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はじめての事業計画書作成! 掛け算で提供価値を開発する(書店編)

著者: 中小企業診断士  山本 哲也

はじめての事業計画書作成! 掛け算で提供価値を開発する(書店編)

サービス業における事業成長は、人と組織の成長があってこそです。

規模の経済が働くビジネスモデルではありませんが、適切なスピード感で事業成長を続けていけば、高いレベルで安定した事業運営を行うことが可能になります。

また、計画的な出店を行うことで人と組織の成長につながることも事実です。これまでのあなたの経験を活かしたステップアップとして、新規出店を目指しましょう。


1. チームは、人と事業成長の根幹

1店舗目の成功なくして2店舗目はないのですが、2店舗目の計画や将来のビジョンがないと1店舗目を成功させることが難しいのもまた、事実です。

事業の成長に伴ってスタッフも成長します。そして、それに合わせてスタッフのライフスタイルも変化します。若かったスタッフもいずれは結婚し、子どもを授かり、その成長に合わせて学費などもかさむでしょう。またお金だけではなく、自分の能力向上を実感し始めることで、さらに新しいステージで力を発揮したり試してみたりしたくなるのが人間です。特に優秀な人材、向上心の強い人材は、その傾向が強いことでしょう。そんなスタッフに成長の場を提供することも、経営者の大きな使命です。


(1)チームリーダーを育てる

では、どのようにリーダーを育てれば良いのでしょうか?リーダーに求められるもっとも大切なスキルは、物事を根拠に基づき素早く判断する力、そして判断したことを行動に移す力です。さらに言えば、周りのスタッフに働きかけ共通目的のための共通行動をとらせるためのコミュニケーション能力です。

これまでは、オーナーのあなたの存在があったため、気分が乗った時や成功確率が高い時だけアクションをすれば良かったのですが、それではリーダーは務まりません。リーダーは常にスタッフに一挙手一投足を見られていますので、安定したパフォーマンスを求められます。

まずは、適性を見極める必要があります。リーダーに求められる資質は、その時の事業環境によっても変わります。例えば、急激に成長している時や、オーナーのあなたが急成長を狙っている時には、強いリーダーシップを発揮できる行動力や発信力を持つ人が適任でしょう。少々拙速な判断をする人でも、スピード感を持った行動ができるタイプを選ぶべきです。新市場に出す新店舗には、このような人材が向いています。そして既存店には、これまでのやり方をきちんと踏襲し、そつなくこなせるタイプのリーダーが適任でしょう。既存店には、新規店への投資資金を確実に稼ぎ出す役割や、スタッフの雇用を守り、これまでのお客さまを満足させ続けるという重要な役割があります。いろいろな人の意見をじっくり聞くことのできる成熟したリーダーシップが求められます。


(2)チームを編成する

適任候補者を見つけたら、彼(彼女)に欠けている部分を補える人材や支援できる人材をアサインしてチームを編成しましょう。現状ではリーダーもスタッフも心もとなく、不安が募ることでしょう。しかし、その組織の隙間(不足している部分)が人を育てるのです。特にリーダーは、その隙間を埋めつつもスタッフに方向性を示さなくてはなりませんから、自然に成長します。オーナーは、手や口を出しすぎず、基本的には見守るようにします。例えば、自分の中でルールを設定し、そのラインを越えなければ干渉せず我慢をするようにします。投資資金の限度、クレーム、スタッフ間のもめごとなど「ここまでは許容できる」という範囲をあらかじめ考えてみましょう。意外と寛容になれるものです。

(3)新規出店のデメリット

ここで、新規出店にはどんなデメリットがあるのか考えてみましょう。家賃などの固定費が新たに発生します。また、チームが二か所に分かれることによるコミュニケーションロスや管理コストの増加があるでしょう。損益分岐点を超えるまでは赤字経営を余儀なくされますので、既存店がしっかり支えることや、必要と見越される投資資金を公的補助金などで準備しておくことが大切です。もっとも大きなコストは、リーダーが育つまでの間のリーダーへの支援です。逆に言えば、新規出店における不確実性は小さいと言えます。しっかりとした計画を立て、リスクを想定し、あらかじめ手立てを講じておくことで必ず成功させることができるでしょう。

(4)新規出店のメリット

では、新規出店によって得られるメリットには、どんなことがあるでしょうか?ケースバイケースではありますが、一般的に考えられるものは以下の通りです。自社に当てはまることがあるか?という視点で確認ください。

1点目に、出店によってスタッフの増員を行うことが多いので、販促などの活動量が増え売上増加の機会となるでしょう。お客さま視点でも「近くにできたから」「通りがかりに看板を見かけたから」「検索していたら出てきた」と、露出も増えることでしょう。

次に、コスト面から考えてみます。まず人件費の削減が見込めます。お客さま宅への移動時間が短縮できれば、スタッフの人件費が減少します。例えば、3名チームで1日あたり30分短縮できれば、90分×20日で1か月30時間の節約となり、その分をお客さまのための時間に充てることができます。次に採用コストの削減が見込めます。本店よりも郊外住宅地側に出店することで、働く人は通勤しやすくなるため応募者が増加します。つまり少ない採用コストで必要人員を確保することにつながるわけです。また、通勤距離が短いことで交通費を抑えることができます。こちらも1日あたり200円、1か月で4000円の無駄なコストの削減につながります。

新規出店のメリットはこれだけではありません。最大のメリットは、人と組織の成長です。オーナーの目が行き届かなくなることで、一時的にはトラブルなども増加するかもしれませんが、中長期的に見るとオーナーへの依存度が低下し、自分たちで工夫、判断することが増え、人や組織の成長につながります。その成長は、お客さま満足につながり、事業成長につながっていきます。


2. 必要な投資資金の確保

人選を済ませ計画立案を進めるにあたって、重要な仕事が資金集めです。手元現金によほどの余裕がなければ、借り入れで賄うことを第一に検討してください。いざという時のために手許現金をキープしておきたいという理由もありますが、借り入れにあたって金融機関に計画をチェックしてもらうことで計画の妥当性などの評価が受けられるメリットがあります。


(1)公的機関への相談や公的補助金を活用する

経営相談ができる公的機関には地元の商工会や商工会議所がある他、各都道府県に「よろず支援拠点」という経営の相談窓口が設けられています。よろず支援拠点は、その名の通り、中小事業者向けに各支援機関や専門家と連携し幅広い相談に対応しています。

小規模事業者経営発達支援融資制度 

各都道府県よろず支援拠点一覧 

一方、補助金には、国が行っているものや地方自治体が行っているもの、時期が限定されているものや通年募集しているものなど、各種あります。新規出店に関して使えそうな、もっともポピュラーな補助金として「小規模事業者持続化補助金」があります。補助金額の上限が50万円ですので、入門編と言えるでしょう。主に販促などでの利用を想定した補助金制度となっています。

小模事業者持続化補助金


まとめ

いかがでしたでしょうか?今回は、家事代行サービスでの新規出店の必要性についてお話しさせていただきました。遠い未来のことと捉えてしまいがちですが、人と組織の成長こそが事業成長のエンジンとなりえます。まずは簡単で良いので将来像を描き、それを社内で共有しながら定期的に見直すことで環境変化への対応もさせていきましょう。きっとチームワークが高まり、長くお客さまにかわいがってもらえるチームへと成長できることでしょう。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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著者プロフィール

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山本 哲也

中小企業診断士

PROFILE
ライター,コンサルタント
1966年生まれ,大阪府大阪市出身。
1998年ビルクリーニング技能士取得
2019年年中小企業診断士登録
総合サービス事業会社にてオープンイノベーションによる新規事業開発を担当。得意分野は新規事業開発、事業企画、営業チームビルディング、フランチャイズビジネス

お問い合わせ先
株式会社プロデューサー・ハウス
Web:http://producer-house.co.jp/
Mail:info@producer-house.co.jp

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