制構築を行いましょう。


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著者プロフィール

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岡本 康広

株式会社エイトレッド 代表取締役社長/ワークフロー総研 所長

ワークフローシステムを開発・提供するエイトレッドの代表取締役社長も務める。
ワークフローを出発点とした働き方の見直しが意思決定の迅速化、組織の生産性向上へ貢献するという思いからワークフローの普及を目指し2020年4月、ワークフロー総研を設立して現職。エイトレッド代表としての知見も交えながら、コラムの執筆や社外とのコラボレーションに積極的に取り組んでいる。

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