このページはJavaScriptを使用しています。JavaScriptを有効にして、対応ブラウザでご覧下さい。

はじめての事業計画書作成! ターゲット選定と販促計画(書店編)

著者: 中小企業診断士  山本 哲也

はじめての事業計画書作成! ターゲット選定と販促計画(書店編)

あなたが来店を期待している顧客は誰ですか?

「誰でもよいから来てほしい」

その気持ちにも共感できますが、八方美人が誰からも相手にされなくなることは自明の理です。

まずは、「あなたが来店してほしい顧客の期待に応えるにはどうすればよいか?」「あと1日早く来店させるためにできることは何か?」そして「どうすればこのお店の話を誰かに伝えてもらえるか?」について、一緒に考えていきましょう。


あなたの顧客はどんなひと?

スマホがあれば、いつでもどこでも最新の雑誌が読めて、早ければ明日にでも手元に本が届くこの時代。あなたのお店をひいきにしてくださるお客さまってどのような方でしょう?

さらにお尋ねします。「そのお客さまをお得意さまだと認識している理由は何でしょう?」。来店頻度が高いからなのでしょうか?それとも買い上げ点数が多いのですか?または、買い上げ金額が高いのですか?それとももっと他の理由?

そのお客さまは、すべての顧客のどれくらいの割合を占めていますか?何曜日に来店されて、どんな商品を購入していますか?

私たちは、もっと顧客のことを知るべきではないでしょうか?売上だけではなく。


(1)ペルソナとターゲットの違い

“ペルソナ”という言葉を聞いたことがありますか?1980年頃から提唱されている考え方で、マーケティング戦略を検討するために設定する“最も自店を利用してもらいたい、または、最も利用すると考えられる想像上の顧客”のことを指します。

一般的にターゲットと呼ばれている顧客像は単なるカテゴリ分けであり、それよりももっと高い解像度を持った顧客に対する仮説が“ペルソナ”です。ペルソナを設定するメリットは、“顧客視点で自店の運営や品ぞろえが考えられるようになる”ことや“スタッフ間で共通認識を持った話し合いができるようになる”ことが挙げられます。


(2)顧客を知ろう

顧客分析の一種にセグメンテーションという手法があり、前述のペルソナを考える時の情報として集める必要があります。具体的には、3つの切り口を用います。

①デモグラフィック(人口統計学的属性)

デモグラフィックとは社会経済的な観点での分析です。性別、年齢、住まい、職場、学歴、職業、所得などが一例です。おそらく最も活用されて

②サイコグラフィック(心理学的属性)

サイコグラフィックとは、価値観、信念、趣味趣向、購買動機、生活様式などが含まれます。ペルソナを考える上でもっとも重要な情報です。つまり一言で言うと「どんなひと?」ですね。

➂ジオグラフィック(地理学的属性)

ジオグラフィックとは、デモグラフィックと同じ住まいを含むのですが、その他に地域特有の気候、人口密度、文化などを指します。簡単に言うと、街の雰囲気みたいなものと理解してください。

Web上でのビジネスを考える場合は、上記の3つの観点にもう1つ加えて考えられることが多くなっています。

④ビヘイビオラル(行動学的属性)

ユーザーの行動そのものを表すもので、情報取得の方法や購買行動などの観点です。Webサイトへのアクセス、インターネット使用時間、商品購買履歴、行動範囲などまで広く含めて考えることもあります。つまり、何かを買う時にどこから情報を得るひとなのか、衝動買いをするひとなのか等ですね。最近は「情報共有の方法」という行動も重要です。購入後にどのように周囲へ情報を拡散してくれるのかが、ネットとリアルの買い物に境目がなくなりつつある昨今のビジネスにおいては、ますます重要になってきます。

(3)彼らは何を求めて来店してくださったのでしょう?

これまで、たくさんの社長さんに冒頭の質問「あなたのお客さまはどんなひと?」「どんなニーズを持っていますか?」を投げかけてきました。もちろん、ほとんどの社長さんが即答されます。しかし、実際にお客さまに聞いてみると、ほとんどと言ってもよいくらいに新たな発見があります。それほどにお客さまの頭の中は奥深いのです。

顧客の声を集める手法はいろいろありますが、まず思い浮かぶのはアンケートではないでしょうか。アンケートの主な目的は、顧客を定量的に分析することです。フリーアンサー欄を用意することで定性的な回答を得ることもできますが、文字情報だけでは細かなニュアンスを得られません。定性的な情報を取る場合には個別に話を聞くインタビューが適しているため、いろいろと発見の多いインタビューをお勧めしています。特に小規模事業者は、先入観(実はこれが、結構当たっていることが多いのですが)が強い傾向にありますので、興味深い結果が得られることが多いのです。

アンケートとインタビューには以下のようなメリットデメリットがありますので、これらを理解した上で使い分けてください。


2. 販促は計画的に

書店で販促と言うと、都市部のマンモス書店で開催されているような作家のサイン会などをイメージするかもしれませんが、小規模な書店には到底不可能です。顧客も地域密着型の書店にそういったイベントを期待して来店しているわけではありません。また、書店ビジネスでは定価販売が基本のため、バーゲンなどもできません。

そもそも、小規模な書店での販促活動の目的は、顧客に「また行きたい」「誰かに教えたい」と思ってもらうことです。店頭の絶え間ない変化が顧客の足をお店に向けさせることにつながるのです。

具体的には、「新刊発売イベントや季節イベントにちなんだ品ぞろえとしての特設コーナー」や「中古本のバーゲン」などが挙げられます。最近は「各書棚に設置する手作りPOP」への関心が特に高まっています。また、本の販売とは関係ない趣味のイベントやサークル活動などを開催し、顧客同士やお店と顧客とのネットワークを育成していくという古くて新しい手法も出てきました。


(1)書店ビジネスの販促において大切な2つのこと

「どんな販促が一番よいのでしょう?」「●●は効果がないのでしょう?今は△△でしょ!?」。販促に関してこのような質問をよく受けます。どれも正しい考え方である一方で、どれも正確性のない主観だけの考え方でもあります。

販促活動において大切なことは、事前計画と結果検証の2つです。

計画においては、いつ、誰に、何を、どんな手法で、どのような内容で実施し、どういった効果を狙うのか?そのために必要な費用、担当、時間は・・・。といったことを決定します。特にこの「どういった効果を狙うのか?」という販促から購買に至るストーリー(カスタマージャーニー)の仮説が大切です。


(2)やっぱりPDCAが大切

もう1つの大切なことが結果検証です。自分たちの販促活動で思い描いていた仮説がどれくらい正しかったのか?つまり、どれくらい思惑通りの結果となったのか?また、想定通りでなかった場合には、「誰のどの行動が想定とずれていたのか?それはなぜか?どのようにすればよかったのか?」と修正すべき点を探ります。つまり、目的と評価基準について販促活動を行う前に設定しておくことです。そして、未来の自分たちの役に立つように実績記録を残しておくことが大切です。


3. まとめ

いかがでしたでしょうか?

今回はここまでとしますが、日頃から私は、顧客とのコミュニケーションを通じて、自店の提供価値を再認識することを事業者さんに強く勧めています。そして、自分たちのやりたいことと合致するようなものが見つかれば、思い切ってそれを実行すればよいのです。結果として、書店でなくなってしまうかもしれませんが、気にする必要はありません。私たちは、顧客の幸せのためにビジネスをしているのですから。

最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事に関連する最新記事

おすすめ書式テンプレート

書式テンプレートをもっと見る

著者プロフィール

author_item{name}

山本 哲也

中小企業診断士

PROFILE
ライター,コンサルタント
1966年生まれ,大阪府大阪市出身。
1998年ビルクリーニング技能士取得
2019年年中小企業診断士登録
総合サービス事業会社にてオープンイノベーションによる新規事業開発を担当。得意分野は新規事業開発、事業企画、営業チームビルディング、フランチャイズビジネス

お問い合わせ先
株式会社プロデューサー・ハウス
Web:http://producer-house.co.jp/
Mail:info@producer-house.co.jp

この著者の他の記事(全て見る

bizoceanジャーナルトップページ