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新規事業(副業)はじめました。2

著者: 中小企業診断士  山本 哲也

新規事業(副業)はじめました。2

最近「副業」というワードを日常生活でもよく目にするようになりましたが、私たちを取り巻く環境の急激な変化には、どのようなものがあるのでしょうか。前回の記事では、政府・企業・私たち、それぞれの視点でみなさまと一緒に考えてみました。

今回は、「興味はあるけれど自分にできるだろうか?」「どうやって仕事を探せば良いのだろう?」「そもそも通用するのか?いくらくらい稼げるのかな?」「会社にバレたらどうしよう?」など、身の回りに情報や助言をくれる人がおらず、たくさんの疑問をお持ちのみなさんに向けてまとめてみました。

自分のスキルが、会社以外の誰かの役に立って、それで収入が得られるなんて、素敵な話だと思いませんか?

しかも、それを国や企業が後押ししているなんて。

私や友人の経験談も交えて、ざっくりまとめてみました。

誰でも「副業」ができる時代が、すでに来ています。最後までお読みいただき、みなさまも「副業」にチャレンジしてみてください。


1.副業の目的を明確にしましょう

リモートワークの一般化など、副業を取り巻く環境が大きく変化し、最近特に注目を浴びています。

しかし、副業意向や副業経験者の割合は以下のグラフのような状況で、コロナ禍でも実はそれほど大きな変化はありません。

副業意向がある方のうち、現在副業をしている方と過去にしたことがある方の合計は18.8%となっており、副業意向がある方の半数が実行に移しています。

では、彼らはどのような理由で副業をしているのでしょうか?

実際に副業をしている人たちの実施理由として、「副収入を得て、趣味などに使いたい」や「現在の仕事での将来的な収入に不安があるから」など、お金に関する理由が上位にランキングされています。

>続いて多い理由は、「本業では得ることができない新しい知見やスキル、経験を得たいから」や「副業で好きなことをやりたい」などがあり、自己実現の手段として考えている方が多いようです。

(1)副収入を得たい

副業をする理由の上位にランクインしているお金についての話ですが、いったいどれくらいの時間、いくらくらいの時間単価で稼いでいるのでしょうか?

パーソル総合研究所が行った調査によると……

彼らが1か月間に副業に費やしている日数は、月に9日間で29.5時間でした。おおよそ、平日の仕事終わりに2.5時間、休日に4.5時間といったところでしょうか?

平均すると、1日約3.5時間だそうです。

そして気になる副収入は、中央値で月収4.1万円、時給では1,883円でした。最も多いゾーンは5~10万円で全体の27.7%となり、そこそこ良いお小遣い稼ぎができていると言っても良いのではないでしょうか?

副業を行っていない人たちに聞いたところ、本業の年収が低いほど「副業を行いたい」と思っている人の割合が高い傾向にあります。

また、現在副業を行っていないが、コロナ禍で本業の年収が減った正社員の過半数(52%)は「副業を行いたい」と考えており、コロナ禍の影響を受けていない人たちと比べてもその意向は高くなっています。

しかし、副業をしている人たちが収入に困っているのかと言うと、そうとも言い切れません。なかには年収1,500万円以上の方も一定数いますし、高所得層の副業率は他の所得層よりも圧倒的に多く、25%以上の方が副業を持っていることもわかっています。

では、副業には、副収入以外にどんな魅力があるのでしょうか?

(2)スキルや知見を高めたい

スキルや知見、ネットワークを広げたいなどの理由で副業をしている方の実情は、どうなっているのでしょうか?

エン・ジャパン株式会社が行った調査によると……

「人間関係が広がった」が28%でトップ。続いて「知見・視野が広がった」が24%、「新しいスキルが身についた」が20%となっています。

では、どんな人たちが、どんな副業をしてスキルや知見を高めているのでしょうか?

上位にランクしている職種は、「WEBサイト運営」「配送・倉庫管理などの物流」「ライター」「eコマース」など、一見何の関係もなさそうな職種ですが、よく見ると、どれも今回のコロナ禍で需要が高まった職種と考えることもできそうです。

スキルや知見、ネットワークを広げたいなどの理由で副業をはじめた彼らですが、実際に取り組んでみて変化したことはあったのでしょうか?

大きくは、「転職や独立・起業などのキャリア意識が高まった」と答えた方が約25%、「専門性の高いスキルを身につけるなど学習意欲が高まった」と答えた方が30%以上となっており、4人に1人は副業という行動を起こしたことによって、自己変革が進んだと言えそうです。


2.どうやって探しているのか?

ところで副業をしている人たちは、いったいどこでその仕事と出会っているのでしょう?

仕事の見つけ方は、大きく分けて4つほどありそうです。

まずは、従来通りの求人サイトなどを見て応募する方法です。フードデリバリーの仕事もこの方式です。

また最近では、副業の需要が高まっていることを受けて、求人・求職サイトでも副業の募集を行うようになっています。特に地方の企業では、WEBマーケティングなどの職種をフルリモート勤務OKで募集している例が散見されます。

また、“ココナラ”や“クラウドワークス”など、クラウドソーシング専門求人サイトの認知が上昇するにつれて、利用者が増加しています。こうしたサイトは、事前にスキルや勤務地などの労働希望条件を登録しておくとことで、定期的に案件情報がメールで届くので、とても便利です。

それ以外にも、「知り合いなど身近な人から受注する」といった意見が多く、フリーランスや副業をはじめたばかりの人にとっては、古典的ですが重要な窓口のひとつになります。企業側では「短納期で、安価に、最小の打ち合わせで業務を外注したい」といったニーズは小さくありません。

例えば、イラストやデザインをしてほしい、文章やメルマガを書いてほしいというニーズがあることは、想像できるのではないでしょうか?

もし発注担当の知人がいれば、一度声をかけてみると良いでしょう。

TwitterやInstagramなどのSNSに作品を投稿することで、自ら企業に売り込んで受注する人もいるようです。今やSNSを活用することで、誰でもお金をかけずに自分のスキルのPRができるようにもなっています。

個人からだけではなく、企業からも受注するチャンスがあると言えます。自分のスキルや作品を売り込むことで、案件を獲得することも可能です。

ただ、フォロワーが少なければ拡散力が弱く、誰かの目にとまるまでに時間がかかることになりますので、一定数のフォロワーを持っていることが最低条件になりそうです。

3.デメリットや心配事は?

副業をすることで、お金を稼ぐだけでなく、スキルや知見まで得て成長を実感している人たちが多くいることはわかりましたが、一方でデメリットはないのでしょうか?

(1)副業をする側のデメリット

副業をすることによるデメリットとして、「過重労働による健康被害」が最も大きい問題となります。いろいろなものが得られる上に感謝もされるため、ついついやりすぎてしまうようです。

前半部分でお話ししましたが、本業が終わってからさらに2.5時間の残業を毎日行い、休日でも半日近くを仕事に費やすわけですから、体調を崩す方がいてもおかしくありません。

また、副収入が多くなれば、経理処理や確定申告などの事務仕事も増えてきます。普通の会社員ならする必要のない作業を行うことになりますので、気疲れもすると思います。

(2)企業側のデメリット

一方で、副業者を雇用している企業側のデメリットは、副業によって得た知見を本業に活かしてほしいところでありますが、転職や独立意欲が高まり、優秀な人材が退職してしまう可能性があることです。

しかし、副業を禁止することで優秀な人材を囲い込むことはできない世の中になりつつあります。視点を変えて、自社の従業員の成長を期待しつつ、他社の優秀な副業人材を活用できる時代になっているという認識が必要です。


4.まとめ

前回と今回の記事では、「副業・兼業を希望する労働者にとって、外部環境がどのように変化しているのか?」「副業人材の実態」「副業が一般化することによる個人、企業のメリットとデメリット」についてお話ししました。

このように、企業にも副業人材にもメリットとデメリットの両方がありますが、労働人口が減少局面にある日本では、今後もこの流れはさらに加速すると見通されています。

この記事と出会ったことをきっかけに、副業について考えてみてはどうでしょうか?

そして、勇気を出して一歩踏み出してみることをお勧めします。そこには新たな世界が待ち受けていることでしょう。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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著者プロフィール

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山本 哲也

中小企業診断士

PROFILE
ライター,コンサルタント
1966年生まれ,大阪府大阪市出身。
1998年ビルクリーニング技能士取得
2019年年中小企業診断士登録
総合サービス事業会社にてオープンイノベーションによる新規事業開発を担当。得意分野は新規事業開発、事業企画、営業チームビルディング、フランチャイズビジネス

お問い合わせ先
株式会社プロデューサー・ハウス
Web:http://producer-house.co.jp/
Mail:info@producer-house.co.jp

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