入退室管理システムとは? 種類や導入メリット、選び方を解説
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入退室管理システムとは、入退室の管理・記録を自動化してくれるシステムです。管理業務の負担を軽減しながらも、従来の入退室管理よりも高いレベルのセキュリティ対策が実現できます。
本記事では、入退室管理システムの概要から種類とその特徴、導入のメリットや相場価格などを詳しく解説します。
入退室管理システムとは
入退室管理システムは、入退室した人物や時間などを管理・記録するシステムです。
ICカードや生体認証、スマートフォンアプリなどを利用して、入退室の認証と記録を自動化することで、セキュリティの強化と管理業務の効率化を実現します。
クラウド型の入退室管理システムでは、インターネット経由で入退室データの確認や、アクセス権限の設定などの管理業務を行うことができます。
入退室管理システムの導入メリット
入退室管理システムの導入には、どのようなメリットがあるのでしょうか。入退室管理システムを導入する主なメリットは以下の通りです。
- 外部からの不正侵入を防止する
- 内部不正の抑止力になる
- 入退室管理業務の効率化につながる
- 勤怠管理・労務管理の適正化につながる
- 空間ビジネスにおける利便性が向上する
ここでは、上記のメリットについて詳しく見ていきましょう。
外部からの不正侵入を防止する
入退室管理システムは、個人ごとのアクセス権限設定により、なりすましや不正入室を防ぐことが可能です。ICカードや生体認証などを用いることで、権限のない人物の侵入を確実に防止できます。
また、入退室記録を詳細に管理することで、不審な行動の早期発見や、事件発生時の迅速な対応が可能となります。
監視カメラシステムと連携すれば、入退室時の映像を記録できるため、より高度なセキュリティ体制を構築できるでしょう。
内部不正の抑止力になる
入退室管理システムは、入退室履歴の記録により、内部不正への抑止力となるのもメリットです。従業員の入退室記録を管理することで、機密情報の持ち出しや無断での私的利用などを防止できます。
万が一内部不正が発生した場合でも、入退室記録から関係者の特定と事実関係の確認がスムーズになるでしょう。
こうした抑止効果により、企業にとって大きなリスクである情報漏えいや知的財産の流出といった内部からの不正も未然に防ぐことができるのです。
入退室管理業務の効率化につながる
入退室管理システムは、鍵の管理・発行・権限変更などの業務を効率化します。
特にクラウド型のシステムでは、Web上で一元管理が可能なため、鍵の保管や受け渡し、アクセス権限の変更などの手間を大幅に削減できるでしょう。
また、入退室記録の自動集計により、管理レポートの作成やデータ分析など、付随する業務を効率化できるのも魅力です。人事異動やレイアウト変更時の鍵の回収・再配布にかかる時間と手間を減らせます。
勤怠管理・労務管理の適正化につながる
入退室管理システムの入退室記録を活用すれば、より正確な勤怠管理・労務管理を実現できるでしょう。
入退室時刻を自動で記録するため、出退勤時刻の打刻漏れやサービス残業などの問題が生じる心配もありません。
客観的なデータに基づく勤怠管理により、労働時間の適正化とコンプライアンス遵守に寄与します。勤怠管理システムとの連携で、煩雑な打刻作業が不要になるだけでなく、恣意的な勤怠操作を防止できます。
空間ビジネスにおける利便性が向上する
入退室管理システムは、オンラインでの鍵の受け渡しや権限設定により、空間ビジネスの利便性を向上させます。
シェアオフィスやレンタルスペースなどでは、利用者ごとに入室スケジュールや契約期間が異なるため、それらに合わせた鍵の発行や権限変更が欠かせません。
入退室管理システムでは、これらの煩雑な手続きをオンライン上で完結できるため、スタッフの負担軽減と利用者の満足度向上が図れるのもメリットです。
さらに、スマートロックと連携すれば、利用者はスマートフォンで解錠できるようになり、予約から利用、決済までを一気通貫で完結できる利便性の高いサービスの提供が可能となります。
入退室管理システムの種類
入退室管理システムは、搭載されている認証方式ごとで特徴が異なります。主要な入退室管理システムの認証方式は、以下の通りです。
- ICカード認証方式
- 生体認証方式(指紋・静脈・顔認証など)
- スマートフォンアプリ認証
- 暗証番号方式
- 交通系ICカード方式
ここでは、上記の認証方式の特徴などについて詳しく見ていきましょう。
ICカード認証方式
ICカード認証方式は、専用のICカードをカードリーダーにかざして入退室する方式です。比較的安価で導入しやすく、多くの人が利用できる汎用性の高い方式と言えます。
ICカードには個人を特定する情報が登録されており、リーダーに読み取らせることで本人認証を行う仕組みです。
非接触型のICカードが主流で、カードをリーダーにかざすだけで認証が完了します。社員証との兼用で、カード発行コストを抑えられるのも魅力的でしょう。
ただし、カードの紛失や盗難には十分な注意が必要です。
生体認証方式(指紋・静脈・顔認証など)
生体認証方式は、指紋や顔などの生体情報を用いて認証する、高いセキュリティ性能を持つ方式です。本人の生体情報を事前に登録しておくことで、なりすましや不正利用を防ぐことができます。
生体認証方式では、主に指紋認証と顔認証が活用されています。生体情報は他人に譲渡や複製ができないため、ICカードのような紛失リスクがないことが大きな利点です。
一方で、導入コストが比較的高額になることや、認証に若干の時間を要することなどが課題として挙げられます。
スマートフォンアプリ認証
スマートフォンアプリ認証は、専用アプリをスマートフォンにインストールし、アプリで認証および解錠を行う利便性の高い方式です。
専用アプリに権限情報を登録することでスマートフォンを鍵の代わりとして活用できます。社員のスマートフォンを業務利用する環境や、外出先からの入室が多い職種などに特に有効です。
多くの人がスマートフォンを常に携帯しているため、鍵やICカードを持ち歩く必要がなく、アプリを起動してQRコードやNFCタグをかざすだけで簡単に解錠できる点が最大の魅力と言えるでしょう。
ただし、スマートフォンの紛失・盗難や、バッテリー切れによる利用不能といったリスクについても考慮し、トラブル時の代替手段を用意しておく必要があります。
暗証番号方式
暗証番号方式は、テンキーなどの入力デバイスに暗証番号を入力することで解錠する、シンプルな認証方式です。入力デバイスの設置だけで導入できるため、コストを最も抑えられる方式と言えます。
しかし、暗証番号の定期的な変更など、厳重な運用管理が不可欠です。
また、暗証番号方式単独での利用は、不正解錠のリスクが高いため、他の認証方式との組み合わせでの運用が推奨されます。
暗証番号の入力はシンプルで利用者にとって理解しやすい反面、のぞき見による番号の流出や、設定変更の手間などの課題もあるため、導入時にはその点に注意しましょう。
交通系ICカード方式
交通系ICカード方式は、Suicaなどの交通系ICカードを使って入退室する方式です。
多くの人が日常的に使用しているカードを入退室管理に活用でき、専用のICカードを発行する必要がないのが魅力的でしょう。そのため、社員の入れ替わりが多い職場などでも導入しやすいです。
また、利用者にとっても、常に持ち歩いているカードをそのまま使えるため、利便性が高いと言えます。
ただし、交通系ICカードも、カードの紛失や盗難時のリスクについては、十分な注意が必要です。
入退室管理システムの選び方
入退室管理システムは、導入目的を明確にしたうえで、様々な観点から選ぶ必要があります。入退室管理システムを選ぶ際に重視すべきポイントは以下の通りです。
- セキュリティ強化に役立つ機能の有無
- レンタルスペース事業に役立つ機能の有無
- 解錠手段の種類と利便性
- 導入のしやすさ
ここでは、上記のポイントについて解説していきます。
セキュリティ強化に役立つ機能の有無
入退室管理システム選びでは、アクセス権限の設定や入退室履歴管理などセキュリティ強化の機能の有無が重要です。
施設の用途や扱う情報資産に合わせて、適切なセキュリティレベルを満たすシステムを選定しましょう。
例えば、技術開発のような企業秘密に関わる部署の場合、情報漏えい防止の観点から、アクセス権限が設定できるものや認証が厳しいものが望ましいです。
また、防犯カメラシステムとの連携など、既存セキュリティ環境との親和性も考慮すべきポイントと言えます。
防犯カメラシステムと入退室履歴管理を連携させれば、万が一トラブルが発生した際、原因となった人物を特定しやすくなります。
レンタルスペース事業に役立つ機能の有無
レンタルスペース事業での入退室管理システム選びでは、予約管理や決済との連携など運営に役立つ機能の有無がポイントとなります。
利用スケジュールに応じたアクセス権限の自動付与や、料金プランに合わせた機能の制限など、運用面での自動化・効率化を支援する機能を備えたシステムがおすすめです。
スマートロックやオンライン決済など関連ソリューションとのAPI連携にも対応していると、より柔軟なサービス設計が可能になります。レンタルスペース事業では、利用者の使いやすさを重視しましょう。
解錠手段の種類と利便性
入退室管理システムの選定では、ICカード、生体認証、スマホアプリなど解錠手段の種類と利便性を比較検討する必要があります。
想定する利用者層の特性を考慮し、使いやすさと管理のしやすさのバランスを見極めることが大切です。
例えば、会議室といった従業員の多くが利用するスペースの場合、従業員が使いやすい認証方法は何か、意見を募るのが有効でしょう。
また、複数の解錠手段を併用できるシステムであれば、利用シーンに合わせて使い分けることも可能になります。
導入のしやすさ
入退室管理システムの導入難易度は、既存の鍵に後付けできるかどうか、工事の必要性などによって異なります。
そのため、既存のシステムや導入目的を踏まえて、コストが抑えられやすいものを選びましょう。
配線工事などが不要な後付けタイプは、導入コストと時間を大幅に抑えられるメリットがあります。
一方、オートロックやオープン型オフィスなど特殊な扉への対応では、専門的な工事が必要なケースもあるため、事前の現地調査が欠かせません。
入退室管理システムの導入方法
入退室管理システムは、主に以下の3つのケースごとに導入方法が異なります。
- 既存の物理鍵をそのまま利用する場合
- 自動ドア・電気錠に対応させる場合
- 扉の鍵も変更する場合
ここでは、各ケースの導入方法を見ていきましょう。
既存の物理鍵をそのまま利用する場合
既存の物理鍵を利用する入退室管理システムは、後付けで設置するだけで導入可能です。
スマートロックや電子錠を既存の鍵の上から被せるように取り付けるため、扉の交換や特殊な工事は必要ありません。
そのため、導入時の初期コストを最小限に抑えられるのがメリットです。賃貸物件など原状回復が必要な施設にも適していると言えるでしょう。
自動ドア・電気錠に対応させる場合
自動ドアや電気錠に入退室管理システムを対応させる場合は、制御盤と連動させる工事が必要です。
自動ドアの開閉信号と連動して電子錠を制御するため、信号線の敷設や制御盤への接続作業が発生します。
施工には自動ドアや電気錠の専門知識が求められるため、施工業者の選定にも注意が必要です。
扉の鍵も変更する場合
入退室管理システムの導入に合わせて扉の鍵も変更する場合は、鍵のシリンダーごと交換する工事で高セキュリティな環境を実現できます。
ただし、既存の鍵穴を利用するため、扉への加工は最小限で済みますが、シリンダー部分の交換が必要になる点には注意しましょう。
機械的な鍵に比べて電子錠のほうが高セキュリティであるため、長期的な視点でのコストメリットが期待できます。
入退室管理システムの種類ごとの価格相場
ここまで、入退室管理システムのメリットから導入方法までを解説してきました。しかし、入退室管理システムによっては、導入時の工事費が高くなる場合があるので注意が必要です。
特にどの認証方式にするかで、導入価格の相場は変わってきます。そこで、以下では入退室管理システムの価格相場について、認証方式ごとに紹介します。
ICカード認証方式の価格相場
ICカード認証方式の入退室管理システムは、比較的安価で導入できます。
機器本体の価格は、リーダー込みで1台あたり10万円程度から、扉数や機能に応じて数十万円の範囲で設定されているケースが多いです。
ソフトウェア費用や、カード発行費用、保守費用などが別途必要になりますが、一般的に規模に応じて月額数千円~数万円程度で収まります。
生体認証方式の価格相場
生体認証方式の入退室管理システムは、高セキュリティを実現する反面、機器本体の価格が高額になる傾向があるのに注意しましょう。
指紋認証や静脈認証のリーダーは、1台あたり20万円~50万円程度が相場で、高性能な顔認証リーダーとなると、100万円を超えるモデルも存在します。
また、機器の価格に加えて、認証情報の登録や管理にかかる運用コストも考慮する必要があり、トータルの導入コストは、ICカード方式の数倍に及ぶケースもあります。
スマートフォンアプリ方式の価格相場
スマートフォンアプリを使った入退室管理システムは、アプリ利用料を月額課金で提供しているサービスが多いです。
基本的な入退室管理アプリの月額料金は、1アカウントあたり数百円程度が一般的ですが、ユーザー数に応じて月額数万円の利用プランもあります。
また、オプション機能の利用や、法人向けのカスタマイズ対応などが必要な場合は、別途追加料金が発生するケースが多いです。
暗証番号方式の価格相場
暗証番号方式の入退室管理システムは、機器本体の価格が最も安価な部類に入ります。テンキー式の暗証番号リーダーであれば、1台あたり数万円程度で導入できるモデルも多いです。
ただし、暗証番号方式単体では、入退室履歴の管理や、個人認証などの機能に制限があるため、他の認証方式との併用が前提となるケースが多いことに気を付けましょう。
交通系ICカード方式の価格相場
交通系ICカードを利用した入退室管理システムは、専用のカードリーダーが必要になりますが、機器本体の価格は比較的リーズナブルな水準と言えます。
1台あたりの価格は、機能や性能に応じて5万円~20万円程度が中心で、導入コストを抑えられるのがメリットです。
ただし、交通系ICカードを社員証として利用するためには、別途カード発行費用が必要になるため、トータルコストでの比較検討が欠かせません。
入退室管理システムを活用してオフィスのセキュリティと利便性を高めよう
入退室管理システムを使えば、入退室した人物や時間などを自動で管理・記録することが可能になります。
従来の入退室管理よりも正確かつ、セキュリティの安全性も高いのが魅力です。入退室管理システムを導入することで、オフィスのセキュリティ強化と業務効率化を同時に実現することができます。
入退室管理システムは、ICカードや生体認証など高度な個人認証により不正侵入や内部犯行を防止してくれるほか、クラウドベースで入退室管理業務を自動化すれば、働き方改革にも寄与してくれるでしょう。
オフィスの規模や用途、セキュリティ要件などを踏まえ、自社のニーズに合ったシステムを選定・導入し、セキュリティレベルと利便性の高いオフィス環境を実現してみませんか。