このページはJavaScriptを使用しています。JavaScriptを有効にして、対応ブラウザでご覧下さい。

ITSSとは? ITSSスキルマップの解説とおすすめの資格を5選紹介!

ITSSとは? ITSSスキルマップの解説とおすすめの資格を5選紹介!

企業活動にITを導入するうえで、いまや欠かせないものとなったITSS。

2000年代に入ってから急務となってきたIT技術者の獲得・育成において、その水準を的確に把握するために、2002年に経済産業省により策定・公表されました。

本記事ではその目的や、ITSSの各レベルに相当する資格の具体的な内容などにも触れているので、ぜひ参考にしてみてください。


この記事の監修者
マネーライフワークス  代表/社会保険労務士・1級FP技能士・CFP 

ITSSとは?

企業がIT関連サービスを提供するうえで、欠かせないIT技術者。そのスキルを測る指標が、ITSS(IT Skill Standard:ITスキル標準)です。

ITSSについて詳しく解説します。

ITSSとはITスキルを測る指標のこと

ITSS(IT Skill Standard:ITスキル標準)とは、IT関連サービスの提供に必要な実務能力を明確化・体系化した指標です。2002年12月に、経済産業省により制度として策定・公表されました。

産学におけるITサービスと、プロフェッショナルの教育・訓練などに有用なものさし(共通枠組)の提供をめざすものとされています。

ITSSは、ITプロフェッショナルの教育・訓練をする際の基準として用いられるだけでなく、人事考課などにも用いられることが増えています。

出典:経済産業省「デジタル人材の育成」、IPA「ITスキル標準とは

ITSSの目的

2000年代に入ってから、急速に成長したIT業界における高度なITスキルを持った技術者の需要が高まってきており、IT技術を活用できる企業とそうでない企業との間での格差が広がりました。

こうした背景のなかでも、IT人材の獲得・育成を行っていくために、会社として必要なITスキルの水準や技術について、正確に判断することは困難となっていました。

そこで、客観的な視点から「概要」「キャリア」「スキル」という3部構成で、ITスキルのレベルを判断するための指標として、ITSSを策定することとなったのです。

具体的には、ITSSにより個人のITスキルを数値化することで、ITスキルの習熟度・到達度が一目で判断できるようになります。

これにより、社会におけるIT人材の育成計画などを、より厳密に管理することができるようになりました。

UISS、ETSS、CCSFとの違い

ITSSと同じくITスキル標準に関わる用語は下記の3つがあります。

  • UISS(情報システムユーザースキル標準)
  • ETSS(組込みスキル標準)
  • CCSF(共通キャリア・スキルフレームワーク)

UISSとは、ユーザー企業や組織のIT部門の情報システム(IS)機能を精査し、それに携わるIT部門の人材に必要となるスキルを整理したリファレンスモデルです。

ITSSとUISSの違いは、スキル標準の対象が誰を指すかという点です。ITSSのスキル標準の対象はサービスを提供するIT技術者なのに対し、UISSの対象はITサービスを利用するユーザー(企業)を指します。

一方ETSSは、IT分野の中でも組込みソフトウェア開発分野におけるスキル標準を示した指標です。

組込みソフトウェアとは、機器や電化製品などの機械を制御するプログラムのことです。ETSSとITSSは、指標の内容が異なります。

日本のIT業界では、この組込みソフトウェアのエンジニアが不足しており、ETSSはその人材育成や、活用を促進する目的で立てられました。

そして、CCSFはITSS、ETSS、UISSの3つのスキル標準を連携し、構造化したモデルです。それぞれの標準が持つ内容を総合的に把握し、必要な情報やスキルを効果的に参照できます。

これまでは、人材育成に関する決定事項は、各スキルの標準を別々に管理する必要がありました。

しかし、CCSFの確立により、ITSSやETSS、UISSのスキル標準の参照が可能になったのです。そのためITSSは、CCSFが参照するモデルにあたります。


ITSSのスキルマップについて解説

ITSSでは、IT技術者をその能力水準によって7段階に分けたスキルマップが規定されています。

さらに、スキルマップは11の職種に分類され、分野ごとにめざすべき水準が定められているのです。ITSSのスキルマップを詳しく解説します。

ITSSにおけるスキルとは

ITSSにおけるスキルとは、パソコンの操作やソフト・システム開発などの能力だけではありません。

事業活動における課題について、これらの技術や知識を駆使して解決に導くことができることなど、包括的に活用できる能力をいいます。

この場合のスキルには、「リーダーシップ」「専門性」「マネジメント能力」などの組織活動においても、重要な要素が含まれています。

ITSSの7段階のレベル

ITSSには7段階の水準が設けられており、それぞれのレベルに応じて必要とされる能力や知識などが規定されています。

エントリ(レベル1)は、IT業界において最低限必要である知識や技術などについて学ぶレベルです。ITパスポート試験がこのレベルに相当します。

ミドル(レベル2・3)は、プロフェッショナルになるために必要な知識や技術を研鑽するレベルです。基本情報処理技術者(レベル2)や、応用情報処理技術者(レベル3)がこのレベルに相当します。

高度IT人材(レベル4~7)が、ITスキルの専門分野を確立したレベルとなります。

企業における様々な課題などについて、ITのスキルを活用して解決に導くだけでなく、新たな事業の創造、後進育成などへの貢献もめざすレベルといえます。


ITSSを組織で運用するうえでのポイント

ITSSを組織で運用する際には、いくつかのポイントを押さえることが必要です。

特に重要となるポイントは、以下の3つになります。

  1. 目的を明確にする
  2. 経営陣と社員が一体になって取り組む
  3. 継続的に運用する

それぞれのポイントを詳しく見ていきましょう。

ポイント1.目的を明確にする

ITSSを活用する際は、目的を明確にする必要があります。

ITSSはあくまで「水準」です。これからの経営戦略の流れにおいて「どの分野に力を入れていくべきなのか」など、社内外の経営戦力における目的を具体的に明示し、事業計画を構築したうえで、ITSSを活用することが望ましいでしょう。

ポイント2.経営陣と社員が一体になって取り組む

ITSSでは「ソフトやシステム開発」だけでなく「リーダーシップ」や「マネジメント能力」といった、会社の経営に関する能力の習得も求められます。

経営陣と社員が一体となって、プロジェクトを構成するという認識を持ち続けることが重要です。

ポイント3.継続的に運用する

組織活動においてITSSを活用するうえでは、定められた水準と個人のレベルの現在地との乖離を把握することが重要です。

そのためには、継続的な運用が欠かせません。

ITSSを継続的に運用することで、個人のレベルと水準との乖離が拡大しているのか、縮小しているのかを常に把握し続けることができます。

これにより、組織活動における目標達成につながるでしょう。


おすすめのITSSの資格5選

ITSSでは、各レベルで求められるスキル習得のために、めざすべき資格がそれぞれ規定されています。

ここでは、ITSSレベル向上に向けて、取得したいおすすめの情報処理技術者資格を5つピックアップしてご紹介しましょう。

ITパスポート

ITパスポートは、独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)が実施する情報処理技術者試験の一つで、ITSSで規定されている「レベル1」の水準に相当する試験です。

情報技術に携わるための最低限必要な知識を問われますので、IT技術者として、また人材育成を行ううえでも、最初にめざすべき水準の試験とも言えます。

試験では、プログラミングなどのIT技術だけでなく、会社の経営に関する知識やこれらに関する周辺知識などについて、最低限必要な内容が出題されます。

出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)「ITパスポート試験(IP)

基本情報技術者試験

基本情報技術者試験は、IPAで実施される情報処理技術者試験の一つで、ITSSで規定されている「レベル 2」の水準に相当する試験です。

上位者の指導の下で要求された作業を担当し、プロフェッショナルとして活躍するために必要な基本的知識・技能が問われます。

IT技術者として、基本的な技術や知識の習得が完了した者が、次にめざすべき目標として、基本情報技術者試験が設定されることが多い試験です。

出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)「基本情報技術者試験(FE)

応用情報技術者試験

応用情報処理技術者試験は、IPAで実施される情報処理技術者試験の一つで、ITSSで規定されている「レベル3」の水準に相当する試験です。

合格には、要求される作業をすべて独力で遂行し、スキルにおける専門分野の確立をめざす水準に達していることが求められます。

また、プロフェッショナルとなるために必要な「応用的知識・技能」を有しているかどうかも、応用情報処理技術者試験で問われる内容です。

出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)「応用情報技術者試験(AP)

プロジェクトマネージャ試験

プロジェクトマネージャ試験は、IPAで実施される情報処理技術者試験の一つで、ITSSで規定されている「レベル4」の水準に相当する試験です。

高度IT人材として確立した専門分野を持ち、組織戦略の実現に寄与することを目的とするシステム開発プロジェクトにおいて、プロジェクトマネジメント業務を担う者が対象です。

目的の実現に責任を持ち、単独またはチームの一員としてその遂行をめざすレベルになります。

出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)「プロジェクトマネージャ試験(PM)

ITストラテジスト試験

ITストラテジスト試験は、IPAで実施される情報処理技術者試験の一つで、ITSSで規定されている「レベル4」の水準に相当する試験です。

この試験の対象は、高度IT人材として確立した専門分野を持ち、情報技術(IT)を活用して事業を改革・高度化・最適化するための基本戦略を策定・提案・推進する者とされています。

企業の経営戦略に基づいて、ビジネスモデルや企業活動における特定のプロセスに関わる立場です。

組込みシステムやIoTを利用したシステムの企画および開発を統括し、新たな価値を実現するための、基本戦略を策定・提案・推進するのに必要な知見を問う試験内容となっています。

出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)「ITストラテジスト試験(ST)


ITSSにおける11の職種一覧

ITSSのスキルマップは、11個の職種に分類されており、職種ごとに全部で35個の専門分野が設定されています。

それぞれの専門分野において、IT技術者個人のITSSのレベルを7段階に分けて評価します。

個々の技術者が現状のITに関するスキルや技術の段階を認識でき、将来的なキャリア構築をどのようにめざすべきかの水準が示されているのです。


ITSSのまとめ

ITサービスの提供に欠かせないIT技術者のレベルを測るうえで、欠かせない指標となるITSS(IT Skill Standard:ITスキル標準)。

IT業界の急速な成長と質の高い技術者へのニーズの高まりを受けて、2002年に経済産業省により策定された制度です。

ITSSでは技術者の能力水準を7段階のレベルに分け、11の職種分類に照らして具体的にめざすべき水準を規定しています。

IT技術者の育成・教育の場はもちろん、企業の人事考課などにも活用されることが増えてきました。

ますますIT活用が広がる現代において、組織内での運用が強く求められるITSSをよく知り、ポイントを押さえて活用しましょう。


この記事に関連する最新記事

おすすめ書式テンプレート

書式テンプレートをもっと見る

監修者プロフィール

author_item{name}

岡崎 壮史

マネーライフワークス 代表/社会保険労務士・1級FP技能士・CFP

生命保険の営業や不動産会社の営業企画を経て、1級FP技能士とCFPを取得。

平成28年に社会保険労務士試験に合格。その翌年にマネーライフワークスを設立。

現在は、助成金申請代行や助成金の活用コンサルを中心に、行政機関の働き方改革推進事業のサポート事業や保険などの金融商品を活用した資産運用についてのサイトへの記事の執筆や監修なども行っている。

この監修者の他の記事(全て見る

bizoceanジャーナルトップページ