誠意が伝わる始末書の書き方!提出方法は?注意点や作成方法を解説
組織に所属していると、トラブルや不祥事の内容を報告し、再発防止に向け会社内で情報を共有する場合があります。その際に、謝罪を含め提出するのが「始末書」です。勤務期間で何も起こらなければ必要ありません。しかしもし始末書の提出を要求されたときは速やかに提出しなければなりません。
もしもの場合に備えて、始末書の概要や必要な要素を含め、誠意が伝わる書き方のポイントを確認しておきましょう。
始末書とは
始末書とは、トラブルや不祥事が起こった際に、反省の意を示して再発しないように誓約するための書類です。始末書を提出する処分を「譴責(けんせき)処分」といいます。法的拘束力がある文書で、裁判になったときには証拠として有効です。そのため、作成のときは正確な情報や事実の確認が必要です。
まずは、始末書の位置づけを確認します。
目的 |
会社に対し、非違行為に対して謝罪の意を表明するもの |
位置づけ |
懲戒処分を課す場合、提出を求められることがある(譴責処分) |
提出が求められるとき |
|
提出のタイミング |
提出期限は自社の就業規則を確認。記載がない場合は、トラブルや不祥事があった当日または翌日を目途に提出。 |
類似する他の文書との目的の違い |
始末書:反省の意を示し、再発しないように社員は努める 顛末書:トラブルの発生原因を追求し、再発予防に努める 反省文:トラブルの再発防止のため、振り返りや反省を促す個人的な報告書 |
提出方法 |
B5の便箋またはレポート用紙に黒インクで作成。パソコンで作成する場合は、A4用紙で作成後、自署捺印。作成後、三つ折りにして封筒で提出。封筒は郵便番号の記入のない白い無地のモノを使用。 |
始末書の書き方
始末書はビジネス文書です。そのため、ある程度書く内容と構成は決まっています。ここでは作成時に必要な文書の構成と、注意点を解説します。作成のときは、「ポイント1」を確認しながら情報を整理し、提出前に「ポイント2」を参考に文書に過不足がないか照らし合わせてみましょう。
ポイント1:始末書の書き方に必要な6つの構成
以下始末書を構成する6つの要素です。
項目 |
記載内容 |
宛先 |
一般的には社長など会社の代表者を記入。正式名称「株式会社〇〇、代表取締役〇〇様」と記載。 |
日付・当事者の部署・氏名 |
提出日、または作成日を記入。どちらの日付かは上司に要相談。 |
表題 |
「始末書」と記載 |
不祥事の内容・原因・今後の対策 |
問題行動の内容、そこに至る経緯や原因、再発予防に向け取り組む対策について記入。具体的な対策方法が見つからない場合は、今後は細心の注意を払う旨を記入。 |
謝罪の言葉 |
「多大なご迷惑をおかけし心からお詫び申し上げます」などの言葉を使い、誠意をもって謝罪する。 |
弁償の内容 ※弁償の必要性がある場合 |
弁償が生じた場合は、支払い方法について会社の承認を得たうえで弁償方法について記載。記載例「今回、会社に与えた損害額のうち、下記を毎月の給与より天引きでお支払いいたします。」 |
ポイント2:始末書を書く際の注意点
始末書は事実を書き連ねる報告書とは異なり、反省の意を示す必要があります。誠意を伝えるためにも、以下の点に注意しましょう。
- 事実を正確に記載
- トラブル発生の日時・年月日を正確に記載
- 分かりやすく簡潔に記載
- 提出のタイミングを考える
特に、事実を正確に伝えるという点は大切です。保身のため、事実を誇張し、言い訳がましく自分を正当化した文章は悪い印象を与えます。他責にすることなく、自分の行動を反省する姿勢をみせましょう。
またビジネス文書なので時候の挨拶は不要です。頭語と結語「拝啓」+「敬具」 も記載しません。誠意は示しますが、始末書は反省文ではなく生じたトラブルの事実関係を残しておく書類でもあります。そのため、誰が読んでも分かりやすい簡潔な文章で書きましょう。
なお、手書きかパソコンかは会社により異なります。上司にどの形式で提出すべきか相談しましょう。
【事例別】始末書の例文
上記であげたポイントを意識し、実際に始末書を作成してみましょう。
例文1:遅刻を繰り返しているときの始末書
遅刻で始末書を書く場合、遅刻した事実とその理由、今後遅刻はしない誓約を重点的に記載します。
私は平成〇年〇月から、〇ヵ月にわたり〇回の遅刻を繰り返しました。
これは私の不注意が原因であり、弁解の余地はございません。社会人としてあるまじき行為だと深く反省しています。またこの行為により、会社に対して多大なるご迷惑をおかけしたことを深く反省しています。
今後は自己管理に努め、二度とこのようなことのないよう、仕事への姿勢を正し、信頼回復に向け職務に邁進することをお誓い申し上げます。
私は令和〇年〇月〇年〇時頃、機械操作を誤り〇〇製品の部品を破損させてしまいました。
原因は私自身の集中力の欠如によるもので、会社に損失を与えてしまう事態となりました。業務中のミスを心から反省し、多大なご迷惑をおかけしたことを深くお詫び申し上げます。
今後は、今一度製品の部品取り扱い方法を見直し、二度と同じ過ちを繰り返さないことを誓い申し上げます。このような不始末、簡単にお許しを乞うべき筋合いではございませんが、今回だけは何卒寛大な措置を伏してお願い申し上げます。
ポイントを踏まえれば誠意が伝わる始末書が書ける
誠意が伝わる始末書とは、読む側にとって事実関係が分かりやすく、反省の意思が感じ取れる文書です。譴責処分に値する文書のため、必要項目に沿って正確に記入していきましょう。また法的拘束力がある文書でもあります。虚偽や誇張表現がなく、事実関係が把握できる内容が必須です。
始末書の提出後、対策案に則り行動を正しているかは後の人事評価にもつながります。仕事でミスしてしまった場合は速やかに始末書を作成し、再度同じ失敗を繰り返さないように今後の勤務姿勢を改めていきましょう。