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IT系企業の事例:IoT技術を使えば、利用状況、消費状況も把握できる

他社はどうしてる? 成功事例で学ぶDX(デジタル・トランスフォーメーション)

著者:株式会社月刊総務 代表取締役社長  戦略総務研究所 所長  豊田 健一

IT系企業の事例:IoT技術を使えば、利用状況、消費状況も把握できる

コロナ前に戻りつつある?!

コロナ禍。緊急事態宣言が発令され、多くの企業が強制的に在宅勤務。あるいは、巣ごもりを経て、宣言が解除され、企業によっては、原則出社に戻したところもある。一方で、年内は在宅勤務を継続している企業もある。そして、第二波、第三波到来、或いは第四波到来と、感染拡大が一進一退となりつつある。

在宅勤務は継続しつつも、出社率をコントロールして、感染拡大を防止。しかし、感染者数の推移を見ても、どうも他人事、一喜一憂しなくなっているようだ。つまり、多くの企業でコロナ前の仕事の仕方に戻りつつあるようだ。

政府の押印廃止の動きや、デジタル庁の設立など、大勢はDXの実現に向けて動きつつあるのだが、昔懐かし、リアルの世界への郷愁からか、なし崩し的にBeforeコロナに戻ることは、管理部門としては防ぎたいところである。

確かに、リアルの方が生産性が高い、そのような仕事もある。無理に在宅勤務、リモートワーク、DXの実現はしなくても良いのだが、管理部門としては、コロナ禍を経て、戻してもいいモノ、このまま変え続けなくてはならないモノ、その見極めは大変重要となってくるのだ。


テレワーク実戦のための大義名分

今回の事例は、コロナ禍以前にテレワークを推進していたものだ。コロナに慣れ、昔のような緊急性を伴わない中でのテレワークをいかに推進していくか、参考になるだろう。この企業は、世の中にある膨大なデータを連携させる製品を送り出しており、その自社製品を活用しながらテレワークを推進している。

社員の健康維持を目的に導入した、「猛暑テレワーク」。気象庁の発表する気温データと連携し、最高気温の予想が35度を超えると、システムを通じて社員にテレワークの推奨通知を送るというもの。その通知を見て、社員がテレワークを申請するが、デバイス上で簡単に操作すれば完了となる。これ以外にも、冬場の豪雪テレワークもある。

その他、海外拠点で仕事をする際の国際テレワーク、徐々に市民権を得ているワーケーションではないが、帰省中に仕事をするふるさと帰省テレワーク、いろいろなシーンでのテレワークをイメージして社内規程として認めている。これなら、無理なく、自然に、そして誰でもテレワークを実践できる。

今では、猛暑や豪雪に限らず、いつでも誰でも自由にテレワークができるのだが、あえて、豪雪テレワーク、猛暑テレワークを実施しているのは、その実践のきっかけとなるからだ。コロナ禍においては、大義名分なくテレワークが実践できていたが、ワクチンができて、Afterコロナという世界に入ると、昔同様に、なにかの理由付けが必要となる恐れがある。

というのも、日本人は、周りの目を気にする民族であり、出社率が高まり、多くの社員がオフィスで仕事をしている中でテレワークを実践するのは、なかなか勇気がいることだ。そのような中でもテレワークが実践できるための大義名分、豪雪テレワーク、猛暑テレワーク。皆さんも準備しておいても良いかもしれない。


IoT技術は管理部門の救世主?!

もちろん、この会社ではテレワークができるインフラとして、会議資料は全てデータで共有され、チャットツールもテレビ会議システムも導入されており、どこにいても仕事ができる状態であるのは言うまでもない。また、テレワーク浸透のために、月に一度のテレワークデーとして、利用促進をしていた。特に、管理職から積極的に活用を促していた。テレワークのあるある、管理職からの抵抗、目の前にメンバーがいないと管理できないというものの払しょくのためである。

セキュリティ面でも抵抗されることが多いものだが、データをセキュアな場所に格納すればいいのであり、そうなれば、会社でも自宅でも安全性には変わりはない。IT系企業ならではの強みで、株主総会をリモートで行い、その決議をデータの改ざんができない、ブロックチェーン技術を使えないか検討中とのこと。

IT系企業であり、データ連携を得意とするこの企業では、オフィスにあるマッサージチェアに、人感センサーや、脚部の開閉センサーが付いており、「使用中」「もうすぐ終了」などの状況が把握でき、利用状況が可視化されている。さらに、冷蔵庫内の温度管理や、コーヒー・紅茶の在庫補充、室温センサーによる会議室の空き状況把握などに役立てているというからすごい。

いわゆる、モノとインターネットの接続、IoT技術は、今後の管理部門での活用が見込まれる技術である。先の事例のように、会議室のカラ予約問題も、人感センサーで感知すれば、実際に利用しているのかどうかが確実に把握できる。室内灯とも連動すれば、無人の居室内の消灯も自動でできる。

また、いま流行りの集中スペースなど、ABW(アクティビティ・ベースド・ワーキング)がますます進展してくると、さまざまなスタイルの働く場を、社員が移動しながら仕事をすることになり、これから使おうとする場所の予約状況、利用状況の把握が必要となる。

確かに、予約管理システムでの確認もできるのだが、先に記したような、予約しているのだが実際は利用していない状況は、人感センサーなどで、リアルの状況の把握が欠かせない。その意味でも、このIoT技術は活用しがいがあるのだ。

備品管理に応用できれば、コピー用紙の在庫など、重量が感知できれば、ある一定の重さに減ったら、自動で発注ができるようにしたり、OA機器などの貸し出しに際して、本来あるべき場所にないことが感知できれば、画面上で利用予約を入れた社員に確認のメールを自動で入れることも可能となる。

つまり、管理部門のメンバーが直接自分の目で確認していたものを、IoT技術により、システムで自動に行ってしまうのだ。管理部門は社内にいてくれないと困る問題も、このようなリアルの確認があるがゆえに、そのように言われる部分もあるのだ。

管理部門での活用が進展するだろうRPAが脚光を浴びるが、実は、このIoT技術も、もっと脚光を浴びて良いはず。特にテレワークがニューノーマルとなってきた今の時代、出社しなければ対応できない、リアルの確認やその対応を置き換えられるのがこのIoT技術なのである。

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著者プロフィール

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豊田 健一

株式会社月刊総務 代表取締役社長 戦略総務研究所 所長

早稲田大学政治経済学部卒業。株式会社リクルートで経理、営業、総務、株式会社魚力で総務課長を経験。日本で唯一の総務部門向け専門誌『月刊総務』前編集長。現在は、戦略総務研究所所長、(一社)ファシリティ・オフィスサービス・コンソーシアム(FOSC)の副代表理事として、講演・執筆活動、コンサルティングを行う。

毎日投稿 総務のつぶやき 

毎週投稿 ラジオ形式 総務よもやま話

毎月登場 月刊総務ウェビナー

著作

マンガでやさしくわかる総務の仕事』(日本能率協会マネジメントセンター) 

経営を強くする戦略総務』(日本能率協会マネジメントセンター) 

リモートワークありきの世界で経営の軸を作る 戦略総務 実践ハンドブック』(日本能率協会マネジメントセンター)

講演テーマ:総務分野

総務の最新動向について

総務の在り方、総務のプロとは

戦略総務の実現の仕方・考え方

総務のDXWithコロナのオフィス事情

健康経営の進め方、最新事例の紹介、など

講演テーマ:営業分野

総務経験者が語る総務の実態、総務の意志決定プロセスを知るセミナー

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