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はじめての事業計画書作成! 事業計画書応用編!競合との争いを避ける事業計画について

著者: 中小企業診断士  牧野 孝治

はじめての事業計画書作成! 事業計画書応用編!競合との争いを避ける事業計画について

安定した利益を確保しビジネスを続けるためには、競合との争いを避けることが必要不可欠です。なぜなら、最終的には競合との争いは価格競争に辿り着き、利益がゼロになるまで続いてしまうからです。

価格競争に陥ったとしても、撤退するまで自社の資源が持てば良いかもしれませんが、中小企業では大手と比較すると経営資源も乏しいことが多く、争いは極力避けなければなりません。

今回は、どのようにすれば競合との争いを避ける事業計画を立てられるのか、重要なポイントを解説していきます。


1. 市場や顧客を観察・分析し1次情報からニーズを熟知すること

まずは市場や顧客を理解することが大切です。市場や顧客を調査する際には、インターネット検索などの2次データを活用することが多いのではないでしょうか。しかし、それらのデータはあくまで表面的に見える平均的な数値といった情報です。もちろん参考にはなるのですが、あなたの新規事業に合致するとは限りませんし、多くの競合となる企業も同様に2次データを活用しています。そのため2次データだけを活用していると、競合と同じ戦略に辿り着き、競争になる可能性が高くなります。

そのような競争を避けるために、実際の顧客を観察・分析することを重視しましょう。BtoB事業では実行が難しい場合もあるかもしれませんが、諦めずに自身の足を運んで顧客の声を直接聞いたり、現場へ行き情報収集をしたりすることが大切です。顧客がどういった特徴を持っているのか、また、顧客が購入に至る感情的理由を把握することができれば、他社には無い事業計画への源泉になるのです。


2. 既存の業界にとらわれず、他業界のアイデアと融合させること

競合との争いを避けるためには、既存の業界のルールやトレンドにとらわれ過ぎないことが重要です。

理由は大きく2つあり、1つ目は前項の市場や顧客分析の結果で分かった顧客のニーズに対して、既存業界では解決ができていない、または十分な満足を得られていない可能性があり、他業界からのアイデアを持ってくることで顧客課題の解決や、より高い顧客満足を獲得できる可能性があることです。

2つ目は既存事業の枠組みにとらわれ過ぎると競合である既存事業者と同じ視点となってしまい、新規事業者としての独自性を失ってしまう可能性があることです。

そうならないためにも、対象の業界ではなく、異なる業界の変化や常識を取り入れていきましょう。既存業界と他業界のアイデアや市況などを組み合わせていくと良いでしょう。


3. 競合と同じ戦略を避ける

競合との争いを避けるためには「競合とどれだけ違いのある事業を展開できるのか」が重要です。そのためには、競合がどういった事業展開をしているのかを把握し、同じ戦略を避けなければなりません。自社の事業や今後展開する事業が競合と全く同じだった場合、競合に同じ戦略はやめてくれと申し入れできるのであれば良いのですが、できるわけもないため、自社が競合を避けなければいけないのです。

詳細な説明は本記事では省略しますが、既存競合を分析するためには「製品」「価格」「流通」「宣伝」の4つの切り口で考える、4P分析を活用すると良いでしょう。

また、競合分析は既存市場の中ばかりを確認しがちですが、競合は同業界とは限りません。 

近年ではIT技術の発達により思わぬ代替品やサービスが突然登場します。例えば「新幹線」を例に挙げて考えると競合は同じ鉄道会社だけではなく、飛行機やバスといったところが競合として考えられますが、そもそも現地へ向かわず「Zoom」などのコミュニケーションツールを使用することも増えています。ここで既存事業をすでに実施されている事業者であれば「他業界からの参入なんて分かるわけがない」と思われる方も多いかもしれませんが、逆に業界の技術や強みを他の業界に持っていく視点に切り替えると競合をうまく避けられるのではないでしょうか。新規事業を開始する場合も参入する業界の枠組みだけにとらわれないようにしましょう。


4. 自社の事業を容易に真似できないようにする

競合をうまく避けて事業が良いスタートを切れたとします。しかし、事業がうまくいけばいくほど自社の事業内容を真似する企業が登場し、しだいに競争が激化してしまうでしょう。

そこで容易に真似ができないようにすることが重要です。例えば、事業を始めるにあたり、大掛かりな設備投資や、特許が必要になればハードルは高いでしょう。しかし、一般的に大規模な設備投資や特許による差別化は難易度が高いため、新規参入を少しでもさせないように工夫が必要です。例えば、「自社のブランドを確立させること」「仕入業者との関係性を築き、良い商材の仕入が簡単にはできなくすること」「独自の技術やノウハウを外部に漏らさないこと」「会員システムを構築し早期に顧客を囲い込むこと」などが挙げられます。その中でも“自社のブランドを確立すること”が最も有効な手段です。


5. 自社のブランドを確立する

そもそもブランドとは、簡単に説明すると「多くの競合企業がいる中でも、顧客が自社を見分けられるようにすること」です。例えば「ルイ・ヴィトン」といったスーパーブランドは、同じ材料や似たようなデザインだったとしても、他の商品と比較すると何十倍もの値段で購入されています。

つまりブランドを確立することで、顧客に対して「安心や品質、他社とは違う」といったイメージを植え付けさせることができるので競合と争わずに済むのです。

しかし、このブランドを創るためにとりあえずロゴマークをつくるといった単純な作業では築きあげることができません。また、宣伝だけでブランドを根付かせることができないのです。

ブランドを築く大切なポイントとしては、以下が挙げられます。

①代表者や企業の理念が重要

ブランドは筋が通っていないといけません。そのためには企業の理念、創業者の意思といった強い思いが必要なのです。事業を継続しているとその状況に応じて様々な決断を迫られます。しかしその時の「損得」だけで事業内容をころころと変更してしまうと、一貫性のあるブランドとして認知されなくなってしまいます。そうならないために強い思いは必要不可欠なのです。

②自社の商品やサービスを紹介してもらえるか

ブランドは口コミで築かれていきます。ですので、口コミで広げるためには、奇をてらって注目を集めるような事業では長続きしません。例えば飲食店を例に挙げると、宣伝などによって集客をすることは簡単です。しかし、もし提供する料理がまずいと、顧客はリピートしてくれないでしょう。そうなると常に宣伝を実施し、新規顧客を獲得し続けなければならないので、競合対策に必要な資源を振り向けることができなくなり、さらに苦しい状況になります。100点満点を目指す必要はないですが、最低限70~80点の顧客が「良い」と思える評価を得る必要があります。

つまり、本質的に良いサービスであることを忘れないようにすることが必要です。一つの判断基準として、自社のサービスや商品を利用した顧客が「他の人にも勧めたくなるか」です。BtoBであっても社内の他の人間に勧めたくなるかを考えましょう。そのためには上述した顧客をしっかりと分析した、サービスを提供することが大切なのです。

➂良い商品やサービス(ブランド)を伝える体制も必要

前述の良い商品やサービスはブランド化において必要不可欠と言いましたが、一方で良い商品やサービスが提供されているのに、市場へしっかりと伝えることができていない「宣伝や営業担当者がおらず社長1人が走り回っている」といった状況の企業も多く、非常にもったいない印象を持ちます。そのため良い商品・サービスをつくることと伝えることの2つの体制を持つことが大切です。


6. まとめ

競合との争いを避けるためには、いかにして競合と異なる事業を行うかに限ります。今回の記事を参考に、競合と争わない事業計画について検討いただければ幸いです。

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著者プロフィール

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牧野 孝治

中小企業診断士

PROFILE
ライター,コンサルタント
1992年生まれ,京都府京都市出身。
2018年中小企業診断士登録
商社営業を経て、現在は経営コンサルタントとして活動中。
得意分野は、顧客目線で展開するマーケティング施策、低コストでITを活用しコスト削減と売上拡大、従業員のモチベーション向上施策立案、M&Aなど。

お問い合わせ先
株式会社プロデューサー・ハウス
Web:http://producer-house.co.jp/
Mail:info@producer-house.co.jp

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