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第2回 社内報の役割と機能、ターゲットの理解と担当者の在り方

効果のある社内広報メディアの構築

第2回 社内報の役割と機能、ターゲットの理解と担当者の在り方

この記事の著者
株式会社月刊総務 代表取締役社長   戦略総務研究所 所長 

社内報に求められる社内活性化、情報の共有、ベクトルの統一

社内報は読まれるだけではなく、読者の行動に結び付かなければなりません。行動に結び付けるには、読者の共感を得なければなりません。そのためには、読者である従業員を知り、社内報担当者を従業員に知ってもらう仕組みが大切です。そして、何より大事なのは、社内報担当者の会社を良くしたいという思い。従業員を主役にしつつ、社内広報メディアの主役である社内報を企画していきます。

創業間もない数人の会社であれば、多くの場合、社内報は存在しません。社長を含めた従業員全員が顔見知りであり、お互いのことをプライベートも含め熟知しているからです。多くの場合、ワンフロアにひとかたまりになって仕事をしていますから、誰とでもすぐに会話ができ、その場ですぐに全体会議を開くことも容易です。相手の興味関心、相手の立場や仕事内容、現在抱えている課題までも把握した上でのコミュニケーションが行われていることでしょう。ですから、相手が一番知りたいことを、理解しやすい状態で伝えることができます。相手の気持ちを考え、相手が納得して、共感してもらえるような内容で伝えることができるのです。結果として、すんなり行動を起こしてくれるのではないでしょうか。

しかし、人数も増え、拠点も増えると、そうはいきません。一般的に、従業員数が三〇〇人を超えると社内報が必要になってくるといわれます。社内報に求められる役割は、まだ社内報が存在しなかったころに実現できていた、社内コミュニケーションの活性化、情報の共有、ベクトルの統一を実現することです。社内報を読むことで、会社を知り、会社を好きになり、この会社で働けることが喜びにつながる。頑張っているメンバーのことを知り、そのメンバーのことが好きになり、協働の精神が醸成され、組織が活性化されていく。そのために、会社としては、社内報を通じてさまざまな情報を従業員に提供していくことが必要です。

一番伝わるコミュニケーションとは、個別に、相手に合わせた内容で行うことです。それを社内報で実現しようとするのであれば、全員に読んでもらえる企画、全員に伝わる企画は、そもそも不可能であることに気付くでしょう。確かに、会社の出来事や決算数字など知ってもらいたい内容については、従業員全員がターゲットとなり得ます。しかし、しっかりと理解してもう企画、共感され行動に結び付く企画については、ターゲットを明確に絞り、さらにそのターゲットについて熟知する必要があります。

企画立案については、以下、いろいろな切り口を紹介していきますが、その際に最も大事なことが、読者ターゲットを絞り、そのターゲットについて知ることなのです。どのような思いや価値観を持って働いているのか。現在抱えている不安とは、モチベーションの源とは……。このように、ターゲットを思い描きながら企画を立案し、原稿を起こしていくことが大切なのです。


明確な発行目的を定め、それを軸に編集を進めていく

社内報は発行することが目的ではあってはなりません。もちろん、発行して読まれるだけでも意味がありません。読まれて行動に結び付くことが大前提です。従業員は社内報を読むことで、自社のことを知り、理解し、共感して行動する。社内報はここまでを目的として編集されるべきものです。

発行目的は、どのようなものを考えれば良いでしょうか。以下に社内報の発行目的の例を記しました。

・経営理念・ビジョンの共有と浸透

・経営方針の理解と周知徹底

・企業文化・風土の醸成

・企業DNAの伝承

・社内の一体感の醸成

・組織の活性化

・社内コミュニケーションの活性化

・社内情報の共有、会社の状況の伝達

・業務情報、事業内容の伝達

・従業員の意識、行動改革

・従業員のモチベーションアップ

・従業員の声を経営層に届ける

・従業員の自己啓発の促進、教育研修

・会社と家族のパイプ役

・会社の歴史の記録

自社の状況に合わせて、いま社内報にどのような役割を持たせるべきか、経営的視点から考えましょう。また、自社の状況が変化したのなら、それに合わせて発行目的も見直すべきです。会社あっての社内報であり、社内報だけが単独で存在することはあり得ません。そして、発行目的を社内に告知しましょう。何のための社内報なのか、その目的を達成するために、どのように従業員に読んでほしいか、活用してほしいか。明確な意図のもとに発行していることを周知しておくことで、その存在意義が明確になりますし、発行目的と照らし合わせての読者からのフィードバックにより、編集部も鍛えられます。また、明確な発行目的を定めておくと、編集上の軸が定まります。企画に迷ったときの判断軸となります。


社内報の役割と知りたい情報

一方、一般的な社内報の役割について、以下の通り、四つの役割があるといわれています。

■目標の共有:経営の方針を従業員に公平に伝える

■情報の公開と共有:経営、自社の状況に関する情報をタイムリーに伝える

■教育・気付きの場:従業員や経営者に刺激を与え、考えさせ、学ばせる

■風通しの良い活力ある風土作り:企業文化や風土を育て、継承する

それぞれの機能に合致した企画立案がされているか、時々振り返るようにしましょう。読まれるだけではいけないものの、読まれないことには始まらない社内報。読まれるためのポイントは三つあります。まずは、読みたくなる内容かどうか、ということです。読者を振り向かせるためには、読者の興味、関心事にリンクしている必要があります。そのためには読者である従業員のことを知らなければなりません。この点については後述します。

一般的に従業員が社内報に求めていることは、以下に記すものといわれています。読者の関心事から企画立案することは、読まれる社内報への近道です。

■会社の経営はどういう状況で、どのように動いているのか

■経営者や主要ポストの人たちの経営に関する考え方、見通しなど

■自分の仕事や職場の将来性などの情報

■労働条件や人事制度はどうなっているのか、どう変わるのか

■自分の職場や自分たちの仕事の成果をみんなに知らせたい

■同僚や従業員の動向、人事異動など

■同僚や個人の趣味・家庭生活などへの興味

次回に続く

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著者プロフィール

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豊田 健一

株式会社月刊総務 代表取締役社長 戦略総務研究所 所長

早稲田大学政治経済学部卒業。株式会社リクルートで経理、営業、総務、株式会社魚力で総務課長を経験。日本で唯一の総務部門向け専門誌『月刊総務』前編集長。現在は、戦略総務研究所所長、(一社)ファシリティ・オフィスサービス・コンソーシアム(FOSC)の副代表理事として、講演・執筆活動、コンサルティングを行う。

毎日投稿 総務のつぶやき 

毎週投稿 ラジオ形式 総務よもやま話

毎月登場 月刊総務ウェビナー

著作

マンガでやさしくわかる総務の仕事』(日本能率協会マネジメントセンター) 

経営を強くする戦略総務』(日本能率協会マネジメントセンター) 

リモートワークありきの世界で経営の軸を作る 戦略総務 実践ハンドブック』(日本能率協会マネジメントセンター)

講演テーマ:総務分野

総務の最新動向について

総務の在り方、総務のプロとは

戦略総務の実現の仕方・考え方

総務のDXWithコロナのオフィス事情

健康経営の進め方、最新事例の紹介、など

講演テーマ:営業分野

総務経験者が語る総務の実態、総務の意志決定プロセスを知るセミナー

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