ワークフローシステムとは? 業務効率化を実現する機能と導入のメリット
ワークフローシステムは主に押印や承認等の業務プロセスを自動化・効率化してくれます。オンライン上で完了するため、テレワークや出張時にも効果的な活用が可能です。
本記事では、このワークフローシステムとは具体的に何かを知るため、主な機能や導入によるメリット、具体的な導入方法について詳しく紹介していきます。
ワークフローシステム導入をお迷いの方は、一度参考にしてみてください。
ワークフローシステムとは
ワークフローシステムとは、業務プロセスの自動化と効率化を実現するソフトウェアです。業務における申請から承認、決裁までの一連の業務フローを電子化し、ペーパーレスで正確に処理できます。
主な機能はテンプレートや画像・動画の挿入、バージョン管理、ワークフロー管理などです。
特に従来の文書作成ソフトでは実現が難しかった煩雑な申請・承認ワークフローを大幅に効率化できます。
ワークフローシステムの主な機能
ワークフローシステムには、業務プロセスの効率化に役立つさまざまな機能が搭載されています。
以下で、ワークフローシステムの代表的な機能について解説していきます。
- 入力フォーム設計機能
- ワークフロー制御機能
- 承認・決裁機能
- 通知機能
- 外部システム連携機能
入力フォーム設計機能
入力フォーム設計機能とは、申請書の入力フォームをプログラミング不要で作成できる機能です。既存の紙の帳票のデジタル化、フォームや必要な項目を柔軟かつ容易に設定できるという特徴があります。
例えばフォーム作成では、申請書の項目をドラッグアンドドロップで配置し、必須項目やチェック機能を追加するだけで完成します。このように専門知識なしで誰でも作成できるので非常に便利です。
ワークフロー制御機能
ワークフロー制御機能は、申請から承認、決裁までの一連の流れを自動化し、効率化する機能です。例えば、条件分岐によって柔軟な承認ルートを設定したり、並列処理で同時に複数の承認を得たりできます。
ワークフローの進捗状況を可視化できるので、業務の停滞を防ぎスムーズな処理ができるのです。
またアイコンや矢印、分岐ポイントなどのパーツを各自で設定できるため、わかりやすさや使いやすさを重視した設計にすることも可能です。
承認プロセスのスピードアップと正確性の向上に期待できるでしょう。
承認・決裁機能
承認・決裁機能は、申請内容に応じて適切な承認者に自動で振り分けることができる機能です。
例えば、決裁金額や申請内容に応じて、部長承認か社長承認かを自動で判断し、適切な承認ルートに振り分けられます。
代理承認機能や、一定期間を過ぎると自動承認される機能なども備わっています。承認者の不在時でも滞りなく処理が進められるので、意思決定をスピードアップさせるために活用してください。
通知機能
通知機能は申請状況や承認リクエストをメールやチャットで自動通知し、迅速な対応を促す機能です。申請が承認されたり、差し戻しを受けたりした際にリアルタイムで通知を受け取れます。
これにより承認待ちの申請があることを知らせ、決裁の遅れを防ぐことができるのがメリットです。このような通知機能によってワークフローの停滞を防いで、スピーディーな業務遂行につなげましょう。
外部システム連携機能
外部システム連携機能は人事システムや経費精算システムなどと連携させることで、データを一元管理できる機能です。
システム間でデータを自動連携することで、二重入力の手間を省き、ミスのない正確な情報を共有できます。また、API連携によって、他システムからワークフローの起票や承認を行えます。
データの一元管理とシームレスなシステム連携により、情報の活用範囲が広がることで、業務プロセス全体の効率化と自動化を進めましょう。
ワークフローシステム導入のメリット
ワークフローシステムを導入することで、さまざまなメリットが得られます。
ここでは、以下のワークフローシステム導入における主な4つのメリットについて解説していきます。
- 申請・承認業務のスピードが向上する
- ペーパーレス化が促進する
- 内部統制強化につながる
- テレワークにも柔軟に対応できる
申請・承認業務のスピードが向上する
ワークフローシステムがあると紙の書類や押印が不要になるため、申請から承認までのスピードが大幅に向上します。
従来数日から数週間かかっていた決裁が、ワークフローシステムではわずか数時間から数日で完了可能です。
意思決定を速やかに行えることによって、ビジネスチャンスを逃すことなく、企業競争力を高められます。
同時に承認プロセスにおける業務の停滞や、生産性の低下を招いている工程を発見することで課題解決につなげましょう。
ペーパーレス化が促進する
ワークフローシステムによる書類の電子化で、印刷コストや保管スペースを大幅に削減できます。
紙の書類の印刷、郵送をする手間とコストを省くことができるため、企業全体の業務効率化につながるでしょう。紙の書類の管理や保管にかかる工数を削減でき、生産性向上にも寄与します。
また、ペーパーレス化は環境負荷の低減につながるため、SDGsに取り組む企業にとってもメリットが大きいです。ワークフローのデジタル化により、環境に優しく効率的な働き方を実現しましょう。
内部統制強化につながる
企業では、決済内容や決済金額に応じて、決済者や回付先が細かくルールで定められています。ただ、決済ルールに関する知識不足やケアレスミスからトラブルが発生してしまう場合があります。
ワークフローシステムは、そのような承認プロセスを可視化し、不正や抜け漏れを防止することで内部統制強化に寄与するのです。
例えば、適切な承認フローを設定し、実行することで、組織内のコンプライアンス意識を高め、不正を未然に防ぐことができます。
また、監査証跡を残すことで、後からいつ誰が承認したのかを追跡でき、説明責任を果たすことが可能になります。
このようにワークフローの電子化は、ガバナンス強化と不正防止の基盤として機能するでしょう。
テレワークにも柔軟に対応できる
クラウド型ワークフローシステムであれば、外出先からスマホやタブレットで申請・承認ができるためテレワークが可能です。
場所を選ばず出張先や在宅中でも必要な決裁を行えるため、通常業務と変わらずに業務を滞りなく遂行できます。
場所や時間に制約されない多様な働き方が実現できることから、優秀な人材の確保ができる点もメリットです。
これによって従業員のモチベーション向上が見込めるため、離職率の低下や生産性向上にも期待できます。
ワークフローシステムの選び方
ワークフローシステムを選ぶ際は、自社の課題やニーズに合うシステムを選定することが重要です。
ここでは、ワークフローシステム選定時における以下のポイントについて解説します。
- 自社の企業規模や業務内容に合ったシステムを選ぶ
- 操作性と使いやすさを重視する
- カスタマイズ性と拡張性を考慮する
- ベンダーのサポート体制をチェックする
自社の企業規模や業務内容に合ったシステムを選ぶ
ワークフローシステム選定では、自社の従業員数や取り扱う申請の数、内容に適したシステムを選ぶことが重要です。
小規模な企業では、シンプルで使いやすいクラウド型のシステムが適しています。一方、大企業や業務フローが複雑な企業では、カスタマイズ性の高いオンプレミス型のシステムがおすすめです。
このように自社の業務規模や特性に合ったシステムを見極めると同時に、将来的な拡張性を考慮し、成長に合わせて柔軟に対応できるシステムを選びましょう。
操作性と使いやすさを重視する
ワークフローシステムは、ユーザーインターフェースが分かりやすく、使いやすいものを選びましょう。
シンプルで直感的な操作性のものにすることで、現場の従業員が抵抗なく使えるため、定着率向上に期待できます。
また、モバイルアプリの利用や、マニュアルの充実度など、エンドユーザーの立場に立って誰もが使いこなせるシステムを選ぶことが重要です。
カスタマイズ性と拡張性を考慮する
ワークフローシステムは、自社の業務フローに合わせてカスタマイズできる柔軟性と拡張性を備えています。
この際に現状の業務フローに合わせられるだけでなく、将来の業務変化にも対応できるシステムを選ぶことで円滑な運用が可能です。
また、他システムとのデータ連携や、業務の自動化などの柔軟なカスタマイズができるシステムにすることで、自社にとって最適な業務プロセスを行えます。
ベンダーのサポート体制をチェックする
ワークフローシステムの選定では、導入後のサポートや問い合わせ対応が充実しているベンダーを選ぶことが重要です。
まずは、トラブル発生時に迅速に対応してもらえるサポート体制があるかどうかを確認しましょう。
運用支援やシステム改善のための提案など、導入後のサポートが手厚いかなどについても事前にチェックしておくことが大切です。
ワークフローシステムを安心して利用し続けるためにも、信頼できるサポート体制のベンダーを選んでシステムの効果的な活用と継続的な改善につなげましょう。
ワークフローシステム導入の進め方
ワークフローシステムを円滑に導入するには、段階的なステップを踏むことがポイントになります。
ここでは、ワークフローシステム導入の進め方を以下の4つのステップで解説します。
- 現状の業務フローと課題を洗い出す
- ワークフローシステムに必要な要件を整理する
- トライアルで実際に使ってみる
- 導入後の運用体制を整備する
1.現状の業務フローと課題を洗い出す
まずは現状の業務での課題を洗い出し、非効率な工程や箇所について具体的に把握することが必要です。課題を把握するために、現場の担当者にヒアリングを行い、実態を見て知ることから始めましょう。
そして、課題に対してワークフローシステムで解決できる施策を検討します。業務の非効率な部分や属人化している部分を浮き彫りにし、ワークフロー化のターゲットを絞り込むことが大切です。
このように現状分析と課題の可視化によって、ワークフローシステムの導入目的を明確化しましょう。
2.ワークフローシステムに必要な要件を整理する
先述したように、効果的にワークフローシステムを導入するためには自社の課題を把握しておいてください。その次に、業務プロセスを詳細にわけて分析し、必要な機能要件を明確にします。
例えば、以下のような設定について具体的に検討します。
- 経費精算、休暇申請、購買申請などどの種類の申請をシステム化したいのか
- 各申請における承認フローはどのような順序で進めるのか
- 部門や役職による権限設定
またシステムに求める非機能要件についても明確にしておきます。これは、同時アクセスユーザー数、レスポンス時間、セキュリティレベル、他システムとの連携要件のことです。
これらの要件は、予算規模や導入スケジュール、システム保守体制なども含めて要件定義書としてまとめ、関係者間で共有しておきましょう。
3.トライアルで実際に使ってみる
システム選定においては、実際のユーザーの視点に立って使い勝手を確認しておくことが非常に重要です。
できる限りトライアル期間を設けて、実務に即した形で申請書の作成から承認処理までの一連の流れをテストしましょう。この作業で、システムの操作性や機能の過不足を具体的に評価できます。
またモバイル端末からのアクセスやメール連携機能などについても、実際の業務シーンを想定しながら検証することが大切です。
現場の社員から広く意見を集め、システムの使いやすさを多角的に評価することで、より適切なシステム選定につなげましょう。
4.導入後の運用体制を整備する
ワークフローシステムを効果的に運用していくためには、計画に沿った運用体制の構築が不可欠です。まずはシステム管理者を、主に以下のような役割にそれぞれ選任しましょう。
- ユーザー管理
- 権限設定
- マスターデータのメンテナンス
- 担当部署
- 連絡窓口(ヘルプデスク)
ユーザーからの問い合わせに速やかに対応するヘルプデスクは非常に重要です。
その後、業務プロセスの変更に伴うワークフローの見直しや、申請書フォーマットの修正、システムのバージョンアップ対応などが行えます。
定期的なメンテナンス作業を、計画的に実施できる体制にしておきましょう。
ワークフローシステムで業務効率化を実現しよう
ワークフローシステムの導入は、申請・承認業務の効率化と生産性向上に大きく貢献します。その効果を発揮するためには、適切な要件定義に基づいてシステムを選定します。
そして十分なトライアル期間を設けて使い勝手を検証し、承認や申請における運用体制をしっかりと整えることから始めましょう。
デジタル化されたワークフローにより、紙の書類や押印による従来の承認プロセスからの脱却が可能です。その上で意思決定のスピードアップと透明性の向上が図れます。
ワークフローシステムの効果的な運用で、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方を実現し、テレワークの推進にも役立てましょう。