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はじめての事業計画書作成! 事業計画書の全体像について

はじめての事業計画書作成! 事業計画書の全体像について

事業を始めるにあたって、資金調達など関係者の協力を得る多くの場面で事業計画書の提出を求められることがあります。

いざ、事業計画書の作成に取り掛かってみると「何をどのように書けばわからない…」ことや、一生懸命作成したものの製品やサービスなど局所的な部分しか検討できておらず「どう販売するの?本当に儲かるの?」と融資先から指摘を受けてしまうことがあります。

そうならないためには、事業計画書をどのように作れば良いか一連の流れを知ることが大切です。今回は関係者に伝わりやすい事業計画が作成できるよう、まずは全体像について解説していきます。


この記事の著者
  中小企業診断士 

事業計画書は事業アイデアが成功するまでの1本の物語でなければなりません。

その物語は、途中で矛盾や、全体像がぼやけていたりすることがないよう、簡潔明瞭な内容になることを意識しましょう。そうすれば、誰もが「成功確率の高い事業計画だ!」と思わずうなってくれる計画書になるはずです。

まず、事業計画書は以下の通り5つの大きなパートに分けて作成します。留意点として、パートごとの内容に結び付きがあるようにしましょう。各パートに矛盾がある(ストーリーとして成り立たない)=事業として成立しない!という方程式になるからです。


1.事業の全体像について

① 自社や経営者のプロフィール

まず自社が信頼できる企業だと伝えることで、相手に信頼感や安心感を持たせましょう。
そうすることで、事業計画にも信頼が持たれやすくなります。
しかし、創業してすぐの段階であれば、会社に信用がありません。
その場合は、経営者自身の人物像やその事業で活用できる経歴やスキルを有していることをアピールしていきましょう。

ポイント

特にアピールできる経歴やスキルがない場合でも、事業アイデアをしっかりと説明して補うことができれば大丈夫です。また、経営者(作成者)自身の人物像もアピールポイントになりますので、自身の魅力が伝わるように記載しましょう。

② 新規事業を始める背景

作成者は事業に対して思い入れや熱意があるので、その思いを込めて作成していますが、読み手が業務で見ている場合などは「はやく終わらないかな~」と冷めた気持ちで見ていることも往々にしてあります。このように、作成者と読み手の間にはどうしても温度差が生まれてしまうのです。

そのため、なぜ自社で取り組まないといけないのか?(どういったビジネスチャンスを見つけたのか)をしっかりと伝えて、相手の心をグッと惹きつけることが大切です。

ポイント

世の中の不満や問題を背景にすることで興味を持たせやすくなります。例えば、

「現状、市場に出回っている製品に不備がある場合は、改良した製品を開発する」
「地域の過疎化、高齢化が進んでいるためにITを活用した配送システムを構築する」
「新しい技術開発により世の中を変えたい」

など、その事業を始めようと思ったきっかけについて強く訴えましょう。

③ 理念とビジョン

事業に対する理念は、その事業を行う上で大切な価値観やミッションになります。
そして、ビジョンとはその事業を通しての将来像つまりゴールです。
これらを記載し関係者と共有することで、関係者の意識合わせにも繋がります。

ポイント

事業計画書はそのビジョンに向かうための、案内図といったところでしょうか。
ビジョン(ゴール)が定まっていないと、ブレブレの事業計画書となってしまいます。

④ 事業のコンセプト

自社が目指す内容に対して、自社が事業を行う骨格となる部分です。
その事業を一言で表すとどういったものか、いわばキャッチフレーズのようなものです。
「誰に」「何を」「どのように」を意識して記載しましょう。

ポイント

ここでは、商品・サービスの特徴や強みが明確にわかるコンセプトを意識しましょう。


2.事業内容

① ターゲット選定と自社のポジションについて

次に事業のターゲットについて記載していきます。

STP(セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング)などのフレームワークを用いて、ターゲット選定だけでなく、自社がターゲットに対して他の競合と比較した時に、どういったポジションを取るかも記載したいところです。

また、ターゲットを選定した根拠も必要です、統計局などで発表されている2次データの活用や、顧客や関係者にアンケートを取るなどしてうまく説明しましょう。

ポイント

ターゲット選定には、誰しもがイメージできるように顧客像を具体的に表現することが重要です。

例えば育児関連のサービスを始める場合には「20代~30代女性」というだけでなく「20代~30代で夫婦共働き、世帯年収が1000万円を超えていて、子育てを行っているが自分の時間を持ちたい女性」など具体的にすると、読み手もイメージしやすくなります。

また、大きな市場(ニーズ)に注目したくなりがちですが、大きな市場ではそれだけ競合も増えてきます。そのため、中小企業ではターゲットを絞り込みニッチな市場を狙っていきましょう。ただし、ニッチな市場にこだわりつつも、事業として成り立つだけの規模感があるのかも併せて記載しましょう。

② 具体的な商品サービスの内容を説明する

どういった商品やサービスによって顧客に価値を提供するかを記載します。
商品・サービスの強みや競合他社との差別化ポイントを挙げて、自社の魅力をきちんと伝えましょう。

ポイント

競合とは、同じ商品やサービスのカテゴリーだけとは限りません。

例えば、映画館を例に挙げると、他の映画館やレンタル店や動画配信サービスだけではなく、「余暇を楽しく過ごすため」と定義付けるとゲーム、遊園地、本、携帯など多くのものが競合になります。

業種にこだわるだけでなく、顧客の視点に立って考えましょう。


3.事業戦略

① ビジネスモデルについて

まず、ビジネスモデルを考える上でどのようにして顧客から収益を得るかを大前提に考えましょう。利益がなければ会社を存続させることはできません。

例えば、ホームページ制作を請け負う企業であれば「新規導入時に一括で料金をもらう」のか、それとも「月額制として料金をもらう」のかなど、利益を生み出す仕組みについて、また、製品やサービスの利益構造(原価率など)についても説明していきましょう。

ポイント

今回は詳細な説明は省きますが、リーンキャンバスなどのフレームワークを使用するとビジネスモデルの見える化が容易となります。

※リーンキャンバスとは「課題」「顧客セグメント」「独自の価値提案」「ソリューション」「チャネル」「収益の流れ」「コスト構造」「主要指標」「圧倒的な優位性」といった9つに分けた表のことを指します。

② 販売戦略

販売戦略では、製品(サービス)・価格・流通・宣伝の4つの構成要素から戦略を考えていきましょう。この4つの構成要素の英語の頭文字を取って4Pと呼ばれたりします。

4つの構成要素を単体で記載するのではなく、相互に関連するようにしましょう。

例えば新しいアパレルブランドを立ち上げる時、価格戦略で「高価格」を取るのであれば、製品には「高品質やブランド力、販売数を限定するなど希少性」を持たせたり、宣伝は「高所得者を対象にした手法」を用いたり、流通も「通販などどこでも買えるのではなく、公式サイトや店舗で流通を絞る」とそれぞれの戦略が繋がることを心掛けましょう。

4つの構成に関連性を持たせることも大切ですが、時には関連性がないような戦略を取ることも差別化の点では有効です。

例えばアパレルブランドを新たに立ち上げた場合、「低価格」なのに、「高品質・高デザイン」の商品を販売します。

その分「宣伝を一切せず、口コミや紹介だけで広げる」といったように、近年では今までの常識的な販売から外れた戦略を取るところが成功を収めたりしているのが見受けられます。


4.収支計画

① 将来の損益計算書やキャッシュフローを明確にする

本事業の採算について、説明するために記載しましょう。
この際の損益計算書やキャッシュフロー計算書は5年程度の期間で準備するようにしましょう。

ポイント

基本的に、前向きな計画を立てるようにしましょう。
ただし、銀行など融資を受ける場合は根拠を明確にして、手堅い計画を立てるようにしましょう。

② 資金計画

融資を受ける場合は、融資された金額の時期や使途・目的を明確にし、
また返済できる根拠を示す必要があります。

ポイント

の損益計算書やキャッシュフローの根拠がきっちりとしていることが大切です。

また、資金を何に使うかは注目が集まるポイントです。

投資資金の場合には、計画金額が相場から乖離していないかもチェックしておきましょう。


5.アクションプラン

① 行動計画

事業計画だけでは全く意味を成しません。実行し、達成することに意味があります。 目標と共に、目標を達成するための行動計画(アクションプラン)を必ず設定するようにしてください。

ポイント

行動計画は、「誰がいつまでに何をするのか?」が具体的な数値(日程)で表現しましょう。

また、行動計画がざっくりしすぎていると後回しになりがちです。行動計画はできるだけ細分化して作成しましょう。

② 組織体制・人員

どういった体制で事業を進めていくかを記載しましょう。
アクションごとに社内の責任者を定めて提案をしていきましょう。

ポイント

体制は社内だけでなく、取引先や金融機関も含めて作成しましょう。


まとめ

事業計画書の全体像について駆け足で解説しましたが、いかがでしたでしょうか?

事業計画書を作る上で大切なことは、具体的にどうするかをきっちりと記載することです。

曖昧な表現が続いてしまうと読み手もわからないだけではなく、自分自身が事業計画書を基に事業を進めていく際に混乱し、うまく進めることができなくなります。

何度もブラッシュアップすることで、どんどん事業計画書の精度は高まっていきますので、その点を意識して作成に取り掛かりましょう。

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著者プロフィール

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牧野 孝治

中小企業診断士

PROFILE
ライター,コンサルタント
1992年生まれ,京都府京都市出身。
2018年中小企業診断士登録
商社営業を経て、現在は経営コンサルタントとして活動中。
得意分野は、顧客目線で展開するマーケティング施策、低コストでITを活用しコスト削減と売上拡大、従業員のモチベーション向上施策立案、M&Aなど。

お問い合わせ先
株式会社プロデューサー・ハウス
Web:http://producer-house.co.jp/
Mail:info@producer-house.co.jp

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